第一條 命令ヲ以テ定ムル種類ノ日本銀行券(以下舊券ト稱ス)ハ命令ヲ以テ定ムル日限强制通用ノ效力ヲ失フモノトス但シ舊券ハ第二條ノ規定ニ依リ金融機關ニ對スル預金、貯金又ハ金錢信託ト爲ス場合ニ付テハ仍强制通用ノ效力ヲ有スルモノト看做ス
第二條 舊券ヲ所持スル者ハ命令ヲ以テ定ムル日迄ニ當該舊券ヲ以テ金融機關ニ對スル預金、貯金又ハ金錢信託ト爲スベシ
命令ヲ以テ定ムル期間內ニ日本銀行ニ對シ舊券ヲ以テ預金ヲ爲ス者ハ預入ト同時ニ命令ヲ以テ定ムル金額ヲ限リ命令ヲ以テ定ムル日本銀行券(以下新券ト稱ス)ニ依リ當該預金ノ支拂ヲ爲スベキコトヲ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル請求アリタル場合ニ於テハ日本銀行ハ直ニ新券ニ依ル支拂ヲ爲スベシ
第三條 郵便官署、日本銀行以外ノ銀行、市町村農業會及市街地信用組合ハ日本銀行ニ代リ前條第二項ニ規定スル舊券ニ依ル預金ノ受入及當該預金ノ新券ニ依ル支拂ニ關スル事務ヲ取扱フベシ
前項ノ事務ノ取扱ニ關シ必要ナル事項ハ大藏大臣之ヲ定ム
第四條 手形、小切手又ハ郵便爲替證書ニシテ第四項ニ規定スル表示ナキモノ其ノ他命令ヲ以テ定ムル之ニ準ズル支拂指圖(以下封鎖支拂指圖ト稱ス)ニ付テハ金融機關ハ第一條ニ規定スル日以前ニ於テハ新券ニ依リ其ノ支拂ヲ爲スコトヲ得ズ
第一條ニ規定スル日ノ翌日ニ於テ現ニ存スル命令ヲ以テ定ムル封鎖支拂指圖ハ遲滯ナク之ヲ金融機關ニ對スル預金、貯金又ハ金錢信託ト爲スベシ
金融緊急措置令ノ適用ニ付テハ金融機關ニ對シ舊券又ハ命令ヲ以テ定ムル封鎖支拂指圖ヲ以テ爲シタル預金其ノ他金融業務上ノ債權ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ之ヲ金融緊急措置令ニ規定スル封鎖預金等ト看做ス但シ第二條第二項ノ規定ニ依リ新券ニ依リ支拂ヲ爲サルル預金ハ此ノ限ニ在ラズ
金融機關ハ命令ヲ以テ定ムル期間內ニ振出シ又ハ發行スル手形、小切手及郵便爲替證書ニハ舊券ノ受入ニ依リ振出シ又ハ發行スルモノヲ除クノ外命令ヲ以テ定ムル表示ヲ爲スベシ
前項ノ場合ヲ除クノ外金融機關ハ手形、小切手又ハ郵便爲替證書ニ同項ノ命令ヲ以テ定ムル表示ヲ爲スコトヲ得ズ
第五條 日本銀行ハ命令ヲ以テ定ムル日ニ於ケル舊券ノ發行高ヲ其ノ翌日ニ於ケル日本銀行券發行高ヨリ除去スベシ
日本銀行ハ特別ノ勘定ヲ設ケ前項ノ規定ニ依リ除去シタル發行高ニ相當スル金額ヲ區分整理スベシ
前項ノ金額ニ相當スル日本銀行ノ財產ノ處分ニ關シテハ大藏大臣之ヲ定ム
第六條 本令ニ於テ金融機關トハ郵便官署、銀行、信託會社、無盡會社、農林中央金庫、商工組合中央金庫、庶民金庫、地方農業會、漁業會及市街地信用組合其ノ他貯金ノ受入ヲ爲ス組合ヲ謂フ
第七條 第二條第一項及第二項ニ規定スル場合ヲ除クノ外第一條ニ規定スル日ノ經過後ニ於テハ舊券ハ之ヲ授受スルコトヲ得ズ
第八條 第二條第二項ニ規定スル金額ヲ超ユル新券ニ依ル支拂又ハ同項ニ規定スル期間經過後ノ請求ニ對スル新券ニ依ル支拂アリタル場合ニ於テハ其ノ行爲ヲ爲シタル者ヲ三年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス第四條第一項、第四項又ハ第五項ノ違反行爲アリタル場合亦同ジ
第九條 第二條第二項ニ規定スル金額ヲ超エテ新券ニ依ル支拂アリタル場合ニ於テハ當該支拂ニ依リ交付ヲ受ケタル新券ノ中同項ニ規定スル金額ヲ超ユルモノハ之ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス同項ニ規定スル期間經過後ノ請求ニ對シ新券ニ依ル支拂アリタル場合ニ於テ當該支拂ニ依リ交付ヲ受ケタル新券ニ付亦同ジ
第十條 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第八條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ行爲ヲ爲シタル者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ對シ亦同條ノ罰金刑ヲ科ス