関東州少年令
法令番号: 勅令第六百二十九號
公布年月日: 昭和19年11月11日
法令の形式: 勅令
朕關東州少年令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年十一月十日
內閣總理大臣 小磯國昭
海軍大臣 米內光政
大東亞大臣 重光葵
陸軍大臣 杉山元
勅令第六百二十九號
關東州少年令
第一章 通則
第一條 本令ニ於テ少年トハ二十歲ニ滿タザル者ヲ謂フ
第二條 少年ノ刑事處分ニ關スル事項ハ本令ニ定ムルモノノ外一般ノ例ニ依ル
第三條 本令ハ陸軍刑法第八條及第九條竝ニ海軍刑法第八條及第九條ニ揭グル者ニハ之ヲ適用セズ
前項ニ規定スル者ノ刑事處分ニ關シテハ少年法第一條、第二條、第七條、第八條及第十條乃至第十四條ノ規定ニ依ル
第二章 保護處分
第四條 刑罰法令ニ觸ルル行爲ヲ爲シ又ハ刑罰法令ニ觸ルル行爲ヲ爲ス虞アル少年ニ對シテハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 條件ヲ附シテ保護者ニ引渡スコト
二 寺院、敎會、保護團體又ハ適當ナル者ニ委託スルコト
三 關東少年保護司ノ觀察ニ付スルコト
四 關東少年院ニ送致スルコト
五 病院ニ送致又ハ委託スルコト
前項各號ノ處分ハ適宜併セテ之ヲ爲スコトヲ得
第五條 前條第一項第二號乃至第五號ノ處分ハ二十五歲ニ至ル迄其ノ執行ヲ繼續シ又ハ其ノ執行ノ繼續中何時ニテモ之ヲ取消シ若ハ變更スルコトヲ得
第六條 少年ニシテ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ受ケ又ハ假出獄ヲ許サレタル者ハ猶豫又ハ假出獄ノ期間內少年保護司ノ觀察ニ付ス
前項ノ場合ニ於テ必要アルトキハ第四條第一項第一號、第二號、第四號又ハ第五號ノ處分ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ第四條第一項第四號ノ處分ヲ爲シタルトキハ其ノ執行ノ繼續中少年保護司ノ觀察ヲ停止ス
第三章 刑事處分
第七條 罪ヲ犯ス時十六歲ニ滿タザル者ニハ死刑及無期刑ヲ科セズ死刑又ハ無期刑ヲ以テ處斷スベキトキハ十年以上十五年以下ニ於テ懲役又ハ禁錮ヲ科ス
前項ノ規定ハ關東州裁判事務取扱令ニ於テ依ルコトヲ定メタル刑法第七十三條、第七十五條又ハ第二百條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ之ヲ適用セズ
第八條 少年ニ對シ長期三年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ヲ以テ處斷スベキトキハ其ノ刑ノ範圍內ニ於テ短期ト長期トヲ定メ之ヲ言渡ス但シ短期五年ヲ超ユル刑ヲ以テ處斷スベキトキハ短期ヲ五年ニ短縮ス
前項ノ規定ニ依リ言渡スベキ刑ノ短期ハ五年ヲ、長期ハ十年ヲ超ユルコトヲ得ズ
前二項ノ規定ハ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ爲スベキ場合ニハ之ヲ適用セズ
第九條 懲役又ハ禁錮ノ言渡ヲ受ケタル少年ニ對シテハ特ニ設ケタル監獄又ハ監獄內ノ特ニ分界ヲ設ケタル場所ニ於テ其ノ刑ヲ執行ス
本人二十歲ニ達シタル後ト雖モ二十五歲ニ至ル迄ハ前項ノ規定ニ依リ執行ヲ繼續スルコトヲ得
第十條 少年ニシテ懲役又ハ禁錮ノ言渡ヲ受ケタル者ニハ左ノ期間ヲ經過シタル後假出獄ヲ許スコトヲ得
一 無期刑ニ付テハ七年
二 第七條第一項ノ規定ニ依リ言渡シタル刑ニ付テハ三年
三 第八條第一項及第二項ノ規定ニ依リ言渡シタル刑ニ付テハ其ノ刑ノ短期ノ三分ノ一
第十一條 少年ニシテ無期刑ノ言渡ヲ受ケタル者假出獄ヲ許サレタル後其ノ處分ヲ取消サルルコトナクシテ十年ヲ經過シタルトキハ刑ノ執行終リタルモノトス
少年ニシテ第七條第一項又ハ第八條第一項及第二項ノ規定ニ依リ刑ノ言渡ヲ受ケタル者假出獄ヲ許サレタル後其ノ處分ヲ取消サルルコトナクシテ假出獄前ニ刑ノ執行ヲ爲シタルト同一ノ期間ヲ經過シタルトキ亦前項ニ同ジ
第十二條 少年ノ假出獄ニ關スル規程ハ滿洲國駐箚特命全權大使之ヲ定ム
第十三條 少年ニ對シテハ勞役場留置ノ言渡ヲ爲サズ
第十四條 少年ノ時犯シタル罪ニ因リ死刑又ハ無期刑ニ非ザル刑ニ處セラレタル者ニシテ其ノ執行ヲ終ヘ又ハ執行免除ヲ受ケタルモノハ人ノ資格ニ關スル法令ノ適用ニ付テハ將來ニ向テ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス
少年ノ時犯シタル罪ニ付刑ニ處セラレタル者ニシテ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ受ケタルモノハ其ノ猶豫期間中刑ノ執行ヲ終ヘタルモノト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
前項ノ場合ニ於テ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ取消サレタルトキハ人ノ資格ニ關スル法令ノ適用ニ付テハ其ノ取消サレタル時刑ノ言渡アリタルモノト看做ス
第四章 少年審判手續
第十五條 關東高等法院上吿部ノ特別權限ニ屬スル罪ヲ犯シタル者ハ關東少年審判所ノ審判ニ付セズ
第十六條 左ニ記載シタル者ハ法院又ハ檢察官ヨリ送致ヲ受ケタル場合ヲ除クノ外少年審判所ノ審判ニ付セズ
一 死刑、無期又ハ短期三年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ該ルベキ罪ヲ犯シタル者
二 十六歲以上ニシテ罪ヲ犯シタル者
第十七條 刑事手續ニ依リ審理中ノ者ハ少年審判所ノ審判ニ付セズ
第十八條 少年審判所ニ於テ保護處分ヲ爲スベキ少年アルコトヲ認知シタル者ハ之ヲ少年審判所又ハ其ノ職員ニ通吿スベシ
第十九條 通吿ヲ爲スニハ其ノ事由ヲ開示シ成ルベク本人及其ノ保護者ノ氏名、住所、年齡、職業、性行等ヲ申立テ且參考ト爲ルベキ資料ヲ差出スベシ
通吿ハ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得口頭ノ通吿アリタル場合ニ於テハ少年審判所ノ職員其ノ申立ヲ錄取スベシ
第二十條 少年審判所審判ニ付スベキ少年アリト思料シタルトキハ事件ノ關係及本人ノ性行、境遇、經歷、心身ノ狀況、敎育ノ程度等ヲ調査スベシ
心身ノ狀況ニ付テハ成ルベク醫師ヲシテ診察ヲ爲サシムベシ
第二十一條 少年審判所ハ少年保護司ニ命ジテ必要ナル調査ヲ爲サシムベシ
第二十二條 少年審判所ハ事實ノ取調ヲ保護者ニ命ジ又ハ之ヲ保護團體ニ囑託スルコトヲ得
保護者及保護團體ハ參考ト爲ルベキ資料ヲ差出スコトヲ得
第二十三條 少年審判所ハ參考人ニ出頭ヲ命ジ調査ノ爲必要ナル事實ノ供述又ハ鑑定ヲ爲サシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ供述又ハ鑑定ノ要領ヲ錄取スベシ
第二十四條 參考人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ費用ヲ請求スルコトヲ得
第二十五條 少年審判所及少年保護司ハ其ノ職務ヲ行フニ付公務所又ハ公務員ニ對シ囑託ヲ爲シ其ノ他必要ナル補助ヲ求ムルコトヲ得
第二十六條 少年審判所ハ必要ニ依リ何時ニテモ少年保護司ヲシテ本人ヲ同行セシムルコトヲ得
第二十七條 少年審判所ハ事情ニ從ヒ本人ニ對シ假ニ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 條件ヲ附シ又ハ附セズシテ保護者ニ預クルコト
二 寺院、敎會、保護團體又ハ適當ナル者ニ委託スルコト
三 病院ニ委託スルコト
四 少年保護司ノ觀察ニ付スルコト
已ムコトヲ得ザル場合ニ於テハ本人ヲ假ニ少年院ニ委託スルコトヲ得
第一項第一號乃至第三號ノ處分アリタルトキハ本人ヲ少年保護司ノ觀察ニ付ス
第二十八條 前條ノ處分ハ何時ニテモ之ヲ取消シ又ハ變更スルコトヲ得
第二十九條 前三條ノ規定ニ依ル處分ヲ爲シタル場合ニ於テハ速ニ其ノ旨ヲ保護者ニ通知スベシ
第三十條 少年審判所調査ノ結果ニ因リ審判ヲ開始スベキモノト思料シタルトキハ審判期日ヲ定ムベシ
第三十一條 審判ヲ開始セザル場合ニ於テハ第二十七條ノ處分ハ之ヲ取消スベシ
第二十九條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十二條 少年審判所審判ヲ開始スル場合ニ於テ必要アルトキハ本人ノ爲附添人ヲ附スルコトヲ得
本人、保護者又ハ保護團體ハ少年審判所ノ許可ヲ受ケ附添人ヲ選任スルコトヲ得
附添人ハ保護事業ニ從事スル者又ハ少年審判所ノ許可ヲ受ケタル者ヲ以テ之ニ充ツベシ
第三十三條 審判期日ニハ關東少年審判官及關東少年審判所書記出席スベシ
少年保護司ハ審判期日ニ出席スルコトヲ得
審判期日ニハ本人、保護者及附添人ヲ呼出スベシ但シ實益ナシト認ムルトキハ保護者ハ之ヲ呼出サザルコトヲ得
第三十四條 少年保護司、保護者及附添人ハ審判ノ席ニ於テ意見ヲ陳述スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ本人ヲ退席セシムベシ但シ相當ノ事由アルトキハ本人ヲ在席セシムルコトヲ得
第三十五條 審判ハ之ヲ公行セズ但シ少年審判所ハ本人ノ親族、保護事業ニ從事スル者其ノ他相當ト認ムル者ニ在席ヲ許スコトヲ得
第三十六條 少年審判所審理ヲ終ヘタルトキハ第三十七條乃至第四十一條ノ規定ニ依リ終結處分ヲ爲スベシ
第三十七條 刑事訴追ノ必要アリト認メタルトキハ事件ヲ管轄法院ノ檢察官ニ送致スベシ
法院又ハ檢察官ヨリ送致ヲ受ケタル事件ニ付新ナル事實ノ發見ニ因リ刑事訴追ノ必要アリト認メタルトキハ管轄法院ノ檢察官ノ意見ヲ聽キ前項ノ手續ヲ爲スベシ
前二項ノ規定ニ依ル處分ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ本人及保護者ニ通知スベシ
檢察官ハ第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ送致ヲ受ケタル事件ニ付爲シタル處分ヲ少年審判所ニ通知スベシ
第三十八條 條件ヲ附シテ保護者ニ引渡スベキモノト認メタルトキハ保護者ニ對シ本人ノ保護監督ニ付必要ナル條件ヲ指示シ本人ヲ引渡スベシ
第三十九條 寺院、敎會、保護團體又ハ適當ナル者ニ委託スベキモノト認メタルトキハ委託ヲ受クベキ者ニ對シ本人ノ處遇ニ付參考ト爲ルベキ事項ヲ指示シ保護監督ノ任務ヲ委囑スベシ
第四十條 少年保護司ノ觀察ニ付スベキモノト認メタルトキハ少年保護司ニ對シ本人ノ保護監督ニ付必要ナル事項ヲ指示シ觀察ニ付スベシ
第四十一條 少年院又ハ病院ニ送致又ハ委託スベキモノト認メタルトキハ其ノ長ニ對シ本人ノ處遇ニ付參考ト爲ルベキ事項ヲ指示シ本人ヲ引渡スベシ
第四十二條 少年審判所ノ審判ニ付テハ始末書ヲ作リ審判ヲ經タル事件及終結處分ヲ明確ニシ其ノ他必要ト認メタル事項ヲ記載スベシ
第四十三條 少年審判所第三十八條、第三十九條又ハ第四十一條ノ規定ニ依ル處分ヲ爲シタルトキハ保護者、受託者又ハ少年院若ハ病院ノ長ニ對シ成績報吿ヲ求ムルコトヲ得
第四十四條 少年審判所第三十八條又ハ第三十九條ノ規定ニ依ル處分ヲ爲シタルトキハ少年保護司ヲシテ其ノ成績ヲ視察シ適當ナル指示ヲ爲サシムルコトヲ得
第四十五條 少年審判所第三十八條乃至第四十一條ノ規定ニ依ル處分ヲ爲シタル後審判ヲ經タル事件第十五條又ハ第十六條第一號ニ記載シタルモノナルコトヲ發見シタルトキハ法院又ハ檢察官ヨリ送致ヲ受ケタル場合ト雖モ管轄法院ノ檢察官ノ意見ヲ聽キ處分ヲ取消シ事件ヲ檢察官ニ送致スベシ
禁錮以上ノ刑ニ該ル罪ヲ犯シタル者ニ付第四條第一項第二號又ハ第四號ノ處分ヲ繼續スルニ適セザル事情アリト認メタルトキ亦前項ニ同ジ
第四十六條 少年審判所本人ヲ寺院、敎會、保護團體若ハ適當ナル者ニ委託シ又ハ病院ニ送致若ハ委託シタルトキハ委託又ハ送致ヲ受ケタル者ニ對シ之ニ因リ生ジタル費用ノ全部又ハ一部ヲ給付スルコトヲ得
第四十七條 第二十四條及前條ノ費用竝ニ少年院ニ於テ生ジタル費用ハ少年審判所ノ命令ニ依リ本人又ハ本人ヲ扶養スル義務アル者ヨリ全部又ハ一部ヲ徵收スルコトヲ得
關東州裁判事務取扱令ニ於テ依ルコトヲ定メタル非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前項ノ費用ノ徵收ニ之ヲ準用ス
第五章 刑事手續
第四十八條 檢察官少年ニ對スル刑事事件ニ付第四條ノ處分ヲ爲スヲ相當ト思料シタルトキハ事件ヲ少年審判所ニ送致スベシ
第四十九條 第四條ノ處分ヲ受ケタル少年ニ對シテハ審判ヲ經タル事件又ハ之ヨリ輕キ刑ニ該ルベキ事件ニシテ處分前ニ犯シタルモノニ付刑事訴追ヲ爲スコトヲ得ズ但シ第四十五條ノ規定ニ依リ處分ヲ取消シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第五十條 少年ニ對スル刑事事件ニ付テハ第二十條ノ調査ヲ爲スベシ
少年ノ身上ニ關スル事項ノ調査ハ少年保護司ニ囑託シテ之ヲ爲サシムルコトヲ得
第五十一條 法院ハ公判期日前前條ノ調査ヲ爲シ又ハ受命判官ヲシテ之ヲ爲サシムルコトヲ得
第五十二條 法院又ハ豫審判官ハ職權ヲ以テ又ハ檢察官ノ申立ニ因リ第二十七條ノ規定ニ依ル處分ヲ爲スコトヲ得
檢察官又ハ司法警察官ハ關東州裁判事務取扱令ニ依リ勾留ヲ爲シ得ル事由アル場合ニ於テハ前項ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十八條及第二十九條ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五十三條 勾留狀ハ已ムコトヲ得ザル場合ニ非ザレバ少年ニ對シテ之ヲ發スルコトヲ得ズ
拘置監ニ於テハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外少年ヲ獨居セシムベシ
第五十四條 少年ノ被吿人ハ他ノ被吿人ト分離シ其ノ接觸ヲ避ケシムベシ
第五十五條 少年ニ對スル被吿事件ハ他ノ被吿事件ト牽連スル場合ト雖モ審理ニ妨ナキ限リ其ノ手續ヲ分離スベシ
第五十六條 法院ハ事情ニ依リ公判中一時少年ノ被吿人ヲ退廷セシムルコトヲ得
第五十七條 第一審法院又ハ控訴法院審理ノ結果ニ因リ被吿人ニ對シ第四條ノ處分ヲ爲スヲ相當ト認メタルトキハ少年審判所ニ送致スル旨ノ決定ヲ爲スベシ
檢察官ハ前項ノ決定ニ對シ卽時抗吿ヲ爲スコトヲ得
第五十八條 第五十二條第一項又ハ第二項ノ處分ハ事件ヲ少年審判所ニ送致スル場合ヲ除クノ外事件ヲ終局セシムル裁判ノ確定ニ因リ其ノ效力ヲ失フ
檢察官公訴ヲ提起セザルトキハ事件ヲ少年審判所ニ送致スル場合ヲ除クノ外第五十二條第二項ノ處分ヲ取消スベシ
第二十九條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
事件ヲ少年審判所ニ送致スル場合ニ於テハ第五十二條第一項又ハ第二項ノ處分ハ前條第一項ノ決定確定シタル時又ハ第四十八條ノ規定ニ依ル檢察官ノ處分アリタル時ニ於テ少年審判所之ヲ爲シタルモノト看做ス
第五十九條 第三十二條、第三十三條第二項第三項及第三十四條ノ規定ハ公判ノ手續ニ、第四十六條及第四十七條ノ規定ハ搜査、豫審又ハ公判ノ手續ニ之ヲ準用ス
第六章 罰則
第六十條 少年審判所ノ事件又ハ少年ニ對スル刑事事件ニ係ル事項ハ之ヲ新聞紙其ノ他ノ出版物ニ揭載スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シタルトキハ新聞紙ニ在リテハ編輯人及發行人、其ノ他ノ出版物ニ在リテハ著作者及發行者ヲ一年以下ノ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
本令施行ノ期日ハ大使之ヲ定ム
關東州思想犯保護觀察令第一項中「、第十二條」ヲ削リ「非訟事件手續法トス」ヲ「非訟事件手續法、少年法トアルハ關東州少年令トス」ニ改ム
朕関東州少年令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年十一月十日
内閣総理大臣 小磯国昭
海軍大臣 米内光政
大東亜大臣 重光葵
陸軍大臣 杉山元
勅令第六百二十九号
関東州少年令
第一章 通則
第一条 本令ニ於テ少年トハ二十歳ニ満タザル者ヲ謂フ
第二条 少年ノ刑事処分ニ関スル事項ハ本令ニ定ムルモノノ外一般ノ例ニ依ル
第三条 本令ハ陸軍刑法第八条及第九条並ニ海軍刑法第八条及第九条ニ掲グル者ニハ之ヲ適用セズ
前項ニ規定スル者ノ刑事処分ニ関シテハ少年法第一条、第二条、第七条、第八条及第十条乃至第十四条ノ規定ニ依ル
第二章 保護処分
第四条 刑罰法令ニ触ルル行為ヲ為シ又ハ刑罰法令ニ触ルル行為ヲ為ス虞アル少年ニ対シテハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 条件ヲ附シテ保護者ニ引渡スコト
二 寺院、教会、保護団体又ハ適当ナル者ニ委託スルコト
三 関東少年保護司ノ観察ニ付スルコト
四 関東少年院ニ送致スルコト
五 病院ニ送致又ハ委託スルコト
前項各号ノ処分ハ適宜併セテ之ヲ為スコトヲ得
第五条 前条第一項第二号乃至第五号ノ処分ハ二十五歳ニ至ル迄其ノ執行ヲ継続シ又ハ其ノ執行ノ継続中何時ニテモ之ヲ取消シ若ハ変更スルコトヲ得
第六条 少年ニシテ刑ノ執行猶予ノ言渡ヲ受ケ又ハ仮出獄ヲ許サレタル者ハ猶予又ハ仮出獄ノ期間内少年保護司ノ観察ニ付ス
前項ノ場合ニ於テ必要アルトキハ第四条第一項第一号、第二号、第四号又ハ第五号ノ処分ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ第四条第一項第四号ノ処分ヲ為シタルトキハ其ノ執行ノ継続中少年保護司ノ観察ヲ停止ス
第三章 刑事処分
第七条 罪ヲ犯ス時十六歳ニ満タザル者ニハ死刑及無期刑ヲ科セズ死刑又ハ無期刑ヲ以テ処断スベキトキハ十年以上十五年以下ニ於テ懲役又ハ禁錮ヲ科ス
前項ノ規定ハ関東州裁判事務取扱令ニ於テ依ルコトヲ定メタル刑法第七十三条、第七十五条又ハ第二百条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ之ヲ適用セズ
第八条 少年ニ対シ長期三年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ヲ以テ処断スベキトキハ其ノ刑ノ範囲内ニ於テ短期ト長期トヲ定メ之ヲ言渡ス但シ短期五年ヲ超ユル刑ヲ以テ処断スベキトキハ短期ヲ五年ニ短縮ス
前項ノ規定ニ依リ言渡スベキ刑ノ短期ハ五年ヲ、長期ハ十年ヲ超ユルコトヲ得ズ
前二項ノ規定ハ刑ノ執行猶予ノ言渡ヲ為スベキ場合ニハ之ヲ適用セズ
第九条 懲役又ハ禁錮ノ言渡ヲ受ケタル少年ニ対シテハ特ニ設ケタル監獄又ハ監獄内ノ特ニ分界ヲ設ケタル場所ニ於テ其ノ刑ヲ執行ス
本人二十歳ニ達シタル後ト雖モ二十五歳ニ至ル迄ハ前項ノ規定ニ依リ執行ヲ継続スルコトヲ得
第十条 少年ニシテ懲役又ハ禁錮ノ言渡ヲ受ケタル者ニハ左ノ期間ヲ経過シタル後仮出獄ヲ許スコトヲ得
一 無期刑ニ付テハ七年
二 第七条第一項ノ規定ニ依リ言渡シタル刑ニ付テハ三年
三 第八条第一項及第二項ノ規定ニ依リ言渡シタル刑ニ付テハ其ノ刑ノ短期ノ三分ノ一
第十一条 少年ニシテ無期刑ノ言渡ヲ受ケタル者仮出獄ヲ許サレタル後其ノ処分ヲ取消サルルコトナクシテ十年ヲ経過シタルトキハ刑ノ執行終リタルモノトス
少年ニシテ第七条第一項又ハ第八条第一項及第二項ノ規定ニ依リ刑ノ言渡ヲ受ケタル者仮出獄ヲ許サレタル後其ノ処分ヲ取消サルルコトナクシテ仮出獄前ニ刑ノ執行ヲ為シタルト同一ノ期間ヲ経過シタルトキ亦前項ニ同ジ
第十二条 少年ノ仮出獄ニ関スル規程ハ満洲国駐箚特命全権大使之ヲ定ム
第十三条 少年ニ対シテハ労役場留置ノ言渡ヲ為サズ
第十四条 少年ノ時犯シタル罪ニ因リ死刑又ハ無期刑ニ非ザル刑ニ処セラレタル者ニシテ其ノ執行ヲ終ヘ又ハ執行免除ヲ受ケタルモノハ人ノ資格ニ関スル法令ノ適用ニ付テハ将来ニ向テ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス
少年ノ時犯シタル罪ニ付刑ニ処セラレタル者ニシテ刑ノ執行猶予ノ言渡ヲ受ケタルモノハ其ノ猶予期間中刑ノ執行ヲ終ヘタルモノト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
前項ノ場合ニ於テ刑ノ執行猶予ノ言渡ヲ取消サレタルトキハ人ノ資格ニ関スル法令ノ適用ニ付テハ其ノ取消サレタル時刑ノ言渡アリタルモノト看做ス
第四章 少年審判手続
第十五条 関東高等法院上告部ノ特別権限ニ属スル罪ヲ犯シタル者ハ関東少年審判所ノ審判ニ付セズ
第十六条 左ニ記載シタル者ハ法院又ハ検察官ヨリ送致ヲ受ケタル場合ヲ除クノ外少年審判所ノ審判ニ付セズ
一 死刑、無期又ハ短期三年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ該ルベキ罪ヲ犯シタル者
二 十六歳以上ニシテ罪ヲ犯シタル者
第十七条 刑事手続ニ依リ審理中ノ者ハ少年審判所ノ審判ニ付セズ
第十八条 少年審判所ニ於テ保護処分ヲ為スベキ少年アルコトヲ認知シタル者ハ之ヲ少年審判所又ハ其ノ職員ニ通告スベシ
第十九条 通告ヲ為スニハ其ノ事由ヲ開示シ成ルベク本人及其ノ保護者ノ氏名、住所、年齢、職業、性行等ヲ申立テ且参考ト為ルベキ資料ヲ差出スベシ
通告ハ書面又ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得口頭ノ通告アリタル場合ニ於テハ少年審判所ノ職員其ノ申立ヲ録取スベシ
第二十条 少年審判所審判ニ付スベキ少年アリト思料シタルトキハ事件ノ関係及本人ノ性行、境遇、経歴、心身ノ状況、教育ノ程度等ヲ調査スベシ
心身ノ状況ニ付テハ成ルベク医師ヲシテ診察ヲ為サシムベシ
第二十一条 少年審判所ハ少年保護司ニ命ジテ必要ナル調査ヲ為サシムベシ
第二十二条 少年審判所ハ事実ノ取調ヲ保護者ニ命ジ又ハ之ヲ保護団体ニ嘱託スルコトヲ得
保護者及保護団体ハ参考ト為ルベキ資料ヲ差出スコトヲ得
第二十三条 少年審判所ハ参考人ニ出頭ヲ命ジ調査ノ為必要ナル事実ノ供述又ハ鑑定ヲ為サシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ供述又ハ鑑定ノ要領ヲ録取スベシ
第二十四条 参考人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ費用ヲ請求スルコトヲ得
第二十五条 少年審判所及少年保護司ハ其ノ職務ヲ行フニ付公務所又ハ公務員ニ対シ嘱託ヲ為シ其ノ他必要ナル補助ヲ求ムルコトヲ得
第二十六条 少年審判所ハ必要ニ依リ何時ニテモ少年保護司ヲシテ本人ヲ同行セシムルコトヲ得
第二十七条 少年審判所ハ事情ニ従ヒ本人ニ対シ仮ニ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 条件ヲ附シ又ハ附セズシテ保護者ニ預クルコト
二 寺院、教会、保護団体又ハ適当ナル者ニ委託スルコト
三 病院ニ委託スルコト
四 少年保護司ノ観察ニ付スルコト
已ムコトヲ得ザル場合ニ於テハ本人ヲ仮ニ少年院ニ委託スルコトヲ得
第一項第一号乃至第三号ノ処分アリタルトキハ本人ヲ少年保護司ノ観察ニ付ス
第二十八条 前条ノ処分ハ何時ニテモ之ヲ取消シ又ハ変更スルコトヲ得
第二十九条 前三条ノ規定ニ依ル処分ヲ為シタル場合ニ於テハ速ニ其ノ旨ヲ保護者ニ通知スベシ
第三十条 少年審判所調査ノ結果ニ因リ審判ヲ開始スベキモノト思料シタルトキハ審判期日ヲ定ムベシ
第三十一条 審判ヲ開始セザル場合ニ於テハ第二十七条ノ処分ハ之ヲ取消スベシ
第二十九条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十二条 少年審判所審判ヲ開始スル場合ニ於テ必要アルトキハ本人ノ為附添人ヲ附スルコトヲ得
本人、保護者又ハ保護団体ハ少年審判所ノ許可ヲ受ケ附添人ヲ選任スルコトヲ得
附添人ハ保護事業ニ従事スル者又ハ少年審判所ノ許可ヲ受ケタル者ヲ以テ之ニ充ツベシ
第三十三条 審判期日ニハ関東少年審判官及関東少年審判所書記出席スベシ
少年保護司ハ審判期日ニ出席スルコトヲ得
審判期日ニハ本人、保護者及附添人ヲ呼出スベシ但シ実益ナシト認ムルトキハ保護者ハ之ヲ呼出サザルコトヲ得
第三十四条 少年保護司、保護者及附添人ハ審判ノ席ニ於テ意見ヲ陳述スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ本人ヲ退席セシムベシ但シ相当ノ事由アルトキハ本人ヲ在席セシムルコトヲ得
第三十五条 審判ハ之ヲ公行セズ但シ少年審判所ハ本人ノ親族、保護事業ニ従事スル者其ノ他相当ト認ムル者ニ在席ヲ許スコトヲ得
第三十六条 少年審判所審理ヲ終ヘタルトキハ第三十七条乃至第四十一条ノ規定ニ依リ終結処分ヲ為スベシ
第三十七条 刑事訴追ノ必要アリト認メタルトキハ事件ヲ管轄法院ノ検察官ニ送致スベシ
法院又ハ検察官ヨリ送致ヲ受ケタル事件ニ付新ナル事実ノ発見ニ因リ刑事訴追ノ必要アリト認メタルトキハ管轄法院ノ検察官ノ意見ヲ聴キ前項ノ手続ヲ為スベシ
前二項ノ規定ニ依ル処分ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ本人及保護者ニ通知スベシ
検察官ハ第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ送致ヲ受ケタル事件ニ付為シタル処分ヲ少年審判所ニ通知スベシ
第三十八条 条件ヲ附シテ保護者ニ引渡スベキモノト認メタルトキハ保護者ニ対シ本人ノ保護監督ニ付必要ナル条件ヲ指示シ本人ヲ引渡スベシ
第三十九条 寺院、教会、保護団体又ハ適当ナル者ニ委託スベキモノト認メタルトキハ委託ヲ受クベキ者ニ対シ本人ノ処遇ニ付参考ト為ルベキ事項ヲ指示シ保護監督ノ任務ヲ委嘱スベシ
第四十条 少年保護司ノ観察ニ付スベキモノト認メタルトキハ少年保護司ニ対シ本人ノ保護監督ニ付必要ナル事項ヲ指示シ観察ニ付スベシ
第四十一条 少年院又ハ病院ニ送致又ハ委託スベキモノト認メタルトキハ其ノ長ニ対シ本人ノ処遇ニ付参考ト為ルベキ事項ヲ指示シ本人ヲ引渡スベシ
第四十二条 少年審判所ノ審判ニ付テハ始末書ヲ作リ審判ヲ経タル事件及終結処分ヲ明確ニシ其ノ他必要ト認メタル事項ヲ記載スベシ
第四十三条 少年審判所第三十八条、第三十九条又ハ第四十一条ノ規定ニ依ル処分ヲ為シタルトキハ保護者、受託者又ハ少年院若ハ病院ノ長ニ対シ成績報告ヲ求ムルコトヲ得
第四十四条 少年審判所第三十八条又ハ第三十九条ノ規定ニ依ル処分ヲ為シタルトキハ少年保護司ヲシテ其ノ成績ヲ視察シ適当ナル指示ヲ為サシムルコトヲ得
第四十五条 少年審判所第三十八条乃至第四十一条ノ規定ニ依ル処分ヲ為シタル後審判ヲ経タル事件第十五条又ハ第十六条第一号ニ記載シタルモノナルコトヲ発見シタルトキハ法院又ハ検察官ヨリ送致ヲ受ケタル場合ト雖モ管轄法院ノ検察官ノ意見ヲ聴キ処分ヲ取消シ事件ヲ検察官ニ送致スベシ
禁錮以上ノ刑ニ該ル罪ヲ犯シタル者ニ付第四条第一項第二号又ハ第四号ノ処分ヲ継続スルニ適セザル事情アリト認メタルトキ亦前項ニ同ジ
第四十六条 少年審判所本人ヲ寺院、教会、保護団体若ハ適当ナル者ニ委託シ又ハ病院ニ送致若ハ委託シタルトキハ委託又ハ送致ヲ受ケタル者ニ対シ之ニ因リ生ジタル費用ノ全部又ハ一部ヲ給付スルコトヲ得
第四十七条 第二十四条及前条ノ費用並ニ少年院ニ於テ生ジタル費用ハ少年審判所ノ命令ニ依リ本人又ハ本人ヲ扶養スル義務アル者ヨリ全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヲ得
関東州裁判事務取扱令ニ於テ依ルコトヲ定メタル非訟事件手続法第二百八条ノ規定ハ前項ノ費用ノ徴収ニ之ヲ準用ス
第五章 刑事手続
第四十八条 検察官少年ニ対スル刑事事件ニ付第四条ノ処分ヲ為スヲ相当ト思料シタルトキハ事件ヲ少年審判所ニ送致スベシ
第四十九条 第四条ノ処分ヲ受ケタル少年ニ対シテハ審判ヲ経タル事件又ハ之ヨリ軽キ刑ニ該ルベキ事件ニシテ処分前ニ犯シタルモノニ付刑事訴追ヲ為スコトヲ得ズ但シ第四十五条ノ規定ニ依リ処分ヲ取消シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第五十条 少年ニ対スル刑事事件ニ付テハ第二十条ノ調査ヲ為スベシ
少年ノ身上ニ関スル事項ノ調査ハ少年保護司ニ嘱託シテ之ヲ為サシムルコトヲ得
第五十一条 法院ハ公判期日前前条ノ調査ヲ為シ又ハ受命判官ヲシテ之ヲ為サシムルコトヲ得
第五十二条 法院又ハ予審判官ハ職権ヲ以テ又ハ検察官ノ申立ニ因リ第二十七条ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得
検察官又ハ司法警察官ハ関東州裁判事務取扱令ニ依リ勾留ヲ為シ得ル事由アル場合ニ於テハ前項ノ処分ヲ為スコトヲ得
第二十八条及第二十九条ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五十三条 勾留状ハ已ムコトヲ得ザル場合ニ非ザレバ少年ニ対シテ之ヲ発スルコトヲ得ズ
拘置監ニ於テハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外少年ヲ独居セシムベシ
第五十四条 少年ノ被告人ハ他ノ被告人ト分離シ其ノ接触ヲ避ケシムベシ
第五十五条 少年ニ対スル被告事件ハ他ノ被告事件ト牽連スル場合ト雖モ審理ニ妨ナキ限リ其ノ手続ヲ分離スベシ
第五十六条 法院ハ事情ニ依リ公判中一時少年ノ被告人ヲ退廷セシムルコトヲ得
第五十七条 第一審法院又ハ控訴法院審理ノ結果ニ因リ被告人ニ対シ第四条ノ処分ヲ為スヲ相当ト認メタルトキハ少年審判所ニ送致スル旨ノ決定ヲ為スベシ
検察官ハ前項ノ決定ニ対シ即時抗告ヲ為スコトヲ得
第五十八条 第五十二条第一項又ハ第二項ノ処分ハ事件ヲ少年審判所ニ送致スル場合ヲ除クノ外事件ヲ終局セシムル裁判ノ確定ニ因リ其ノ効力ヲ失フ
検察官公訴ヲ提起セザルトキハ事件ヲ少年審判所ニ送致スル場合ヲ除クノ外第五十二条第二項ノ処分ヲ取消スベシ
第二十九条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
事件ヲ少年審判所ニ送致スル場合ニ於テハ第五十二条第一項又ハ第二項ノ処分ハ前条第一項ノ決定確定シタル時又ハ第四十八条ノ規定ニ依ル検察官ノ処分アリタル時ニ於テ少年審判所之ヲ為シタルモノト看做ス
第五十九条 第三十二条、第三十三条第二項第三項及第三十四条ノ規定ハ公判ノ手続ニ、第四十六条及第四十七条ノ規定ハ捜査、予審又ハ公判ノ手続ニ之ヲ準用ス
第六章 罰則
第六十条 少年審判所ノ事件又ハ少年ニ対スル刑事事件ニ係ル事項ハ之ヲ新聞紙其ノ他ノ出版物ニ掲載スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シタルトキハ新聞紙ニ在リテハ編輯人及発行人、其ノ他ノ出版物ニ在リテハ著作者及発行者ヲ一年以下ノ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
本令施行ノ期日ハ大使之ヲ定ム
関東州思想犯保護観察令第一項中「、第十二条」ヲ削リ「非訟事件手続法トス」ヲ「非訟事件手続法、少年法トアルハ関東州少年令トス」ニ改ム