農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律
法令番号: 法律第244号
公布年月日: 昭和28年8月20日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

現行の家畜共済制度では、死亡廃用共済、疾病傷害共済、生産共済の3種があり、疾病傷害共済に加入するには死亡廃用共済への加入が必要だが、その逆は不要となっている。しかし、畜産振興上の疾病傷害共済の普及徹底と家畜診療の普遍化の必要性、また疾病傷害の診療普及による死亡廃用事故率の低下と農家の掛金負担軽減の観点から、両共済の一元化が望ましい。そこで本法案では、一部の農業共済組合を指定し、死亡廃用共済と疾病傷害共済を統合した死廃病傷共済を試験的に実施し、一元化された場合の共済掛金率等の基礎資料を得るとともに、家畜共済制度の運営上の諸問題について検討を行うことを目的とする。

参照した発言:
第16回国会 参議院 農林委員会 第7号

審議経過

第16回国会

参議院
(昭和28年6月26日)
(昭和28年6月30日)
衆議院
(昭和28年7月1日)
(昭和28年7月29日)
(昭和28年7月29日)
参議院
(昭和28年8月3日)
(昭和28年8月4日)
(昭和28年8月5日)
(昭和28年8月6日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月二十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四十四号
農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、家畜共済の合理化に資するため、家畜共済に係る農業災害補償法(昭和二十二年法律第百八十五号)の規定に特例を設け、これを試験的に次条の農業共済組合及びその農業共済組合を会員とする農業共済組合連合会に適用することを目的とする。
(農業共済組合の指定)
第二条 農林大臣は、政令の定めるところにより、この法律により家畜共済を行うべき農業共済組合をその農業共済組合の同意を得て指定する。
2 農林大臣は、必要があると認めるときは、当該農業共済組合の同意を得て前項の規定による指定を取り消すことができる。
(指定組合の行う家畜共済)
第三条 前条第一項の規定により指定を受けた農業共済組合(以下「指定組合」という。)の行う家畜共済は、死廃病傷共済及び生産共済とする。
2 指定組合は、死廃病傷共済にあつては、農業災害補償法第八十四条第一項第三号に掲げる共済目的につき、同項第三号及び第四号に掲げる共済事故によつて生じた損害について、組合員に対し共済金を交付するものとする。
(共済掛金率)
第四条 死廃病傷共済の共済掛金率は、政令の定めるところにより、定款で定める。
2 前項の共済掛金率は、農林大臣が定める共済掛金標準率を下つてはならない。但し、省令で定める場合には、この限りでない。
3 前項の共済掛金標準率は、政令の定めるところにより、農業災害補償法第百十五条第二項の規定に基き定められた死亡廃用共済に係る共済掛金標準率及び疾病傷害共済に係る共済掛金標準率を基礎として定める。
(共済金)
第五条 死廃病傷共済に係る共済金は、左の金額とする。
一 死亡又は廃用により支払うものにあつては、農業災害補償法第百十六条第一項第一号の額
二 疾病又は傷害により支払うものにあつては、政令の定めるところにより定款で定める方法によつて算定される損害の額に政令の定めるところにより定款で定める支払割合を乗じて得た額
(会計の区分経理)
第六条 指定組合を会員とする農業共済組合連合会は、家畜共済事業に係る会計のうち指定組合に係るものを他と区分して経理しなければならない。
(指定組合の組合員に対する補助)
第七条 国庫は、指定組合の組合員の支払うべき牛又は馬の死廃病傷共済に係る共済掛金のうち農業災害補償法第百十四条第一項第一号の定款で定める共済掛金の最低のものの二分の一に相当する金額から同法第十三条の二の規定により負担する金額を控除して得た額に相当する金額の補助金を当該組合員に交付する。
2 前項の規定により指定組合の組合員に交付すべき補助金は、これを組合員に交付するのに代えて、当該組合員がその属する指定組合に支払うべき共済掛金の一部に充てるため当該指定組合にこれを交付し、又は当該指定組合がその属する農業共済組合連合会に支払うべき保険料の一部に充てるため当該農業共済組合連合会にこれを交付することができる。
(報告の徴取)
第八条 農林大臣及び都道府県知事は、この法律の施行の状況を明らかにするため必要があると認めるときは、指定組合及び指定組合を会員とする農業共済組合連合会から報告を徴することができる。
(審査会)
第九条 都道府県農業共済保険審査会は、農業災害補償法第百四十三条第二項各号に掲げる事項の外、都道府県知事の諮問に応じてこの法律の運用に関する重要事項を調査審議する。
2 農業共済再保険審査会は、農業災害補償法第百四十四条に規定する事項の外、主務大臣の諮問に応じてこの法律の運用に関する重要事項を調査審議する。
(読替規定)
第十条 指定組合の行う家畜共済に係る農業災害補償法の適用については、同法第十三条の二(牛馬死亡廃用共済掛金の一部国庫負担)中「死亡廃用共済」とあるのは「死廃病傷共済」と、「最低の共済掛金」とあるのは「共済掛金の死亡及び廃用による損害に対応する部分」と、第百十一条(義務加入)及び第百十一条の二第二号(組合の申込承諾義務)中「死亡廃用共済」とあるのは「死廃病傷共済」と、第百十二条第二項(共済掛金期間)中「死亡廃用共済及び疾病傷害共済」とあるのは「死廃病傷共済」と、第百十三条(共済目的の制限)第一項中「死亡廃用共済」とあるのは「死廃病傷共済」と、同条第二項中「死亡廃用共済関係」とあるのは「死廃病傷共済関係」と、第百十四条第一項第一号(共済金額)中「死亡廃用共済」とあるのは「死廃病傷共済」と、第百十七条及び第百二十六条(共済金等に代る給付)中「疾病傷害共済に係る共済事故」とあるのは「疾病又は傷害の共済事故」と読み替えるものとする。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十年十月一日にその効力を失う。
2 この法律の失効に伴い必要な経過規定は、別に法律で定める。
3 第二条の規定に基く指定があつた際に指定組合とその組合員との間に現に存する死亡廃用共済関係及び疾病傷害共済関係は、その指定の時の属する共済掛金期間の満了の時又は当該共済関係の共済目的たる家畜について死廃病傷共済の共済責任が始まる時のいずれか早い時までは、なお従前の例により存続する。
4 前項の死亡廃用共済関係及び疾病傷害共済関係が死廃病傷共済の共済責任の開始により消滅したときは、そのまだ経過しない期間に対する共済掛金は、払いもどさなければならない。
5 前項の場合には、農業共済組合連合会及び政府は、まだ経過しない期間に対する保険料及び再保険料を、それぞれ当該農業共済組合及び農業共済組合連合会に払いもどさなければならない。
6 第四項又は前項の規定により払いもどすべき共済掛金、保険料及び再保険料は、この法律の規定により払い込むべき共済掛金、保険料及び再保険料とそれぞれ相殺することができる。
7 農業災害補償法第百十三条第一項各号の一に該当するに至る前二年以前から死亡廃用共済関係が継続していた家畜は、同項の規定にかかわらず、死廃病傷共済に付することができる。
8 農業共済再保険特別会計法(昭和十九年法律第十一号)の一部を次のように改正する。
第二十条の次に次の一条を加える。
第二十一条 農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律(昭和二十八年法律第二百四十四号)第七条ノ規定ニ依ル補助金ハ第四条ノ規定ニ拘ラズ当分ノ間家畜勘定ノ歳出トス
大蔵大臣 小笠原三九郎
農林大臣 保利茂
内閣総理大臣 吉田茂