軍事特別措置法
法令番号: 法律第三十號
公布年月日: 昭和20年3月28日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル軍事特別措置法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年三月二十七日
內閣總理大臣 小磯國昭
海軍大臣 米內光政
陸軍大臣 杉山元
法律第三十號
軍事特別措置法
第一條 本法ハ大東亞戰爭ニ際シ築城、設營其ノ他勅令ヲ以テ定ムル軍事上緊要ナル事項ノ整備ヲ爲スヲ目的トス
本法適用ノ區域ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 政府ハ必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ土地、建物其ノ他ノ工作物又ハ物件ヲ管理、使用又ハ收用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ收用シタル土地、建物其ノ他ノ工作物不用ニ歸シタル場合ニ於テ其ノ處分ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第三條 政府ハ必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ建物其ノ他ノ工作物ニ付移轉、除却其ノ他ノ行爲ヲ命ジ若ハ新築、改築、增築、移轉、除却其ノ他ノ行爲ヲ禁止若ハ制限シ又ハ土石竹木其ノ他ノ物件ニ付移轉、除却其ノ他ノ行爲ヲ命ジ若ハ之ヲ禁止若ハ制限スルコト得
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者其ノ命令ニ從ハザルトキ又ハ緊急ノ必要アルトキハ政府ハ同項ニ揭グル物ニ付移轉、除却其ノ他ノ行爲ヲ爲スコトヲ得
第四條 政府ハ必要アルトキハ住居ノ移轉ヲ命ジ若ハ之ヲ禁止若ハ制限シ、住居ノ指定ヲ爲シ又ハ人ノ移動ヲ命ジ若ハ之ヲ禁止若ハ制限スルコトヲ得
第五條 政府ハ必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ帝國臣民ヲシテ所要ノ業務ニ從事セシメ又ハ帝國法人其ノ他ノ團體ヲシテ之ニ協力セシムルコトヲ得
第六條 政府ハ第二條乃至前條ノ場合ニ於テ必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ立入リ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第七條 政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ第二條乃至第四條ノ規定ニ依ル命令又ハ處分ニ因リ生ジタル損失ヲ補償ス
第八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第二條第一項ノ規定ニ依ル土地、建物其ノ他ノ工作物又ハ物件ノ管理、使用又ハ收用ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
二 第三條第一項又ハ第四條ノ規定ニ依ル命令又ハ禁止若ハ制限ニ違反シタル者
三 第三條第二項ノ規定ニ依ル移轉、除却其ノ他ノ行爲ヲ拒ミ、妨ゲ又忌避シタル者
第九條 第五條ノ規定ニ違反シ所要ノ業務ニ從事セザル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十條 第六條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ立入檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條 第六條ノ規定ニ依ル報吿ヲ怠リ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル軍事特別措置法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年三月二十七日
内閣総理大臣 小磯国昭
海軍大臣 米内光政
陸軍大臣 杉山元
法律第三十号
軍事特別措置法
第一条 本法ハ大東亜戦争ニ際シ築城、設営其ノ他勅令ヲ以テ定ムル軍事上緊要ナル事項ノ整備ヲ為スヲ目的トス
本法適用ノ区域ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 政府ハ必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ土地、建物其ノ他ノ工作物又ハ物件ヲ管理、使用又ハ収用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ収用シタル土地、建物其ノ他ノ工作物不用ニ帰シタル場合ニ於テ其ノ処分ニ関シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第三条 政府ハ必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ建物其ノ他ノ工作物ニ付移転、除却其ノ他ノ行為ヲ命ジ若ハ新築、改築、増築、移転、除却其ノ他ノ行為ヲ禁止若ハ制限シ又ハ土石竹木其ノ他ノ物件ニ付移転、除却其ノ他ノ行為ヲ命ジ若ハ之ヲ禁止若ハ制限スルコト得
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者其ノ命令ニ従ハザルトキ又ハ緊急ノ必要アルトキハ政府ハ同項ニ掲グル物ニ付移転、除却其ノ他ノ行為ヲ為スコトヲ得
第四条 政府ハ必要アルトキハ住居ノ移転ヲ命ジ若ハ之ヲ禁止若ハ制限シ、住居ノ指定ヲ為シ又ハ人ノ移動ヲ命ジ若ハ之ヲ禁止若ハ制限スルコトヲ得
第五条 政府ハ必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ帝国臣民ヲシテ所要ノ業務ニ従事セシメ又ハ帝国法人其ノ他ノ団体ヲシテ之ニ協力セシムルコトヲ得
第六条 政府ハ第二条乃至前条ノ場合ニ於テ必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ立入リ検査ヲ為サシムルコトヲ得
第七条 政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ第二条乃至第四条ノ規定ニ依ル命令又ハ処分ニ因リ生ジタル損失ヲ補償ス
第八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第二条第一項ノ規定ニ依ル土地、建物其ノ他ノ工作物又ハ物件ノ管理、使用又ハ収用ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
二 第三条第一項又ハ第四条ノ規定ニ依ル命令又ハ禁止若ハ制限ニ違反シタル者
三 第三条第二項ノ規定ニ依ル移転、除却其ノ他ノ行為ヲ拒ミ、妨ゲ又忌避シタル者
第九条 第五条ノ規定ニ違反シ所要ノ業務ニ従事セザル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第十条 第六条ノ規定ニ依ル当該官吏ノ立入検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第十一条 第六条ノ規定ニ依ル報告ヲ怠リ又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム