日本専売公社法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第132号
公布年月日: 昭和28年8月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

専売事業の企業的運営を図るため、日本専売公社の会計制度に関する規定を改正するもの。予算に弾力性を持たせ、需要増加や経済事情の変動に対応できるようにし、予算の流用・繰越制限を緩和する。また、収入増加や経費節減により生じた金額の一部を、大蔵大臣の承認を得て特別給与として支給可能とする。専売納付金の計算では在庫増加額を控除しないこととし、業務内容に投資条項を加え、現金取扱いや予算の形式等に関する規定を整備する。

参照した発言:
第16回国会 参議院 大蔵委員会 第13号

審議経過

第16回国会

参議院
(昭和28年7月7日)
衆議院
(昭和28年7月9日)
(昭和28年7月10日)
(昭和28年7月14日)
(昭和28年7月15日)
(昭和28年7月16日)
(昭和28年7月18日)
(昭和28年7月21日)
(昭和28年7月22日)
(昭和28年7月23日)
(昭和28年7月24日)
(昭和28年7月25日)
参議院
(昭和28年7月27日)
(昭和28年7月28日)
(昭和28年7月29日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
日本専売公社法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百三十二号
日本専売公社法の一部を改正する法律
日本専売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)の一部を次のように改正する。
第二十七条に次の一項を加える。
2 公社は、大蔵大臣の認可を受けて、その業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。
第三十四条から第三十六条までを次のように改める。
(予算の弾力性)
第三十四条 公社の予算には、その事業を企業的に経営することができるように、需要の増加、経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずることができる弾力性を与えるものとする。
(予算の作成及び提出)
第三十四条の二 公社は、毎事業年度の予算を作成し、これに当該事業年度の事業計画、資金計画その他予算の参考となる事項に関する書類を添え、大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。
3 内閣は、前項の決定をしたときは、その予算を、国の予算とともに、国会に提出しなければならない。
4 前項の予算には、第一項に規定する添付書類を附するものとする。
(予算の内容)
第三十四条の三 公社の予算は、予算総則、収入支出予算及び債務負担行為とする。
(予算総則)
第三十四条の四 予算総則には、収入支出予算及び債務負担行為に関する総括的規定(第三十四条に規定する弾力性に関する規定を含む。)を設ける外、左の事項に関する規定を設けるものとする。
一 第三十五条第二項の規定による債務を負担する行為の限度額
二 第四十三条の二に規定する経費の指定
三 第四十三条の三第一項但書に規定する経費の指定
四 長期借入金及び短期借入金の限度額
五 第四十三条の二十一第一項に規定する役員及び職員に対して支給する給与の総額及び同条第二項の給与の支給に関する事項
六 公社の投資の目的及び金額
七 その他予算の実施に関し必要な事項
(収入支出予算)
第三十四条の五 収入支出予算は、収入にあつてはその性質、支出にあつてはその目的に従つて項に区分する。
(債務の負担)
第三十五条 公社は、法律に基くもの又は支出予算の金額の範囲内におけるものの外、債務を負担する行為をするには、あらかじめ予算をもつて国会の議決を経なければならない。
2 公社は、前項に規定するものの外、災害復旧その他緊急の必要がある場合においては、毎事業年度、国会の議決を経た金額の範囲内において、債務を負担する行為をすることができる。
(予備費)
第三十六条 災害の復旧その他予見することができない事由による支出予算の不足を補うため、公社の予算に予備費を設けることができる。
2 公社は、予備費を使用したときは、直ちにその旨を大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
第三十九条第一項中「当該予算の予算実施計画、事業計画」を「当該予算に係る事業計画」に改め、同条第二項中「第三十四条第二項から第五項まで及び前二条」を「第三十四条の二第二項から第四項まで」に改める。
第四十条第一項中「当該予算の予算実施計画、事業計画」を「当該予算に係る事業計画」に改め、同条第二項中「第三十四条第二項から第五項まで、第三十七条及び第三十八条」を「第三十四条の二第二項から第四項まで」に改める。
第四十一条中「当該予算の予算実施計画、事業計画」を「当該予算に係る事業計画」に改め、同条第二項中「第三十四条第二項から第五項まで、第三十七条及び第三十八条」を「第三十四条の二第二項から第四項まで」に改め、同条第三項中「国会の議決を経たとき」を「成立したとき」に改める。
第四十二条から第四十三条の四までを次のように改める。
第四十二条 削除
(予算の流用等)
第四十三条 公社は、支出予算については、当該予算に定める目的の外に使用してはならない。但し、予算の実施上適当且つ必要であるときは、第三十四条の五の規定による区分にかかわらず、彼此流用することができる。
第四十三条の二 公社は、予算で指定する経費の金額については、大蔵大臣の承認を受けなければ、流用し、又はこれに予備費を使用することができない。
(予算の繰越)
第四十三条の三 公社は、予算の実施上特に必要があるときは、支出予算の経費の金額のうち、当該事業年度内に支出を終らなかつたものを翌事業年度に繰り越して使用することができる。但し、予算で指定する経費の金額については、あらかじめ大蔵大臣の承認を受けなければならない。
2 前項の規定による繰越をしたときは、事項ごとにその金額を明らかにして、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
第四十三条の四 削除
第四十三条の五第一項中「大蔵大臣に送付」を「大蔵大臣及び会計検査院に提出」に改め、同条第二項中「送付」を「提出」に改める。
第四十三条の六を次のように改める。
(収入支出等の報告)
第四十三条の六 公社は、政令の定めるところにより、毎月、第三十五条の規定により負担した債務の金額並びに収入し、及び支出した金額を大蔵大臣及び会計検査院に報告しなければならない。
第四十三条の七中「七月三十一日」を「六月三十日」に改める。
第四十三条の九第一項中「決算完結後予算の区分に従い、毎事業年度の決算報告書」を「毎事業年度、予算の区分に従いその実施の結果を明らかにした報告書」に改め、同条第二項中「決算報告書及び財務諸表」を「報告書及び財務諸表(以下「決算書類」という。)」に改め、同条第三項中「決算報告書」を「報告書」に改める。
第四十三条の十第一項中「決算報告書及び財務諸表」を「決算書類」に改め、同条第二項中「決算報告書に財務諸表を添附して、」を「決算書類を」に改める。
第四十三条の十三第一項第一号中「、無形資産及びたな卸資産」を「及び無形資産」に、「歳入金」を「収入金」に改める。
第四十三条の十八を次のように改める。
(現金の取扱)
第四十三条の十八 公社は、業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。但し、業務上必要があるときは、政令の定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。
第四十三条の二十一に次の一項を加える。
2 前項後段の規定は、能率の向上により、収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合において、その収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けて、特別の給与として支給するときは、適用しない。
第四十三条の二十三第三項を次のように改める。
3 公社は、大蔵大臣の承認を受けて、第一項に規定する事務の取扱手続を定めなければならない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。但し、第二十七条の改正規定は、昭和二十九年四月一日から施行する。
2 改正後の日本専売公社法(以下「新法」という。)第三十四条から第三十六条まで、第三十九条から第四十一条まで、第四十三条から第四十三条の三まで及び第四十三条の六の規定は、昭和二十九年度の予算から、新法第四十三条の七、第四十三条の九及び第四十三条の十の規定は、昭和二十九年度の決算から適用する。
3 日本専売公社の昭和二十八年度の専売納付金の納付についての新法第四十三条の十三の規定の適用については、同条第一項第一号中「収入金」とあるのは「歳入金」と読み替えるものとする。
4 日本専売公社の昭和二十八年度の予算並びに昭和二十七年度及び昭和二十八年度の決算については、なお従前の例による。
大蔵大臣 小笠原三九郎
内閣総理大臣 吉田茂