国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第118号
公布年月日: 昭和28年8月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

国民健康保険の再建整備を促進するため、貸付金額の増額等を行う改正案を提案する。改正点は以下の3点である。第一に、診療報酬未払いの解消期間を、26年度末までのものを29年度までとしていたのを、27年度末までのものを30年度までとする。第二に、貸付対象額を未収保険料の50%から80%に引き上げ、保険者の自己資金負担を貸付金額と同額から4分の1相当額に引き下げる。第三に、26年度末までの未払診療報酬支払いのため、28年度でも貸付を可能とし、貸付対象額を増額できるようにする。

参照した発言:
第16回国会 衆議院 厚生委員会 第6号

審議経過

第16回国会

衆議院
(昭和28年6月24日)
参議院
(昭和28年6月24日)
衆議院
(昭和28年6月29日)
(昭和28年7月2日)
(昭和28年7月3日)
(昭和28年7月6日)
(昭和28年7月7日)
参議院
(昭和28年7月7日)
(昭和28年7月16日)
(昭和28年7月20日)
(昭和28年7月24日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百十八号
国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律
国民健康保険再建整備資金貸付法(昭和二十七年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第一号中「未収保険料」を「昭和二十六年度末未収保険料」に改める。
第二条第二号を次のように改める。
二 昭和二十六年度末未払診療報酬 昭和二十六年度末までに支払義務が生じた診療報酬債務及びその支払に充てた他からの借入金その他これに代るべき債務(この法律による貸付金の償還の債務及びこの法律による貸付金の額の四分の一に相当する額の診療報酬債務に代るべき債務を除く。)で、まだ支払つてないものをいう。
第二条中第三号を第五号とし、以下順次二号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の二号を加える。
三 昭和二十七年度末未収保険料 昭和二十七年度末までに調査決定した保険料で、昭和二十八年五月三十一日までに収納することができなかつたものをいう。
四 昭和二十七年度末未払診療報酬 昭和二十七年度末までに支払義務が生じた診療報酬債務及びその支払に充てた他からの借入金その他これに代るべき債務(この法律による貸付金の償還の債務及びこの法律による貸付金の額の四分の一に相当する額の診療報酬債務に代るべき債務を除く。)で、まだ支払つてないものをいう。
第三条の見出しを「(昭和二十七年度における貸付)」に改め、同条中「未収保険料」を「昭和二十六年度末未収保険料」に、「未払診療報酬」を「昭和二十六年度末未払診療報酬」に、「昭和二十七年度から昭和二十九年度までの間、毎年度予算の範囲内において、」を「昭和二十七年度において、予算の範囲内で、」に、同条第一号中「貸付金の貸付を受ける年度(以下「貸付年度」という。)の前年度」並びに同条第二号及び第三号中「貸付年度の前年度」をそれぞれ「昭和二十六年度」に改め、同条第四号中「昭和二十七年度における貸付については、」を削り、同条第五号及び第六号を削る。
第四条第一項中「未収保険料」を「昭和二十六年度末未収保険料」に、「貸付対象額」を「昭和二十七年度貸付対象額」に改め、同項の表を次のように改める。
昭和二十六年度における保険料収納割合
貸付金額
百分の七十以上百分の八十未満
昭和二十七年度貸付対象額の百分の四十に相当する額
百分の八十以上百分の九十未満
昭和二十七年度貸付対象額の百分の五十に相当する額
百分の九十以上百分の九十五未満
昭和二十七年度貸付対象額の百分の七十に相当する額
百分の九十五以上
昭和二十七年度貸付対象額の百分の百に相当する額
第四条第二項を削る。
第四条の次に次の四条を加える。
(昭和二十八年度における特別貸付)
第四条の二 政府は、昭和二十七年三月三十一日において事業を実施していた保険者で、昭和二十六年度末未収保険料があるもののうち、第三条各号に掲げる要件を具備するものに対し、昭和二十六年度末未払診療報酬の支払に充てさせるため、昭和二十八年度において、予算の範囲内で、貸付金を貸し付けることができる。厚生大臣が必要があると認めるときは、災害その他特別の事由により、第三条各号の要件を具備しない保険者に対しても、同様とする。
(貸付金額)
第四条の三 前条の規定による貸付金の額は、昭和二十六年度末未収保険料のうち、厚生大臣が、厚生省令で定める基準に従い、収納が著しく困難であると認める額の百分の八十に相当する金額(以下「昭和二十八年度特別貸付対象額」という。)を基準とし、左表に定めるところによる。
昭和二十六年度における保険料収納割合
貸付金額
百分の七十以上百分の八十未満
昭和二十八年度特別貸付対象額の百分の四十に相当する額
百分の八十以上百分の九十未満
昭和二十八年度特別貸付対象額の百分の五十に相当する額
百分の九十以上百分の九十五未満
昭和二十八年度特別貸付対象額の百分の七十に相当する額
百分の九十五以上
昭和二十八年度特別貸付対象額の百分の百に相当する額
2 災害その他特別の事情のある保険者に対する貸付については、厚生大臣が災害その他特別の事情がなかつたならば当該保険者が達することができたであろうと認める保険料収納割合を昭和二十六年度における保険料収納割合とみなして、前項の規定を適用する。
3 前条の規定による貸付金の額は、昭和二十七年度において貸付金の貸付を受けた保険者については、第一項の規定にかかわらず、当該貸付金の額の百分の六十に相当する額とする。
(昭和二十八年度以降における貸付)
第四条の四 政府は、昭和二十八年三月三十一日において事業を実施していた保険者で、昭和二十七年度末未収保険料があるもののうち、左の各号に掲げる要件を具備するものに対し、昭和二十七年度末未払診療報酬の支払に充てさせるため、昭和二十八年度から昭和三十年度までの間、毎年度予算の範囲内において、貸付金を貸し付けることができる。厚生大臣が必要があると認めるときは、災害その他特別の事由により、左の各号の要件を具備しない保険者に対しても、同様とする。
一 貸付金の貸付を受ける年度(以下「貸付年度」という。)の前年度における調査決定した保険料の額と一般会計繰入金の額との合計額の、療養の給付に要した費用の額に対する割合が、百分の五十五以上であること。
二 貸付年度の前年度における受診率が、百分の五十以上であること。
三 貸付年度の前年度における一部負担金の額の、療養の給付に要した費用の額に対する割合が、百分の五十以下であること。
四 昭和二十八年度における貸付については、昭和二十七年度における保険料収納割合が、百分の七十以上であること。
五 昭和二十九年度における貸付については、昭和二十八年度における保険料収納割合が、百分の八十以上であり、且つ、当該保険者が昭和二十八年度において貸付金(第四条の二の規定による貸付金を除く。)の貸付を受けたものであるときは、同年度における保険料収納割合が、昭和二十七年度における保険料収納割合より、第四条の五第一項の表に定める級において一級以上向上したこと。
六 昭和三十年度における貸付については、昭和二十九年度における保険料収納割合が、百分の九十以上であり、且つ、当該保険者が昭和二十九年度において貸付金の貸付を受けたものであるときは、同年度における保険料収納割合が、第四条の五第一項の表に定める級において第一級であるか、又は昭和二十八年度における保険料収納割合より、一級以上向上し、当該保険者が昭和二十八年度において貸付金(第四条の二の規定による貸付金を除く。)の貸付を受け、昭和二十九年度においてこれを受けなかつたものであるときは、昭和二十九年度における保険料収納割合が、第四条の五第一項の表に定める級において第一級であるか、又は昭和二十七年度における保険料収納割合より、二級以上向上したこと。
(貸付金額)
第四条の五 前条の規定による貸付金の額は、昭和二十七年度末未収保険料のうち、厚生大臣が、厚生省令で定める基準に従い、収納が著しく困難であると認める額の百分の八十に相当する金額(以下「昭和二十八年度以降貸付対象額」という。)を基準とし、左表に定めるところによる。
貸付年度の前年度における保険料収納割合
貸付金額
昭和二十八年度
昭和二十九年度
昭和三十年度
百分の七十以上百分の八十未満
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の四十に相当する額
百分の八十以上百分の九十未満
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の五十に相当する額
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の三十に相当する額以下で厚生大臣の定める額
百分の九十以上百分の九十五未満
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の七十に相当する額
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の四十に相当する額以下で厚生大臣の定める額
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の二十に相当する額以下で厚生大臣の定める額
百分の九十五以上
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の百に相当する額
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の六十に相当する額以下で厚生大臣の定める額
昭和二十八年度以降貸付対象額の百分の四十に相当する額以下で厚生大臣の定める額
2 第四条の三第二項の規定は、前条の規定による貸付について準用する。この場合において、第四条の三第二項中「昭和二十六年度における保険料収納割合」とあるのは、「貸付年度の前年度における保険料収納割合」と読み替えるものとする。
3 同一の保険者が昭和二十七年度から昭和三十年度までの間において貸付を受ける貸付金の合計額は、昭和二十八年度以降貸付対象額をこえることができない。
第五条中「第三条」を「第三条、第四条の二又は第四条の四」に、「昭和二十七年度又は昭和二十八年度」を「昭和二十七年度から昭和二十九年度までの間」に、「昭和二十九年度」を「昭和三十年度」に改める。
第六条中「第三条」を「第三条、第四条の二又は第四条の四」に改める。
第七条第一項中「当該貸付金の額から」を「当該貸付金の額の四分の一に相当する額から」に、「未払診療報酬の額」を「未払診療報酬(第三条又は第四条の二の規定により貸付金の貸付を受けた保険者については昭和二十六年度末未払診療報酬を、第四条の四の規定により貸付金の貸付を受けた保険者については昭和二十七年度末未払診療報酬をいう。以下同じ。)の額」に改める。
第十三条を次のように改める。
(昭和二十七年度に事業を再開し、又は開始した保険者に関する特例)
第十三条 昭和二十七年四月一日から同年七月一日までの間に事業を再開した保険者及び事業を廃止した他の保険者の診療報酬支払義務を承継して同期間内に事業を開始した保険者は、この法律の適用については、同年三月三十一日において事業を実施していたものとみなす。この場合において、第三条から第四条の三までの規定の適用につき、受診率、保険料収納割合その他第三条各号に掲げる事項に関する昭和二十六年度における実績によるべきときは、事業を再開し、又は開始した日から六箇月間におけるこれらの事項に関する実績をもつて、昭和二十六年度における実績とみなすものとする。
第十三条の次に次の一条を加える。
(昭和二十八年度に事業を再開し、又は開始した保険者に関する特例)
第十三条の二 昭和二十八年四月一日から昭和二十九年三月三十一日までの間に事業を再開した保険者及び事業を廃止した他の保険者の診療報酬支払義務を承継して同期間内に事業を開始した保険者は、この法律の適用については、昭和二十八年三月三十一日において事業を実施していたものとみなす。但し、昭和二十八年七月二日以降に事業を再開し、又は開始した保険者に対しては、政府は、昭和二十八年度において第四条の四の規定により貸付金を貸し付けることができない。
2 昭和二十八年四月一日から同年七月一日までの間又は同年十月二日から昭和二十九年三月三十一日までの間に事業を再開し、又は開始した保険者に対し、貸付金を貸し付ける場合において、第四条の四及び第四条の五の規定の適用につき、受診率、保険料収納割合その他第四条の四各号に掲げる事項に関するそれぞれ昭和二十七年度又は昭和二十八年度における実績によるべきときは、事業を再開し、又は開始した日から六箇月間におけるこれらの事項に関する実績をもつて、それぞれ昭和二十七年度又は昭和二十八年度における実績とみなすものとする。
3 昭和二十八年七月二日から昭和二十九年三月三十一日までの間に事業を再開し、又は開始した保険者に対する貸付金の貸付については、第四条の四第五号中「百分の八十」とあるのは「百分の七十」と、同条第六号中「百分の九十」とあるのは「百分の八十」と、それぞれ変更して同条の規定を適用するものとし、その貸付金額については、昭和二十九年度における貸付金にあつては、第四条の五第一項の表中昭和二十八年度の欄を、昭和三十年度における貸付金にあつては、同表中昭和二十九年度の欄を、それぞれ適用するものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
大蔵大臣 小笠原三九郎
厚生大臣 山県勝見
内閣総理大臣 吉田茂