商法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第28号
公布年月日: 昭和30年6月30日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

昭和25年の商法改正は占領下で急いで行われたため、経済界の実情への配慮が不十分であった。そこで政府は法制審議会に諮問し、会社編の一部について緊急の改正が必要との答申を得た。改正の中心は新株引受権に関する規定で、現行法では株主の新株引受権が定款の絶対的記載事項となっており、定めに不備があると会社設立や新株発行の効力に影響を及ぼす問題があった。そこで新株引受権を定款の相対的記載事項とし、定款に定めがない場合は取締役会決議で定められるようにした。また、株主以外への新株引受権付与は株主総会の特別決議を要することとした。その他、株式申込証の作成簡素化など、会社の事務処理の利便性向上を図る改正を行った。

参照した発言:
第22回国会 衆議院 法務委員会 第7号

審議経過

第22回国会

衆議院
(昭和30年5月11日)
(昭和30年5月18日)
参議院
(昭和30年5月19日)
衆議院
(昭和30年6月7日)
(昭和30年6月10日)
(昭和30年6月13日)
(昭和30年6月14日)
(昭和30年6月17日)
(昭和30年6月17日)
参議院
(昭和30年6月24日)
(昭和30年6月25日)
(昭和30年6月27日)
(昭和30年7月30日)
衆議院
(昭和30年7月25日)
商法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十年六月三十日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第二十八号
商法の一部を改正する法律
商法(明治三十二年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
第百六十六条第一項第五号を次のように改める。
五 削除
第百七十五条第一項中「二通」を削る。
第百八十条第三項中「第二百四十七条、第二百四十八条、」を「第二百四十七条乃至」に改める。
第百八十八条第二項第一号中「第五号」を「第四号」に改める。
第二百二十二条ノ五第一項中「二通」を削る。
第二百二十四条ノ二第一項中「定款ヲ以テ一定期間株主名簿ノ記載ノ変更ヲ為サザル旨」を「一定期間株主名簿ノ記載ノ変更ヲ為サズ」に、「看做ス旨ヲ定ムル」を「看做ス」に、同条第二項及び第三項中「六十日」を「二月」に、同条第四項中「三十日」を「二週間」に改める。
第二百三十七条第二項を次のように改める。
前項ノ請求アリタル後遅滞ナク総会招集ノ手続ガ為サレザルトキハ請求ヲ為シタル株主ハ裁判所ノ許可ヲ得テ其ノ招集ヲ為スコトヲ得其ノ請求アリタル日ヨリ六週間内ノ日ヲ会日トスル総会ノ招集ノ通知ガ発セラレズ又ハ公告ガ為サレザルトキ亦同ジ
第二百八十条ノ二に次の一号を加える。
五 新株ノ引受権ヲ与フベキ者並ニ引受権ノ目的タル株式ノ額面無額面ノ別、種類、数及発行価額
第二百八十条ノ二に次の三項を加える。
株主以外ノ者ニ新株ノ引受権ヲ与フルニハ定款ニ之ニ関スル定アルトキト雖モ与フルコトヲ得ベキ引受権ノ目的タル株式ノ額面無額面ノ別、種類、数及最低発行価額ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ取締役ハ株主総会ニ於テ株主以外ノ者ニ新株ノ引受権ヲ与フルコトヲ必要トスル理由ヲ開示スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於ケル議案ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知及公告ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第二項ノ決議ハ決議後最初ニ発行スル新株ニシテ其ノ日ヨリ六月内ニ払込ヲ為スベキモノニ付テノミ其ノ効力ヲ有ス
第二百八十条ノ四を次のように改める。
第二百八十条ノ四 新株ノ引受権ヲ有スル株主ハ其ノ有スル株式ノ数ニ応ジテ新株ノ割当ヲ受クル権利ヲ有ス但シ一株ニ満タザル端数ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
株主ガ新株ノ引受権ヲ有スベキ場合ニ於テハ会社ハ一定ノ日ヲ定メ其ノ日ニ於テ株主名簿ニ記載アル株主ガ前項ノ権利ヲ有スベキ旨ヲ其ノ日ノ二週間前、若シ其ノ日ガ第二百二十四条ノ二第一項ノ期間中ナルトキハ其ノ期間ノ初日ノ二週間前ニ公告スルコトヲ要ス
第二百八十条ノ五第三項中「三十日」を「二週間」に改める。
第二百八十条ノ六第三号中「第二百八十条ノ二」を「第二百八十条ノ二第一項第一号乃至第四号」に改め、同条第六号を削る。
第二百八十条ノ八第一項中「第二百八十条ノ二第三号」を「第二百八十条ノ二第一項第三号」に改める。
第三百一条第一項中「二通」を削る。
第三百四十一条ノ四第一項中「二通」を削る。
第三百四十七条第二項及び第三項を削る。
第四百八十九条第一号中「第二百八十条ノ二第三号」を「第二百八十条ノ二第一項第三号」に改める。
附 則
1 この法律は、昭和三十年七月一日から施行する。
2 この法律による改正後の商法は、特別の定がある場合を除いては、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、従前の商法によつて生じた効力を妨げない。
3 この法律の施行前に定めた新株の引受権に関する定款の規定の不備は、会社の設立、新株の発行、合併、組織変更又は定款の他の規定の効力を妨げない。
4 この法律の施行前に定めた株主の新株の引受権に関する定款の規定は、この法律の施行の際における会社が発行する株式の総数のうち未発行の部分について、その効力を有する。ただし、その定款の規定を廃止し、又は変更することを妨げない。
5 この法律の施行前に定めた株主以外の者の新株の引受権に関する定款の規定は、この法律の施行後はその効力を有しない。ただし、この法律の施行前に申込があつた新株の引受権については、従前の例による。
6 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)の一部を次のように改正する。
第百五十条ノ五第一項中「会社又ハ外国会社ノ代表者ニシテ登記所ニ印鑑ヲ提出シタル者」を「前条ノ規定ニ依リテ登記所ニ印鑑ヲ提出シタル者又ハ支配人若クハ会社更生法ニ依ル管財人ニシテ予メ其印鑑ヲ登記所ニ提出シタル者」に改める。
第百八十八条ノ三を削り、第百八十八条ノ四を第百八十八条ノ三とする。
第百八十九条ノ二中「転換ノ請求書」を「転換ノ請求ヲ証スル書面」に改める。
第二百一条ノ十四中「第百八十八条、第百八十八条ノ二、第百八十八条ノ四」を「第百八十八条乃至第百八十八条ノ三」に改める。
7 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第二百十九条第二項を削る。
第二百二十四条第二号中「、その株式についての株主の新株引受権の有無又は制限に関する事項並びに特定の第三者に与えることを定めたときは、これに関する事項」を削る。
第二百二十五条第四号を次のように改める。
四 削除
第二百二十六条第一項第四号を次のように改め、同条第二項第一号中「第四号」を「第三号」に改める。
四 削除
法務大臣 花村四郎
内閣総理大臣 鳩山一郎