労働者災害補償保険法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第82号
公布年月日: 昭和24年5月19日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

労働者災害補償保険法は、業務災害を被った労働者への迅速かつ公正な補償と、事業主の経済的負担の分散・軽減を図り、産業の安定に貢献してきた。今回の改正は、法の運営をより円滑にし、災害補償を積極的に行うため、以下の点を改正する。①船舶運送事業の一部を強制適用事業に含める、②保険料算定の基礎となる賃金総額の明確化、③保険料報告の義務規定化、④政府による保険料額の認定・徴収規定の新設、⑤保険料追徴の納期限規定の設定、⑥虚偽報告等への追徴金制度の導入、⑦延滞金・罰金の引上げ等である。

参照した発言:
第5回国会 衆議院 労働委員会 第9号

審議経過

第5回国会

衆議院
(昭和24年4月26日)
参議院
(昭和24年4月26日)
衆議院
(昭和24年4月27日)
参議院
(昭和24年4月27日)
衆議院
(昭和24年4月28日)
(昭和24年4月28日)
参議院
(昭和24年5月9日)
(昭和24年5月10日)
(昭和24年5月12日)
衆議院
(昭和24年5月31日)
参議院
(昭和24年6月1日)
労働者災害補償保險法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月十九日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第八十二号
労働者災害補償保險法の一部を改正する法律
労働者災害補償保險法(昭和二十二年法律第五十号)の一部を次のように改正する。
第三條第一項第一号(ハ)中「索道」の下に「、船舶」を加え、同條第三項中「國の直営事業」の上に「前二項の規定にかかわらず、」を加える。
第十八條中「第二十八條第一項又は第二十九條の規定による」を削る。
第二十五條第二項中「(三箇月を超える期間毎に支拂われる賃金その他命令で定めるものは、これを除く。)」を削る。
第二十八條及び第二十九條を次のように改める。
第二十八條 保險加入者は、毎年四月一日から翌年三月末日まで(以下保險年度という。)に使用するすべての労働者(保險年度の中途に保險関係が成立したものについては、保險関係成立の日からその保險年度の末日までに使用するすべての労働者)に支拂う賃金総額の見込額に保險料率を乘じて算定した概算保險料の額その他命令で定める事項を、毎年三月末日まで(保險年度の中途に保險関係が成立したものについては、保險関係成立の日から五日以内)に報告するとともに、概算保險料を四月一日(保險年度の中途に保險関係が成立したものについては、保險関係成立の日)から三十日以内に納付しなければならない。
事業の期間が予定される事業については、その保險加入者は、前項の規定にかかわらず、その全期間に使用するすべての労働者に支拂う賃金総額の見込額に保險料率を乘じて算定した概算保險料の額その他命令で定める事項を、保險関係の成立すべき日前十日まで(特別の事由があるときは、保險関係成立の日まで)に報告するとともに、概算保險料を保險関係成立の日から十四日以内に納付しなければならない。
保險加入者は、申出によつて、前二項の概算保險料を、命令の定めるところにより、分割して納付することができる。
政府は、保險加入者が、第一項若しくは第二項の規定による報告をしないとき、又はその報告に相違があると認めたときは、政府の調査により概算保險料の額を算定して、その額又はその額と納付した保險料の額との差額を徴收する。
第二十九條 保險加入者は、前條の賃金総額の見込額が百分の二十以上増加したときは、増加後の見込額に基く概算保險料の額その他命令で定める事項を、増加した日から五日以内に報告するとともに、その額と納付した保險料の額との差額を、増加した日から三十日以内に納付しなければならない。
第二十九條の次に次の一條を加える。
第二十九條の二 政府は、保險料率の引上を行つたときは、概算保險料を追加徴收する。
第三十條を次のように改める。
第三十條 保險加入者は、その保險年度の末日又は保險関係が消滅した日までに使用したすべての労働者に支拂つた賃金総額に保險料率を乘じて算定した確定保險料の額その他命令で定める事項を、その保險年度の末日又は保險関係が消滅した日から五日以内に報告しなければならない。
前三條の規定によつて納付した保險料の額が、前項の確定保險料の額に比して過剩を生じたときは、政府は、これを返還し、不足があるときは、保險加入者は、これを保險年度の末日又は保險関係が消滅した日から三十日以内に納付しなければならない。
政府は、保險加入者が第一項の規定による報告をしないとき、又はその報告に相違があると認めたときは、政府の調査により確定保險料の額を算定して、その額又はその額と納付した保險料の額との差額を徴收する。
第三十條の次に次の一條を加える。
第三十條の二 政府は、第二十八條第四項又は前條第三項の規定により算定した保險料の額又はその額と納付した保險料の額との差額を徴收する場合においては、その徴收すべき額に百分の十を乘じて得た額を追徴金として徴收する。
第三十一條第一項中「滯納する」を「納付しない」に改める。
第三十二條を次のように改める。
第三十二條 政府は、保險加入者が保險料の納付を怠つたときは、その金額百円につき一日二十銭の割合で、納期限の翌日から保險料の完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滯金を徴收する。但し、命令で定める場合は、この限りでない。
第三十三條中「その他これに準ずべきもの」を削る。
第三十五條の次に次の一條を加える。
第三十五條の二 保險加入者は、第二十八條第四項又は第三十條第三項の規定により政府の算定した保險料の額について異議があるときは、不服の事由を具し、都道府縣労働基準局長に審査の請求をなすことができる。
第三十六條中「若しくは吏員」を削る。
第三十七條を次のように改める。
第三十七條 第三十五條の二の規定による審査の決定その他保險料又はこの法律の規定による徴收金の賦課又は徴收の処分に関して不服がある者は、主務大臣に訴願をすることができる。
第三十八條中「主務大臣」を「都道府縣労働基準局長」に改める。
第四十八條及び第四十九條中「又は吏員」を削る。
第五十一條を次のように改める。
第五十一條 削除
第五十二條中「一万円」を「五万円」に改め、第二号中「又は吏員」を削る。
第五十三條中「五千円」を「三万円」に改め、第二号中「又は吏員」を削る。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。但し、第三條の改正規定は、昭和二十四年八月一日から適用する。
2 この法律施行前になした行爲に関する罰則の適用については、なお從前の例による。
大藏大臣 池田勇人
労働大臣 鈴木正文
内閣総理大臣 吉田茂
労働者災害補償保険法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月十九日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第八十二号
労働者災害補償保険法の一部を改正する法律
労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第一号(ハ)中「索道」の下に「、船舶」を加え、同条第三項中「国の直営事業」の上に「前二項の規定にかかわらず、」を加える。
第十八条中「第二十八条第一項又は第二十九条の規定による」を削る。
第二十五条第二項中「(三箇月を超える期間毎に支払われる賃金その他命令で定めるものは、これを除く。)」を削る。
第二十八条及び第二十九条を次のように改める。
第二十八条 保険加入者は、毎年四月一日から翌年三月末日まで(以下保険年度という。)に使用するすべての労働者(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、保険関係成立の日からその保険年度の末日までに使用するすべての労働者)に支払う賃金総額の見込額に保険料率を乗じて算定した概算保険料の額その他命令で定める事項を、毎年三月末日まで(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、保険関係成立の日から五日以内)に報告するとともに、概算保険料を四月一日(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、保険関係成立の日)から三十日以内に納付しなければならない。
事業の期間が予定される事業については、その保険加入者は、前項の規定にかかわらず、その全期間に使用するすべての労働者に支払う賃金総額の見込額に保険料率を乗じて算定した概算保険料の額その他命令で定める事項を、保険関係の成立すべき日前十日まで(特別の事由があるときは、保険関係成立の日まで)に報告するとともに、概算保険料を保険関係成立の日から十四日以内に納付しなければならない。
保険加入者は、申出によつて、前二項の概算保険料を、命令の定めるところにより、分割して納付することができる。
政府は、保険加入者が、第一項若しくは第二項の規定による報告をしないとき、又はその報告に相違があると認めたときは、政府の調査により概算保険料の額を算定して、その額又はその額と納付した保険料の額との差額を徴収する。
第二十九条 保険加入者は、前条の賃金総額の見込額が百分の二十以上増加したときは、増加後の見込額に基く概算保険料の額その他命令で定める事項を、増加した日から五日以内に報告するとともに、その額と納付した保険料の額との差額を、増加した日から三十日以内に納付しなければならない。
第二十九条の次に次の一条を加える。
第二十九条の二 政府は、保険料率の引上を行つたときは、概算保険料を追加徴収する。
第三十条を次のように改める。
第三十条 保険加入者は、その保険年度の末日又は保険関係が消滅した日までに使用したすべての労働者に支払つた賃金総額に保険料率を乗じて算定した確定保険料の額その他命令で定める事項を、その保険年度の末日又は保険関係が消滅した日から五日以内に報告しなければならない。
前三条の規定によつて納付した保険料の額が、前項の確定保険料の額に比して過剰を生じたときは、政府は、これを返還し、不足があるときは、保険加入者は、これを保険年度の末日又は保険関係が消滅した日から三十日以内に納付しなければならない。
政府は、保険加入者が第一項の規定による報告をしないとき、又はその報告に相違があると認めたときは、政府の調査により確定保険料の額を算定して、その額又はその額と納付した保険料の額との差額を徴収する。
第三十条の次に次の一条を加える。
第三十条の二 政府は、第二十八条第四項又は前条第三項の規定により算定した保険料の額又はその額と納付した保険料の額との差額を徴収する場合においては、その徴収すべき額に百分の十を乗じて得た額を追徴金として徴収する。
第三十一条第一項中「滞納する」を「納付しない」に改める。
第三十二条を次のように改める。
第三十二条 政府は、保険加入者が保険料の納付を怠つたときは、その金額百円につき一日二十銭の割合で、納期限の翌日から保険料の完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。但し、命令で定める場合は、この限りでない。
第三十三条中「その他これに準ずべきもの」を削る。
第三十五条の次に次の一条を加える。
第三十五条の二 保険加入者は、第二十八条第四項又は第三十条第三項の規定により政府の算定した保険料の額について異議があるときは、不服の事由を具し、都道府県労働基準局長に審査の請求をなすことができる。
第三十六条中「若しくは吏員」を削る。
第三十七条を次のように改める。
第三十七条 第三十五条の二の規定による審査の決定その他保険料又はこの法律の規定による徴収金の賦課又は徴収の処分に関して不服がある者は、主務大臣に訴願をすることができる。
第三十八条中「主務大臣」を「都道府県労働基準局長」に改める。
第四十八条及び第四十九条中「又は吏員」を削る。
第五十一条を次のように改める。
第五十一条 削除
第五十二条中「一万円」を「五万円」に改め、第二号中「又は吏員」を削る。
第五十三条中「五千円」を「三万円」に改め、第二号中「又は吏員」を削る。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。但し、第三条の改正規定は、昭和二十四年八月一日から適用する。
2 この法律施行前になした行為に関する罰則の適用については、なお従前の例による。
大蔵大臣 池田勇人
労働大臣 鈴木正文
内閣総理大臣 吉田茂