第一條 この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、改正後の第十五條ノ二第四項第五項及び第十五條ノ三第一項の規定は、昭和二十二年五月三日から、これを適用し、改正後の第十五條ノ十七の規定中第十五條ノ二第三項乃至第五項及び第十五條ノ三乃至第十五條ノ五の規定を準用する部分は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
第二條 第四條の改正規定は、この法律施行の際現に存する採草地又は放牧地(農地たる採草地又は放牧地竝びに植林の目的その他採草及び家畜の放牧以外の目的に主として供せられている採草地又は放牧地を除く。以下同じ。)に關する契約で当該契約に係る權利の設定又は移轉に關する登記及び当該採草地又は放牧地の引渡のいずれもが完了していないものについても、これを適用する。
第三條 昭和二十年十一月二十三日現在における農地の賃借人で同日以後第九條第三項の改正規定施行の日前に賃貸借の解除、解約(合意解約を含む。以下同じ。)又は更新の拒絶に因つて当該農地の賃借人でなくなつたものは、市町村農地委員會の承認を受け、当該農地の昭和二十年十一月二十三日現在における所有者又はその承継人(同日現在における当該賃貸借の賃貸が所有權に基いてされたものでない場合には、賃貸人又はその賃貸の基礎となつた權利の承継人。以下同じ。)に對し、当該農地につき賃貸借契約を締結することに關し協議を求めることができる。
左の各号の一に該当する場合には、市町村農地委員會は、前項の承認をすることができない。
一 前項の賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶に係る農地が昭和二十年十一月二十三日現在における当該農地の所有者又はその承継人以外の者の耕作の業務の目的に供されている場合
二 都道府縣農地委員會において前項の賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶のあつたときにおける当該所有者又は承継人及び賃借人に就いての事情を調査して当該賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶を適法且つ正当であると認めた場合
三 前二号の外市町村農地委員會において前項の承認の申請が信義に反すると認めた場合
四 前項の承認を申請した者が所有權、賃借權、使用賃借による權利又は永小作權に基いて自作農創設特別措置法第三條第一項第三号の面積又は同條第三項の規定により当該區域につき定められた同号の面積に代るべき面積を超える面積の農地に就き現に耕作の業務を営んでいる場合
五 昭和二十年十一月二十三日現在における第一号の農地の所有者又はその承継人が現に当該農地に就き耕作の業務を営む場合にあつては、その者が当該農地に就いての耕作の業務をやめるときは、その生活状態が前項の承認を申請した者の生活状態に較べて著しくわるくなる場合
第一項の場合において、協議が調わず、又は協議をすることができないときは、同項の承認を受けた者は、命令の定めるところにより、当該農地の賃貸借に關し市町村農地委員會の裁定を申請することができる。但し、同項の承認を受けた後二箇月を經過したときは、この限りでない。
市町村農地委員會は、前項の裁定をしたときは、遲滯なく第一項の規定による協議の当事者にその旨を通知しなければならない。
第三項の裁定に對し不服ある者は、前項の通知を受けた日から一箇月以内に都道府縣農地委員會に訴願することができる。
都道府縣農地委員會は、前項の訴願を受理したときは、同項の期間滿了後一箇月以内に裁決しなければならない。
第一項の請求に係る農地につき、第三項の規定により賃借權を設定すべき旨の裁定があつた場合において第五項の規定による訴願が却下され、若しくは同項の期間内に訴願の提起がないとき、又は前項の規定により貸借權を設定すべき旨の裁決があつたときは、当該裁定又は裁決に定めるところにより、当該農地につき賃借權が設定されたものとみなす。
前項の規定による賃借權の設定については、民法第六百十二條の規定は、これを適用しない。
第四條 市町村農地委員會が前條第一項又は第三項の規定による承認又は裁定の申請を受けた日から二箇月以内に当該申請に係る農地につき同條第一項又は第三項の規定による承認又は裁定をしない場合において、当該申請をした者がその期間經過後一箇月以内に都道府縣農地委員會に對して当該市町村農地委員會に同條第一項又は第三項の規定による承認又は裁定をすべき旨を指示すべきことを請求したときは、都道府縣農地委員會は、当該市町村農地委員會に對して同條第一項又は第三項の規定により承認又は裁定をすべき旨を指示しなければならない。
前項の場合には、前條第二項の規定を準用する。この場合において、同項第三号中「市町村農地委員會」とあるのは、「都道府縣農地委員會」と読み替えるものとする。
第五條 前二條の規定による處分で違法なものの取消又は變更を求める訴は、昭和二十二年法律第七十五号第八條の規定にかかわらず、当事者がその處分のあつたことを知つた日から一箇月以内にこれを提起しなければならない。但し、處分の日から二箇月を經過したときは、同條の規定にかかわらず、訴を提起することができない。
前項の訴の提起は、前二條の規定による處分の執行を停止しない。
第六條 第九條第三項の改正規定施行後命令で定める時期までは、改正後の第九條第三項(第十四條ノ二において準用する場合を含む。以下同じ。)中「市町村農地委員會ノ承認」とあるのは、「都道府縣知事ノ許可」と、改正後の同條第四項及び第五項中「承認」とあるのは、「許可」と読み替えるものとする。
都道府縣知事は、改正後の第九條第三項及び前項の規定による許可をするには、農地に係る場合にあつては、都道府縣農地委員會の意見、薪炭林、採草地又は放牧地に係る場合にあつては、都道府縣薪炭林等委員會の意見を聽かなければならない。
第七條 第十五條ノ十四の改正規定施行の際現に都道府縣農地委員會の委員たる者は、改正前の同條第三項第一号乃至第三号の規定により互選された委員にあつては改正後の第十五條ノ十七において準用する第十五條ノ二第三項各号の規定により選擧されたものとみなし、改正前の第十五條ノ十四第三項第四号の規定により選任された委員にあつては改正後の第十五條ノ十七において準用する第十五條ノ二第八項の規定により選任されたものとみなす。
第八條 第十五條ノ十八の改正規定施行前にした都道府縣農地委員會又は市町村農地委員會の議決については、同條第一項但書の期間は、この法律施行の日から、これを起算する。