大東亜戦争中に制定された裁判所構成法戦時特例は、戦時下での司法事務の簡略化を目的としていた。しかし終戦後、平時状態に復しつつある現在では、この特例法を維持する必要性が消滅し、むしろ国民の権利保護の障害となる恐れがある。本法案が成立すれば、二審制度から三審制度への復帰、裁判所の設立・廃止・管轄区域を法律で定めること、刑事裁判所の事物管轄の平時化が実現する。ただし、区裁判所の民事訴訟における事物管轄限度二千円など、現状維持が必要な規定については、附則で効力を維持することとした。
参照した発言:
第89回帝国議会 貴族院 本会議 第6号