(農地調整法の一部を改正する法律)
法令番号: 法律第240号
公布年月日: 昭和22年12月26日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

農地改革の目的を推進するため、放牧採草地に対しても農地と同様の改革を行い、農用林についても農業経営安定のための措置を講じる必要がある。また、これまでの法令実施の経験から改善を要する点が発見されたため、自作農創設特別措置法及び農地調整法の改正を行う。具体的には、牧野の開放、未墾地買収関係規定の改正、農地の遡及買収原則の明確化、薪炭林・採草地等の使用権保護、小作地取上制限の徹底、小作料代物弁済の廃止、不当な土地取上の耕作権回復などの措置を講じることとする。

参照した発言:
第1回国会 衆議院 農林委員会 第45号

審議経過

第1回国会

衆議院
(昭和22年11月12日)
参議院
(昭和22年11月12日)
(昭和22年11月18日)
衆議院
(昭和22年11月19日)
(昭和22年11月20日)
(昭和22年11月27日)
参議院
(昭和22年11月27日)
衆議院
(昭和22年11月28日)
参議院
(昭和22年11月28日)
衆議院
(昭和22年11月29日)
(昭和22年12月1日)
(昭和22年12月3日)
(昭和22年12月4日)
参議院
(昭和22年12月5日)
(昭和22年12月6日)
(昭和22年12月8日)
衆議院
(昭和22年12月10日)
農地調整法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月二十六日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百四十号
農地調整法の一部を次のように改正する。
「地方長官」を「都道府縣知事」に、「勅令」を「政令」に改める。
第一條中「農地關係」を「農地關係等」に改める。
第二條に次の三項を加える。
本法ニ於テ薪炭林トハ耕作者ノ自家用ノ薪又ハ木炭ノ原料ニ用フル原木、枝條、落枝等ノ採取ノ目的ニ供セラルル土地(其ノ上ニ在ル立木ヲ含ム)ヲ謂フ
本法ニ於テ採草地トハ肥料若ハ飼料又ハ此等ノ原料ニ用フル草又ハ落葉ノ採取ノ目的ニ供セラルル土地ヲ謂フ
本法ニ於テ放牧地トハ家畜ノ放牧ノ目的ニ供セラルル土地ヲ謂フ
第三條第一項中「、市町村農業會」を削る。
第四條第一項中「農地」の下に「、採草地又ハ放牧地(農地タル採草地又ハ放牧地竝ニ植林ノ目的其ノ他採草及家畜ノ放牧以外ノ目的ニ主トシテ供セラルル採草地又ハ放牧地ヲ除ク)」を加える。
第五條第二号中「、都道府縣又ハ農地開發營團」を「又ハ都道府縣」に改める。
第六條ノ二第一項及び第六條ノ四第一項中「地租法」を「土地臺帳法」に改める。
第九條第三項中「解約」を「解約(合意解約ヲ含ム以下同ジ)」に、同條第四項中「前項」を「第三項」に改め、同條第三項の次に次の一項を加える。
前項ノ承認ニハ條件ヲ付スルコトヲ得
第九條ノ二第一項但書を削る。
第十條、第十一條第一項及び第十二條第一項中「小作官」を「小作官又ハ小作主事」に改める。
第十四條ノ二 第八條、第九條及第九條ノ十ノ規定ハ薪炭林、採草地又ハ放牧地ノ賃貸借其ノ他其ノ使用收益ヲ目的トスル有償ノ契約ニ付之ヲ準用ス
第十四條ノ三 耕作者又ハ省令ヲ以テ定ムル團體自家用ノ薪若ハ木炭ノ原料ニ用フル原木、枝條、落枝等ノ採取、自家用ノ肥料若ハ飼料若ハ此等ノ原料ニ用フル草若ハ落葉ノ採取又ハ耕作者ガ耕作ニ付隨シテ生産シ若ハ飼育スル家畜ノ放牧ヲ目的トスル土地又ハ立木ノ使用收益ノ權利(以下使用權ト稱ス)ヲ取得スルノ必要アルトキハ市町村農地委員會ノ承認ヲ受ケ土地又ハ立木ノ所有者(政府ヲ除ク)其ノ他之ニ關シ權利ヲ有スル者ニ對シ使用權ノ設定ニ關スル協議ヲ求ムルコトヲ得
市町村農地委員會前項ノ承認ヲ爲サントスルトキハ省令ノ定ムル所ニ依リ同項ノ土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ關シ權利ヲ有スル者、同項ノ承認ヲ受ケントスル者、当該市町村ノ長及都道府縣農地委員會、都道府縣開拓委員會又ハ当該市町村ノ區域ヲ其ノ地區ノ全部若ハ一部トスル森林組合、牧野組合其ノ他省令ヲ以テ定ムル團體ヲ代表スル者ノ意見ヲ聽クコトヲ要ス
第一項ノ場合ニ於テ協議調ハズ又ハ協議ヲ爲スコト能ハザルトキハ同項ノ承認ヲ受ケタル者ハ省令ノ定ムル所ニ依リ当該土地又ハ立木ニ關スル使用權ノ設定ニ關シ市町村農地委員會ノ裁定ヲ申請スルコトヲ得但シ同項ノ承認ヲ受ケタル日ヨリ二月ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十四條ノ四 前條第三項ノ規定ニ依ル裁定ノ申請アリタルトキハ市町村農地委員會ハ当該申請ニ係ル土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ關シ權利ヲ有スル者ニ其ノ旨ヲ通知シ且省令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ公示スベシ
前條第三項ノ規定ニ依ル裁定ノ申請ニ係ル土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ關シ權利ヲ有スル者ハ前項ノ公示ノ日ヨリ二週間内ニ市町村農地委員會ニ意見書ヲ差出スコトヲ得
市町村農地委員會ハ前項ノ期間ヲ經過シタル後審議ヲ開始スベシ
裁定ハ其ノ申請ノ範圍ヲ超ユルコトヲ得ズ
裁定ニ於テハ左ノ事項ヲ定ムルコトヲ要ス
一 設定ヲ爲スベキ使用權ノ内容及存續期間竝ニ当該權利ノ目的タル土地又ハ立木
二 對價竝ニ其ノ支拂ノ方法及時期
三 土地又ハ立木ノ引渡ノ時期
四 使用收益開始ノ時期
市町村農地委員會裁定ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク其ノ旨ヲ前條第二項ニ掲グル者ニ通知シ且省令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ公示スベシ
前項ノ公示アリタルトキハ裁定ノ定ムル所ニ依リ当事者間ニ協議調ヒタルモノト看做ス
民法第二百七十二條但書及第六百十二條ノ規定ハ前項ノ場合ニハ之ヲ適用セズ
第十四條ノ五 前二條ノ規定ハ自作農創設特別措置法第三十條又ハ第三十七條ノ規定ニ依ル買收ヲ爲ス目的ヲ以テ省令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地(其ノ上ニ在ル立木ヲ含ム)ニ付テハ之ヲ適用セズ
市町村農地委員會ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ヲ除クノ外耕作者ノ自家用ノ薪又ハ木炭ノ原料ニ用フル原木ノ採取ヲ目的トスル使用權ノ設定ニ係ル第十四條ノ三第一項ノ承認ヲ爲スコトヲ得ズ但シ政令ヲ以テ定ムル場合ニ於テ都道府縣知事ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 昭和二十年十一月二十三日以後耕作者ノ自家用ノ薪又ハ木炭ノ原料ニ用フル原木ノ採取ヲ目的トスル賃貸借其ノ他ノ契約ノ解除、解約又ハ更新ノ拒絶ノアリタル土地又ハ立木ニ關シ同日現在ニ於テ使用權ヲ有シタル者ガ当該土地又ハ立木ニ關スル使用權ノ設定ニ關シ協議ヲ求メントスル場合
二 薪炭林ニ付慣行ニ依リ原木ノ採取ヲ爲ス耕作者又ハ其ノ團體当該薪炭林ニ關スル使用權ノ設定ニ關シ協議ヲ求メントスル場合
第十四條ノ六 耕作者又ハ省令ヲ以テ定ムル團體第十四條ノ三第一項ノ承認ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ノアリタル日ヨリ二月内ニ同項ノ承認ナキトキハ都道府縣農地委員會ニ市町村農地委員會ニ對シ同項ノ承認ヲ爲スべキ旨ヲ指示スべキコトヲ請求スルコトヲ得
第十四條ノ七 第十四條ノ三第一項ノ承認ニ係ル土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ關シ權利ヲ有スル者同項ノ規定ニ依ル協議ヲ受ケタルトキハ当該協議ガ調フニ至ル迄ハ当該承認ニ係ル使用權ノ設定ニ付支障ヲ及ボサザル場合ヲ除クノ外都道府縣知事ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ当該土地若ハ立木ニ付權利ヲ設定シ、当該土地ノ形質ヲ變更シ又ハ立木ヲ損壞シ若ハ收去スルコトヲ得ズ但シ当該協議調ハザル場合ニ於テ同條第三項但書ノ期間内ニ同項ノ規定ニ依ル裁定ノ申請ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十四條ノ八 第十四條ノ三第二項ニ掲グル者第十四條ノ四ノ規定ニ依ル裁定ニ對シ不服アルトキハ同條第六項ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ一月内ニ都道府縣知事ニ訴願スルコトヲ得
都道府縣知事前項ノ訴願ヲ受理シタルトキハ同項ノ期間滿了後一月内ニ裁定ヲ爲スベシ
都道府縣知事前項ノ裁決ヲ爲サントスルトキハ都道府縣薪炭林等委員會ノ意見ヲ聽クコトヲ要ス
都道府縣薪炭林等委員會ニ關スル規程ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五條第二項中「市町村農地委員會ハ」の下に「主務大臣及」を加える。
第十五條ノ二第三項第二号中「其ノ所有スル農地ニ付」を削り、同條第四項中「戸主若ハ家族」を「親族若ハ其ノ配偶者」に、同條第五項中「戸主又ハ家族」を「親族又ハ其ノ配偶者」に改め、同條第十項を削る。
第十五條ノ三第一項中「戸主若ハ家族」を「親族若ハ其ノ配偶者」に改める。
第十五條ノ四 左ニ掲グル者ハ選擧權及被選擧權ヲ有セズ
一 未成年者
二 禁治産者及準禁治産者
三 懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
第十五條ノ五 選擧ニ關スル事務ハ地方自治法第百八十一條ニ規定スル市町村ノ選擧管理委員會之ヲ管理ス
第十五條ノ七中「年齡多キ者ヲ取リ年齡モ亦同ジキトキハ」を削る。
第十五條ノ十五を削る。
第十五條ノ十八を第十五條ノ二十二とし、第十五條ノ十七を第十五條ノ二十一とする。
第十五條ノ十六中「第十五條ノ十三」を「第十五條ノ十五」に改め、同條を第十五條ノ十九とする。
第十五條ノ十四第三項を削り、同條を第十五條ノ十六とし、第十五條ノ十三を第十五條ノ十五とする。
第十五條ノ十二中「及自己ト同一戸籍内ニ在ル者」を「竝ニ同居ノ親族及其ノ配偶者」に改め、同條を第十五條ノ十三とする。
第十五條ノ十一を第十五條ノ十二とし、第十五條ノ十を第十五條ノ十一とする。
第十五條ノ九第二項中「市町村長」を「市町村ノ選擧管理委員會」に改め、同條第四項に次の但書を加え、同條を第十五條ノ十とする。
但シ同項本文中総委員トアルハ総委員ノ過半數トス
第十五條ノ八を第十五條ノ九とする。
第十五條ノ八 前六條ニ規定スルモノノ外市町村農地委員會ノ選擧ニ關シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五條ノ十四 都道府縣知事ハ都道府縣農地委員會ノ請求ニ因リ市町村農地委員會ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル市町村農地委員會ノ解散アリタルトキハ解散ノ日ヨリ二週間内ニ選擧ヲ行フコトヲ要ス
第十五條ノ十七 第十五條ノ二第三項乃至第六項第八項第九項本文及第十五條ノ三乃至第十五條ノ十四ノ規定ハ都道府縣農地委員會ニ之ヲ準用ス但シ第十五條ノ二第六項中五人トアルハ十人、三人トアルハ六人、二人トアルハ四人、同條第八項中三人トアルハ五人、第十五條ノ五及第十五條ノ十第二項中市町村ノ選擧管理委員會トアルハ都道府縣ノ選擧管理委員會、第十五條ノ二第八項、第十五條ノ十第三項及第十五條ノ十四第一項中都道府縣知事トアルハ主務大臣、第十五條ノ十第二項中当該區分ニ屬シ選擧權ヲ有スル者トアルハ当該區分ニ屬シ選擧權ヲ有スル者(選擧區ノアル場合ニ在リテハ同一選擧區ニ屬スル者ニ限ル)、委員トアルハ委員(選擧區ノアル場合ニ在リテハ当該選擧區ニ屬スル委員ニ限ル)、第十五條ノ十四第一項中都道府縣農地委員會トアルハ中央農地委員會トス
第十五條ノ十八 都道府縣知事都道府縣農地委員會又ハ市町村農地委員會ノ議決ガ法令ニ違反シ又ハ著シク不当ナリト認ムルトキハ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スルコトヲ得但シ議決ノアリタル日ヨリ一月ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
都道府縣知事前項ノ規定ニ依ル都道府縣農地委員會又ハ市町村農地委員會ノ議決ガ仍法令ニ違反シ又ハ著シク不当ナリト認ムルトキハ中央農地委員會又ハ都道府縣農地委員會ニ對シ其ノ取消ヲ請求スルコトヲ得
第一項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
中央農地委員會又ハ都道府縣農地委員會第二項ノ規定ニ依ル請求ヲ受ケタルトキハ其ノ請求ノアリタル日ヨリ一月内ニ其ノ取消ノ可否ヲ議決スベシ
第十五條ノ二十 市町村農地委員會又ハ都道府縣農地委員會ノ委員及其ノ事務ニ從事スル者ハ登記所、土地臺帳所管廳、家屋臺帳所管廳又ハ市町村ノ事務所ニ就キ無償ニテ第十五條又ハ第十五條ノ十五ニ規定スル事項ヲ處理スルニ必要ナル簿書ノ閲覽又ハ謄寫ヲ求ムルコトヲ得
第十七條ノ三 本法中都道府縣又ハ都道府縣知事ニ關スル規定ハ特別市ノ指定アリタルトキハ政令ヲ以テ定ムル時期迄ハ当該特別市ノ區域ヲ含ム指定前ノ都道府縣又ハ其ノ知事ニ、市町村又ハ市町村長ニ關スル規定ハ特別區ノ存スル地ニ在リテハ特別區又ハ特別區ノ區長ニ、地方自治法第百五十五條第二項ノ市ニ在リテハ區又ハ區長ニ、特別市ニ在リテハ行政區又ハ行政區ノ區長ニ、全部事務組合又ハ役場事務組合ノ存スル地ニ在リテハ組合又ハ組合管理者ニ之ヲ適用ス
第十七條ノ五第二号中「第九條第三項」の下に「(第十四條ノ二ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)」を加え、同條第三号を第四号とし、同條第二号の次に次の一号を加える。
三 第十四條ノ七ノ規定ニ違反シタル者
第十七條ノ六中「若ハ第三号前段」を「、第三号若ハ第四号前段」に改める。
附 則
第一條 この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、改正後の第十五條ノ二第四項第五項及び第十五條ノ三第一項の規定は、昭和二十二年五月三日から、これを適用し、改正後の第十五條ノ十七の規定中第十五條ノ二第三項乃至第五項及び第十五條ノ三乃至第十五條ノ五の規定を準用する部分は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
第二條 第四條の改正規定は、この法律施行の際現に存する採草地又は放牧地(農地たる採草地又は放牧地竝びに植林の目的その他採草及び家畜の放牧以外の目的に主として供せられている採草地又は放牧地を除く。以下同じ。)に關する契約で当該契約に係る權利の設定又は移轉に關する登記及び当該採草地又は放牧地の引渡のいずれもが完了していないものについても、これを適用する。
第三條 昭和二十年十一月二十三日現在における農地の賃借人で同日以後第九條第三項の改正規定施行の日前に賃貸借の解除、解約(合意解約を含む。以下同じ。)又は更新の拒絶に因つて当該農地の賃借人でなくなつたものは、市町村農地委員會の承認を受け、当該農地の昭和二十年十一月二十三日現在における所有者又はその承継人(同日現在における当該賃貸借の賃貸が所有權に基いてされたものでない場合には、賃貸人又はその賃貸の基礎となつた權利の承継人。以下同じ。)に對し、当該農地につき賃貸借契約を締結することに關し協議を求めることができる。
左の各号の一に該当する場合には、市町村農地委員會は、前項の承認をすることができない。
一 前項の賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶に係る農地が昭和二十年十一月二十三日現在における当該農地の所有者又はその承継人以外の者の耕作の業務の目的に供されている場合
二 都道府縣農地委員會において前項の賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶のあつたときにおける当該所有者又は承継人及び賃借人に就いての事情を調査して当該賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶を適法且つ正当であると認めた場合
三 前二号の外市町村農地委員會において前項の承認の申請が信義に反すると認めた場合
四 前項の承認を申請した者が所有權、賃借權、使用賃借による權利又は永小作權に基いて自作農創設特別措置法第三條第一項第三号の面積又は同條第三項の規定により当該區域につき定められた同号の面積に代るべき面積を超える面積の農地に就き現に耕作の業務を営んでいる場合
五 昭和二十年十一月二十三日現在における第一号の農地の所有者又はその承継人が現に当該農地に就き耕作の業務を営む場合にあつては、その者が当該農地に就いての耕作の業務をやめるときは、その生活状態が前項の承認を申請した者の生活状態に較べて著しくわるくなる場合
第一項の場合において、協議が調わず、又は協議をすることができないときは、同項の承認を受けた者は、命令の定めるところにより、当該農地の賃貸借に關し市町村農地委員會の裁定を申請することができる。但し、同項の承認を受けた後二箇月を經過したときは、この限りでない。
市町村農地委員會は、前項の裁定をしたときは、遲滯なく第一項の規定による協議の当事者にその旨を通知しなければならない。
第三項の裁定に對し不服ある者は、前項の通知を受けた日から一箇月以内に都道府縣農地委員會に訴願することができる。
都道府縣農地委員會は、前項の訴願を受理したときは、同項の期間滿了後一箇月以内に裁決しなければならない。
第一項の請求に係る農地につき、第三項の規定により賃借權を設定すべき旨の裁定があつた場合において第五項の規定による訴願が却下され、若しくは同項の期間内に訴願の提起がないとき、又は前項の規定により貸借權を設定すべき旨の裁決があつたときは、当該裁定又は裁決に定めるところにより、当該農地につき賃借權が設定されたものとみなす。
前項の規定による賃借權の設定については、民法第六百十二條の規定は、これを適用しない。
第四條 市町村農地委員會が前條第一項又は第三項の規定による承認又は裁定の申請を受けた日から二箇月以内に当該申請に係る農地につき同條第一項又は第三項の規定による承認又は裁定をしない場合において、当該申請をした者がその期間經過後一箇月以内に都道府縣農地委員會に對して当該市町村農地委員會に同條第一項又は第三項の規定による承認又は裁定をすべき旨を指示すべきことを請求したときは、都道府縣農地委員會は、当該市町村農地委員會に對して同條第一項又は第三項の規定により承認又は裁定をすべき旨を指示しなければならない。
前項の場合には、前條第二項の規定を準用する。この場合において、同項第三号中「市町村農地委員會」とあるのは、「都道府縣農地委員會」と読み替えるものとする。
第五條 前二條の規定による處分で違法なものの取消又は變更を求める訴は、昭和二十二年法律第七十五号第八條の規定にかかわらず、当事者がその處分のあつたことを知つた日から一箇月以内にこれを提起しなければならない。但し、處分の日から二箇月を經過したときは、同條の規定にかかわらず、訴を提起することができない。
前項の訴の提起は、前二條の規定による處分の執行を停止しない。
第六條 第九條第三項の改正規定施行後命令で定める時期までは、改正後の第九條第三項(第十四條ノ二において準用する場合を含む。以下同じ。)中「市町村農地委員會ノ承認」とあるのは、「都道府縣知事ノ許可」と、改正後の同條第四項及び第五項中「承認」とあるのは、「許可」と読み替えるものとする。
都道府縣知事は、改正後の第九條第三項及び前項の規定による許可をするには、農地に係る場合にあつては、都道府縣農地委員會の意見、薪炭林、採草地又は放牧地に係る場合にあつては、都道府縣薪炭林等委員會の意見を聽かなければならない。
第七條 第十五條ノ十四の改正規定施行の際現に都道府縣農地委員會の委員たる者は、改正前の同條第三項第一号乃至第三号の規定により互選された委員にあつては改正後の第十五條ノ十七において準用する第十五條ノ二第三項各号の規定により選擧されたものとみなし、改正前の第十五條ノ十四第三項第四号の規定により選任された委員にあつては改正後の第十五條ノ十七において準用する第十五條ノ二第八項の規定により選任されたものとみなす。
前項の規定は、委員の任期に影響を及ぼさない。
第八條 第十五條ノ十八の改正規定施行前にした都道府縣農地委員會又は市町村農地委員會の議決については、同條第一項但書の期間は、この法律施行の日から、これを起算する。
司法大臣 鈴木義男
農林大臣 波多野鼎
内閣総理大臣 片山哲
農地調整法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月二十六日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百四十号
農地調整法の一部を次のように改正する。
「地方長官」を「都道府県知事」に、「勅令」を「政令」に改める。
第一条中「農地関係」を「農地関係等」に改める。
第二条に次の三項を加える。
本法ニ於テ薪炭林トハ耕作者ノ自家用ノ薪又ハ木炭ノ原料ニ用フル原木、枝条、落枝等ノ採取ノ目的ニ供セラルル土地(其ノ上ニ在ル立木ヲ含ム)ヲ謂フ
本法ニ於テ採草地トハ肥料若ハ飼料又ハ此等ノ原料ニ用フル草又ハ落葉ノ採取ノ目的ニ供セラルル土地ヲ謂フ
本法ニ於テ放牧地トハ家畜ノ放牧ノ目的ニ供セラルル土地ヲ謂フ
第三条第一項中「、市町村農業会」を削る。
第四条第一項中「農地」の下に「、採草地又ハ放牧地(農地タル採草地又ハ放牧地並ニ植林ノ目的其ノ他採草及家畜ノ放牧以外ノ目的ニ主トシテ供セラルル採草地又ハ放牧地ヲ除ク)」を加える。
第五条第二号中「、都道府県又ハ農地開発営団」を「又ハ都道府県」に改める。
第六条ノ二第一項及び第六条ノ四第一項中「地租法」を「土地台帳法」に改める。
第九条第三項中「解約」を「解約(合意解約ヲ含ム以下同ジ)」に、同条第四項中「前項」を「第三項」に改め、同条第三項の次に次の一項を加える。
前項ノ承認ニハ条件ヲ付スルコトヲ得
第九条ノ二第一項但書を削る。
第十条、第十一条第一項及び第十二条第一項中「小作官」を「小作官又ハ小作主事」に改める。
第十四条ノ二 第八条、第九条及第九条ノ十ノ規定ハ薪炭林、採草地又ハ放牧地ノ賃貸借其ノ他其ノ使用収益ヲ目的トスル有償ノ契約ニ付之ヲ準用ス
第十四条ノ三 耕作者又ハ省令ヲ以テ定ムル団体自家用ノ薪若ハ木炭ノ原料ニ用フル原木、枝条、落枝等ノ採取、自家用ノ肥料若ハ飼料若ハ此等ノ原料ニ用フル草若ハ落葉ノ採取又ハ耕作者ガ耕作ニ付随シテ生産シ若ハ飼育スル家畜ノ放牧ヲ目的トスル土地又ハ立木ノ使用収益ノ権利(以下使用権ト称ス)ヲ取得スルノ必要アルトキハ市町村農地委員会ノ承認ヲ受ケ土地又ハ立木ノ所有者(政府ヲ除ク)其ノ他之ニ関シ権利ヲ有スル者ニ対シ使用権ノ設定ニ関スル協議ヲ求ムルコトヲ得
市町村農地委員会前項ノ承認ヲ為サントスルトキハ省令ノ定ムル所ニ依リ同項ノ土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ関シ権利ヲ有スル者、同項ノ承認ヲ受ケントスル者、当該市町村ノ長及都道府県農地委員会、都道府県開拓委員会又ハ当該市町村ノ区域ヲ其ノ地区ノ全部若ハ一部トスル森林組合、牧野組合其ノ他省令ヲ以テ定ムル団体ヲ代表スル者ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第一項ノ場合ニ於テ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ同項ノ承認ヲ受ケタル者ハ省令ノ定ムル所ニ依リ当該土地又ハ立木ニ関スル使用権ノ設定ニ関シ市町村農地委員会ノ裁定ヲ申請スルコトヲ得但シ同項ノ承認ヲ受ケタル日ヨリ二月ヲ経過シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十四条ノ四 前条第三項ノ規定ニ依ル裁定ノ申請アリタルトキハ市町村農地委員会ハ当該申請ニ係ル土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ関シ権利ヲ有スル者ニ其ノ旨ヲ通知シ且省令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ公示スベシ
前条第三項ノ規定ニ依ル裁定ノ申請ニ係ル土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ関シ権利ヲ有スル者ハ前項ノ公示ノ日ヨリ二週間内ニ市町村農地委員会ニ意見書ヲ差出スコトヲ得
市町村農地委員会ハ前項ノ期間ヲ経過シタル後審議ヲ開始スベシ
裁定ハ其ノ申請ノ範囲ヲ超ユルコトヲ得ズ
裁定ニ於テハ左ノ事項ヲ定ムルコトヲ要ス
一 設定ヲ為スベキ使用権ノ内容及存続期間並ニ当該権利ノ目的タル土地又ハ立木
二 対価並ニ其ノ支払ノ方法及時期
三 土地又ハ立木ノ引渡ノ時期
四 使用収益開始ノ時期
市町村農地委員会裁定ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ前条第二項ニ掲グル者ニ通知シ且省令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ公示スベシ
前項ノ公示アリタルトキハ裁定ノ定ムル所ニ依リ当事者間ニ協議調ヒタルモノト看做ス
民法第二百七十二条但書及第六百十二条ノ規定ハ前項ノ場合ニハ之ヲ適用セズ
第十四条ノ五 前二条ノ規定ハ自作農創設特別措置法第三十条又ハ第三十七条ノ規定ニ依ル買収ヲ為ス目的ヲ以テ省令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地(其ノ上ニ在ル立木ヲ含ム)ニ付テハ之ヲ適用セズ
市町村農地委員会ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ヲ除クノ外耕作者ノ自家用ノ薪又ハ木炭ノ原料ニ用フル原木ノ採取ヲ目的トスル使用権ノ設定ニ係ル第十四条ノ三第一項ノ承認ヲ為スコトヲ得ズ但シ政令ヲ以テ定ムル場合ニ於テ都道府県知事ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 昭和二十年十一月二十三日以後耕作者ノ自家用ノ薪又ハ木炭ノ原料ニ用フル原木ノ採取ヲ目的トスル賃貸借其ノ他ノ契約ノ解除、解約又ハ更新ノ拒絶ノアリタル土地又ハ立木ニ関シ同日現在ニ於テ使用権ヲ有シタル者ガ当該土地又ハ立木ニ関スル使用権ノ設定ニ関シ協議ヲ求メントスル場合
二 薪炭林ニ付慣行ニ依リ原木ノ採取ヲ為ス耕作者又ハ其ノ団体当該薪炭林ニ関スル使用権ノ設定ニ関シ協議ヲ求メントスル場合
第十四条ノ六 耕作者又ハ省令ヲ以テ定ムル団体第十四条ノ三第一項ノ承認ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ノアリタル日ヨリ二月内ニ同項ノ承認ナキトキハ都道府県農地委員会ニ市町村農地委員会ニ対シ同項ノ承認ヲ為スべキ旨ヲ指示スべキコトヲ請求スルコトヲ得
第十四条ノ七 第十四条ノ三第一項ノ承認ニ係ル土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ関シ権利ヲ有スル者同項ノ規定ニ依ル協議ヲ受ケタルトキハ当該協議ガ調フニ至ル迄ハ当該承認ニ係ル使用権ノ設定ニ付支障ヲ及ボサザル場合ヲ除クノ外都道府県知事ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ当該土地若ハ立木ニ付権利ヲ設定シ、当該土地ノ形質ヲ変更シ又ハ立木ヲ損壊シ若ハ収去スルコトヲ得ズ但シ当該協議調ハザル場合ニ於テ同条第三項但書ノ期間内ニ同項ノ規定ニ依ル裁定ノ申請ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十四条ノ八 第十四条ノ三第二項ニ掲グル者第十四条ノ四ノ規定ニ依ル裁定ニ対シ不服アルトキハ同条第六項ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ一月内ニ都道府県知事ニ訴願スルコトヲ得
都道府県知事前項ノ訴願ヲ受理シタルトキハ同項ノ期間満了後一月内ニ裁定ヲ為スベシ
都道府県知事前項ノ裁決ヲ為サントスルトキハ都道府県薪炭林等委員会ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
都道府県薪炭林等委員会ニ関スル規程ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五条第二項中「市町村農地委員会ハ」の下に「主務大臣及」を加える。
第十五条ノ二第三項第二号中「其ノ所有スル農地ニ付」を削り、同条第四項中「戸主若ハ家族」を「親族若ハ其ノ配偶者」に、同条第五項中「戸主又ハ家族」を「親族又ハ其ノ配偶者」に改め、同条第十項を削る。
第十五条ノ三第一項中「戸主若ハ家族」を「親族若ハ其ノ配偶者」に改める。
第十五条ノ四 左ニ掲グル者ハ選挙権及被選挙権ヲ有セズ
一 未成年者
二 禁治産者及準禁治産者
三 懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
第十五条ノ五 選挙ニ関スル事務ハ地方自治法第百八十一条ニ規定スル市町村ノ選挙管理委員会之ヲ管理ス
第十五条ノ七中「年齢多キ者ヲ取リ年齢モ亦同ジキトキハ」を削る。
第十五条ノ十五を削る。
第十五条ノ十八を第十五条ノ二十二とし、第十五条ノ十七を第十五条ノ二十一とする。
第十五条ノ十六中「第十五条ノ十三」を「第十五条ノ十五」に改め、同条を第十五条ノ十九とする。
第十五条ノ十四第三項を削り、同条を第十五条ノ十六とし、第十五条ノ十三を第十五条ノ十五とする。
第十五条ノ十二中「及自己ト同一戸籍内ニ在ル者」を「並ニ同居ノ親族及其ノ配偶者」に改め、同条を第十五条ノ十三とする。
第十五条ノ十一を第十五条ノ十二とし、第十五条ノ十を第十五条ノ十一とする。
第十五条ノ九第二項中「市町村長」を「市町村ノ選挙管理委員会」に改め、同条第四項に次の但書を加え、同条を第十五条ノ十とする。
但シ同項本文中総委員トアルハ総委員ノ過半数トス
第十五条ノ八を第十五条ノ九とする。
第十五条ノ八 前六条ニ規定スルモノノ外市町村農地委員会ノ選挙ニ関シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五条ノ十四 都道府県知事ハ都道府県農地委員会ノ請求ニ因リ市町村農地委員会ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル市町村農地委員会ノ解散アリタルトキハ解散ノ日ヨリ二週間内ニ選挙ヲ行フコトヲ要ス
第十五条ノ十七 第十五条ノ二第三項乃至第六項第八項第九項本文及第十五条ノ三乃至第十五条ノ十四ノ規定ハ都道府県農地委員会ニ之ヲ準用ス但シ第十五条ノ二第六項中五人トアルハ十人、三人トアルハ六人、二人トアルハ四人、同条第八項中三人トアルハ五人、第十五条ノ五及第十五条ノ十第二項中市町村ノ選挙管理委員会トアルハ都道府県ノ選挙管理委員会、第十五条ノ二第八項、第十五条ノ十第三項及第十五条ノ十四第一項中都道府県知事トアルハ主務大臣、第十五条ノ十第二項中当該区分ニ属シ選挙権ヲ有スル者トアルハ当該区分ニ属シ選挙権ヲ有スル者(選挙区ノアル場合ニ在リテハ同一選挙区ニ属スル者ニ限ル)、委員トアルハ委員(選挙区ノアル場合ニ在リテハ当該選挙区ニ属スル委員ニ限ル)、第十五条ノ十四第一項中都道府県農地委員会トアルハ中央農地委員会トス
第十五条ノ十八 都道府県知事都道府県農地委員会又ハ市町村農地委員会ノ議決ガ法令ニ違反シ又ハ著シク不当ナリト認ムルトキハ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スルコトヲ得但シ議決ノアリタル日ヨリ一月ヲ経過シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
都道府県知事前項ノ規定ニ依ル都道府県農地委員会又ハ市町村農地委員会ノ議決ガ仍法令ニ違反シ又ハ著シク不当ナリト認ムルトキハ中央農地委員会又ハ都道府県農地委員会ニ対シ其ノ取消ヲ請求スルコトヲ得
第一項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
中央農地委員会又ハ都道府県農地委員会第二項ノ規定ニ依ル請求ヲ受ケタルトキハ其ノ請求ノアリタル日ヨリ一月内ニ其ノ取消ノ可否ヲ議決スベシ
第十五条ノ二十 市町村農地委員会又ハ都道府県農地委員会ノ委員及其ノ事務ニ従事スル者ハ登記所、土地台帳所管庁、家屋台帳所管庁又ハ市町村ノ事務所ニ就キ無償ニテ第十五条又ハ第十五条ノ十五ニ規定スル事項ヲ処理スルニ必要ナル簿書ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得
第十七条ノ三 本法中都道府県又ハ都道府県知事ニ関スル規定ハ特別市ノ指定アリタルトキハ政令ヲ以テ定ムル時期迄ハ当該特別市ノ区域ヲ含ム指定前ノ都道府県又ハ其ノ知事ニ、市町村又ハ市町村長ニ関スル規定ハ特別区ノ存スル地ニ在リテハ特別区又ハ特別区ノ区長ニ、地方自治法第百五十五条第二項ノ市ニ在リテハ区又ハ区長ニ、特別市ニ在リテハ行政区又ハ行政区ノ区長ニ、全部事務組合又ハ役場事務組合ノ存スル地ニ在リテハ組合又ハ組合管理者ニ之ヲ適用ス
第十七条ノ五第二号中「第九条第三項」の下に「(第十四条ノ二ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)」を加え、同条第三号を第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。
三 第十四条ノ七ノ規定ニ違反シタル者
第十七条ノ六中「若ハ第三号前段」を「、第三号若ハ第四号前段」に改める。
附 則
第一条 この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、改正後の第十五条ノ二第四項第五項及び第十五条ノ三第一項の規定は、昭和二十二年五月三日から、これを適用し、改正後の第十五条ノ十七の規定中第十五条ノ二第三項乃至第五項及び第十五条ノ三乃至第十五条ノ五の規定を準用する部分は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
第二条 第四条の改正規定は、この法律施行の際現に存する採草地又は放牧地(農地たる採草地又は放牧地並びに植林の目的その他採草及び家畜の放牧以外の目的に主として供せられている採草地又は放牧地を除く。以下同じ。)に関する契約で当該契約に係る権利の設定又は移転に関する登記及び当該採草地又は放牧地の引渡のいずれもが完了していないものについても、これを適用する。
第三条 昭和二十年十一月二十三日現在における農地の賃借人で同日以後第九条第三項の改正規定施行の日前に賃貸借の解除、解約(合意解約を含む。以下同じ。)又は更新の拒絶に因つて当該農地の賃借人でなくなつたものは、市町村農地委員会の承認を受け、当該農地の昭和二十年十一月二十三日現在における所有者又はその承継人(同日現在における当該賃貸借の賃貸が所有権に基いてされたものでない場合には、賃貸人又はその賃貸の基礎となつた権利の承継人。以下同じ。)に対し、当該農地につき賃貸借契約を締結することに関し協議を求めることができる。
左の各号の一に該当する場合には、市町村農地委員会は、前項の承認をすることができない。
一 前項の賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶に係る農地が昭和二十年十一月二十三日現在における当該農地の所有者又はその承継人以外の者の耕作の業務の目的に供されている場合
二 都道府県農地委員会において前項の賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶のあつたときにおける当該所有者又は承継人及び賃借人に就いての事情を調査して当該賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶を適法且つ正当であると認めた場合
三 前二号の外市町村農地委員会において前項の承認の申請が信義に反すると認めた場合
四 前項の承認を申請した者が所有権、賃借権、使用賃借による権利又は永小作権に基いて自作農創設特別措置法第三条第一項第三号の面積又は同条第三項の規定により当該区域につき定められた同号の面積に代るべき面積を超える面積の農地に就き現に耕作の業務を営んでいる場合
五 昭和二十年十一月二十三日現在における第一号の農地の所有者又はその承継人が現に当該農地に就き耕作の業務を営む場合にあつては、その者が当該農地に就いての耕作の業務をやめるときは、その生活状態が前項の承認を申請した者の生活状態に較べて著しくわるくなる場合
第一項の場合において、協議が調わず、又は協議をすることができないときは、同項の承認を受けた者は、命令の定めるところにより、当該農地の賃貸借に関し市町村農地委員会の裁定を申請することができる。但し、同項の承認を受けた後二箇月を経過したときは、この限りでない。
市町村農地委員会は、前項の裁定をしたときは、遅滞なく第一項の規定による協議の当事者にその旨を通知しなければならない。
第三項の裁定に対し不服ある者は、前項の通知を受けた日から一箇月以内に都道府県農地委員会に訴願することができる。
都道府県農地委員会は、前項の訴願を受理したときは、同項の期間満了後一箇月以内に裁決しなければならない。
第一項の請求に係る農地につき、第三項の規定により賃借権を設定すべき旨の裁定があつた場合において第五項の規定による訴願が却下され、若しくは同項の期間内に訴願の提起がないとき、又は前項の規定により貸借権を設定すべき旨の裁決があつたときは、当該裁定又は裁決に定めるところにより、当該農地につき賃借権が設定されたものとみなす。
前項の規定による賃借権の設定については、民法第六百十二条の規定は、これを適用しない。
第四条 市町村農地委員会が前条第一項又は第三項の規定による承認又は裁定の申請を受けた日から二箇月以内に当該申請に係る農地につき同条第一項又は第三項の規定による承認又は裁定をしない場合において、当該申請をした者がその期間経過後一箇月以内に都道府県農地委員会に対して当該市町村農地委員会に同条第一項又は第三項の規定による承認又は裁定をすべき旨を指示すべきことを請求したときは、都道府県農地委員会は、当該市町村農地委員会に対して同条第一項又は第三項の規定により承認又は裁定をすべき旨を指示しなければならない。
前項の場合には、前条第二項の規定を準用する。この場合において、同項第三号中「市町村農地委員会」とあるのは、「都道府県農地委員会」と読み替えるものとする。
第五条 前二条の規定による処分で違法なものの取消又は変更を求める訴は、昭和二十二年法律第七十五号第八条の規定にかかわらず、当事者がその処分のあつたことを知つた日から一箇月以内にこれを提起しなければならない。但し、処分の日から二箇月を経過したときは、同条の規定にかかわらず、訴を提起することができない。
前項の訴の提起は、前二条の規定による処分の執行を停止しない。
第六条 第九条第三項の改正規定施行後命令で定める時期までは、改正後の第九条第三項(第十四条ノ二において準用する場合を含む。以下同じ。)中「市町村農地委員会ノ承認」とあるのは、「都道府県知事ノ許可」と、改正後の同条第四項及び第五項中「承認」とあるのは、「許可」と読み替えるものとする。
都道府県知事は、改正後の第九条第三項及び前項の規定による許可をするには、農地に係る場合にあつては、都道府県農地委員会の意見、薪炭林、採草地又は放牧地に係る場合にあつては、都道府県薪炭林等委員会の意見を聴かなければならない。
第七条 第十五条ノ十四の改正規定施行の際現に都道府県農地委員会の委員たる者は、改正前の同条第三項第一号乃至第三号の規定により互選された委員にあつては改正後の第十五条ノ十七において準用する第十五条ノ二第三項各号の規定により選挙されたものとみなし、改正前の第十五条ノ十四第三項第四号の規定により選任された委員にあつては改正後の第十五条ノ十七において準用する第十五条ノ二第八項の規定により選任されたものとみなす。
前項の規定は、委員の任期に影響を及ぼさない。
第八条 第十五条ノ十八の改正規定施行前にした都道府県農地委員会又は市町村農地委員会の議決については、同条第一項但書の期間は、この法律施行の日から、これを起算する。
司法大臣 鈴木義男
農林大臣 波多野鼎
内閣総理大臣 片山哲