第一條 昭和二十一年十二月二十一日の震災(これに伴う火災、津浪その他の災害を含む。以下震災という。)に因り、所得の基因たる資產又は事業の用に供する資產について甚大な被害を受けた者に対しては、大藏大臣の定めるところにより、昭和二十一年分の不動產所得及び事業所得(丙種の事業所得を除く。以下同じ。)に対する分類所得稅の第二期分を、左の区分により、軽減又は免除する。但し、昭和二十一年分の総所得金額が七万円以上である者に対しては、この限りでない。
総所得金額が一万円以下であるとき 不動產所得及び事業所得に対する分類所得稅の納額の全部
同二万円以下であるとき 不動產所得及び事業所得に対する分類所得稅の納額の十分の五
同二万円を超えるとき 不動產所得及び事業所得に対する分類所得稅の納額の十分の二
戶主及びその同居家族の総所得金額は、これを合算し、その総額について前項の規定を適用する。戶主と別居する二人以上の同居家族の総所得金額についても、また同樣とする。
第二條 震災に因り所得の基因たる資產又は事業の用に供する資產について甚大な被害を受けた者に対しては、大藏大臣の定めるところにより、昭和二十一年分の第二期分の総合所得稅額のうち、被害を受けた資產又は事業の部分から生ずる所得に対する稅額を、左の区分により、軽減する。但し、昭和二十一年分の総所得金額が七万円以上である者に対しては、この限りでない。
総所得金額が二万円以下であるとき 当該所得稅の納額の十分の五
前條第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第三條 震災に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者に対しては、大藏大臣の定めるところにより、昭和二十一年分の所得稅の第二期分を、左の区分により、軽減又は免除する。但し、昭和二十一年分の総所得金額が三万円以上である者に対しては、この限りでない。
総所得金額が一万円以下であるとき 所得稅の納額の全部
同一万五千円以下であるとき 所得稅の納額の十分の五
第一條第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第四條 震災に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者に対しては、大藏大臣の定めるところにより、被害があつた時から昭和二十二年六月までに納付すべき甲種の勤労所得及び丙種の事業所得に対する分類所得稅を、左の区分により、軽減又は免除する。但し、昭和二十一年分の総所得金額が三万円以上である者に対しては、この限りでない。
総所得金額が一万円以下であるとき 分類所得稅額の全部
同一万五千円以下であるとき 分類所得稅額の十分の五
第一條第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第五條 震災に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者に対しては、大藏大臣の定めるところにより、增加所得稅法第一條第一号に規定する第一種所得(以下第一種所得という。)に対する增加所得稅を、左の区分により、軽減又は免除する。但し、同号に規定する昭和二十一年中に生じた所得稅法第十條第一項第一号の不動產所得並びに同項第三号の甲種及び乙種の事業所得に該当する所得の金額の合計金額が五万円以上である者については、この限りでない。
增加所得稅法第四條第一項の規定による控除後の第一種所得の所得金額が五千円以下であるとき 增加所得稅額の全部
同一万五千円以下であるとき 增加所得稅額の十分の五
第一條第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第六條 震災に因り死亡した者については、大藏大臣の定めるところにより、昭和二十一年分の乙種の勤労所得に対する分類所得稅及び所得稅法第三十條第一項第七号に規定する所得に対する綜合所得稅の各第二期分を、左の区分により、軽減又は免除する。但し、昭和二十一年分の総所得金額が三万円以上である者については、この限りでない。
総所得金額が一万円以下であるとき 当該所得稅の納額の全部
同一万五千円以下であるとき 当該所得稅の納額の十分の五
同一万五千円を超えるとき 当該所得稅の納額の十分の二
第一條第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第七條 震災に因り営業の用に供する資產について甚大な被害を受けた個人に対しては、大藏大臣の定めるところにより、昭和二十一年分の営業稅の第二期分を、左の区分により、軽減又は免除する。但し、昭和二十一年分の純益金額が五万円以上である者に対しては、この限りでない。
純益金額が一万円以下であるとき 営業稅の納額の全部
第八條 震災に因り営業の用に供する資產について甚大な被害を受けた個人に対しては、大藏大臣の定めるところにより、営業利得に対する昭和二十一年分の臨時利得稅の第二期分を、左の区分により、軽減する。但し、昭和二十一年分の利益金額が五万円以上である者に対しては、この限りでない。
利益金額が三万円以下であるとき 臨時利得稅の納額の十分の五
第九條 震災に因り所得の基因たる資產又は事業の用に供する資產について甚大な被害を受けた者の納付すべき增加所得稅について、增加所得稅法第三條第一号の規定により第一種所得を算定する場合においては、当該資產の減失又は損壞に因る損害見積金額のうち大藏大臣の定める金額は、大藏大臣の定めるところにより、同号に規定する所得稅法第十條第一項第一号の不動產所得稅並びに同項第三号の甲種及び乙種の事業所得に該当する所得の計算書、これを必要な経費とみなす。
第十條 震災に因り相続財產(相続開始前一年以內に被相続人が贈與した財產を含む。以下同じ。)につき課稅價格の決定前に甚大な被害を受けた者の納付すべき相続稅については、その相続財產の價額は、大藏大臣の定めるところにより、被害を受けた部分の價額を控除した金額により、これを計算する。
第十一條 震災に因り相続財產について課稅價格の決定後に甚大なる被害を受けた者に対しては、大藏大臣の定めるところにより、被害があつた後において納付すべき相続稅のうち、被害を受けた部分に対する稅額を免除する。
第十二條 震災に因り被害を受けた者の納付すべき法人稅、特別法人稅、法人の営業稅、法人の臨時利得稅、相続稅、酒稅、淸涼飮料稅、物品稅、遊興飮食稅及び入場稅については、大藏大臣の定めるところにより、課稅に関する申吿及び申請について、特例を設けることができる。
第十三條 震災に因り被害を受けた者の納付すべき所得稅、個人の営業稅、個人の臨時利得稅、相続稅、酒稅、淸涼飮料稅、物品稅、遊興飮食稅及び入場稅については、大藏大臣の定めるところにより、その徵收を猶予することができる。