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臨時財産調査令
法令番号: 勅令第八十五號
公布年月日: 昭和21年2月17日
法令の形式: 勅令
沿革
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廃止:
昭和26年11月26日 法律第263号
国立国会図書館『官報』
国立公文書館『御署名原本』
日本法令索引
朕玆ニ緊急ノ必要アリト認メ樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ帝國憲法第八條第一項ニ依リ臨時財產調查令ヲ裁可シ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年二月十七日
內閣總理大臣兼第一復員大臣 第二復員大臣 男爵 幣原喜重郞
內務大臣 三土忠造
司法大臣 岩田宙造
外務大臣 吉田茂
國務大臣 松本烝治
厚生大臣 芦田均
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
商工大臣 小笠原三九郞
國務大臣 小林一三
文部大臣 安倍能成
農林大臣 副島千八
運輸大臣 村上義一
勅令第八十五號
臨時財產調查令
第一條
本令ハ戰時利得ノ排除、國家財政ノ再建、國民經濟ノ安定等ヲ目途トスル新稅ノ創設及確保ニ資スル爲命令ヲ以テ定ムル時期(以下調查時期ト稱ス)ニ於ケル個人及法人ノ財產等ヲ調查スルヲ以テ目的トス
第二條
調查時期ニ於テ左ニ揭グル財產ヲ有スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該財產ニ關スル事項ヲ所轄稅務署ニ申吿スベシ
一
預金、貯金其ノ他此等ニ準ズル債權ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
二
公債、社債、株式其ノ他此等ニ準ズル財產ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
三
手形又ハ小切手ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
四
投資信託ノ受益權ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
五
前各號ニ揭グルモノノ外命令ヲ以テ定ムル財產
前項ノ場合ニ於テ同項ニ規定スル者(其ノ者ガ法人ナルトキハ當該法人ノ代表者及支配人其ノ他ノ代理人)ガ調查時期ニ於テ本州、北海道、四國、九州及命令ヲ以テ定ムル其ノ附屬島嶼ニ住所及居所ヲ有セザルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ同項ニ規定スル者又ハ當該財產ヲ管理スル者同項ノ申吿ヲ爲スベシ
當該有價證券其ノ他當該財產ヲ證スル書面ヲ保管スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本人ニ代リテ第一項ノ申吿ヲ爲スコトヲ得
第三條
調查時期ニ於テ現ニ存スル左ニ揭グル契約ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ契約者又ハ郵便年金受取人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該契約ニ關スル事項ヲ所轄稅務署ニ申吿スベシ
一
生命保險契約
二
金錢信託契約(投資信託契約ヲ除ク)又ハ有價證券信託契約
三
無盡契約
四
郵便年金契約
前條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第四條
日本銀行券預入令第二條第一項ノ規定ニ依ル預金、貯金又ハ金錢信託ヲ爲サントスル者及同條第二項ノ規定ニ依ル支拂ヲ請求セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該預金、貯金、金錢信託又ハ支拂請求ニ關スル事項ヲ所轄稅務署ニ申吿スベシ
第二條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第五條
法人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ調查時期ニ於ケル財產目錄、貸借對照表、動產及債權債務ニ關スル明細書其ノ他ノ書類ヲ作成シ之ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
第六條
命令ヲ以テ定ムル事業ヲ爲ス個人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ調查時期ニ於テ其ノ事業ニ關シテ有スル動產及債權債務ニ關スル事項ヲ所轄稅務署ニ申吿スベシ
第七條
第二條又ハ第三條ノ申吿ヲ爲サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該有價證券其ノ他當該財產又ハ契約ヲ證スル書面ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
第八條
第二條又ハ第三條ノ申吿アリタルトキハ政府ハ當該財產又ハ契約ニ付申吿アリタルコトヲ證スル爲必要ナル措置ヲ爲スモノトス但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ措置ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ規定ニ依リ提出セラレタル當該有價證券其ノ他當該財產又ハ契約ヲ證スル書面ニ政府ノ發行スル證紙ヲ貼附シ之ニ契印スルノ方法其ノ他命令ヲ以テ定ムル方法ニ依リ之ヲ爲ス
第九條
第二條又ハ第三條ノ申吿ヲ爲スベキ財產又ハ契約ニシテ申吿ノ爲サレザルモノニ付テハ命令ヲ以テ其ノ效力ノ制限又ハ處分ノ制限若ハ禁止ニ關シ必要ナル定ヲ爲スコトヲ得
前項ニ規定スル財產及同項ニ規定スル契約ニ基キ契約者、生命保險金若ハ郵便年金ノ受取人又ハ信託ノ受益者ノ有スル權利ハ法律ノ定ムル所ニ依リ之ヲ國庫ニ歸屬セシムルモノトス
第十條
第四條ノ申吿ナキ場合ニ於テハ日本銀行券預入令ニ規定スル金融機關ハ同令第二條ニ規定スル預金、貯金若ハ金錢信託ノ受入又ハ日本銀行券ニ依ル支拂ヲ爲スコトヲ得ズ
第十一條
稅務署長又ハ其ノ代理官ハ調查上必要アルトキハ第五條ノ規定ニ依リ書類ノ提出ヲ爲スベキ義務アル法人又ハ第六條ノ申吿ヲ爲スベキ義務アル個人ニ質問ヲ爲シ又ハ當該事業ニ關スル帳簿書類、財產其ノ他ノ物件ヲ檢查スルコトヲ得
第十二條
大藏大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ郵便官署、銀行其ノ他命令ヲ以テ定ムル法人ヲシテ第二條乃至第四條、第七條及第八條ニ規定スル事項ニ關スル事務ヲ取扱ハシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ同項ノ事務ノ取扱ヲ爲ス法人ノ當該事務ニ從事スル職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス
第十三條
行使ノ目的ヲ以テ第八條第二項ニ規定スル證紙ヲ僞造シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五萬圓以下ノ罰金ニ處ス
僞造ノ證紙ヲ使用シタル者、行使ノ目的ヲ以テ僞造ノ證紙ヲ人ニ交付シ、輸入シ若ハ移入シタル者又ハ第八條第二項ニ規定スル證紙ヲ不正ニ使用シタル者ノ罰亦前項ニ同ジ
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第十四條
第八條ニ規定スル措置ニ關スル事務ニ從事スル者同條第二項又ハ第十二條第一項ノ規定ニ基キ發スル命令ニ違反シテ當該措置ヲ爲シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第十五條
第十條ノ規定ノ違反アリタル場合ニ於テハ其ノ行爲ヲ爲シタル者ヲ三年以下ノ懲役又ハ五萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條
當該官吏其ノ他本令ニ規定スル事項ニ關スル事務ノ取扱ヲ爲ス官署若ハ法人ノ當該事務ニ從事スル職員又ハ此等ノ職ニ在リタル者其ノ事務ニ關シ知得タル祕密ヲ漏泄シ又ハ竊用シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十七條
第十一條ノ規定ニ依ル帳簿書類、財產其ノ他ノ物件ノ檢查ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條ノ規定ニ依ル稅務署長又ハ其ノ代理官ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十八條
第五條ノ規定ニ違反シ當該書類ヲ提出セズ若ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル書類ヲ提出シタルトキ又ハ第六條ノ規定ニ違反シ申吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ申吿ヲ爲シタルトキハ當該法人ノ取締役、理事、淸算人若ハ此等ニ準ズル者又ハ當該個人ヲ一萬圓以下ノ過料ニ處ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕茲ニ緊急ノ必要アリト認メ枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ帝国憲法第八条第一項ニ依リ臨時財産調査令ヲ裁可シ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年二月十七日
内閣総理大臣兼第一復員大臣 第二復員大臣 男爵 幣原喜重郎
内務大臣 三土忠造
司法大臣 岩田宙造
外務大臣 吉田茂
国務大臣 松本烝治
厚生大臣 芦田均
大蔵大臣 子爵 渋沢敬三
商工大臣 小笠原三九郎
国務大臣 小林一三
文部大臣 安倍能成
農林大臣 副島千八
運輸大臣 村上義一
勅令第八十五号
臨時財産調査令
第一条
本令ハ戦時利得ノ排除、国家財政ノ再建、国民経済ノ安定等ヲ目途トスル新税ノ創設及確保ニ資スル為命令ヲ以テ定ムル時期(以下調査時期ト称ス)ニ於ケル個人及法人ノ財産等ヲ調査スルヲ以テ目的トス
第二条
調査時期ニ於テ左ニ掲グル財産ヲ有スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該財産ニ関スル事項ヲ所轄税務署ニ申告スベシ
一
預金、貯金其ノ他此等ニ準ズル債権ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
二
公債、社債、株式其ノ他此等ニ準ズル財産ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
三
手形又ハ小切手ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
四
投資信託ノ受益権ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
五
前各号ニ掲グルモノノ外命令ヲ以テ定ムル財産
前項ノ場合ニ於テ同項ニ規定スル者(其ノ者ガ法人ナルトキハ当該法人ノ代表者及支配人其ノ他ノ代理人)ガ調査時期ニ於テ本州、北海道、四国、九州及命令ヲ以テ定ムル其ノ附属島嶼ニ住所及居所ヲ有セザルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ同項ニ規定スル者又ハ当該財産ヲ管理スル者同項ノ申告ヲ為スベシ
当該有価証券其ノ他当該財産ヲ証スル書面ヲ保管スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本人ニ代リテ第一項ノ申告ヲ為スコトヲ得
第三条
調査時期ニ於テ現ニ存スル左ニ掲グル契約ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ契約者又ハ郵便年金受取人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該契約ニ関スル事項ヲ所轄税務署ニ申告スベシ
一
生命保険契約
二
金銭信託契約(投資信託契約ヲ除ク)又ハ有価証券信託契約
三
無尽契約
四
郵便年金契約
前条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第四条
日本銀行券預入令第二条第一項ノ規定ニ依ル預金、貯金又ハ金銭信託ヲ為サントスル者及同条第二項ノ規定ニ依ル支払ヲ請求セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該預金、貯金、金銭信託又ハ支払請求ニ関スル事項ヲ所轄税務署ニ申告スベシ
第二条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第五条
法人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ調査時期ニ於ケル財産目録、貸借対照表、動産及債権債務ニ関スル明細書其ノ他ノ書類ヲ作成シ之ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
第六条
命令ヲ以テ定ムル事業ヲ為ス個人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ調査時期ニ於テ其ノ事業ニ関シテ有スル動産及債権債務ニ関スル事項ヲ所轄税務署ニ申告スベシ
第七条
第二条又ハ第三条ノ申告ヲ為サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該有価証券其ノ他当該財産又ハ契約ヲ証スル書面ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
第八条
第二条又ハ第三条ノ申告アリタルトキハ政府ハ当該財産又ハ契約ニ付申告アリタルコトヲ証スル為必要ナル措置ヲ為スモノトス但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ措置ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前条ノ規定ニ依リ提出セラレタル当該有価証券其ノ他当該財産又ハ契約ヲ証スル書面ニ政府ノ発行スル証紙ヲ貼附シ之ニ契印スルノ方法其ノ他命令ヲ以テ定ムル方法ニ依リ之ヲ為ス
第九条
第二条又ハ第三条ノ申告ヲ為スベキ財産又ハ契約ニシテ申告ノ為サレザルモノニ付テハ命令ヲ以テ其ノ効力ノ制限又ハ処分ノ制限若ハ禁止ニ関シ必要ナル定ヲ為スコトヲ得
前項ニ規定スル財産及同項ニ規定スル契約ニ基キ契約者、生命保険金若ハ郵便年金ノ受取人又ハ信託ノ受益者ノ有スル権利ハ法律ノ定ムル所ニ依リ之ヲ国庫ニ帰属セシムルモノトス
第十条
第四条ノ申告ナキ場合ニ於テハ日本銀行券預入令ニ規定スル金融機関ハ同令第二条ニ規定スル預金、貯金若ハ金銭信託ノ受入又ハ日本銀行券ニ依ル支払ヲ為スコトヲ得ズ
第十一条
税務署長又ハ其ノ代理官ハ調査上必要アルトキハ第五条ノ規定ニ依リ書類ノ提出ヲ為スベキ義務アル法人又ハ第六条ノ申告ヲ為スベキ義務アル個人ニ質問ヲ為シ又ハ当該事業ニ関スル帳簿書類、財産其ノ他ノ物件ヲ検査スルコトヲ得
第十二条
大蔵大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ郵便官署、銀行其ノ他命令ヲ以テ定ムル法人ヲシテ第二条乃至第四条、第七条及第八条ニ規定スル事項ニ関スル事務ヲ取扱ハシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ同項ノ事務ノ取扱ヲ為ス法人ノ当該事務ニ従事スル職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看做ス
第十三条
行使ノ目的ヲ以テ第八条第二項ニ規定スル証紙ヲ偽造シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス
偽造ノ証紙ヲ使用シタル者、行使ノ目的ヲ以テ偽造ノ証紙ヲ人ニ交付シ、輸入シ若ハ移入シタル者又ハ第八条第二項ニ規定スル証紙ヲ不正ニ使用シタル者ノ罰亦前項ニ同ジ
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第十四条
第八条ニ規定スル措置ニ関スル事務ニ従事スル者同条第二項又ハ第十二条第一項ノ規定ニ基キ発スル命令ニ違反シテ当該措置ヲ為シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス
第十五条
第十条ノ規定ノ違反アリタル場合ニ於テハ其ノ行為ヲ為シタル者ヲ三年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス
第十六条
当該官吏其ノ他本令ニ規定スル事項ニ関スル事務ノ取扱ヲ為ス官署若ハ法人ノ当該事務ニ従事スル職員又ハ此等ノ職ニ在リタル者其ノ事務ニ関シ知得タル秘密ヲ漏泄シ又ハ窃用シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ二十円以下ノ罰金ニ処ス
第十七条
第十一条ノ規定ニ依ル帳簿書類、財産其ノ他ノ物件ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第十一条ノ規定ニ依ル税務署長又ハ其ノ代理官ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ又ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
第十八条
第五条ノ規定ニ違反シ当該書類ヲ提出セズ若ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル書類ヲ提出シタルトキ又ハ第六条ノ規定ニ違反シ申告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ申告ヲ為シタルトキハ当該法人ノ取締役、理事、清算人若ハ此等ニ準ズル者又ハ当該個人ヲ一万円以下ノ過料ニ処ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本文
詳細・沿革