電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律
法令番号: 法律第171号
公布年月日: 昭和28年8月7日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

昨冬の電気事業・石炭鉱業のストライキが国民経済と生活に甚大な影響を与えた経験から、両産業の特殊性・重要性と労使関係の現状を踏まえ、争議権と公益の調和を図る必要性が生じた。労使関係は本来、法による規制を最小限とし、労使の良識に委ねることが望ましいが、政府として緊急の問題に対し必要な施策を怠ることはできない。そこで、基幹的重要産業である電気事業・石炭鉱業について、公共の福祉を擁護するため、争議行為の方法に必要な規制を行うことを目的として本法案を提案する。

参照した発言:
第16回国会 衆議院 労働委員会 第2号

審議経過

第16回国会

衆議院
(昭和28年6月22日)
参議院
(昭和28年6月26日)
衆議院
(昭和28年6月27日)
参議院
(昭和28年6月29日)
衆議院
(昭和28年7月1日)
(昭和28年7月2日)
(昭和28年7月3日)
参議院
(昭和28年7月3日)
衆議院
(昭和28年7月5日)
(昭和28年7月6日)
(昭和28年7月7日)
(昭和28年7月9日)
(昭和28年7月10日)
(昭和28年7月11日)
(昭和28年7月11日)
参議院
(昭和28年7月13日)
(昭和28年7月16日)
(昭和28年7月17日)
(昭和28年7月18日)
(昭和28年7月20日)
(昭和28年7月22日)
(昭和28年7月22日)
(昭和28年7月23日)
(昭和28年7月24日)
(昭和28年7月25日)
(昭和28年7月26日)
(昭和28年7月27日)
(昭和28年7月28日)
(昭和28年7月29日)
(昭和28年8月1日)
(昭和28年8月3日)
(昭和28年8月4日)
(昭和28年8月5日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月七日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百七十一号
電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律
第一条 この法律は、電気事業(一般の需要に応じ電気を供給する事業又はこれに電気を供給することを主たる目的とする事業をいう。以下同じ。)及び石炭鉱業の特殊性並びに国民経済及び国民の日常生活に対する重要性にかんがみ、公共の福祉を擁護するため、これらの事業について、争議行為の方法に関して必要な措置を定めるものとする。
第二条 電気事業の事業主又は電気事業に従事する者は、争議行為として、電気の正常な供給を停止する行為その他電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為をしてはならない。
第三条 石炭鉱業の事業主又は石炭鉱業に従事する者は、争議行為として、鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)に規定する保安の業務の正常な運営を停廃する行為であつて、鉱山における人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるものをしてはならない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 政府は、この法律施行の日から起算して三年を経過したときは、その経過後二十日以内に、もしその経過した日から起算して二十日を経過した日に国会閉会中の場合は国会召集後十日以内に、この法律を存続させるかどうかについて、国会の議決を求めなければならない。この場合において、この法律を存続させない旨の議決があつたとき、又は当該国会の会期中にこの法律を存続させる旨の議決がなかつたときは、その日の経過した日から、この法律は、その効力を失う。
3 前項の規定によりこの法律がその効力を失つたときは、政府は、速やかにその旨を公示しなければならない。
通商産業大臣 岡野清豪
労働大臣 小坂善太郎
内閣総理大臣 吉田茂