道路交通取締法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第197号
公布年月日: 昭和28年8月11日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

自動車の増加に伴う交通事故の増加に対し、運転免許の停止・取消し等の行政処分が行われているが、これらの措置が一方的で、行政訴訟には多大な費用と時間を要するため、当事者が容易に争えない状況にある。そこで、運転者の生活権を守り、処分の適正と慎重を期すため、免許の停止・取消しに際して、当事者が意見を述べる機会を設け、第三者の公平な判断により措置の公正を確保することを目的として、道路交通取締法の一部改正を提案するものである。具体的には、公開による聴聞会の開催を義務付け、当事者または代理人の意見陳述や証拠提出の機会を保障し、必要に応じて専門家の意見を聴取できる制度を整備する。

参照した発言:
第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号

審議経過

第16回国会

参議院
(昭和28年7月22日)
衆議院
(昭和28年7月23日)
(昭和28年7月28日)
(昭和28年7月29日)
参議院
(昭和28年7月29日)
(昭和28年7月30日)
(昭和28年7月30日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
道路交通取締法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十七号
道路交通取締法の一部を改正する法律
道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
第九条第六項中「前項」を「第五項」に改め、第五項の次に次の四項を加える。
公安委員会は、前項の規定による運転免許の取消又は停止(停止については公安委員会の定める期間以上のものに限る。)をしようとするときは、公開による聴聞を行わなければならない。この場合においては、公安委員会は、当該処分に係る者に対し、処分をしようとする事由並びに聴聞の期日及び場所を期日の一週間前までに通知し、且つ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
聴聞に際しては、当該処分に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ及び証拠を提出することができる。
公安委員会は、聴聞を行う場合において必要があると認めるときは、道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め、その意見又は事情をきくことができる。
公安委員会は、当該処分に係る者又はその代理人が正当の理由がなくて聴聞当日に出頭しないときは、第六項の規定にかかわらず、聴聞を行わないで第五項の規定による運転免許の取消又は停止をすることができる。
第九条の二第四項中「第四項乃至第八項」を「第四項乃至第十二項」に、「第五項乃至第八項」を「第五項、第六項及び第九項乃至第十二項」に改める。
第二十九条第一号中「若しくは第七項」を「若しくは第十一項」に改める。
第三十条中「第九条第八項」を「第九条第十二項」に改める。
附 則
この法律は、昭和二十八年十二月一日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂