第一條　國家總動員法（昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ）第八條ノ規定ニ基ク國民經濟ノ運行又ハ國民生活ノ安定ヲ確保スル爲統制ヲ必要トスル物資（以下統制物資ト稱ス）ニ關スル統制及其ノ統制事務ニ付テノ國家總動員法第五條ノ規定ニ基ク協力命令ニ付テハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル

第二條　主務大臣ハ統制物資ノ生產（加工ヲ含ム以下同ジ）若ハ修理ヲ業トスル者又ハ此等ノ者ノ團體ニ對シ統制物資ノ生產若ハ修理ニ關シ必要ナル事項ヲ命ジ又ハ制限若ハ禁止ヲ爲スコトヲ得

第三條　主務大臣ハ統制物資ノ生產ヲ業トスル者、販賣其ノ他賣渡ヲ業トスル者、輸出業者、輸入業者若ハ此等ノ者ノ團體又ハ業務ニ關シ若ハ轉賣ノ目的ヲ以テ統制物資ヲ所有スル者ニ對シ讓渡ノ時期、價格、相手方其ノ他必要ナル事項ヲ指定シテ統制物資ノ讓渡ヲ命ズルコトヲ得

第四條　主務大臣前條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲シタル場合又ハ統制物資ノ所有者知レザル等ノ爲同條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲スコト能ハザル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ權原ニ基キ當該統制物資ヲ占有スル者ニ對シ引渡ノ時期、相手方其ノ他必要ナル事項ヲ指定シテ之ガ引渡ヲ命ズルコトヲ得

第五條　主務大臣統制物資ノ所有者知レザル等ノ爲第三條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲スコト能ハザル場合ニ於テ前條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲シタルトキハ當該統制物資ノ引渡ノ相手方ヲシテ其ノ對價ヲ供託セシムベシ此ノ場合ニ於テハ當該統制物資ノ引渡ノ相手方其ノ供託ヲ爲シタル時當該統制物資ノ讓渡ヲ受ケタルモノト看做ス

第六條　統制物資ノ生產ヲ業トスル者、販賣其ノ他賣渡ヲ業トスル者、輸出業者、輸入業者若ハ此等ノ者ノ團體又ハ業務ニ關シ若ハ轉賣ノ目的ヲ以テ統制物資ヲ所有スル者ハ主務大臣ノ指定スル者ガ讓渡ヲ受クベキ統制物資ノ種類、數量及價格、讓渡ノ時期其ノ他必要ナル事項ニ付主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ガ讓渡ヲ求メタル場合ニ於テハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アル場合ニ於テ主務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

第七條　權原ニ基キ統制物資ヲ占有スル者ハ前條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ指定スル者ガ同條ノ規定ニ依リ統制物資ノ讓渡ヲ受ケタル場合又ハ統制物資ノ所有者知レザル等ノ爲同條ノ規定ニ依ル讓渡ヲ求ムルコト能ハザル場合ニ於テ引渡ヲ受クル統制物資ノ種類及數量、引渡ノ時期其ノ他必要ナル事項ニ付主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ガ引渡ヲ求メタル場合ニ於テハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アル場合ニ於テ主務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

第八條　第六條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ指定スル者ハ統制物資ノ所有者知レザル等ノ爲同條ノ規定ニ依ル讓渡ヲ求ムルコト能ハザル場合ニ於テ前條ノ規定ニ依リ統制物資ノ引渡ヲ受クルトキ其ノ對價ヲ供託スベシ

第九條　主務大臣ハ統制物資ノ生產ヲ業トスル者、販賣其ノ他賣渡ヲ業トスル者、輸出業者、輸入業者若ハ此等ノ者ノ團體又ハ業務ニ關シ若ハ轉賣ノ目的ヲ以テ統制物資ヲ所有スル者ニ對シ統制物資ノ讓渡ニ關シ數量、時期、方法、相手方、配給區域其ノ他ニ付必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得

第十條　主務大臣ハ統制物資ノ讓受ニ關シ數量、時期、方法、相手方其ノ他ニ付必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得

第十一條　主務大臣ハ統制物資ノ寄託、保管、保有、質入其ノ他ノ處分又ハ移動ニ關シ必要ナル事項ヲ命ジ又ハ制限若ハ禁止ヲ爲スコトヲ得

第十二條　統制物資ニ關シ强制競賣手續、國稅徵收法ニ依ル强制徵收手續又ハ國家總動員法第十條若ハ第十三條ノ規定ニ基ク使用若ハ收用ノ手續其ノ他此等ノ手續ニ準ズベキモノノ進行中ナルトキハ其ノ進行中ニ限リ當該統制物資ニ關シテハ第二條乃至第四條、第六條、第七條又ハ第九條乃至前條ノ規定ハ之ヲ適用セズ

第十三條　第三條、第五條、第六條又ハ第八條ノ規定ニ依ル統制物資ノ讓渡ハ他ノ法令ニ拘ラズ其ノ效力ヲ有ス

第十四條　主務大臣ハ統制物資ノ生產若ハ修理ヲ業トスル者、販賣其ノ他配給ヲ業トスル者、保管ヲ業トスル者若ハ業務上統制物資ノ使用若ハ消費ヲ爲ス者又ハ此等ノ者ノ團體ニ對シ統制物資ノ生產若ハ修理、販賣其ノ他配給、保管、保有、移動又ハ使用若ハ消費ニ關シ計畫ノ設定又ハ其ノ變更ヲ命ズルコトヲ得

第十五條　主務大臣ハ統制物資ノ使用又ハ消費ヲ爲ス者ニ對シ統制物資ノ使用又ハ消費ニ關シ必要ナル事項ヲ命ジ又ハ制限若ハ禁止ヲ爲スコトヲ得

第十六條　主務大臣ハ統制物資ノ生產若ハ修理ヲ業トスル者、販賣其ノ他配給ヲ業トスル者、輸出業者、輸入業者、保管ヲ業トスル者若ハ業務上統制物資ノ使用若ハ消費ヲ爲ス者又ハ此等ノ者ノ團體ニ對シ帳簿ヲ備ヘ業務ニ關シ必要ナル事項ノ眞實ナル記載ヲ爲サシムルコトヲ得

第十七條　第六條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ指定スル者同條又ハ第七條ノ認可ヲ受ケ統制物資ノ讓渡又ハ引渡ヲ求メントスル場合ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受ケ當該統制物資ノ生產若ハ修理ヲ業トスル者、販賣其ノ他配給ヲ業トスル者、輸出業者輸入業者、保管ヲ業トスル者若ハ業務上統制物資ノ使用若ハ消費ヲ爲ス者又ハ此等ノ者ノ團體ニ對シ必要ナル報吿ヲ求メタル場合ニ於テハ此等ノ者又ハ其ノ團體ハ之ヲ拒ミ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲スコトヲ得ズ

第十八條　國家總動員法第二十七條ノ規定ニ依リ補償スベキ損失ハ第二條乃至第四條、第六條、第七條、第九條乃至第十一條又ハ第十五條ノ規定ニ基ク處分ニ因ル通常生ズベキ損失トス

第十九條　主務大臣ハ個人又ハ法人其ノ他ノ團體ヲシテ本令ニ依ル統制物資ノ統制上必要ナル事務ニ協力セシムルコトヲ得

第二十條　主務大臣ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ關係者ヨリ統制物資ニ關スル統制又ハ其ノ統制事務ニ付テノ協力ニ關シ必要ナル報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ工場、事業場、店舖、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ統制物資、書類、帳簿等ヲ檢査セシムルコトヲ得

第二十一條　主務大臣ハ本令ニ定ムル職權ノ一部ヲ地方長官（東京府ニ在リテハ警視總監ヲ含ム）又ハ當該主務大臣ノ所轄スル官衙ノ長ニ委任スルコトヲ得

第二十二條　主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ必要アリト認ムルトキハ市町村長又ハ之ニ準ズベキモノヲシテ本令ニ依ル統制物資ニ關スル統制ノ實施上必要ナル事務ヲ行ハシムルコトヲ得

第二十三條　內地ニ於テ本令中第十一條及第十四條ノ規定ニ依ル保管ニ關スル命令又ハ處分及之ニ必要アル他ノ規定ノ施行ニ關スル主務大臣ハ物品ノ保管ヲ業トスル者ヲ其ノ業ニ關スル法令ニ依リ監督スル所管大臣アルトキハ當該所管大臣トス

第二十四條　第二十一條中地方長官（東京府ニ在リテハ警視總監ヲ含ム）ニ關スル規定ハ樺太及南洋群島ニハ之ヲ適用セズ

第二十五條　本令中主務大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ第二十一條中地方長官（東京府ニ在リテハ警視總監ヲ含ム）トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長トス