為替交易調整特別会計設置等為替交易調整法
法令番号: 法律第八十四號
公布年月日: 昭和18年3月26日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル爲替交易調整特別會計設置等爲替交易調整法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月二十五日
內閣總理大臣 東條英機
農林大臣 井野碩哉
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
內務大臣 湯澤三千男
大東亞大臣 靑木一男
法律第八十四號
爲替交易調整特別會計設置等爲替交易調整法
第一章 爲替交易調整特別會計
第一條 爲替交易調整ニ關スル會計ハ之ヲ特別トシ其ノ歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ充ツ
第二條 本會計ニ於テハ價格差益納付金、爲替差益納付金、寄附金、一般會計ヨリノ受入金、借入金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ價格差損補償金、爲替差損補償金、借入金ノ償還金及利子、一時借入金ノ利子、事務取扱費其ノ他ノ諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第三條 本會計ニ於テ價格差損補償金及爲替差損補償金ヲ支辨スル爲必要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔ニ於テ借入金ヲ爲スコトヲ得
第四條 本會計ニ於テ決算上剩餘ヲ生ジタルトキハ之ヲ翌年度ノ歲入ニ繰入ルベシ
第五條 本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ルベシ
第六條 本會計ニ於テ支拂上現金ニ不足アルトキハ本會計ノ負擔ニ於テ一時借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金ハ當該年度內ニ之ヲ返還スベシ
第七條 政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫算ヲ調整シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第八條 本會計ノ每年度歲出豫算ニ於ケル支出殘額ハ遞次之ヲ翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第九條 本會計ノ收入支出ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 差益金ノ納付及差損金ノ補償
第十條 交易營團ハ命令ノ定ムル所ニ依リ交易上生ズル價格差益ヲ價格差益納付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十一條 命令ヲ以テ定ムル交易關係者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ命令ヲ以テ定ムル物資ノ交易上生ズル價格差益ヲ價格差益納付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十二條 政府ハ命令ヲ以テ定ムル交易關係者ニ對シ命令ヲ以テ定ムル物資ノ交易上生ズル價格差損ヲ補償スル爲價格差損補償金ヲ交付スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ價格差損補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ價格差損ヲ決定スル基準ハ政府之ヲ定ム
第十三條 外國爲替管理法(關東州外國爲替管理令及昭和十六年勅令第十號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第三條ノ規定ニ依ル命令ニ依リ交易上ノ價格差ヲ調整スル爲外國爲替ノ賣却又ハ買入ヲ行ヒタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ依リ得タル爲替差益ヲ爲替差益納付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十四條 政府ハ前條ニ規定スル者ニ對シ外國爲替管理法第三條ノ規定ニ依ル命令ニ依リ交易上ノ價格差ヲ調整スル爲行ヒタル外國爲替ノ賣却又ハ買入ニ依リ蒙リタル爲替差損ヲ補償スル爲爲替差損補償金ヲ交付スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ爲替差損補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ爲替差損ヲ決定スル基準ハ政府之ヲ定ム
第十五條 政府ハ爲替交易調整ヲ目的トスル金錢ノ寄附ヲ受クルコトヲ得
第十六條 交易營團、第十一條若ハ第十二條ノ命令ヲ以テ定ムル交易關係者又ハ第十三條ニ規定スル者ガ第十二條、第十四條若ハ交易營團法第三十五條ノ規定ニ依リ收入シ若ハ收入スベキ補償金額又ハ第十條、第十一條若ハ第十三條ノ規定ニ依リ支出シ若ハ支出スベキ納付金額ハ所得稅法ニ依ル所得、法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算ニ付之ヲ當該差損又ハ差益ヲ生ジタル年又ハ事業年度ノ收入金額若ハ益金又ハ必要ノ經費若ハ損金ニ算入ス
第十七條 第十條、第十一條又ハ第十三條ノ規定ニ依リ納付セシムベキ金額ノ徵收ニ關シテハ國稅徵收法ヲ準用ス
第十八條 政府ハ必要アルトキハ交易營團、第十一條若ハ第十二條ノ命令ヲ以テ定ムル交易關係者又ハ第十三條ニ規定スル者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ報吿ヲ徵シ、帳簿書類ノ備付ヲ命ジ、帳簿書類ノ記載方ヲ指定シ又ハ當該官吏ヲシテ、必要ナル場所ニ臨檢シ交易營團、第十一條若ハ第十二條ノ命令ヲ以テ定ムル交易關係者又ハ第十三條ニ規定スル者ノ收支狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十九條 前條ノ規定ニ基キテ發スル命令又ハ當該命令ニ依ル政府ノ命ニ違反シ報吿ヲ爲サズ、虛僞ノ報吿ヲ爲シ、帳簿書類ノ備付ヲ爲サズ、之ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ、之ニ虛僞ノ記載ヲ爲シ、之ノ記載方ノ指定ニ從ハズ、收支狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ拒ミ又ハ帳簿書類ノ隱蔽不實ノ申立其ノ他ノ方法ニ依リ檢査ヲ妨ゲタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第二十條 第十七條中國稅徵收法トアルハ朝鮮ニ在リテハ國稅徵收令トシ臺灣ニ在リテハ臺灣國稅徵收規則トシ關東州ニ在リテハ明治四十年勅令第五十六號ニ於テ準用スル國稅徵收法トシ南洋群島ニ在リテハ大正十一年勅令第三百五十六號ニ於テ依ルコトヲ定メタル國稅徵收法トス
附 則
本法ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
但シ交易營團ニ關スル規定施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル為替交易調整特別会計設置等為替交易調整法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月二十五日
内閣総理大臣 東条英機
農林大臣 井野碩哉
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
内務大臣 湯沢三千男
大東亜大臣 青木一男
法律第八十四号
為替交易調整特別会計設置等為替交易調整法
第一章 為替交易調整特別会計
第一条 為替交易調整ニ関スル会計ハ之ヲ特別トシ其ノ歳入ヲ以テ其ノ歳出ニ充ツ
第二条 本会計ニ於テハ価格差益納付金、為替差益納付金、寄附金、一般会計ヨリノ受入金、借入金及附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ価格差損補償金、為替差損補償金、借入金ノ償還金及利子、一時借入金ノ利子、事務取扱費其ノ他ノ諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第三条 本会計ニ於テ価格差損補償金及為替差損補償金ヲ支弁スル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ借入金ヲ為スコトヲ得
第四条 本会計ニ於テ決算上剰余ヲ生ジタルトキハ之ヲ翌年度ノ歳入ニ繰入ルベシ
第五条 本会計ニ於テ支払上現金ニ余裕アルトキハ之ヲ大蔵省預金部ニ預入ルベシ
第六条 本会計ニ於テ支払上現金ニ不足アルトキハ本会計ノ負担ニ於テ一時借入金ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金ハ当該年度内ニ之ヲ返還スベシ
第七条 政府ハ毎年本会計ノ歳入歳出予算ヲ調整シ歳入歳出ノ総予算ト共ニ之ヲ帝国議会ニ提出スベシ
第八条 本会計ノ毎年度歳出予算ニ於ケル支出残額ハ逓次之ヲ翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第九条 本会計ノ収入支出ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 差益金ノ納付及差損金ノ補償
第十条 交易営団ハ命令ノ定ムル所ニ依リ交易上生ズル価格差益ヲ価格差益納付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十一条 命令ヲ以テ定ムル交易関係者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ命令ヲ以テ定ムル物資ノ交易上生ズル価格差益ヲ価格差益納付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十二条 政府ハ命令ヲ以テ定ムル交易関係者ニ対シ命令ヲ以テ定ムル物資ノ交易上生ズル価格差損ヲ補償スル為価格差損補償金ヲ交付スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ価格差損補償金ノ総額ガ帝国議会ノ協賛ヲ経タル金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第一項ノ価格差損ヲ決定スル基準ハ政府之ヲ定ム
第十三条 外国為替管理法(関東州外国為替管理令及昭和十六年勅令第十号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第三条ノ規定ニ依ル命令ニ依リ交易上ノ価格差ヲ調整スル為外国為替ノ売却又ハ買入ヲ行ヒタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ依リ得タル為替差益ヲ為替差益納付金トシテ政府ニ納付スベシ
第十四条 政府ハ前条ニ規定スル者ニ対シ外国為替管理法第三条ノ規定ニ依ル命令ニ依リ交易上ノ価格差ヲ調整スル為行ヒタル外国為替ノ売却又ハ買入ニ依リ蒙リタル為替差損ヲ補償スル為為替差損補償金ヲ交付スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ為替差損補償金ノ総額ガ帝国議会ノ協賛ヲ経タル金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第一項ノ為替差損ヲ決定スル基準ハ政府之ヲ定ム
第十五条 政府ハ為替交易調整ヲ目的トスル金銭ノ寄附ヲ受クルコトヲ得
第十六条 交易営団、第十一条若ハ第十二条ノ命令ヲ以テ定ムル交易関係者又ハ第十三条ニ規定スル者ガ第十二条、第十四条若ハ交易営団法第三十五条ノ規定ニ依リ収入シ若ハ収入スベキ補償金額又ハ第十条、第十一条若ハ第十三条ノ規定ニ依リ支出シ若ハ支出スベキ納付金額ハ所得税法ニ依ル所得、法人税法ニ依ル所得、営業税法ニ依ル純益及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算ニ付之ヲ当該差損又ハ差益ヲ生ジタル年又ハ事業年度ノ収入金額若ハ益金又ハ必要ノ経費若ハ損金ニ算入ス
第十七条 第十条、第十一条又ハ第十三条ノ規定ニ依リ納付セシムベキ金額ノ徴収ニ関シテハ国税徴収法ヲ準用ス
第十八条 政府ハ必要アルトキハ交易営団、第十一条若ハ第十二条ノ命令ヲ以テ定ムル交易関係者又ハ第十三条ニ規定スル者ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ報告ヲ徴シ、帳簿書類ノ備付ヲ命ジ、帳簿書類ノ記載方ヲ指定シ又ハ当該官吏ヲシテ、必要ナル場所ニ臨検シ交易営団、第十一条若ハ第十二条ノ命令ヲ以テ定ムル交易関係者又ハ第十三条ニ規定スル者ノ収支状況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
第十九条 前条ノ規定ニ基キテ発スル命令又ハ当該命令ニ依ル政府ノ命ニ違反シ報告ヲ為サズ、虚偽ノ報告ヲ為シ、帳簿書類ノ備付ヲ為サズ、之ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ、之ニ虚偽ノ記載ヲ為シ、之ノ記載方ノ指定ニ従ハズ、収支状況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ検査ヲ拒ミ又ハ帳簿書類ノ隠蔽不実ノ申立其ノ他ノ方法ニ依リ検査ヲ妨ゲタル者ハ千円以下ノ過料ニ処ス
第二十条 第十七条中国税徴収法トアルハ朝鮮ニ在リテハ国税徴収令トシ台湾ニ在リテハ台湾国税徴収規則トシ関東州ニ在リテハ明治四十年勅令第五十六号ニ於テ準用スル国税徴収法トシ南洋群島ニ在リテハ大正十一年勅令第三百五十六号ニ於テ依ルコトヲ定メタル国税徴収法トス
附 則
本法ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
但シ交易営団ニ関スル規定施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム