昭和二十八年六月及び七月の大水害による公立教育施設の災害の復旧事業についての国の費用負担及び補助に関する特別措置法
法令番号: 法律第二百四十九号
公布年月日: 昭和28年8月27日
法令の形式: 法律
昭和二十八年六月及び七月の大水害による公立教育施設の災害の復旧事業についての国の費用負担及び補助に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月二十七日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四十九号
昭和二十八年六月及び七月の大水害による公立教育施設の災害の復旧事業についての国の費用負担及び補助に関する特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、昭和二十八年六月及び七月の大水害によつて生じた公立の教育施設の災害のすみやかな復旧を図るため、その災害復旧事業についての国の費用負担及び補助に関して必要な事項を定め、もつて学校教育及び社会教育の円滑な実施を確保することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、左の各号に掲げる用語の意義は それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 学校 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。
二 公立学校施設 地方公共団体が災害地域内に設置する学校の用に供せられる建物、建物以外の工作物、土地及び設備をいう。
三 公立の社会教育施設 地方公共団体が災害地域内に設置する公民館、図書館、博物館及び体育施設(社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)に規定する社会教育のために設置した体育施設のうち、体育館、運動場、水泳プール及び庭球その他のコートをいう。)の用に供せられる建物、建物以外の工作物、士地及び設備をいう。
四 災害 昭和二十八年六月及び七月の大水害による災害をいう。
五 災害復旧事業 災害によつて必要を生じた事業で災害にかかつた公立学校施設又は公立の社会教育施設を原形に復旧する(原形に復旧することが不可能な場合において当該施設の従前の効用を復旧するための施設をすること及び原形に復旧することが著しく困難であるか又は不適当である場合において当該施設に代るべき必要な施設をすることを含む。)ことを目的とするものをいう。
2 災害によつて必要を生じた事業であつて、公立学校施設である建物で鉄筋コンクリート造又は鉄骨造でなかつたものを鉄筋コンクリート造又は鉄骨造のものに、鉄骨造のものを鉄筋コンクリート造のものに改良して当該建物の従前の効用を復旧することを目的とするものは、この法律の適用については、公立学校施設の災害復旧事業とみなす。
3 第一項第二号及び第三号に規定する災害地域は、政令で定める。
(公立学校施設の災害復旧事業に対する国の負担)
第三条 国は、公立学校施設の災害復旧事業の事業費の四分の三を負担する。
(災害復旧事業の施行の目標)
第四条 地方公共団体は、この法律により国の負担金の交付を受けて施行することができる公立学校施設の災害復旧事業全体の六割に相当する部分を昭和二十八年度において、その残余の部分を昭和二十九年度において施行するように努めなければならない。
(事業費の範囲)
第五条 第三条の規定により国がその費用の一部を負担する公立学校施設の災害復旧事業の事業費は、当該災害復旧事業の本工事費、附帯工事費及び設備費の合計額(以下「工事費」という。)並びに事務費とする。
2 前項に規定する事務費の工事費に対する割合は、政令で定める。
(事業費の決定)
第六条 公立学校施設の災害復旧事業の事業費の額は、地方公共団体の提出する資料、実地調査の結果等を勘案して文部大臣が決定するものとする。この場合において、事業費のうち設備費の額は、政令で定める基準に従い決定するものとする。
(成功認定)
第七条 国の負担金の交付を受けた地方公共団体が負担金に係る公立学校施設の災害復旧事業を施行したときは、遅滞なく、その事業費を精算して、文部大臣の成功認定を受けなければならない。
(負担金の返還等)
第八条 国の負担金の交付を受ける地方公共団体が負担金に係る公立学校施設の災害復旧事業を施行せず、又は負担金をその目的に反して使用したときは、文部大臣は、負担金のうちその施行しない当該災害復旧事業に係る部分を交付せず、若しくは返還させ、又は交付の目的に反して使用した部分の負担金を返還させることができる。この場合においては、文部大臣は、あらかじめ、当該地方公共団体の教育委員会に対し、釈明のため意見を述べ、及び当該地方公共団体のための有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
2 前項の規定により負担金の返還を命ぜられた地方公共団体は、その返還を命ぜられた金額を、遅滞なく、国に返還しなければならない。
3 文部大臣は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会をして、当該都道府県の区域内に存する市町村(市町村の組合を含む。以下同じ。)に対して、第一項に規定する文部大臣の権限を行わせることができる。
(剰余金の処分)
第九条 地方公共団体は、国の負担金の交付を受けた公立学校施設の災害復旧事業の事業費に剰余を生じたときは、遅滞なく、当該剰余金に第三条に規定する国の負担率を乗じた額を国に返還しなければならない。
(都道府県の教育委員会の事務)
第十条 国が市町村に対して交付する公立学校施設の災害復旧事業の事業費の負担金の額の算定交付及び返還並びに公立学校施設の災害復旧事業の成功認定に関する事務は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が行う。
2 国は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が前項の規定による事務を行うために必要な経費を都道府県に交付するものとする。
(監督)
第十一条 文部大臣は、公立学校施設の災害復旧事業につきこの法律により国の負担金の交付を受ける地方公共団体に対して、当該災害復旧事業を適正に実施させるため必要な検査を行い、報告を求め、又は事業の施行に関し必要な指示をすることができる。
2 文部大臣は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会をして、当該都道府県の区域内に存する市町村に対して、前項に規定する文部大臣の権限を行わせることができる。
(公立の社会教育施設の災害復旧事業に対する国の補助)
第十二条 国は、公立の社会教育施設の災害復旧事業について、当該災害復旧事業を施行する地方公共団体に対し、その事業費の三分の二を補助するものとする。
2 第五条から前条までの規定は、前項の規定により補助する場合につき準用する。この場合において、これらの規定中「負担金」とあるのは「補助金」と、第五条第一項中「第三条の規定により国がその費用の一部を負担する」とあるのは「第十二条第一項の規定により国がその費用の一部を補助する」と、第九条中「第三条に規定する国の負担率」とあるのは「第十二条第一項に規定する国の補助率」と読み替えるものとする。
(適用除外)
第十三条 この法律の規定は、左に掲げる公立学校施設又は公立の社会教育施設の災害復旧事業については、適用しない。
一 一の学校又は一の社会教育に関する施設当りの災害による被害の額が十万円に達しないもの
二 明らかに設計の不備又は工事施行の粗漏に基因して生じたものと認められる災害に係るもの
三 著しく維持管理の義務を怠つたことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの
(他の法律との関係)
第十四条 この法律により国がその費用の一部を負担する公立学校施設の災害復旧事業については、公立学校施設費国庫負担法(昭和二十八年法律第二百四十七号)による国の費用負担は行わない。
(政令への委任)
第十五条 この法律に定めるものの外、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、この法律施行前に施行された公立学校施設又は公立の社会教育施設の災害復旧事業についても適用する。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 小笠原三九郎
文部大臣 大達茂雄