狂犬病予防法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第八十号
公布年月日: 昭和29年4月30日
法令の形式: 法律
狂犬病予防法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年四月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第八十号
狂犬病予防法の一部を改正する法律
狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五章 罰則(第二十六条・第二十七条)」を「第五章 罰則(第二十六条―第二十八条)」に改める。
第二条第一項中「家畜伝染病予防法(大正十一年法律第二十九号)第一条第一項に掲げる家畜」を「犬、牛、馬、めん羊、山羊、豚、鶏及びあひる」に改める。
第五条の次に次の一条を加える。
(犬の引取)
第五条の二 予防員は、犬の所有者からその犬の引取を求められたときは、これを引き取つて処分しなければならない。この場合において、予防員は、その犬を引き取るべき場所を指定することができる。
第六条第一項中「前条」を「第五条」に改め、同条中第七項を第十項とし、第六項中「第四項」を「第七項」に、「三日以内」を「一日以内」に改め、同項に次の但書を加え、同項を第九項とする。
但し、やむを得ない事由によりこの期間内に引き取ることができない所有者が、その旨及び相当の期間内に引き取るべき旨を申し出たときは、その申し出た期間が経過するまでは、処分することができない。
第六条中第五項を第八項とし、第四項中「抑留した場所」を「捕獲した場所」に改め、同項を第七項とし、第三項中「前項」を「第二項」に改め、同項を第六項とし、第二項の次に次の三項を加える。
3 予防員は、捕獲しようとして追跡中の犬がその所有者又はその他の者の土地、建物又は船車内に入つた場合において、これを捕獲するためやむを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において、その場所(人の住居を除く。)に立ち入ることができる。但し、その場所の看守者又はこれに代るべき者が拒んだときはこの限りでない。
4 何人も、正当な理由がなく、前項の立入を拒んではならない。
5 第三項の規定は、当該追跡中の犬が人又は家畜をかんだ犬である場合を除き、都道府県知事が特に必要と認めて指定した期間及び区域に限り適用する。
第十条中「その発生地を中心とした半径五キロメートル以内における」を削る。
第十四条第二項中「第七項」を「第十項」に改める。
第十八条第二項中「第七項」を「第十項」に改める。
第十八条の次に次の一条を加える。
(けい留されていない犬の薬殺)
第十八条の二 都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため緊急の必要がある場合において、前条第一項の規定による抑留を行うについて著しく困難な事情があると認めるときは、区域及び期間を定めて、予防員をして第十条の規定によるけい留の命令が発せられているにかかわらずけい留されていない犬を薬殺させることができる。この場合において、都道府県知事は、人又は他の家畜に被害を及ぼさないように、当該区域内及びその近傍の住民に対して、けい留されていない犬を薬殺する旨を周知させなければならない。
2 前項の規定による薬殺及び住民に対する周知の方法は、政令で定める。
第二十七条の次に次の一条を加える。
第二十八条 第十八条第二項において準用する第六条第四項の規定に違反した者は、拘留又は科料に処する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行前に、この法律による改正前の第六条第四項(第十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定により所有者に対する通知が行われ、又は同条第五項(第十八条第二項において準用する場合を含む。)の公示期間が満了した犬の処分については、この法律による改正後の第六条第九項(第十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
厚生大臣 草葉隆円
農林大臣 保利茂
内閣総理大臣 吉田茂