馬事団体令
法令番号: 勅令第千二百一號
公布年月日: 昭和16年12月24日
法令の形式: 勅令
朕馬事團體令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月二十三日
內閣總理大臣兼陸軍大臣 東條英機
農林大臣 井野碩哉
大藏大臣 賀屋興宣
勅令第千二百一號
馬事團體令
第一條 國家總動員法第十八條ノ規定ニ基ク馬事ニ關スル事業ノ統制及統制ノ爲ニスル經營ヲ目的トスル團體ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ニ依ル團體ハ日本馬事會及馬事組合トス
第三條 日本馬事會ハ馬事ニ關スル施設ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲馬事ニ關スル事業ノ綜合的統制運營ヲ圖リ之ニ必要ナル經營ヲ行ヒ且馬事ニ關スル國策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第四條 日本馬事會ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 會員及會員タル團體ヲ組織スル者ノ馬事ニ關スル事業ノ統制指導
二 馬ノ生產增加及資質向上、馬事訓練其ノ他馬事ノ發達ニ關スル施設
三 馬ノ移植ニ必要ナル事業ノ經營
四 馬事ニ關スル調査及硏究
五 前各號ニ揭グルモノノ外日本馬事會ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第五條 日本馬事會ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ馬事ニ關スル事業ヲ行フ團體ニシテ農林大臣ノ指定スルモノトス
第六條 農林大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本馬事會ノ會員タル資格ヲ有スル者ニ對シ日本馬事會ノ設立ヲ命ズベシ
前項ノ規定ニ依ル日本馬事會ノ設立ノ命令アリタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ開キ之ニ諮リテ定款其ノ他日本馬事會ノ設立ニ必要ナル事項ヲ定メ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
第七條 日本馬事會ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 會員ニ關スル規定
五 事業及其ノ執行ニ關スル規定
六 役員ニ關スル規定
七 會議ニ關スル規定
八 會計ニ關スル規定
第八條 日本馬事會ハ第六條第二項ノ認可アリタル時又ハ國家總動員法第十八條第三項ノ規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
前項ノ場合ニ於テハ農林大臣ハ日本馬事會成立ノ旨及定款ヲ吿示スベシ
第九條 日本馬事會成立シタルトキハ日本馬事會ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ總テ其ノ會員トス
第十條 日本馬事會ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
會頭 一人
副會頭 二人以內
理事 若干人
監事 若干人
評議員 若干人
第十一條 會頭ハ日本馬事會ヲ代表シ會務ヲ總理ス
副會頭ハ會頭ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ會務ヲ掌理シ豫メ農林大臣ノ定ムル順位ニ依リ會頭事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會頭缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ會頭及副會頭ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ會務ヲ分掌ス
監事ハ日本馬事會ノ業務ヲ監査ス
評議員ハ會頭ノ諮問ニ對シ答申シ又ハ會頭ニ對シ意見ヲ具申ス
第十二條 役員ハ農林大臣之ヲ命ズ
第十三條 會頭、副會頭及理事ノ任期ハ三年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十四條 會頭、副會頭及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ農林大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十五條 日本馬事會ハ馬事ニ關スル事項ニ付關係各大臣ニ建議スルコトヲ得
日本馬事會ハ關係各大臣ノ諮問ニ對シ答申スベシ
第十六條 日本馬事會ハ其ノ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ニ對シ馬事ニ關スル調査ヲ爲ス爲必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ資料ノ提出ヲ求メラレタル者ハ遲滯ナク之ヲ提出スベシ
第十七條 日本馬事會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ經費ヲ賦課スルコトヲ得
第十八條 日本馬事會ハ其ノ事業ヲ行フ爲特ニ必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ農林大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ會員ノ全部又ハ一部ニ對シ前條ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第十九條 日本馬事會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款又ハ統制規程ニ違反シタル會員ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十條 第十七條若ハ第十八條ノ規定ニ依ル賦課金又ハ前條ノ規定ニ依ル過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ日本馬事會ノ請求アルトキハ市町村(之ニ準ズベキモノヲ含ム以下之ニ同ジ)ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ日本馬事會ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村ノ徵收金ニ次ギ其ノ時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル
第二十一條 日本馬事會ハ其ノ會員又ハ會員タル團體ヲ組織スル者ノ馬事ニ關スル事業ニ關スル統制規程ヲ設定スベシ
農林大臣ハ日本馬事會ノ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ニ對シ日本馬事會ノ統制規程ニ依ルベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十二條 定款ノ變更竝ニ統制規程ノ設定及變更ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
農林大臣前項ノ認可ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第二十三條 日本馬事會必要アリト認ムルトキハ其ノ役員又ハ使用人ヲシテ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ノ馬事ニ關スル業務ノ狀況又ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
日本馬事會ノ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ハ前項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避スルコトヲ得ズ
日本馬事會第一項ノ規定ニ依リ役員又ハ使用人ヲシテ檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第二十四條 通常總會ハ每年一囘會頭之ヲ招集ス
會頭必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ臨時總會ヲ招集スルコトヲ得
第二十五條 左ニ揭グル事項ハ總會ニ諮リ會頭之ヲ決ス
一 定款ノ變更
二 第十七條又ハ第十八條ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徵收方法
第二十六條 會頭ハ每年總會ニ日本馬事會ノ事業ノ狀況ヲ報吿シ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報吿セシムベシ
第二十七條 日本馬事會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ總會ニ代ルベキ總代會ヲ設クルコトヲ得
前三條ノ規定ハ前項ノ總代會ニ之ヲ準用ス
第二十八條 農林大臣馬事ニ關スル事業ノ統制運營上必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第十六條ノ二ノ規定ニ基キ馬事ニ關スル事業ヲ行フ團體ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ日本馬事會ニ其ノ事業ニ屬スル設備又ハ權利ヲ讓渡シ又ハ使用セシムベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十九條 農林大臣馬事ニ關スル事業ノ統制運營上必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第十六條ノ三ノ規定ニ基キ馬事ニ關スル事業ヲ行フ團體ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ日本馬事會ニ其ノ事業ヲ讓渡シ又ハ其ノ事業ノ經營ヲ委託スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三十條 前二條ノ場合ニ於テ農林大臣ハ日本馬事會ニ對シ前二條ノ規定ニ依ル命令ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十一條 前三條ノ場合ニ於テ事業ニ屬スル設備若ハ權利ノ讓渡若ハ使用又ハ事業ノ讓渡若ハ經營ノ委託ニ關シ必要ナル事項ハ當事者間ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ農林大臣之ヲ裁定ス
前項ノ協議ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第三十二條 農林大臣必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ日本馬事會又ハ其ノ會員若ハ會員タル團體ヲ組織スル者ヨリ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ其ノ事務所、事業場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ馬事ニ關スル業務ノ狀況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第三十三條 農林大臣ハ日本馬事會ニ對シ馬事ニ關スル調査ヲ命ズルコトヲ得
第三十四條 農林大臣馬事ニ關スル事業ノ統制運營上必要アリト認ムルトキハ日本馬事會ニ對シ必要ナル事業ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十五條 農林大臣ハ日本馬事會ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
農林大臣必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報吿セシムルコトヲ得
第三十六條 農林大臣ハ日本馬事會ノ役員ノ行爲ガ法令若ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ又ハ日本馬事會ノ事業ノ遂行上役員ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第三十七條 日本馬事會ハ農林大臣ノ命令ニ因リテ解散ス
第三十八條 第二十八條乃至第三十條ノ命令ニ依ル日本馬事會ノ不動產ニ關スル權利ノ取得ノ登記ニハ國家總動員法第十八條ノ三ノ規定ニ依リ登錄稅ヲ課セズ
第三十九條 馬事組合ハ馬事ニ關スル事業ノ統制運營ヲ圖リ之ニ必要ナル經營ヲ行ヒ且馬事ニ關スル國策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第四十條 馬事組合ハ一定地區ニ於テ馬事ニ關スル事業ノ種類別ニ之ヲ設立ス
馬事組合ハ其ノ名稱中ニ其ノ地區及事業ノ種類ヲ示ス文字ヲ用フベシ
第四十一條 馬事組合ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 組合員ノ馬事ニ關スル當該事業ニ關スル統制指導
二 當該地區內ニ於ケル馬事ニ關スル當該事業ノ發達ニ關スル施設
三 馬ノ移植ニ必要ナル事業ノ經營
四 當該地區內ニ於ケル馬事ニ關スル當該事業ニ關スル調査及硏究
五 前各號ニ揭グルモノノ外馬事組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第四十二條 馬事組合ノ組合員タル資格ヲ有スル者ハ當該地區內ニ於テ馬事ニ關スル當該事業ヲ行フ者又ハ其ノ組織スル團體ニシテ農林大臣又ハ地方長官ノ指定スルモノトス
第四十三條 農林大臣又ハ地方長官馬事組合ヲ設立セシメントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ地區及馬事ニ關スル事業ノ種類ヲ定メ前條ノ規定ニ依リ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ馬事組合ノ設立ヲ命ズベシ
第四十四條 馬事組合ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所ノ所在地
五 組合員ニ關スル規定
六 事業及其ノ執行ニ關スル規定
七 役員ニ關スル規定
八 會議ニ關スル規定
九 會計ニ關スル規定
第四十五條 馬事組合ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
組合長 一人
理事 若干人
監事 若干人
馬事組合ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副組合長二人以內及評議員若干人ヲ置クコトヲ得
第十一條乃至第十三條ノ規定ハ馬事組合ノ組合長、副組合長、理事、監事及評議員ニ之ヲ準用ス但シ農林大臣トアルハ農林大臣又ハ地方長官トス
第四十六條 第六條第二項、第八條、第九條、第十五條乃至第二十七條及第三十二條乃至第三十七條ノ規定ハ馬事組合ニ之ヲ準用ス但シ農林大臣トアルハ農林大臣又ハ地方長官トシ關係各大臣トアルハ關係各大臣又ハ地方長官トス
第四十七條 日本馬事會及馬事組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第四十八條 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外日本馬事會及馬事組合ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十九條 第二十一條、第二十二條、第三十三條、第三十四條及第三十五條第一項(第四十六條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)中農林大臣トアルハ軍用適格馬ノ資格判定及軍馬資源ノ調査ニ關スル事項ニ付テハ陸軍大臣トス
附 則
第五十條 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第五十一條 日本馬事會設立當時ノ副會頭、理事及評議員ノ任期ハ第十三條ノ規定ニ拘ラズ同條ニ定ムル期間內ニ於テ農林大臣別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
馬事組合設立當時ノ副組合長、理事及評議員ノ任期ハ第四十五條ニ於テ準用スル第十三條ノ規定ニ拘ラズ同條ニ定ムル期間內ニ於テ農林大臣又ハ地方長官別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
第五十二條 農林大臣ハ國家總動員法第十六條ノ三ノ規定ニ依リ軍用保護馬鍛鍊中央會、社團法人帝國馬匹協會及財團法人大日本騎道會ニ對シ其ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ法人ハ同項ノ命令ニ因リテ解散ス
日本馬事會ハ前項ノ規定ニ依リ解散シタル法人ノ權利義務ヲ承繼ス此ノ場合ニ於テハ他ノ法令中淸算ニ關スル規定ハ之ヲ其ノ法人ニ適用セズ
第一項ノ命令ニ因ル法人ノ解散ニ關スル登記ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三項ノ規定ニ依ル日本馬事會ノ不動產ニ關スル權利ノ取得ノ登記ニハ國家總動員法第十八條ノ三ノ規定ニ依リ登錄稅ヲ課セズ
朕馬事団体令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月二十三日
内閣総理大臣兼陸軍大臣 東条英機
農林大臣 井野碩哉
大蔵大臣 賀屋興宣
勅令第千二百一号
馬事団体令
第一条 国家総動員法第十八条ノ規定ニ基ク馬事ニ関スル事業ノ統制及統制ノ為ニスル経営ヲ目的トスル団体ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ニ依ル団体ハ日本馬事会及馬事組合トス
第三条 日本馬事会ハ馬事ニ関スル施設ノ総力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル為馬事ニ関スル事業ノ綜合的統制運営ヲ図リ之ニ必要ナル経営ヲ行ヒ且馬事ニ関スル国策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第四条 日本馬事会ハ其ノ目的ヲ達スル為左ニ掲グル事業ヲ行フ
一 会員及会員タル団体ヲ組織スル者ノ馬事ニ関スル事業ノ統制指導
二 馬ノ生産増加及資質向上、馬事訓練其ノ他馬事ノ発達ニ関スル施設
三 馬ノ移植ニ必要ナル事業ノ経営
四 馬事ニ関スル調査及研究
五 前各号ニ掲グルモノノ外日本馬事会ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第五条 日本馬事会ノ会員タル資格ヲ有スル者ハ馬事ニ関スル事業ヲ行フ団体ニシテ農林大臣ノ指定スルモノトス
第六条 農林大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本馬事会ノ会員タル資格ヲ有スル者ニ対シ日本馬事会ノ設立ヲ命ズベシ
前項ノ規定ニ依ル日本馬事会ノ設立ノ命令アリタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立総会ヲ開キ之ニ諮リテ定款其ノ他日本馬事会ノ設立ニ必要ナル事項ヲ定メ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
第七条 日本馬事会ノ定款ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 会員ニ関スル規定
五 事業及其ノ執行ニ関スル規定
六 役員ニ関スル規定
七 会議ニ関スル規定
八 会計ニ関スル規定
第八条 日本馬事会ハ第六条第二項ノ認可アリタル時又ハ国家総動員法第十八条第三項ノ規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
前項ノ場合ニ於テハ農林大臣ハ日本馬事会成立ノ旨及定款ヲ告示スベシ
第九条 日本馬事会成立シタルトキハ日本馬事会ノ会員タル資格ヲ有スル者ハ総テ其ノ会員トス
第十条 日本馬事会ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
会頭 一人
副会頭 二人以内
理事 若干人
監事 若干人
評議員 若干人
第十一条 会頭ハ日本馬事会ヲ代表シ会務ヲ総理ス
副会頭ハ会頭ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ会務ヲ掌理シ予メ農林大臣ノ定ムル順位ニ依リ会頭事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ会頭欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ会頭及副会頭ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ会務ヲ分掌ス
監事ハ日本馬事会ノ業務ヲ監査ス
評議員ハ会頭ノ諮問ニ対シ答申シ又ハ会頭ニ対シ意見ヲ具申ス
第十二条 役員ハ農林大臣之ヲ命ズ
第十三条 会頭、副会頭及理事ノ任期ハ三年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十四条 会頭、副会頭及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ農林大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十五条 日本馬事会ハ馬事ニ関スル事項ニ付関係各大臣ニ建議スルコトヲ得
日本馬事会ハ関係各大臣ノ諮問ニ対シ答申スベシ
第十六条 日本馬事会ハ其ノ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ニ対シ馬事ニ関スル調査ヲ為ス為必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ資料ノ提出ヲ求メラレタル者ハ遅滞ナク之ヲ提出スベシ
第十七条 日本馬事会ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員ニ対シ経費ヲ賦課スルコトヲ得
第十八条 日本馬事会ハ其ノ事業ヲ行フ為特ニ必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ農林大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ会員ノ全部又ハ一部ニ対シ前条ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第十九条 日本馬事会ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款又ハ統制規程ニ違反シタル会員ニ対シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十条 第十七条若ハ第十八条ノ規定ニ依ル賦課金又ハ前条ノ規定ニ依ル過怠金ヲ滞納スル者アル場合ニ於テ日本馬事会ノ請求アルトキハ市町村(之ニ準ズベキモノヲ含ム以下之ニ同ジ)ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テ日本馬事会ハ其ノ徴収金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項ノ規定ニ依ル徴収金ノ先取特権ノ順位ハ市町村ノ徴収金ニ次ギ其ノ時効ニ付テハ市町村税ノ例ニ依ル
第二十一条 日本馬事会ハ其ノ会員又ハ会員タル団体ヲ組織スル者ノ馬事ニ関スル事業ニ関スル統制規程ヲ設定スベシ
農林大臣ハ日本馬事会ノ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ニ対シ日本馬事会ノ統制規程ニ依ルベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十二条 定款ノ変更並ニ統制規程ノ設定及変更ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
農林大臣前項ノ認可ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ告示スベシ
第二十三条 日本馬事会必要アリト認ムルトキハ其ノ役員又ハ使用人ヲシテ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ノ馬事ニ関スル業務ノ状況又ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
日本馬事会ノ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ハ前項ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避スルコトヲ得ズ
日本馬事会第一項ノ規定ニ依リ役員又ハ使用人ヲシテ検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第二十四条 通常総会ハ毎年一回会頭之ヲ招集ス
会頭必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ臨時総会ヲ招集スルコトヲ得
第二十五条 左ニ掲グル事項ハ総会ニ諮リ会頭之ヲ決ス
一 定款ノ変更
二 第十七条又ハ第十八条ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徴収方法
第二十六条 会頭ハ毎年総会ニ日本馬事会ノ事業ノ状況ヲ報告シ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報告セシムベシ
第二十七条 日本馬事会ハ定款ノ定ムル所ニ依リ総会ニ代ルベキ総代会ヲ設クルコトヲ得
前三条ノ規定ハ前項ノ総代会ニ之ヲ準用ス
第二十八条 農林大臣馬事ニ関スル事業ノ統制運営上必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第十六条ノ二ノ規定ニ基キ馬事ニ関スル事業ヲ行フ団体ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ日本馬事会ニ其ノ事業ニ属スル設備又ハ権利ヲ譲渡シ又ハ使用セシムベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十九条 農林大臣馬事ニ関スル事業ノ統制運営上必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第十六条ノ三ノ規定ニ基キ馬事ニ関スル事業ヲ行フ団体ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ日本馬事会ニ其ノ事業ヲ譲渡シ又ハ其ノ事業ノ経営ヲ委託スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三十条 前二条ノ場合ニ於テ農林大臣ハ日本馬事会ニ対シ前二条ノ規定ニ依ル命令ニ関シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十一条 前三条ノ場合ニ於テ事業ニ属スル設備若ハ権利ノ譲渡若ハ使用又ハ事業ノ譲渡若ハ経営ノ委託ニ関シ必要ナル事項ハ当事者間ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ農林大臣之ヲ裁定ス
前項ノ協議ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第三十二条 農林大臣必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ日本馬事会又ハ其ノ会員若ハ会員タル団体ヲ組織スル者ヨリ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ其ノ事務所、事業場其ノ他ノ場所ニ臨検シ馬事ニ関スル業務ノ状況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第三十三条 農林大臣ハ日本馬事会ニ対シ馬事ニ関スル調査ヲ命ズルコトヲ得
第三十四条 農林大臣馬事ニ関スル事業ノ統制運営上必要アリト認ムルトキハ日本馬事会ニ対シ必要ナル事業ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ変更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十五条 農林大臣ハ日本馬事会ニ対シ業務及会計ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
農林大臣必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報告セシムルコトヲ得
第三十六条 農林大臣ハ日本馬事会ノ役員ノ行為ガ法令若ハ法令ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ又ハ日本馬事会ノ事業ノ遂行上役員ヲ不適当ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第三十七条 日本馬事会ハ農林大臣ノ命令ニ因リテ解散ス
第三十八条 第二十八条乃至第三十条ノ命令ニ依ル日本馬事会ノ不動産ニ関スル権利ノ取得ノ登記ニハ国家総動員法第十八条ノ三ノ規定ニ依リ登録税ヲ課セズ
第三十九条 馬事組合ハ馬事ニ関スル事業ノ統制運営ヲ図リ之ニ必要ナル経営ヲ行ヒ且馬事ニ関スル国策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第四十条 馬事組合ハ一定地区ニ於テ馬事ニ関スル事業ノ種類別ニ之ヲ設立ス
馬事組合ハ其ノ名称中ニ其ノ地区及事業ノ種類ヲ示ス文字ヲ用フベシ
第四十一条 馬事組合ハ其ノ目的ヲ達スル為左ニ掲グル事業ヲ行フ
一 組合員ノ馬事ニ関スル当該事業ニ関スル統制指導
二 当該地区内ニ於ケル馬事ニ関スル当該事業ノ発達ニ関スル施設
三 馬ノ移植ニ必要ナル事業ノ経営
四 当該地区内ニ於ケル馬事ニ関スル当該事業ニ関スル調査及研究
五 前各号ニ掲グルモノノ外馬事組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第四十二条 馬事組合ノ組合員タル資格ヲ有スル者ハ当該地区内ニ於テ馬事ニ関スル当該事業ヲ行フ者又ハ其ノ組織スル団体ニシテ農林大臣又ハ地方長官ノ指定スルモノトス
第四十三条 農林大臣又ハ地方長官馬事組合ヲ設立セシメントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ地区及馬事ニ関スル事業ノ種類ヲ定メ前条ノ規定ニ依リ組合員タル資格ヲ有スル者ニ対シ馬事組合ノ設立ヲ命ズベシ
第四十四条 馬事組合ノ定款ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所ノ所在地
五 組合員ニ関スル規定
六 事業及其ノ執行ニ関スル規定
七 役員ニ関スル規定
八 会議ニ関スル規定
九 会計ニ関スル規定
第四十五条 馬事組合ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
組合長 一人
理事 若干人
監事 若干人
馬事組合ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副組合長二人以内及評議員若干人ヲ置クコトヲ得
第十一条乃至第十三条ノ規定ハ馬事組合ノ組合長、副組合長、理事、監事及評議員ニ之ヲ準用ス但シ農林大臣トアルハ農林大臣又ハ地方長官トス
第四十六条 第六条第二項、第八条、第九条、第十五条乃至第二十七条及第三十二条乃至第三十七条ノ規定ハ馬事組合ニ之ヲ準用ス但シ農林大臣トアルハ農林大臣又ハ地方長官トシ関係各大臣トアルハ関係各大臣又ハ地方長官トス
第四十七条 日本馬事会及馬事組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第四十八条 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外日本馬事会及馬事組合ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十九条 第二十一条、第二十二条、第三十三条、第三十四条及第三十五条第一項(第四十六条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)中農林大臣トアルハ軍用適格馬ノ資格判定及軍馬資源ノ調査ニ関スル事項ニ付テハ陸軍大臣トス
附 則
第五十条 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第五十一条 日本馬事会設立当時ノ副会頭、理事及評議員ノ任期ハ第十三条ノ規定ニ拘ラズ同条ニ定ムル期間内ニ於テ農林大臣別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
馬事組合設立当時ノ副組合長、理事及評議員ノ任期ハ第四十五条ニ於テ準用スル第十三条ノ規定ニ拘ラズ同条ニ定ムル期間内ニ於テ農林大臣又ハ地方長官別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
第五十二条 農林大臣ハ国家総動員法第十六条ノ三ノ規定ニ依リ軍用保護馬鍛錬中央会、社団法人帝国馬匹協会及財団法人大日本騎道会ニ対シ其ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ法人ハ同項ノ命令ニ因リテ解散ス
日本馬事会ハ前項ノ規定ニ依リ解散シタル法人ノ権利義務ヲ承継ス此ノ場合ニ於テハ他ノ法令中清算ニ関スル規定ハ之ヲ其ノ法人ニ適用セズ
第一項ノ命令ニ因ル法人ノ解散ニ関スル登記ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三項ノ規定ニ依ル日本馬事会ノ不動産ニ関スル権利ノ取得ノ登記ニハ国家総動員法第十八条ノ三ノ規定ニ依リ登録税ヲ課セズ