宇都宮陸軍飛行学校令
法令番号: 勅令第五百七十七號
公布年月日: 昭和15年9月14日
法令の形式: 勅令
朕宇都宮陸軍飛行學校令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年九月十三日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
陸軍大臣 東條英機
勅令第五百七十七號
宇都宮陸軍飛行學校令
第一條 宇都宮陸軍飛行學校ハ飛行機操縱ニ從事スル少年飛行兵及少年飛行兵ト爲スベキ生徒ヲ敎育スル所トス
第二條 生徒ハ東京陸軍航空學校ヲ卒業シタル者ヲ以テ之ニ充テ飛行機操縱ニ從事スル少年飛行兵タルニ必要ナル學術ヲ修習セシム通常每年二囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ一年トス
第三條 陸軍大臣ハ臨時ニ兵科(憲兵ヲ除ク)將校以下ヲ召集シ必要ノ修學ヲ爲サシムルコトヲ得
第四條 生徒ノ敎育綱領ハ陸軍航空總監之ヲ定ム
第五條 生徒ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第六條 少年飛行兵、生徒及第三條ノ規定ニ依リ召集シタル者ノ敎育ヲ行フ爲宇都宮陸軍飛行學校ニ敎育隊ヲ置ク
第七條 兵器ノ修理竝ニ少年飛行兵及生徒ノ實習ニ供スル爲宇都宮陸軍飛行學校ニ材料廠ヲ置ク
第八條 陸軍大臣ハ必要ニ應ジ宇都宮陸軍飛行學校ニ分敎所ヲ置クコトヲ得
第九條 宇都宮陸軍飛行學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
學校附
敎育隊長
敎育隊副官
敎育隊中隊長
敎育隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
分敎所ヲ置キタル場合ニ於テハ分敎所長ハ將校タル前項ノ職員ヲ以テ之ニ充ツ
第十條 校長ハ陸軍航空總監ニ隸シ校務ヲ總理ス
第十一條 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ敎育ノ統一ヲ圖ル
第十二條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十三條 學校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第十四條 敎育隊職員ノ服務ニ付テハ軍隊內務ノ定則ヲ準用ス
第十五條 敎育隊長ハ校長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ掌理ス
第十六條 敎育隊中隊長ハ敎育隊長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ擔任ス
第十七條 敎育隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第十八條 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第十九條 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分擔ス
第二十條 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ敎育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ從事ス
第二十一條 第三條ノ規定ニ依リ召集スル者ノ人員、召集期日及召集期間ハ陸軍大臣之ヲ吿達ス
第二十二條 前條ノ吿達アリタルトキハ所管長官(陸軍航空本部及陸軍航空本部長所轄ノ官衙ニ在リテハ陸軍航空本部長)ハ修學ニ適當ナル者ヲ選定シ召集期日前ニ其ノ所屬部隊、官等級及氏名ヲ陸軍大臣及陸軍航空總監ニ報吿又ハ通報スベシ
第二十三條 生徒ハ校內ニ居住セシム
少年飛行兵及生徒ノ修學ニ要スル兵器、被服、圖書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十四條 生徒ハ總テ校長ノ管理ニ屬ス
第二十五條 生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十六條 生徒左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屢法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 學術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修學ニ堪ヘザル者
五 前各號ノ外少年飛行兵タルニ適セズト認ムル者
第二十七條 生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修學期間內ニ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滯學セシメ又ハ次期ノ生徒ト爲スコトヲ得
第二十八條 前二條ノ規定ニ該當スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空總監ヲ經テ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ處理ス
第二十九條 校長ハ生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空總監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業證書ヲ付與ス
滯學セシメラレタル生徒修學ヲ終リタルトキハ前項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十條 校長ハ生徒ニ每年三週間以內ノ休暇ヲ與フルコトヲ得
第三十一條 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ職員ニ隊附勤務ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十二條 校長ハ敎育上必要アルトキハ敎育總監、軍司令官、師團長又ハ飛行集團長ニ禀議シ其ノ學校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十五年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕宇都宮陸軍飛行学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年九月十三日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
陸軍大臣 東条英機
勅令第五百七十七号
宇都宮陸軍飛行学校令
第一条 宇都宮陸軍飛行学校ハ飛行機操縦ニ従事スル少年飛行兵及少年飛行兵ト為スベキ生徒ヲ教育スル所トス
第二条 生徒ハ東京陸軍航空学校ヲ卒業シタル者ヲ以テ之ニ充テ飛行機操縦ニ従事スル少年飛行兵タルニ必要ナル学術ヲ修習セシム通常毎年二回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ一年トス
第三条 陸軍大臣ハ臨時ニ兵科(憲兵ヲ除ク)将校以下ヲ召集シ必要ノ修学ヲ為サシムルコトヲ得
第四条 生徒ノ教育綱領ハ陸軍航空総監之ヲ定ム
第五条 生徒ノ教育ノ実施ハ教則ニ依ル其ノ教則ハ前条ノ教育綱領ニ基キ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第六条 少年飛行兵、生徒及第三条ノ規定ニ依リ召集シタル者ノ教育ヲ行フ為宇都宮陸軍飛行学校ニ教育隊ヲ置ク
第七条 兵器ノ修理並ニ少年飛行兵及生徒ノ実習ニ供スル為宇都宮陸軍飛行学校ニ材料廠ヲ置ク
第八条 陸軍大臣ハ必要ニ応ジ宇都宮陸軍飛行学校ニ分教所ヲ置クコトヲ得
第九条 宇都宮陸軍飛行学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
学校附
教育隊長
教育隊副官
教育隊中隊長
教育隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
分教所ヲ置キタル場合ニ於テハ分教所長ハ将校タル前項ノ職員ヲ以テ之ニ充ツ
第十条 校長ハ陸軍航空総監ニ隷シ校務ヲ総理ス
第十一条 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ教育ノ統一ヲ図ル
第十二条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十三条 学校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第十四条 教育隊職員ノ服務ニ付テハ軍隊内務ノ定則ヲ準用ス
第十五条 教育隊長ハ校長ノ命ヲ承ケ教育ヲ掌理ス
第十六条 教育隊中隊長ハ教育隊長ノ命ヲ承ケ教育ヲ担任ス
第十七条 教育隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第十八条 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第十九条 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分担ス
第二十条 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ教育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ従事ス
第二十一条 第三条ノ規定ニ依リ召集スル者ノ人員、召集期日及召集期間ハ陸軍大臣之ヲ告達ス
第二十二条 前条ノ告達アリタルトキハ所管長官(陸軍航空本部及陸軍航空本部長所轄ノ官衙ニ在リテハ陸軍航空本部長)ハ修学ニ適当ナル者ヲ選定シ召集期日前ニ其ノ所属部隊、官等級及氏名ヲ陸軍大臣及陸軍航空総監ニ報告又ハ通報スベシ
第二十三条 生徒ハ校内ニ居住セシム
少年飛行兵及生徒ノ修学ニ要スル兵器、被服、図書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十四条 生徒ハ総テ校長ノ管理ニ属ス
第二十五条 生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十六条 生徒左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屡法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 学術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修学ニ堪ヘザル者
五 前各号ノ外少年飛行兵タルニ適セズト認ムル者
第二十七条 生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修学期間内ニ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滞学セシメ又ハ次期ノ生徒ト為スコトヲ得
第二十八条 前二条ノ規定ニ該当スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空総監ヲ経テ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ処理ス
第二十九条 校長ハ生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空総監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業証書ヲ付与ス
滞学セシメラレタル生徒修学ヲ終リタルトキハ前項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十条 校長ハ生徒ニ毎年三週間以内ノ休暇ヲ与フルコトヲ得
第三十一条 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ職員ニ隊附勤務ヲ為サシムルコトヲ得
第三十二条 校長ハ教育上必要アルトキハ教育総監、軍司令官、師団長又ハ飛行集団長ニ禀議シ其ノ学校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十五年十月一日ヨリ之ヲ施行ス