各庁職員優遇令
法令番号: 勅令第百三十七號
公布年月日: 昭和18年3月20日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ各廳職員優遇令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月十九日
內閣總理大臣 東條英機
勅令第百三十七號
各廳職員優遇令
第一章 奏任文官ノ優遇
第一條 各廳ノ書記官、技師其ノ他高等官三等ヲ最高官等トスル奏任文官(同一官名ノ勅任文官ノ制アルモノヲ除ク)タル者ニシテ重要ノ職ニ當リ功績顯著ナルモノハ優遇ノ爲特ニ之ヲ高等官二等ニ陞敍スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ官等ヲ陞敍セラルル者ノ俸給ハ年俸一級四千六百五十圓、二級四千三百圓、三級四千五十圓トス但シ年俸四千五十圓未滿ヲ最高俸トスル奏任文官ニシテ同項ノ規定ニ依リ官等ヲ陞敍セラルルモノニ對シテハ三級俸ノ額以下ノ俸給ヲ給スルコトヲ得
第二條 同一官名ノ勅任文官ノ制アル奏任文官タル者ニシテ重要ノ職ニ當リ功績顯著ナルモノハ當該勅任文官ノ制ニ拘ラズ優遇ノ爲特ニ之ヲ高等官二等ニ陞敍スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ官等ヲ陞敍セラルル者ノ官等及俸給ハ當該勅任文官ニ付定メラレタル官等及俸給ニ依ル但シ當該俸給ニ關スル規定ニ依リ難キ者ニ付テハ前條第二項ノ例ニ依ル
第三條 特別ノ必要アル場合ニ於テ現ニ勅任文官タル者又ハ勅任文官タリシ者ヲ前二條ノ奏任文官ニ轉任又ハ再任セシムルトキハ前二條ノ例ニ準ジ特ニ之ヲ勅任トシテ轉任又ハ再任セシムルコトヲ得
第四條 高等官官等俸給令第九條及第九條ノ二ノ規定ハ前三條ノ規定ニ依リ勅任ト爲リタル者ニモ適用アルモノトス
第二章 判任文官ノ優遇
第五條 各廳ノ屬、書記、技手其ノ他ノ判任文官(同一官名ノ奏任文官ノ制アルモノ及月俸八十五圓以下ヲ最上級俸トスルモノヲ除ク)タル者ニシテ重要ノ職ニ當リ事務練熟優等ナルモノハ優遇ノ爲特ニ之ヲ奏任ト爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ奏任ト爲ル者ノ官等及俸給ハ高等官官等俸給令第十六條ニ揭グル諸官ト同一トス
主管大臣ハ第一項ノ規定ニ依リ奏任ト爲リタル者ナルコトヲ示スベキ稱號ヲ定ムルコトヲ得
第六條 同一官名ノ奏任文官ノ制アル判任文官タル者ニシテ重要ノ職ニ當リ事務練熟優等ナルモノハ當該奏任文官ノ制ニ拘ラズ優遇ノ爲特ニ之ヲ奏任ト爲スコトヲ得
第七條 第三條ノ規定ハ現ニ奏任文官タル者又ハ奏任文官タリシ者ノ轉任又ハ再任ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八條 高等官官等俸給令第十九條乃至第二十一條ノ二ノ規定ハ前三條ノ規定ニ依リ奏任ト爲リタル者ニモ適用アルモノトス
第三章 判任官待遇職員ノ優遇
第九條 判任官待遇ノ各廳職員(同一職名ノ奏任官待遇ノ制アルモノ及同一系統ノ奏任官待遇職員ノ制アルモノヲ除ク)タル者ニシテ成績優秀ナルモノハ優遇ノ爲特ニ之ヲ判任文官ト爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ臨時ニ當該廳ニ當該判任官待遇職員ノ定員內ニ於テ其ノ職名ヲ官名トスル判任文官ヲ置カレタルモノトス
前項後段ノ判任文官ハ上官ノ指揮ヲ承ケ當該判任官待遇職員ト同種ノ業務ニ從事ス
第一項後段ノ判任文官ノ俸給ハ判任官俸給令第十一條ニ揭グル諸官ト同一トス
主管大臣ハ第一項ノ規定ニ依リ判任文官ト爲リタル者ナルコトヲ示スベキ稱號ヲ定ムルコトヲ得
第十條 前條第一項後段ノ判任文官ノ任用ニ付テハ判任文官特別任用令第六條ノ例ニ依ルコトヲ得
第十一條 判任官俸給令第十二條ノ規定ハ第九條第一項ノ規定ニ依リ判任文官ト爲リタル者ニモ適用アルモノトス
第四章 雇員ノ優遇
第十二條 各廳雇員タル者ニシテ成績優秀ナルモノハ優遇ノ爲特ニ之ヲ判任官ノ待遇ト爲スコトヲ得
主管大臣ハ前項ノ規定ニ依リ判任官ノ待遇ト爲リタル者ナルコトヲ示スベキ稱號ヲ定ムルコトヲ得
第五章 雜則
第十三條 第一條第一項及第二條第一項ノ規定ハ高等官官等俸給令第五條ノ規定ノ適用ヲ妨グルコトナシ
第三條及第七條ノ規定ハ明治三十六年勅令第二百八十五號ノ適用ヲ妨グルコトナシ
第十四條 本令(第十條及第二項ノ規定ヲ除ク)ハ文官任用ノ資格ニ關スル規定ノ適用ヲ妨グルコトナシ
昭和十七年勅令第七百七十六號中鐵道監ノ任用ニ關スル規定ハ本令ニ依リ鐵道官ヲ勅任ト爲ス場合ニ、同令中鐵道官ノ任用ニ關スル規定ハ本令ニ依リ鐵道官補ヲ奏任ト爲ス場合ニ、同令中鐵道官補ノ任用ニ關スル規定ハ本令ニ依リ鐵道手ヲ判任文官ト爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第十五條 第一章又ハ第二章ノ規定ニ依リ優遇ヲ爲スコトヲ得ル者ノ員數其ノ他本令施行ニ關シ必要ナル事項ハ內閣總理大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
遞信手、鐵道手其ノ他ノ判任官待遇職員タル者ニシテ本令施行ノ際現ニ八十五圓以上ノ俸給ヲ受クルモノ第九條第一項ノ規定ニ依リ判任文官ト爲リタル場合ニ於テハ同條第三項ノ規定ニ拘ラズ本令施行ノ際現ニ當該判任官待遇職員ニ付定メラレアル俸給ノ最高額迄ヲ給スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第十一條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ各庁職員優遇令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月十九日
内閣総理大臣 東条英機
勅令第百三十七号
各庁職員優遇令
第一章 奏任文官ノ優遇
第一条 各庁ノ書記官、技師其ノ他高等官三等ヲ最高官等トスル奏任文官(同一官名ノ勅任文官ノ制アルモノヲ除ク)タル者ニシテ重要ノ職ニ当リ功績顕著ナルモノハ優遇ノ為特ニ之ヲ高等官二等ニ陞叙スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ官等ヲ陞叙セラルル者ノ俸給ハ年俸一級四千六百五十円、二級四千三百円、三級四千五十円トス但シ年俸四千五十円未満ヲ最高俸トスル奏任文官ニシテ同項ノ規定ニ依リ官等ヲ陞叙セラルルモノニ対シテハ三級俸ノ額以下ノ俸給ヲ給スルコトヲ得
第二条 同一官名ノ勅任文官ノ制アル奏任文官タル者ニシテ重要ノ職ニ当リ功績顕著ナルモノハ当該勅任文官ノ制ニ拘ラズ優遇ノ為特ニ之ヲ高等官二等ニ陞叙スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ官等ヲ陞叙セラルル者ノ官等及俸給ハ当該勅任文官ニ付定メラレタル官等及俸給ニ依ル但シ当該俸給ニ関スル規定ニ依リ難キ者ニ付テハ前条第二項ノ例ニ依ル
第三条 特別ノ必要アル場合ニ於テ現ニ勅任文官タル者又ハ勅任文官タリシ者ヲ前二条ノ奏任文官ニ転任又ハ再任セシムルトキハ前二条ノ例ニ準ジ特ニ之ヲ勅任トシテ転任又ハ再任セシムルコトヲ得
第四条 高等官官等俸給令第九条及第九条ノ二ノ規定ハ前三条ノ規定ニ依リ勅任ト為リタル者ニモ適用アルモノトス
第二章 判任文官ノ優遇
第五条 各庁ノ属、書記、技手其ノ他ノ判任文官(同一官名ノ奏任文官ノ制アルモノ及月俸八十五円以下ヲ最上級俸トスルモノヲ除ク)タル者ニシテ重要ノ職ニ当リ事務練熟優等ナルモノハ優遇ノ為特ニ之ヲ奏任ト為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ奏任ト為ル者ノ官等及俸給ハ高等官官等俸給令第十六条ニ掲グル諸官ト同一トス
主管大臣ハ第一項ノ規定ニ依リ奏任ト為リタル者ナルコトヲ示スベキ称号ヲ定ムルコトヲ得
第六条 同一官名ノ奏任文官ノ制アル判任文官タル者ニシテ重要ノ職ニ当リ事務練熟優等ナルモノハ当該奏任文官ノ制ニ拘ラズ優遇ノ為特ニ之ヲ奏任ト為スコトヲ得
第七条 第三条ノ規定ハ現ニ奏任文官タル者又ハ奏任文官タリシ者ノ転任又ハ再任ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八条 高等官官等俸給令第十九条乃至第二十一条ノ二ノ規定ハ前三条ノ規定ニ依リ奏任ト為リタル者ニモ適用アルモノトス
第三章 判任官待遇職員ノ優遇
第九条 判任官待遇ノ各庁職員(同一職名ノ奏任官待遇ノ制アルモノ及同一系統ノ奏任官待遇職員ノ制アルモノヲ除ク)タル者ニシテ成績優秀ナルモノハ優遇ノ為特ニ之ヲ判任文官ト為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ臨時ニ当該庁ニ当該判任官待遇職員ノ定員内ニ於テ其ノ職名ヲ官名トスル判任文官ヲ置カレタルモノトス
前項後段ノ判任文官ハ上官ノ指揮ヲ承ケ当該判任官待遇職員ト同種ノ業務ニ従事ス
第一項後段ノ判任文官ノ俸給ハ判任官俸給令第十一条ニ掲グル諸官ト同一トス
主管大臣ハ第一項ノ規定ニ依リ判任文官ト為リタル者ナルコトヲ示スベキ称号ヲ定ムルコトヲ得
第十条 前条第一項後段ノ判任文官ノ任用ニ付テハ判任文官特別任用令第六条ノ例ニ依ルコトヲ得
第十一条 判任官俸給令第十二条ノ規定ハ第九条第一項ノ規定ニ依リ判任文官ト為リタル者ニモ適用アルモノトス
第四章 雇員ノ優遇
第十二条 各庁雇員タル者ニシテ成績優秀ナルモノハ優遇ノ為特ニ之ヲ判任官ノ待遇ト為スコトヲ得
主管大臣ハ前項ノ規定ニ依リ判任官ノ待遇ト為リタル者ナルコトヲ示スベキ称号ヲ定ムルコトヲ得
第五章 雑則
第十三条 第一条第一項及第二条第一項ノ規定ハ高等官官等俸給令第五条ノ規定ノ適用ヲ妨グルコトナシ
第三条及第七条ノ規定ハ明治三十六年勅令第二百八十五号ノ適用ヲ妨グルコトナシ
第十四条 本令(第十条及第二項ノ規定ヲ除ク)ハ文官任用ノ資格ニ関スル規定ノ適用ヲ妨グルコトナシ
昭和十七年勅令第七百七十六号中鉄道監ノ任用ニ関スル規定ハ本令ニ依リ鉄道官ヲ勅任ト為ス場合ニ、同令中鉄道官ノ任用ニ関スル規定ハ本令ニ依リ鉄道官補ヲ奏任ト為ス場合ニ、同令中鉄道官補ノ任用ニ関スル規定ハ本令ニ依リ鉄道手ヲ判任文官ト為ス場合ニ之ヲ準用ス
第十五条 第一章又ハ第二章ノ規定ニ依リ優遇ヲ為スコトヲ得ル者ノ員数其ノ他本令施行ニ関シ必要ナル事項ハ内閣総理大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
逓信手、鉄道手其ノ他ノ判任官待遇職員タル者ニシテ本令施行ノ際現ニ八十五円以上ノ俸給ヲ受クルモノ第九条第一項ノ規定ニ依リ判任文官ト為リタル場合ニ於テハ同条第三項ノ規定ニ拘ラズ本令施行ノ際現ニ当該判任官待遇職員ニ付定メラレアル俸給ノ最高額迄ヲ給スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第十一条ノ規定ハ之ヲ適用セズ