海難審判法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第121号
公布年月日: 昭和26年4月2日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

海難審判法は施行から2年余が経過したが、現在の証拠規定は刑事訴訟法に準拠しており、複雑な証拠規定をそのまま準用しなければならない。しかし、海難事件の発生原因探求を主とし、関係者の懲戒処分を従とする海難審判と、刑事裁判とは本来の目的が異なる。そのため、刑事訴訟法の複雑な証拠規定の準用は、事件の迅速な処理に支障をきたし、審理が手続上の制約を受けて本来の目的を達成できない。よって、事件処理の迅速化と目的達成のため、海難審判の特殊性を考慮した独自の合理的な証拠規定を設ける必要がある。

参照した発言:
第10回国会 参議院 運輸委員会 第3号

審議経過

第10回国会

参議院
(昭和26年2月23日)
衆議院
(昭和26年2月26日)
参議院
(昭和26年2月27日)
(昭和26年3月2日)
衆議院
(昭和26年3月5日)
参議院
(昭和26年3月5日)
衆議院
(昭和26年3月6日)
参議院
(昭和26年3月19日)
衆議院
(昭和26年6月5日)
海難審判法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年四月二日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十一号
海難審判法の一部を改正する法律
海難審判法(昭和二十二年法律第百三十五号)の一部を次のように改正する。
第九條の二に次の二項を加える。
高等海難審判庁長官は、海難審判庁審判官の経歴を有する者の中から、運輸大臣が、これを任命する。
地方海難審判庁長は、海難審判庁審判官の中から、高等海難審判庁長官が、これを補する。
第十條第三項中「運輸大臣」を「高等海難審判庁長官」に改める。
第十一條中「海難審判庁審判官」を「審判官(高等海難審判庁長官及び海難審判庁審判官をいう。以下同じ。)」に改める。
第十二條を次のように改める。
第十二條 削除
第十三條第二項中「海難審判庁審判官」を「審判官」に改める。
第十三條の次に次の一條を加える。
第十三條の二 各海難審判庁に廷吏を置き、海難審判庁の職員の中から、各海難審判庁の長が、これを命ずる。
廷吏は、審判官の命を受けて、審判廷の秩序の維持に当る。
第十五條を次のように改める。
第十五條 地方海難審判庁は、第一審の審判を行い、高等海難審判庁は、第二審の審判を行う。
第十六條中「審判所」を「合議体」に改める。
第二十五條中「審判所」を「海難審判庁」に改める。
第二十九條中「海上保安庁保安部」を「海上保安庁海事検査部」に改める。
第四十條第三項中「地方海難審判庁は、前項に規定するものの外、左の方法により、必要な証拠を取り調べることができる。」を「地方海難審判庁は、第一回の審判期日前においては、左の方法以外の方法により、証拠を取り調べることができない。」に改め、同項の次に次の一項を加え、同條第二項を削る。
地方海難審判庁は、勾引、押收、捜索その他人の身体、物若しくは場所についての強制の処分をし、若しくはさせ、又は過料の決定をすることができない。
第四十條の次に次の三條を加える。
第四十條の二 地方海難審判庁は、前條第一項の証拠の取調として証人に証言をさせ、鑑定人に鑑定をさせ、通訳人に通訳をさせ、又は飜訳人に飜訳をさせる場合には、これらの者に命令で定める方法により宣誓をさせなければならない。但し、命令で定める者には、宣誓をさせないことができる。
第四十三條の三 事実の認定は、審判期日に取り調べた証拠によらなければならない。
第四十條の四 証拠の証明力は、審判官の自由な判断にゆだねる。
第四十六條に次の一項を加える。
第一項又は第二項の規定により第二審の請求をすることができる者は、その責に帰することのできない事由により、前項の期間以内に、第二審の請求をすることができなかつたときは、その事由がやんだ後七日以内に限り、これをすることができる。
第五十三條第二項の次に次の一項を加える。
前項の期間は、これを不変期間とする。
第五十四條中「海上保安庁海事検査部の理事官が、高等海難審判庁を代表する。」を「高等海難審判庁長官を被告とする。」に改める。
第六十四條に次の一項を加える。
鑑定人、通訳人又は翻訳人は、それぞれ政令で定めるところにより鑑定料、通訳料又は翻訳料を請求することができる。
第六十五條中「審判所」を「海難審判庁」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
運輸大臣 山崎猛
内閣総理大臣 吉田茂
海難審判法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年四月二日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十一号
海難審判法の一部を改正する法律
海難審判法(昭和二十二年法律第百三十五号)の一部を次のように改正する。
第九条の二に次の二項を加える。
高等海難審判庁長官は、海難審判庁審判官の経歴を有する者の中から、運輸大臣が、これを任命する。
地方海難審判庁長は、海難審判庁審判官の中から、高等海難審判庁長官が、これを補する。
第十条第三項中「運輸大臣」を「高等海難審判庁長官」に改める。
第十一条中「海難審判庁審判官」を「審判官(高等海難審判庁長官及び海難審判庁審判官をいう。以下同じ。)」に改める。
第十二条を次のように改める。
第十二条 削除
第十三条第二項中「海難審判庁審判官」を「審判官」に改める。
第十三条の次に次の一条を加える。
第十三条の二 各海難審判庁に廷吏を置き、海難審判庁の職員の中から、各海難審判庁の長が、これを命ずる。
廷吏は、審判官の命を受けて、審判廷の秩序の維持に当る。
第十五条を次のように改める。
第十五条 地方海難審判庁は、第一審の審判を行い、高等海難審判庁は、第二審の審判を行う。
第十六条中「審判所」を「合議体」に改める。
第二十五条中「審判所」を「海難審判庁」に改める。
第二十九条中「海上保安庁保安部」を「海上保安庁海事検査部」に改める。
第四十条第三項中「地方海難審判庁は、前項に規定するものの外、左の方法により、必要な証拠を取り調べることができる。」を「地方海難審判庁は、第一回の審判期日前においては、左の方法以外の方法により、証拠を取り調べることができない。」に改め、同項の次に次の一項を加え、同条第二項を削る。
地方海難審判庁は、勾引、押収、捜索その他人の身体、物若しくは場所についての強制の処分をし、若しくはさせ、又は過料の決定をすることができない。
第四十条の次に次の三条を加える。
第四十条の二 地方海難審判庁は、前条第一項の証拠の取調として証人に証言をさせ、鑑定人に鑑定をさせ、通訳人に通訳をさせ、又は翻訳人に翻訳をさせる場合には、これらの者に命令で定める方法により宣誓をさせなければならない。但し、命令で定める者には、宣誓をさせないことができる。
第四十三条の三 事実の認定は、審判期日に取り調べた証拠によらなければならない。
第四十条の四 証拠の証明力は、審判官の自由な判断にゆだねる。
第四十六条に次の一項を加える。
第一項又は第二項の規定により第二審の請求をすることができる者は、その責に帰することのできない事由により、前項の期間以内に、第二審の請求をすることができなかつたときは、その事由がやんだ後七日以内に限り、これをすることができる。
第五十三条第二項の次に次の一項を加える。
前項の期間は、これを不変期間とする。
第五十四条中「海上保安庁海事検査部の理事官が、高等海難審判庁を代表する。」を「高等海難審判庁長官を被告とする。」に改める。
第六十四条に次の一項を加える。
鑑定人、通訳人又は翻訳人は、それぞれ政令で定めるところにより鑑定料、通訳料又は翻訳料を請求することができる。
第六十五条中「審判所」を「海難審判庁」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
運輸大臣 山崎猛
内閣総理大臣 吉田茂