輸出信用保険法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第281号
公布年月日: 昭和26年11月30日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

講和成立後の経済自立達成には輸出貿易の振興が不可欠である。政府は東南アジアや南米諸国への資本財輸出促進のため日本輸出銀行を設立したが、さらに輸出信用保険制度を拡充し、資本財輸出取引の信用危険を担保する保険制度を確立する必要がある。資本財輸出では長期の代金支払い延期が通例だが、買手側の資金不足や国際競争の激化により、長期信用供与なしでは輸出促進が困難である。そこで、買手の破産や支払い遅滞などの信用危険を保険制度で救済するため、政府が直接保険業務を取り扱う乙種保険を新設する法改正を提案する。

参照した発言:
第12回国会 衆議院 通商産業委員会 第4号

審議経過

第12回国会

衆議院
(昭和26年11月9日)
参議院
(昭和26年11月9日)
衆議院
(昭和26年11月12日)
(昭和26年11月13日)
(昭和26年11月14日)
(昭和26年11月15日)
参議院
(昭和26年11月15日)
(昭和26年11月17日)
(昭和26年11月19日)
(昭和26年11月22日)
(昭和26年11月26日)
衆議院
(昭和26年11月30日)
参議院
(昭和26年11月30日)
輸出信用保險法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年十一月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百八十一号
輸出信用保險法の一部を改正する法律
輸出信用保險法(昭和二十五年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第一條中「政府が再保險を行うことにより、」を削る。
第二條の見出しを「(甲種保險)」に改め、同條第二項を削り、第三項を第二項とし、以下順次一項ずつ繰り上げる。
第三條の前の見出しを削り、同條中「輸出信用保險」を「政府が再保險を引き受ける輸出信用保險」に改め、「損害保險」の下に「(以下「甲種保險」という。)」を加える。
第四條第一項中「輸出信用保險」を「甲種保險」に、同條第二項中「輸出信用保險契約」を「甲種保險」に、「その契約」を「保險契約」に、同條第三項中「輸出信用保險契約」を「保險契約」に改める。
第五條中「輸出信用保險」を「甲種保險」に改め、同條の次に次の五條を加える。
(乙種保險)
第五條の二 政府は、輸出者が、輸出契約に基いて政令で定める貨物を輸出した場合において、左の各号の一に該当する事由によつて当該輸出貨物の代金を回收することができないことにより受ける損失(輸出貨物について生じた損失を除く。)をてん補する輸出信用保險(以下「乙種保險」という。)を引き受けることができる。
一 外国において実施される為替取引の制限又は禁止
二 仕向国における戰争、革命又は内乱
三 前二号に掲げるものの外、本邦外において生じた事由であつて、輸出契約の当事者の責に帰することができないもの
四 輸出契約の相手方の破産
五 輸出契約の相手方の六箇月以上の債務の履行遅滞(輸出者の責に帰することができないものに限る。)
2 政府は、保險契約の申込を承諾したときは、保險証券を作成し、保險契約者に交付する。
3 政府は、一会計年度内に引き受ける乙種保險の保險金額の総額が国会の議決を経た金額をこえない範囲内において、乙種保險を引き受けるものとする。
第五條の三 乙種保險においては、輸出契約に基く輸出貨物の代金(二以上の時期に分割して代金の決済を受けるべきときは、一の時期において決済を受けるべき当該代金の部分。以下同じ。)の額を保險価額とする。
2 乙種保險の保險金額が保險価額に百分の八十の範囲内において政令で定める割合を乘じて得た金額をこえるときは、そのこえる部分については、保險契約は、無効とする。
第五條の四 乙種保險において政府がてん補すべき額は、保險価額のうち第五條の二第一項各号の一に該当する事由により輸出者が決済期(同項第五号に該当する事由によるときは、決済期後六箇月を経過した時。以下同じ。)までに回收することができない代金の額から左の各号に掲げる金額を控除した残額に、保險金額の保險価額に対する割合を乘じて得た金額とする。
一 当該事由の発生により支出を要しなくなつた金額
二 決済期後に回收した金額
第五條の五 政府は、乙種保險の保險契約者、被保險者又は保險金を受け取るべき者が保險契約の條項に違反したときは、保險金の全部若しくは一部を支拂わず、又は保險金の全部若しくは一部を返還させることができる。
(保險料率)
第五條の六 甲種保險の再保險及び乙種保險の保險料率は、政府の支拂う保險金及びこの法律の施行に伴い必要となる政府の事務取扱費を償うように、政令で定める。
第六條第一項中「保險会社は、再保險契約に基いて」を「保險会社又は乙種保險の被保險者若しくは保險金を受け取るべき者は、」に、「第二條第四項」を「第二條第三項又は第五條の五」に、同條第三項中「保險会社」を「保險会社又は乙種保險の被保險者若しくは保險金を受け取るべき者」に改める。
附 則
この法律は、昭和二十六年十二月一日から施行する。
大蔵大臣 池田勇人
通商産業大臣 高橋龍太郎
内閣総理大臣 吉田茂
輸出信用保険法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年十一月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百八十一号
輸出信用保険法の一部を改正する法律
輸出信用保険法(昭和二十五年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第一条中「政府が再保険を行うことにより、」を削る。
第二条の見出しを「(甲種保険)」に改め、同条第二項を削り、第三項を第二項とし、以下順次一項ずつ繰り上げる。
第三条の前の見出しを削り、同条中「輸出信用保険」を「政府が再保険を引き受ける輸出信用保険」に改め、「損害保険」の下に「(以下「甲種保険」という。)」を加える。
第四条第一項中「輸出信用保険」を「甲種保険」に、同条第二項中「輸出信用保険契約」を「甲種保険」に、「その契約」を「保険契約」に、同条第三項中「輸出信用保険契約」を「保険契約」に改める。
第五条中「輸出信用保険」を「甲種保険」に改め、同条の次に次の五条を加える。
(乙種保険)
第五条の二 政府は、輸出者が、輸出契約に基いて政令で定める貨物を輸出した場合において、左の各号の一に該当する事由によつて当該輸出貨物の代金を回収することができないことにより受ける損失(輸出貨物について生じた損失を除く。)をてん補する輸出信用保険(以下「乙種保険」という。)を引き受けることができる。
一 外国において実施される為替取引の制限又は禁止
二 仕向国における戦争、革命又は内乱
三 前二号に掲げるものの外、本邦外において生じた事由であつて、輸出契約の当事者の責に帰することができないもの
四 輸出契約の相手方の破産
五 輸出契約の相手方の六箇月以上の債務の履行遅滞(輸出者の責に帰することができないものに限る。)
2 政府は、保険契約の申込を承諾したときは、保険証券を作成し、保険契約者に交付する。
3 政府は、一会計年度内に引き受ける乙種保険の保険金額の総額が国会の議決を経た金額をこえない範囲内において、乙種保険を引き受けるものとする。
第五条の三 乙種保険においては、輸出契約に基く輸出貨物の代金(二以上の時期に分割して代金の決済を受けるべきときは、一の時期において決済を受けるべき当該代金の部分。以下同じ。)の額を保険価額とする。
2 乙種保険の保険金額が保険価額に百分の八十の範囲内において政令で定める割合を乗じて得た金額をこえるときは、そのこえる部分については、保険契約は、無効とする。
第五条の四 乙種保険において政府がてん補すべき額は、保険価額のうち第五条の二第一項各号の一に該当する事由により輸出者が決済期(同項第五号に該当する事由によるときは、決済期後六箇月を経過した時。以下同じ。)までに回収することができない代金の額から左の各号に掲げる金額を控除した残額に、保険金額の保険価額に対する割合を乗じて得た金額とする。
一 当該事由の発生により支出を要しなくなつた金額
二 決済期後に回収した金額
第五条の五 政府は、乙種保険の保険契約者、被保険者又は保険金を受け取るべき者が保険契約の条項に違反したときは、保険金の全部若しくは一部を支払わず、又は保険金の全部若しくは一部を返還させることができる。
(保険料率)
第五条の六 甲種保険の再保険及び乙種保険の保険料率は、政府の支払う保険金及びこの法律の施行に伴い必要となる政府の事務取扱費を償うように、政令で定める。
第六条第一項中「保険会社は、再保険契約に基いて」を「保険会社又は乙種保険の被保険者若しくは保険金を受け取るべき者は、」に、「第二条第四項」を「第二条第三項又は第五条の五」に、同条第三項中「保険会社」を「保険会社又は乙種保険の被保険者若しくは保険金を受け取るべき者」に改める。
附 則
この法律は、昭和二十六年十二月一日から施行する。
大蔵大臣 池田勇人
通商産業大臣 高橋龍太郎
内閣総理大臣 吉田茂