外資委員会設置法
法令番号: 法律第164号
公布年月日: 昭和25年5月10日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

外資委員会は現在、経済安定本部の外局として設置されているが、外資に関する法律の施行に伴い、委員会の組織や職務権限を法律で明確にする必要がある。主な変更点は、外資に関する法律に基づく職務・権限の追加と、委員会組織の簡素化・民主化である。具体的には、委員長は経済安定本部総務長官が務め、委員は大蔵・通商産業両省、外国為替管理委員会の代表者各1名と学識経験者3名以内の計6名以内で構成する。これにより、委員会運営の強化と民主化を図る。

参照した発言:
第7回国会 衆議院 経済安定委員会 第21号

審議経過

第7回国会

衆議院
(昭和25年4月26日)
(昭和25年4月27日)
参議院
(昭和25年4月27日)
衆議院
(昭和25年4月28日)
(昭和25年4月29日)
(昭和25年4月29日)
参議院
(昭和25年5月1日)
衆議院
(昭和25年5月3日)
参議院
(昭和25年5月2日)
(昭和25年5月2日)
(昭和25年5月2日)
外資委員会設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百六十四号
外資委員会設置法
(この法律の目的)
第一條 この法律は、外資委員会の事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二條 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三條第二項の規定に基いて、経済安定本部の外局として、外資委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第三條 外資委員会は、日本経済の自立とその健全な発展を図り、国際收支の均衡を維持するため、わが国に対する外国資本の適正な投下を促進することを目的として、左に掲げる事務をつかさどる。
一 わが国に対する外国資本の投下に関する重要案件で閣議において決定することを必要とするものについて、あらかじめ審議し、内閣に対し意見を述べること。
二 わが国に対する外国資本の投下に関する案件で関係各行政機関から付議されたものにつき、これを審議し必要な勧告を行うこと。
三 外国投資家の技術援助及び事業活動の審査に関すること。
四 外国投資家の株式その他の財産の取得の審査に関すること。
五 外国政府の不動産に関する権利の取得の審査に関すること。
六 わが国に対する外国資本の投下の状況その他必要な事項を内閣に報告すること。
七 わが国に対する外国資本の投下に関する重要政策に関し、内閣総理大臣及び関係行政機関に意見を提出すること。
(権限)
第四條 委員会は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(これに基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で、所掌事務の遂行に必要な支出負担行為及び支拂をすること。
二 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
三 所掌事務に関する統計及び調査資料を頒布し、又は刊行すること。
四 所掌事務の周知宣伝を行うこと。
五 委員会の公印を制定すること。
六 所掌事務に関し報告を徴すること。
七 外資に関する法律(昭和二十五年法律第百六十三号)に基き、技術援助契約の締結若しくは更新又は外国投資家の株式等の取得に関し認可を與え、又は届出を受理すること。
八 外国人の財産取得に関する政令(昭和二十四年政令第五十一号)に基き、外国人の不動産その他特定の財産の取得につき認可を與えること。
九 外国人の事業活動に関する政令(昭和二十五年政令第三号)に基き、外国人の特定の事業活動の開始につき許可を與えること。
十 外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令(昭和二十四年政令第三百十一号)に基き、外国政府の不動産に関する権利の取得等につき承認を與えること。
十一 前各号に掲げるものの外、法律(これに基く命令を含む。)に基き外資委員会に属せしめられた権限
(組織並びに委員長及び委員)
第五條 委員会は、委員長及び委員六人以内をもつて組織する。
2 委員長は、経済安定本部総務長官をもつて充てる。
3 委員は、左に掲げる者をもつて充てる。
一 大蔵省を代表する者一人
二 通商産業省を代表する者一人
三 外国為替管理委員会を代表する者一人
四 学識経験がある者三人以内
4 前項第四号に掲げる委員は、経済安定本部総裁が任命し、同項第一号から第三号までに掲げる委員は、それぞれ当該各号に掲げる行政機関の長の申出に基いて経済安定本部総裁が任命する。
5 委員は、非常勤とする。
6 委員会は、その権限を行う場合において、その事項が委員の代表する各省各庁以外の行政機関の所管に係るときは、あらかじめ当該行政機関の意見を徴しなければならない。
(委員長)
第六條 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。
2 委員長は、あらかじめ、委員のうちから委員長に事故がある場合に代理する者を定めておかなければならない。
(議事)
第七條 委員会の議事は、委員の過半数をもつて決定する。可否同数のときは、委員長の決するところによる。但し、議題となつた事項を所管する行政機関を代表する委員の反対があるときは、当該事項については、決定することができない。
2 前項但書に該当する案件については、委員会は、内閣の指示に従わなければならない。
3 前二項に定めるものの外、委員会の議事の運営に関し必要な事項は、委員会が定める。
(外資委員会規則)
第八條 委員会は、その所管に属する事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基いて、外資委員会規則を制定することができる。
2 外資委員会規則は、官報をもつて告示する。
(事務局)
第九條 委員会の事務局は、委員会の事務を処理する。
2 事務局の長は、事務局長とする。事務局長は、委員会の指揮監督を受け、事務局の事務を掌理する。
3 事務局長その他事務局の職員は、行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)に規定する定員の範囲内で置かれる者を除く外、関係各省各庁の職員のうちから、事務局に常時勤務すべきことを命ぜられた者をもつて充てる。
(日本銀行による事務の取扱)
第十條 委員会は、政令で定めるところにより、日本銀行に委員会の事務の一部を取り扱わせることができる。
2 前項の規定により日本銀行に事務の一部を取り扱わせる場合において、当該事務の取扱に要する経費は、日本銀行の負担とする。
(事務局の職員)
第十一條 事務局に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の定めるところによる。
附 則
1 この法律は、外資に関する法律の施行の日から施行する。
2 外国人の財産取得に関する政令の一部を次のように改正する。
第十一條から第十八條までを次のように改める。
第十一條から第十八條まで 削除
3 改正前の外国人の財産取得に関する政令に基く外資委員会並びにその機関及び職員は、この法律に基く外資委員会並びにその相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続する。
4 経済安定本部設置法(昭和二十四年法律第百六十四号)の一部を次のように改正する。
第三十四條中「外国人の財産取得に関する政令(昭和二十四年政令第五十一号)」を「外資委員会設置法(昭和二十五年法律第百六十四号)」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
外務大臣 吉田茂
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 殖田俊吉
農林大臣 森幸太郎
通商産業大臣 高瀬莊太郎
運輸大臣 大屋晋三
経済安定本部総裁 吉田茂
外資委員会設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百六十四号
外資委員会設置法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、外資委員会の事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基いて、経済安定本部の外局として、外資委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第三条 外資委員会は、日本経済の自立とその健全な発展を図り、国際収支の均衡を維持するため、わが国に対する外国資本の適正な投下を促進することを目的として、左に掲げる事務をつかさどる。
一 わが国に対する外国資本の投下に関する重要案件で閣議において決定することを必要とするものについて、あらかじめ審議し、内閣に対し意見を述べること。
二 わが国に対する外国資本の投下に関する案件で関係各行政機関から付議されたものにつき、これを審議し必要な勧告を行うこと。
三 外国投資家の技術援助及び事業活動の審査に関すること。
四 外国投資家の株式その他の財産の取得の審査に関すること。
五 外国政府の不動産に関する権利の取得の審査に関すること。
六 わが国に対する外国資本の投下の状況その他必要な事項を内閣に報告すること。
七 わが国に対する外国資本の投下に関する重要政策に関し、内閣総理大臣及び関係行政機関に意見を提出すること。
(権限)
第四条 委員会は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(これに基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で、所掌事務の遂行に必要な支出負担行為及び支払をすること。
二 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
三 所掌事務に関する統計及び調査資料を頒布し、又は刊行すること。
四 所掌事務の周知宣伝を行うこと。
五 委員会の公印を制定すること。
六 所掌事務に関し報告を徴すること。
七 外資に関する法律(昭和二十五年法律第百六十三号)に基き、技術援助契約の締結若しくは更新又は外国投資家の株式等の取得に関し認可を与え、又は届出を受理すること。
八 外国人の財産取得に関する政令(昭和二十四年政令第五十一号)に基き、外国人の不動産その他特定の財産の取得につき認可を与えること。
九 外国人の事業活動に関する政令(昭和二十五年政令第三号)に基き、外国人の特定の事業活動の開始につき許可を与えること。
十 外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令(昭和二十四年政令第三百十一号)に基き、外国政府の不動産に関する権利の取得等につき承認を与えること。
十一 前各号に掲げるものの外、法律(これに基く命令を含む。)に基き外資委員会に属せしめられた権限
(組織並びに委員長及び委員)
第五条 委員会は、委員長及び委員六人以内をもつて組織する。
2 委員長は、経済安定本部総務長官をもつて充てる。
3 委員は、左に掲げる者をもつて充てる。
一 大蔵省を代表する者一人
二 通商産業省を代表する者一人
三 外国為替管理委員会を代表する者一人
四 学識経験がある者三人以内
4 前項第四号に掲げる委員は、経済安定本部総裁が任命し、同項第一号から第三号までに掲げる委員は、それぞれ当該各号に掲げる行政機関の長の申出に基いて経済安定本部総裁が任命する。
5 委員は、非常勤とする。
6 委員会は、その権限を行う場合において、その事項が委員の代表する各省各庁以外の行政機関の所管に係るときは、あらかじめ当該行政機関の意見を徴しなければならない。
(委員長)
第六条 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。
2 委員長は、あらかじめ、委員のうちから委員長に事故がある場合に代理する者を定めておかなければならない。
(議事)
第七条 委員会の議事は、委員の過半数をもつて決定する。可否同数のときは、委員長の決するところによる。但し、議題となつた事項を所管する行政機関を代表する委員の反対があるときは、当該事項については、決定することができない。
2 前項但書に該当する案件については、委員会は、内閣の指示に従わなければならない。
3 前二項に定めるものの外、委員会の議事の運営に関し必要な事項は、委員会が定める。
(外資委員会規則)
第八条 委員会は、その所管に属する事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基いて、外資委員会規則を制定することができる。
2 外資委員会規則は、官報をもつて告示する。
(事務局)
第九条 委員会の事務局は、委員会の事務を処理する。
2 事務局の長は、事務局長とする。事務局長は、委員会の指揮監督を受け、事務局の事務を掌理する。
3 事務局長その他事務局の職員は、行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)に規定する定員の範囲内で置かれる者を除く外、関係各省各庁の職員のうちから、事務局に常時勤務すべきことを命ぜられた者をもつて充てる。
(日本銀行による事務の取扱)
第十条 委員会は、政令で定めるところにより、日本銀行に委員会の事務の一部を取り扱わせることができる。
2 前項の規定により日本銀行に事務の一部を取り扱わせる場合において、当該事務の取扱に要する経費は、日本銀行の負担とする。
(事務局の職員)
第十一条 事務局に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の定めるところによる。
附 則
1 この法律は、外資に関する法律の施行の日から施行する。
2 外国人の財産取得に関する政令の一部を次のように改正する。
第十一条から第十八条までを次のように改める。
第十一条から第十八条まで 削除
3 改正前の外国人の財産取得に関する政令に基く外資委員会並びにその機関及び職員は、この法律に基く外資委員会並びにその相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続する。
4 経済安定本部設置法(昭和二十四年法律第百六十四号)の一部を次のように改正する。
第三十四条中「外国人の財産取得に関する政令(昭和二十四年政令第五十一号)」を「外資委員会設置法(昭和二十五年法律第百六十四号)」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
外務大臣 吉田茂
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 殖田俊吉
農林大臣 森幸太郎
通商産業大臣 高瀬荘太郎
運輸大臣 大屋晋三
経済安定本部総裁 吉田茂