第一條 消防團は、鄕土愛護の精神を以て社会の災厄を防止することを目的とし、水火災の予防、警戒及び防圧、水火災の際の救護並びにその他の非常災害等の場合における警戒及び救護に從事するものとする。
第二條 市町村は、消防團を設置しなければならない。
第三條 消防團の区域は、市町村の区域による。但し、土地の狀況により市町村の区域內において、適宜に区域を定めることができる。
消防團員は、当該市町村の住民の中から、消防委員会の推薦した者をこれに命じなければならない。
第五條 消防團員の定員は、市町村が條例でこれを定める。
前項の條例は、府縣知事(北海道においては北海道廳長官 以下同じ。)の認可を受けなければならない。
第六條 消防團に團長、副團長、分團長、部長及び班長を置く。但し、分團長、部長又は班長は、これを置かないことができる。
團長及び副團長は、消防團員の互選によりこれを定める。
副團長は、團長を補佐し、團長に故障があるときは、その職務を代理する。
分團長、部長及び班長は、上長の命を受け、團員を指揮して業務に從事する。
團長及び副團長にともに故障があるときは、團長の定める順序に從い、分團長、部長又は班長(分團長、部長及び班長を置かない消防團においては、團長の指名する團員)が團長の職務を行う。
第七條 團長及び副團長の任期は、四年とし、その選挙の日から、これを起算する。
團長及び副團長は、團員を免ぜられたときは、その職を失う。
第八條 市町村は、消防委員会を設置しなければならない。但し、特別の事情のある市町村においては、條例でその区域を分けて各区域につき消防委員会を設置することができる。
消防委員会は、市町村長、消防團長、所轄消防署長及び所轄警察署長並びに市町村会議員及び学識経驗のある者若干人を以てこれを組織する。
消防委員会は、消防團に関する重要事項について、関係行政廳の諮問があつたときは、これに意見を答申しなければならない。
消防委員会は、前項の事項について、関係行政廳に建議することができる。
消防委員会は、市町村長の求めに應じ、これに消防團員たるべき者を推薦しなければならない。
この勅令に定めるものの外、消防委員会に関し必要な事項は、市町村が條例でこれを定める。
第九條 消防團は、警察部長又は警察署長の所轄の下に行動するものとする。
第十條 消防團は、警察部長又は警察署長の命令があるときは、その区域外においても第一條の業務に從事しなければならない。
第十一條 警察部長及び警察署長は、消防團の訓練を行うことができる。
消防團長は、警察部長又は警察署長の所轄の下に、消防團の訓練を行うことができる。
第十二條 府縣知事は、消防團に関し必要があるときは、市町村につき事務の報吿をさせ、書類帳簿を徵し、又は実施について事務を視察することができる。
第十三條 消防團及び消防委員会に関する費用は、市町村の負担とする。但し、第十條の規定による業務に從事する場合における費用は、その利益を受けた市町村の負担とする。
第十四條 消防團員の給與、服務紀律及び懲戒に関する規程は、市町村が條例でこれを定める。
前項の條例は、府縣知事の認可を受けなければならない。
第十五條 消防團に必要な設備資材に関しては、市町村が府縣知事の認可を得て定める。
第十六條 內務大臣は、消防團員の資格、定員、訓練、服務、懲戒、服裝及び給與並びに消防團に必要な設備資材に関する基準を定めることができる。
第十七條 東京都においては、この勅令中「府縣知事」又は「警察部長」とあるのは、「警視総監」と読み替えるものとする。
第十八條 警視廳官制及び特設消防署規程により設置する消防署の管轄区域內においては、この勅令(第八條第二項を除く。)中「警察署長」とあるのは、水火災の予防、警戒及び防圧並びに水火災の際の救護に関しては、これを「消防署長」と読み替えるものとする。
第十九條 東京都の区の存する区域においては、この勅令中市町村に関する規定は区に、市町村長に関する規定は区長に、市町村会議員に関する規定は区会議員にこれを適用する。
第二十條 町村の事務の全部又は役場事務を共同処理する町村組合は、この勅令の適用については、これを一町村、その組合管理者は、これを町村長、その組合会は、これを町村会、その組合会議員は、これを町村会議員とみなす。