大東亜戦争中に司法制度を戦時態勢下に置き、司法事務を簡略化する目的で制定された戦時刑事特別法は、終戦後の平時状態への移行に伴い、その制定理由が消滅した。むしろ国民の権利保護の障害となる恐れがあるため廃止する。ただし、現行法中で存続が必要な規定については、附則により最小限度の効力を維持する措置を講じている。本法の廃止により、裁判制度は二審制から三審制に復帰し、裁判所の設立・廃止・管轄区域の決定には法律を要することとなる。また、刑事における裁判所の広範な事物管轄も平時の状態に戻ることとなる。
参照した発言:
第89回帝国議会 貴族院 本会議 第6号