海難審判法は施行から2年余が経過したが、現在の証拠規定は刑事訴訟法に準拠しており、複雑な証拠規定をそのまま準用しなければならない。しかし、海難事件の発生原因探求を主とし、関係者の懲戒処分を従とする海難審判と、刑事裁判とは本来の目的が異なる。そのため、刑事訴訟法の複雑な証拠規定の準用は、事件の迅速な処理に支障をきたし、審理が手続上の制約を受けて本来の目的を達成できない。よって、事件処理の迅速化と目的達成のため、海難審判の特殊性を考慮した独自の合理的な証拠規定を設ける必要がある。
参照した発言:
第10回国会 参議院 運輸委員会 第3号