精神衛生法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第179号
公布年月日: 昭和29年6月14日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

戦後、覚醒剤等の慢性中毒者が増加し、精神障害者となる事例が国民の保健衛生上の重大問題となっている。特に覚醒剤は、精神的変調や身体的障害を引き起こし、非行や反社会的行動の増加を招いている。この状況に対応するため、慢性中毒者に適正な医療と保護を提供し、正常な生活への復帰を目指す。具体的には、非営利法人立の精神病院への補助金支給を可能とし、慢性中毒者に対して精神障害者に関する各種規定を準用することで、知事による入院措置や保護義務者の同意入院、退院後の訪問指導等の措置を講じることとする。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 厚生委員会 第53号

審議経過

第19回国会

衆議院
(昭和29年5月29日)
(昭和29年5月31日)
参議院
(昭和29年5月31日)
(昭和29年6月1日)
(昭和29年6月3日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
精神衛生法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年六月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百七十九号
精神衛生法の一部を改正する法律
精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「第六条」を「第六条―第六条の二」に、「第二十条―第五十条」を「第二十条―第五十一条」に、「第五十条(刑又は保護処分の執行との関係)」を
第五十条 (刑又は保護処分の執行との関係)
第五十一条 (覚せい剤等の慢性中毒者に対する措置)
に改める。
第一条中「精神障害者」を「精神障害者等」に改める。
第二条中「精神障害者が」を「精神障害者等が」に「精神障害者の発生」を「その発生」に改める。
第六条の次に次の一条を加える。
第六条の二 国は、営利を目的としない法人が設置する精神病院及び精神病院以外の病院に設ける精神病室の設置及び運営に要する経費に対して、政令の定めるところにより、その二分の一以内を補助することができる。
第五章中第五十条の次に次の一条を加える。
(覚せい剤等の慢性中毒者に対する措置)
第五十一条 第十八条第二項及び第三項並びに第十九条から前条までの規定は、覚せい剤、麻薬若しくはあへんの慢性中毒者(精神障害者を除く。)又はその疑のある者につき準用する。この場合において、これらの規定中「精神障害」とあるのは「慢性中毒」と、「精神障害者」とあるのは「慢性中毒者」と読み替えるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 加藤鐐五郎
大蔵大臣 小笠原三九郎
厚生大臣 草葉隆円