第十九条の三 株式会社(これと同種の外国会社を含む。)である閉鎖機関については、その発行済株式の総数の十分の一以上に当る株式を有する株主は、当該機関の株主に対し新たに払込又は出資をさせないで株式を引き受けさせることにより当該機関の本邦内に在る財産(第十九条第一項に規定する閉鎖機関については、在外債務の総額が在外資産の総額をこえる場合にはその超過額(当該閉鎖機関につき同項に規定する政令で定める金額があるときは、その金額を加算した額)、その他の場合において当該閉鎖機関につき同項に規定する政令で定める金額があるときにはその金額にそれぞれ相当する本邦内に在る財産(債務を除く。)を留保した後の財産に限る。)をもつて株式会社を設立すべきことを特殊清算人に対して申し立てることができる。
前項の書面(以下申立書という。)には、左の事項を記載しなければならない。
四 新たに設立しようとする株式会社(以下新会社という。)の目的及び業務の概要
第十九条の四 特殊清算人は、前条第一項の規定による申立があつたときは、遅滞なく大蔵大臣にその旨を報告するとともに、新会社の設立手続の開始の承認を求めなければならない。
特殊清算人は、前項の規定による承認があつたときは、その承認に際し大蔵大臣の指定する日(以下計画基準日という。)以後当該閉鎖機関の債務(大蔵大臣の指定するものを除く。)の弁済を停止し、その承認のあつた日から三月以内に申立書の趣旨に従つて新会社設立計画案(以下計画案という。)を作成し、これについて株主総会の決議を経なければならない。
前項の計画案には、左に掲げる事項を定めなければならない。
一 新会社の商号、目的、本店及び支店の所在地並びに公告の方法
二 新会社が発行する株式の総数及び設立に際して発行する株式の総数
四 新会社の設立のときに定める新会社の発行する株式の総数についての株主の新株引受権の有無又は制限に関する事項及び特定の第三者に与えることを定めたときは、これに関する事項
五 閉鎖機関の株主に対して発行すべき株式の額面無額面の別、種類及び数並びにその割当に関する事項
九 新会社の設立の際に閉鎖機関から新会社に移転すべき財産及びその価格
十 新会社の設立の日から一年間の事業計画及び資金計画の概要
特殊清算人は、計画案を作成する場合には、申立人の意見を参酌しなければならない。
第十九条の五 特殊清算人は、前条第二項の株主総会の決議を求めるため、会日を定めて株主総会を招集しなければならない。
前項の場合において、本邦外に本店を有する閉鎖機関については、他の法令又は定款にかかわらず、本邦内の主たる営業所の所在地において、株主総会を招集することができる。
第一項の規定により株主総会を招集する場合には、会日から二週間前に、株主に対し株主総会の会日及び会議の目的である事項を通知する外、命令の定めるところにより、これらの事項を公告しなければならない。
前条第二項の株主総会の決議は、当該総会に出席した株主の議決権の三分の二以上で、且つ、発行済株式の総数の十分の一以上に当る株式を有する株主の議決権をもつてしなければならない。
特殊清算人は、第三項の規定による公告をする場合においては、計画案の外、閉鎖機関の計画基準日の午前零時における財産目録及び貸借対照表、指定日から計画基準日までの収支計算書並びに債務の弁済及び残余財産の分配に関する一覧表をその主たる事務所に備え置き、株主の閲覧に供しなければならない。
第十九条の六 特殊清算人は、計画案について第十九条の四第二項の株主総会の決議があつたときは、遅滞なく当該計画案に前条第五項に規定する書類を添えて、これを大蔵大臣に提出し、その認可を受けなければならない。
第十九条の七 特殊清算人は、前条の規定による認可を申請したときは、遅滞なく、閉鎖機関に対して債権(本邦内に在る財産に限る。)を有する者(以下国内債権者という。)に対し、当該申請に係る計画案及び新会社の設立により当該債権が当該新会社に移転することについて異議があるときは一月以内に事由を具して大蔵大臣に申し出るべき旨を公告し、且つ、知れている国内債権者には、当該期間内に各別にその旨を催告しなければならない。
国内債権者は、前項の期間が経過した後は、同項の異議を申し出ることができない。
第十九条の五第五項の規定は、第一項の規定による公告をする場合に、これを準用する。この場合において、第十九条の五第五項中「株主」とあるのは「国内債権者」と読み替えるものとする。
第十九条の八 大蔵大臣は、第十九条の六の規定による認可の申請があつた場合において、その申請に係る計画案が左に掲げる要件を備えていると認めるときは、前条第一項の期間の経過後、当該計画案を認可するものとする。
二 計画が公正、衡平であり、且つ、遂行可能であること。
大蔵大臣は、前項の規定により計画案の認可をする場合において、閉鎖機関の国内債権者が前条第一項の異議を申し出たときは、当該閉鎖機関をして、当該国内債権者につき弁済せしめ若しくは相当の担保を供せしめ又は当該国内債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託せしめることを条件として、且つ、計画案に所要の修正を加えて認可するものとする。
前項の場合の外、大蔵大臣は、第一項の規定による計画案の認可に際し、計画案に所要の修正を加えて認可することができる。
第十九条の九 特殊清算人は、前条の規定による計画案の認可があつたときは、遅滞なく、その旨を公告し、且つ、認可を受けた計画案(以下決定計画という。)をその主たる事務所に備え置き、利害関係人の閲覧に供しなければならない。
第十九条の十 特殊清算人は、やむを得ない事由により決定計画に定める事項を変更する必要を生じたときは、これを変更し、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
第十九条の四第二項から第四項まで及び第十九条の五から前条までの規定は、前項の場合に、これを準用する。
第十九条の十一 特殊清算人は、第十九条の八の規定による計画案の認可があつたときは、遅滞なく、募集設立に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)の規定に準じ決定計画の定に従つて新会社を設立しなければならない。この場合において、発起人の職務は、特殊清算人が行う。
前項の場合においては、検査役を選任することを要しない。
第十九条の十二 新会社の創立総会においては、決定計画に定める事項に反して決議をすることができない。
第十九条の十三 新会社の設立の登記の申請書には、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百八十七条第二項の規定にかかわらず、同項第一号及び第七号から第九号までに掲げる書類の外、第十九条の八の規定による認可を証する書面を添附しなければならない。
第十九条の十四 新会社が成立した場合には、他の法令の規定にかかわらず、その成立のときにおいて、決定計画の定に従い、閉鎖機関の権利義務は、新会社に移転し、閉鎖機関の株主は、新会社の株主となる。
閉鎖機関の株式を目的とする質権は、閉鎖機関の株主が、決定計画の定に従い受けるべき金銭及び新会社の株式の上に存在する。
閉鎖機関が、前項の質権を有する者の請求により、その氏名及び住所を当該閉鎖機関の株主名簿に記載し、且つ、その氏名を株券に記載してあるときは、当該質権を有する者は、新会社に対し、前項の株主の受けるべき新会社の株券の引渡を請求することができる。
第十九条の十五 閉鎖機関の特殊清算事務は、新会社成立の日において終るものとする。
第十九条の十六 特殊清算人は、新会社が成立したときは、遅滞なく、大蔵大臣にその旨を報告しなければならない。
第十九条の十七 第十九条の八の規定による計画案の認可があつた後、決定計画の遂行の見込がないことが明らかになつたときは、大蔵大臣は、特殊清算人若しくは利害関係人の申立により又は職権で、新会社の設立の手続の廃止を命ずることができる。
第十九条の十八 特殊清算人は、第十九条の八の規定による計画案の認可がなかつたとき又は前条の規定による新会社の設立の手続の廃止の命令があつたときは、その旨を公告し、第十九条の四第二項の規定により停止している閉鎖機関の債務の弁済を続行しなければならない。
第十九条の十九 新会社の設立に関して支出した費用は、決定計画に定められた設立費用の額を限度として、新会社が成立したときは、その新会社の負担とし、新会社が成立しなかつたときは、当該閉鎖機関の負担とする。
第十九条の二十 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第十条、第十一条及び第十四条の規定は、昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律(昭和二十二年法律第百三十八号)第一条第八号の規定にかかわらず、決定計画の定に従い新会社の株式を取得した者が、その取得の日から二月をこえてこれを所有する場合に適用する。但し、当該株式を取得した者が、公正取引委員会規則の定めるところにより、あらかじめその期間の延長について公正取引委員会の認可を受けた場合は、この限りでない。この場合における公正取引委員会の認可は、その者が当該株式をすみやかに処分することを条件としなければならない。