閉鎖機関整理委員会令
法令番号: 勅令第七十五号
公布年月日: 昭和22年3月10日
法令の形式: 勅令
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く閉鎖機関整理委員会令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年三月八日
內閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郞
大藏大臣 石橋湛山
運輸大臣 增田甲子七
商工大臣 石井光次郞
勅令第七十五号
閉鎖機関整理委員会令
第一條 閉鎖機関整理委員会(以下整理委員会という。)は、閉鎖機関(閉鎖機関令第一條に規定する閉鎖機関をいう。以下同じ。)の特殊整理(同令第八條に規定する特殊整理をいう。以下同じ。)及び法令に定めるその他の業務並びに大藏大臣の指定する業務を行うことを目的とする。
第二條 整理委員会は、これを法人とする。
第三條 整理委員会は、主たる事務所を東京都に置く。
第四條 整理委員会は、定款で左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 委員に関する事項
五 委員長、副委員長、常務委員及び監査委員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公吿の方法
第五條 整理委員会は、命令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六條 整理委員会は、委員若干人を以て、これを組織する。
委員は学識経驗がある者の中から、大藏大臣がこれを命ずる。
委員の任期は、一年六箇月とする。但し、委員長、副委員長、常務委員又は監査委員たる委員については、第七條第三項に規定する各期間の満了するに至るまで、各〻その任期を伸長する。
第七條 整理委員会に、委員長、副委員長、常務委員及び監査委員を置く。
委員長、副委員長、常務委員及び監査委員は、委員の中から、大藏大臣が、これを命ずる。
委員長及び副委員長の任期は三年、常務委員の任期は一年六箇月、監査委員の任期は二年とする。
第八條 委員長は、整理委員会を代表し、その業務を総理する。
副委員長は、定款の定めるところにより、整理委員会を代表し、委員長を補佐して整理委員会の業務を掌理し、委員長に事故があるときはその職務を代理し、委員長欠員のときはその職務を行う。
常務委員は、定款の定めるところにより、整理委員会を代表し、その業務を執行する。
監査委員は、整理委員会の業務の執行を監査する。
第九條 委員長は、定款の定めるところにより、從たる事務所の業務に関して、一切の裁判上又は裁判外の行爲をする権限を有する代理人を、選任することができる。
第十條 整理委員会の職員は、これを法令により公務に從事する職員とみなす。
第十一條 整理委員会は、左の業務を行う。
一 閉鎖機関の特殊整理
二 前号に揭げるものの外法令に定める業務及び大藏大臣の指定する業務
三 前二号の業務に附帶する業務
整理委員会の業務に関する重要事項は、定款の定めるところにより、委員の会議において、これを決する。
第十二條 整理委員会は、その職務の遂行上必要があるときは、何人に対しても、その者の職業に著しい支障を及ぼさない限度において、整理委員会の必要な事務に從事し又は協力することを請求することができる。
前項の規定により整理委員会の必要な事務に從事又は協力をなした者に支給すべき旅費及び報酬については、大藏大臣がこれを定める。
第十三條 整理委員会は、その職務の遂行上必要があると認めるときは、整理委員会の事務について必要な帳簿、書類その他の物件を保管又は所持する者に対し、その提出を求め又はその閱覽若しくは謄写をなすことができる。
第十四條 株主又は債権者としての閉鎖機関のために、整理委員会の委員又は從業員が、支拂不能又は債務超過の虞がある会社又は大藏大臣の許可を受けた会社の役員を兼ねる場合については、昭和二十一年勅令第五百六十七号(会社の証券保有制限等に関する勅令)第十一條の規定は、これを適用しない。
第十五條 整理委員会の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
第十六條 整理委員会は、大藏大臣の定めるところにより業務の遂行上必要な経費を、整理委員会がその特殊整理を担当する閉鎖機関に、分担せしめることができる。
第十七條 整理委員会は、每事業年度の整理委員会收支計算書を作成して、每事業年度経過後二箇月以內に、これを大藏大臣に提出しなければならない。
第十八條 整理委員会は、大藏大臣及び閉鎖機関令の定めるところにより主務大臣となつた大臣が、これを監督する。
大藏大臣は、每事業年度一回、整理委員会に命じて、その業務及び経理狀況を報吿せしめることができる。
第十九條 大藏大臣は、委員、委員長、副委員長、常務委員又は監査委員の行爲が法令又は定款に違反したとき、公益を害したとき、その他整理委員会の業務の運営上不適当と認めるときは、委員、委員長、副委員長、常務委員又は監査委員を解任することができる。
第二十條 整理委員会は、目的の達成によつて解散する。
解散の場合において必要な事項は、勅令でこれを定める。
第二十一條 民法第四十四條、第五十條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、整理委員会に、これを準用する。
第二十二條 正当の事由なくして第十二條第一項の規定による請求又は第十三條の規定による提出、閱覽若しくは謄写を拒み、妨げ若しくは忌避した者は、これを二年以下の懲役若しくは禁錮又は三千円以下の罰金に処する。
第二十三條 委員長、副委員長又は常務委員が第十八條第二項の規定に違反し、大藏大臣の要求する報吿をせず若しくは虛僞の報吿をしたときは、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十四條 この勅令又はこの勅令に基いて発する命令に違反し、登記をすることを怠り若しくは不正の登記をしたときは、委員長、副委員長又は常務委員を千円以下の過料に処する。
附 則
第一條 この勅令は、公布の日から、これを施行する。
第二條 大藏大臣は、設立委員を命じ、整理委員会の設立に関する事務を処理せしめる。
第三條 設立委員は、定款を作成し、大藏大臣の認可を受けなければならない。
第四條 前條の認可があつたときは、設立委員は、遅滯なくその事務を整理委員会委員長に引き渡さなければならない。
委員長は、前項の事務の引渡を受けたときは、主たる事務所の所在地において、設立の登記をしなければならない。
整理委員会は、前項の登記をなすことに因り成立する。
第五條 昭和二十一年大藏外務司法省令第一号(閉鎖機関保管人委員会に関する件)は、これを廃止する。
整理委員会が成立するまでの間は、整理委員会のなすべき業務は、閉鎖機関保管人委員会の委員長及び委員が、これを行う。この場合においては、旧令は、その範囲內においては、なおその効力を有する。
旧令廃止前(前項の規定により旧令がなおその効力を有する場合においては、その効力を有する間)になした行爲に対する罰則の適用については、旧令は、旧令廃止後(前項の規定により旧令がなおその効力を有する場合においては、その効力なきに至つた後)においても、なおその効力を有する。
閉鎖機関保管人委員会委員長は、その事務を整理委員会成立の日に、整理委員会の委員長に引き渡さなければならない。
整理委員会成立前閉鎖機関保管人委員会委員長のなした行爲は、整理委員会がこれをなしたものとみなす。
第六條 登錄稅法の一部を次のように改正する。
第十九條第七号中「又は持株会社整理委員会」を「、持株会社整理委員会又は閉鎖機関整理委員会」に、「又は持株会社整理委員会令」を「、持株会社整理委員会令又は閉鎖機関整理委員会令」に改める。
第七條 昭和二十二年法律第八号(有價証券の処分の調整等に関する法律)の一部を次のように改正する。
第二條第一項第三号及び第四号を次のように改める。
三 閉鎖機関令第一條に規定する閉鎖機関の所有する有價証券
四 昭和二十二年大藏司法省令第一号第一條に規定する特別財產に属する有價証券
第四條第二項中「第三号に揭げる者及び」を削り、同項第三号を次のように改める。
三 閉鎖機関整理委員会
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く閉鎖機関整理委員会令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年三月八日
内閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
大蔵大臣 石橋湛山
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
勅令第七十五号
閉鎖機関整理委員会令
第一条 閉鎖機関整理委員会(以下整理委員会という。)は、閉鎖機関(閉鎖機関令第一条に規定する閉鎖機関をいう。以下同じ。)の特殊整理(同令第八条に規定する特殊整理をいう。以下同じ。)及び法令に定めるその他の業務並びに大蔵大臣の指定する業務を行うことを目的とする。
第二条 整理委員会は、これを法人とする。
第三条 整理委員会は、主たる事務所を東京都に置く。
第四条 整理委員会は、定款で左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 委員に関する事項
五 委員長、副委員長、常務委員及び監査委員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
第五条 整理委員会は、命令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六条 整理委員会は、委員若干人を以て、これを組織する。
委員は学識経験がある者の中から、大蔵大臣がこれを命ずる。
委員の任期は、一年六箇月とする。但し、委員長、副委員長、常務委員又は監査委員たる委員については、第七条第三項に規定する各期間の満了するに至るまで、各々その任期を伸長する。
第七条 整理委員会に、委員長、副委員長、常務委員及び監査委員を置く。
委員長、副委員長、常務委員及び監査委員は、委員の中から、大蔵大臣が、これを命ずる。
委員長及び副委員長の任期は三年、常務委員の任期は一年六箇月、監査委員の任期は二年とする。
第八条 委員長は、整理委員会を代表し、その業務を総理する。
副委員長は、定款の定めるところにより、整理委員会を代表し、委員長を補佐して整理委員会の業務を掌理し、委員長に事故があるときはその職務を代理し、委員長欠員のときはその職務を行う。
常務委員は、定款の定めるところにより、整理委員会を代表し、その業務を執行する。
監査委員は、整理委員会の業務の執行を監査する。
第九条 委員長は、定款の定めるところにより、従たる事務所の業務に関して、一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を、選任することができる。
第十条 整理委員会の職員は、これを法令により公務に従事する職員とみなす。
第十一条 整理委員会は、左の業務を行う。
一 閉鎖機関の特殊整理
二 前号に掲げるものの外法令に定める業務及び大蔵大臣の指定する業務
三 前二号の業務に附帯する業務
整理委員会の業務に関する重要事項は、定款の定めるところにより、委員の会議において、これを決する。
第十二条 整理委員会は、その職務の遂行上必要があるときは、何人に対しても、その者の職業に著しい支障を及ぼさない限度において、整理委員会の必要な事務に従事し又は協力することを請求することができる。
前項の規定により整理委員会の必要な事務に従事又は協力をなした者に支給すべき旅費及び報酬については、大蔵大臣がこれを定める。
第十三条 整理委員会は、その職務の遂行上必要があると認めるときは、整理委員会の事務について必要な帳簿、書類その他の物件を保管又は所持する者に対し、その提出を求め又はその閲覧若しくは謄写をなすことができる。
第十四条 株主又は債権者としての閉鎖機関のために、整理委員会の委員又は従業員が、支払不能又は債務超過の虞がある会社又は大蔵大臣の許可を受けた会社の役員を兼ねる場合については、昭和二十一年勅令第五百六十七号(会社の証券保有制限等に関する勅令)第十一条の規定は、これを適用しない。
第十五条 整理委員会の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
第十六条 整理委員会は、大蔵大臣の定めるところにより業務の遂行上必要な経費を、整理委員会がその特殊整理を担当する閉鎖機関に、分担せしめることができる。
第十七条 整理委員会は、毎事業年度の整理委員会収支計算書を作成して、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを大蔵大臣に提出しなければならない。
第十八条 整理委員会は、大蔵大臣及び閉鎖機関令の定めるところにより主務大臣となつた大臣が、これを監督する。
大蔵大臣は、毎事業年度一回、整理委員会に命じて、その業務及び経理状況を報告せしめることができる。
第十九条 大蔵大臣は、委員、委員長、副委員長、常務委員又は監査委員の行為が法令又は定款に違反したとき、公益を害したとき、その他整理委員会の業務の運営上不適当と認めるときは、委員、委員長、副委員長、常務委員又は監査委員を解任することができる。
第二十条 整理委員会は、目的の達成によつて解散する。
解散の場合において必要な事項は、勅令でこれを定める。
第二十一条 民法第四十四条、第五十条及び第五十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、整理委員会に、これを準用する。
第二十二条 正当の事由なくして第十二条第一項の規定による請求又は第十三条の規定による提出、閲覧若しくは謄写を拒み、妨げ若しくは忌避した者は、これを二年以下の懲役若しくは禁錮又は三千円以下の罰金に処する。
第二十三条 委員長、副委員長又は常務委員が第十八条第二項の規定に違反し、大蔵大臣の要求する報告をせず若しくは虚偽の報告をしたときは、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十四条 この勅令又はこの勅令に基いて発する命令に違反し、登記をすることを怠り若しくは不正の登記をしたときは、委員長、副委員長又は常務委員を千円以下の過料に処する。
附 則
第一条 この勅令は、公布の日から、これを施行する。
第二条 大蔵大臣は、設立委員を命じ、整理委員会の設立に関する事務を処理せしめる。
第三条 設立委員は、定款を作成し、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
第四条 前条の認可があつたときは、設立委員は、遅滞なくその事務を整理委員会委員長に引き渡さなければならない。
委員長は、前項の事務の引渡を受けたときは、主たる事務所の所在地において、設立の登記をしなければならない。
整理委員会は、前項の登記をなすことに因り成立する。
第五条 昭和二十一年大蔵外務司法省令第一号(閉鎖機関保管人委員会に関する件)は、これを廃止する。
整理委員会が成立するまでの間は、整理委員会のなすべき業務は、閉鎖機関保管人委員会の委員長及び委員が、これを行う。この場合においては、旧令は、その範囲内においては、なおその効力を有する。
旧令廃止前(前項の規定により旧令がなおその効力を有する場合においては、その効力を有する間)になした行為に対する罰則の適用については、旧令は、旧令廃止後(前項の規定により旧令がなおその効力を有する場合においては、その効力なきに至つた後)においても、なおその効力を有する。
閉鎖機関保管人委員会委員長は、その事務を整理委員会成立の日に、整理委員会の委員長に引き渡さなければならない。
整理委員会成立前閉鎖機関保管人委員会委員長のなした行為は、整理委員会がこれをなしたものとみなす。
第六条 登録税法の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「又は持株会社整理委員会」を「、持株会社整理委員会又は閉鎖機関整理委員会」に、「又は持株会社整理委員会令」を「、持株会社整理委員会令又は閉鎖機関整理委員会令」に改める。
第七条 昭和二十二年法律第八号(有価証券の処分の調整等に関する法律)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第三号及び第四号を次のように改める。
三 閉鎖機関令第一条に規定する閉鎖機関の所有する有価証券
四 昭和二十二年大蔵司法省令第一号第一条に規定する特別財産に属する有価証券
第四条第二項中「第三号に掲げる者及び」を削り、同項第三号を次のように改める。
三 閉鎖機関整理委員会