陸軍航空通信学校令
法令番号: 勅令第四百九十九號
公布年月日: 昭和15年8月1日
法令の形式: 勅令
朕陸軍航空通信學校令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年七月三十一日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
陸軍大臣 東條英機
勅令第四百九十九號
陸軍航空通信學校令
第一條 陸軍航空通信學校ハ學生ニ航空關係ノ通信ニ關スル學術ヲ修得セシメ通信ニ從事スル少年飛行兵及少年飛行兵ト爲スベキ生徒竝ニ航空關係ノ通信ニ從事スベキ幹部候補生及下士官候補者ヲ敎育シ且航空關係ノ通信ニ關スル調査、硏究及試驗ヲ行フ所トス
陸軍航空通信學校ニ於テハ前項ノ外戰技其ノ他ニ從事スル少年飛行兵ニ必要ナル航空關係ノ通信ニ關スル敎育ヲ行フ
第二條 學生ヲ分チテ左ノ五種トシ丁種學生ニ在リテハ通常每年二囘、其ノ他ノ學生ニ在リテハ通常每年一囘入校セシム
甲種學生 航空兵科ノ少佐又ハ大尉ヲ以テ之ニ充テ航空通信部隊ニ必要ナル戰術、敎練、陣中勤務等ヲ修習セシム其ノ修學期間ハ槪ネ六月トス
乙種學生 陸軍航空士官學校生徒ノ課程ヲ卒業シタル航空兵科尉官ヲ以テ之ニ充テ通信ニ必要ナル學術ヲ修習セシム其ノ修學期間ハ槪ネ一年トス其ノ課程ヲ普通科ト稱ス
前項ノ課程ヲ終リタル者ノ中ヨリ陸軍航空總監ノ選拔シタル二分ノ一以內ノ者ヲ更ニ槪ネ一年在學セシメ尙須要ナル學術ヲ修習セシム其ノ課程ヲ高等科ト稱ス
丙種學生 陸軍航空士官學校學生ノ課程ヲ卒業シタル航空兵科尉官ヲ以テ之ニ充テ航空通信部隊ノ勤務ニ必要ナル學術ヲ修習セシム其ノ修學期間ハ槪ネ八月トス
丁種學生 航空兵科下士官ヲ以テ之ニ充テ主トシテ航空通信部隊ノ下士官ニ必要ナル學術ヲ修習セシム其ノ修學期間ハ槪ネ六月トス
特種學生 航空兵科尉官ヲ以テ之ニ充テ暗號書ノ作製及取扱竝ニ暗號勤務ヲ修習セシム其ノ修學期間ハ槪ネ四月トス但シ陸軍航空總監ハ修學ヲ終リタル學生ノ中ヨリ校長ノ選拔シタル若干名ノ者ヲ長期學生ト爲シ更ニ二月以內在學セシメ暗號ニ關スル須要ナル學術ヲ修習セシムルコトヲ得
必要ニ應ジ他兵科(憲兵科ヲ除ク)ノ尉官及下士官ヲ以テ學生ト爲スコトヲ得
第三條 生徒ハ東京陸軍航空學校ヲ卒業シタル者ヲ以テ之ニ充テ通信ニ從事スル少年飛行兵タルニ必要ナル學術ヲ修習セシム通常每年二囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ一年トス
第四條 幹部候補生ハ各隊ヨリ分遣スル航空兵科甲種幹部候補生ヲ以テ之ニ充テ航空兵科豫備役將校ニ必要ナル通信ニ關スル學術ヲ修習セシム通常每年二囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ一年トス
第五條 下士官候補者ハ各隊ヨリ分遣スル航空兵科下士官候補者ヲ以テ之ニ充テ通信ニ從事スル航空兵科現役下士官タルニ必要ナル學術ヲ修習セシム通常每年二囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ一年トス
第六條 陸軍大臣ハ臨時ニ各兵科(憲兵科ヲ除ク)將校以下ヲ召集シ必要ノ修學ヲ爲サシムルコトヲ得
第七條 生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ敎育綱領ハ陸軍航空總監之ヲ定ム
第八條 生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第九條 學生ノ敎育ヲ行フ爲陸軍航空通信學校ニ敎育部ヲ置ク
第十條 通信ニ關スル調査、硏究及試驗ヲ行フ爲陸軍航空通信學校ニ硏究部ヲ置ク
第十一條 少年飛行兵、生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ敎育ヲ行フ爲陸軍航空通信學校ニ敎育隊ヲ置ク
第十二條 學生ノ敎育竝ニ通信ニ關スル硏究及試驗ニ資スル爲陸軍航空通信學校ニ敎導隊ヲ置キ各隊ヨリ兵ヲ分遣シテ之ヲ編成ス
第十三條 兵器ノ修理及硏究竝ニ學生、少年飛行兵、生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ實習ニ供スル爲陸軍航空通信學校ニ材料廠ヲ置ク
第十四條 陸軍航空通信學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
學校附
敎官
硏究部部員
硏究部主事
敎育隊長
敎育隊副官
敎育隊中隊長
敎育隊附
敎導隊長
敎導隊副官
敎導隊中隊長
敎導隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
第十五條 校長ハ陸軍航空總監ニ隸シ校務ヲ總理ス
第十六條 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ敎育、調査、硏究及試驗ノ統一ヲ圖ル
第十七條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十八條 學校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第十九條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ分擔ス
第二十條 硏究部部員ハ校長ノ命ヲ承ケ調査、硏究及試驗ヲ分擔ス
第二十一條 硏究部主事ハ校長ノ命ヲ承ケ調査、硏究及試驗ニ要スル資料ノ蒐集整理ニ任ジ且調査、硏究及試驗ヲ分擔ス
第二十二條 敎育隊及敎導隊職員ノ服務ニ付テハ軍隊內務ノ定則ヲ準用ス
第二十三條 敎育隊長ハ校長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ掌理ス
第二十四條 敎育隊中隊長ハ敎育隊長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ擔任ス
第二十五條 敎育隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第二十六條 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十七條 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分擔ス
第二十八條 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ敎育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ從事ス
第二十九條 學生及第六條ノ規定ニ依リ召集スル者ノ人員(必要アルトキハ其ノ人名)、入校又ハ召集ノ期日及召集期間ハ陸軍大臣之ヲ吿達ス
第三十條 前條ノ吿達アリタルトキハ所管長官(陸軍航空本部及陸軍航空本部長所轄ノ官衙ニ在リテハ陸軍航空本部長以下之ニ同ジ)ハ修學ニ適當ナル者ヲ選定シ入校又ハ召集ノ期日前ニ其ノ所屬部隊、官等級及氏名ヲ陸軍大臣及陸軍航空總監ニ報吿又ハ通報スベシ
第三十一條 營外居住者タル學生ハ校外ニ、營內居住者タル學生、生徒、幹部候補生及下士官候補者ハ校內ニ居住セシム
學生、少年飛行兵、生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ修學ニ要スル兵器、被服、圖書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第三十二條 學生、幹部候補生及下士官候補者ノ願屆其ノ他業務ニ關スル諸件ハ校長ノ管理ニ屬ス
生徒ハ總テ校長ノ管理ニ屬ス
第三十三條 學生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ學術修得ノ目途ナキ者ハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ之ヲ退校セシム
第三十四條 學生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修學期間內ニ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アリト認ムルモノハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ之ヲ所要ノ期間滯學セシムルコトヲ得
第三十五條 生徒、幹部候補生及下士官候補者ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第三十六條 生徒、幹部候補生及下士官候補者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屢法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 學術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修學ニ堪ヘザル者
五 前各號ノ外生徒ニ在リテハ少年飛行兵、幹部候補生ニ在リテハ豫備役ノ幹部、下士官候補者ニ在リテハ現役下士官タルニ適セズト認ムル者
第三十七條 生徒及下士官候補者中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修學期間內ニ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アリト認ムルモノハ生徒ニ在リテハ之ヲ所要ノ期間滯學セシメ又ハ次期ノ生徒ト爲シ、下士官候補者ニ在リテハ之ヲ所要ノ期間滯學セシムルコトヲ得
第三十八條 前二條ノ規定ニ該當スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ生徒ニ在リテハ陸軍航空總監ヲ經テ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ、其ノ他ノ者ニ在リテハ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ之ヲ處理ス
退校セシメラレタル幹部候補生及下士官候補者ハ之ヲ歸隊セシム
第三十九條 校長ハ學生ノ修學期末ニ於テ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空總監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ下士官タル學生ニハ修業證書ヲ付與シ學生ヲ歸隊セシム
前項ノ場合ニ於テ陸軍航空總監ハ學生(下士官タル學生ヲ除ク)ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ各學生ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ經テ所屬部隊長ニ送付スルモノトス
滯學セシメラレタル學生修學ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第四十條 校長ハ生徒、幹部候補生又ハ下士官候補者卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空總監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業證書ヲ付與シ幹部候補生及下士官候補者ニ在リテハ之ヲ歸隊セシム
前項ノ場合ニ於テ陸軍航空總監ハ幹部候補生ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ各幹部候補生又ハ下士官候補者ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ經テ所屬部隊長ニ送付スルモノトス
滯學セシメラレタル生徒又ハ下士官候補者修學ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第四十一條 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ職員ニ隊附勤務ヲ爲サシムルコトヲ得
第四十二條 校長ハ每年乙種學生ニ二十日以內、生徒ニ三週間以內ノ休暇ヲ與フルコトヲ得
第四十三條 校長ハ硏究又ハ敎育上必要アルトキハ敎育總監、軍司令官、師團長又ハ飛行集團長ニ稟議シ其ノ學校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ水戶陸軍飛行學校ニ在學スル少年飛行兵タル者(戰技其ノ他ニ從事スル少年飛行兵タル者ヲ除ク)又ハ生徒タル者ハ各本令ニ依ル少年飛行兵又ハ生徒ト爲リタルモノトス
朕陸軍航空通信学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年七月三十一日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
陸軍大臣 東条英機
勅令第四百九十九号
陸軍航空通信学校令
第一条 陸軍航空通信学校ハ学生ニ航空関係ノ通信ニ関スル学術ヲ修得セシメ通信ニ従事スル少年飛行兵及少年飛行兵ト為スベキ生徒並ニ航空関係ノ通信ニ従事スベキ幹部候補生及下士官候補者ヲ教育シ且航空関係ノ通信ニ関スル調査、研究及試験ヲ行フ所トス
陸軍航空通信学校ニ於テハ前項ノ外戦技其ノ他ニ従事スル少年飛行兵ニ必要ナル航空関係ノ通信ニ関スル教育ヲ行フ
第二条 学生ヲ分チテ左ノ五種トシ丁種学生ニ在リテハ通常毎年二回、其ノ他ノ学生ニ在リテハ通常毎年一回入校セシム
甲種学生 航空兵科ノ少佐又ハ大尉ヲ以テ之ニ充テ航空通信部隊ニ必要ナル戦術、教練、陣中勤務等ヲ修習セシム其ノ修学期間ハ概ネ六月トス
乙種学生 陸軍航空士官学校生徒ノ課程ヲ卒業シタル航空兵科尉官ヲ以テ之ニ充テ通信ニ必要ナル学術ヲ修習セシム其ノ修学期間ハ概ネ一年トス其ノ課程ヲ普通科ト称ス
前項ノ課程ヲ終リタル者ノ中ヨリ陸軍航空総監ノ選抜シタル二分ノ一以内ノ者ヲ更ニ概ネ一年在学セシメ尚須要ナル学術ヲ修習セシム其ノ課程ヲ高等科ト称ス
丙種学生 陸軍航空士官学校学生ノ課程ヲ卒業シタル航空兵科尉官ヲ以テ之ニ充テ航空通信部隊ノ勤務ニ必要ナル学術ヲ修習セシム其ノ修学期間ハ概ネ八月トス
丁種学生 航空兵科下士官ヲ以テ之ニ充テ主トシテ航空通信部隊ノ下士官ニ必要ナル学術ヲ修習セシム其ノ修学期間ハ概ネ六月トス
特種学生 航空兵科尉官ヲ以テ之ニ充テ暗号書ノ作製及取扱並ニ暗号勤務ヲ修習セシム其ノ修学期間ハ概ネ四月トス但シ陸軍航空総監ハ修学ヲ終リタル学生ノ中ヨリ校長ノ選抜シタル若干名ノ者ヲ長期学生ト為シ更ニ二月以内在学セシメ暗号ニ関スル須要ナル学術ヲ修習セシムルコトヲ得
必要ニ応ジ他兵科(憲兵科ヲ除ク)ノ尉官及下士官ヲ以テ学生ト為スコトヲ得
第三条 生徒ハ東京陸軍航空学校ヲ卒業シタル者ヲ以テ之ニ充テ通信ニ従事スル少年飛行兵タルニ必要ナル学術ヲ修習セシム通常毎年二回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ一年トス
第四条 幹部候補生ハ各隊ヨリ分遣スル航空兵科甲種幹部候補生ヲ以テ之ニ充テ航空兵科予備役将校ニ必要ナル通信ニ関スル学術ヲ修習セシム通常毎年二回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ一年トス
第五条 下士官候補者ハ各隊ヨリ分遣スル航空兵科下士官候補者ヲ以テ之ニ充テ通信ニ従事スル航空兵科現役下士官タルニ必要ナル学術ヲ修習セシム通常毎年二回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ一年トス
第六条 陸軍大臣ハ臨時ニ各兵科(憲兵科ヲ除ク)将校以下ヲ召集シ必要ノ修学ヲ為サシムルコトヲ得
第七条 生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ教育綱領ハ陸軍航空総監之ヲ定ム
第八条 生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ教育ノ実施ハ教則ニ依ル其ノ教則ハ前条ノ教育綱領ニ基キ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第九条 学生ノ教育ヲ行フ為陸軍航空通信学校ニ教育部ヲ置ク
第十条 通信ニ関スル調査、研究及試験ヲ行フ為陸軍航空通信学校ニ研究部ヲ置ク
第十一条 少年飛行兵、生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ教育ヲ行フ為陸軍航空通信学校ニ教育隊ヲ置ク
第十二条 学生ノ教育並ニ通信ニ関スル研究及試験ニ資スル為陸軍航空通信学校ニ教導隊ヲ置キ各隊ヨリ兵ヲ分遣シテ之ヲ編成ス
第十三条 兵器ノ修理及研究並ニ学生、少年飛行兵、生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ実習ニ供スル為陸軍航空通信学校ニ材料廠ヲ置ク
第十四条 陸軍航空通信学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
学校附
教官
研究部部員
研究部主事
教育隊長
教育隊副官
教育隊中隊長
教育隊附
教導隊長
教導隊副官
教導隊中隊長
教導隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
第十五条 校長ハ陸軍航空総監ニ隷シ校務ヲ総理ス
第十六条 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ教育、調査、研究及試験ノ統一ヲ図ル
第十七条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十八条 学校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第十九条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ教育ヲ分担ス
第二十条 研究部部員ハ校長ノ命ヲ承ケ調査、研究及試験ヲ分担ス
第二十一条 研究部主事ハ校長ノ命ヲ承ケ調査、研究及試験ニ要スル資料ノ蒐集整理ニ任ジ且調査、研究及試験ヲ分担ス
第二十二条 教育隊及教導隊職員ノ服務ニ付テハ軍隊内務ノ定則ヲ準用ス
第二十三条 教育隊長ハ校長ノ命ヲ承ケ教育ヲ掌理ス
第二十四条 教育隊中隊長ハ教育隊長ノ命ヲ承ケ教育ヲ担任ス
第二十五条 教育隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第二十六条 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十七条 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分担ス
第二十八条 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ教育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ従事ス
第二十九条 学生及第六条ノ規定ニ依リ召集スル者ノ人員(必要アルトキハ其ノ人名)、入校又ハ召集ノ期日及召集期間ハ陸軍大臣之ヲ告達ス
第三十条 前条ノ告達アリタルトキハ所管長官(陸軍航空本部及陸軍航空本部長所轄ノ官衙ニ在リテハ陸軍航空本部長以下之ニ同ジ)ハ修学ニ適当ナル者ヲ選定シ入校又ハ召集ノ期日前ニ其ノ所属部隊、官等級及氏名ヲ陸軍大臣及陸軍航空総監ニ報告又ハ通報スベシ
第三十一条 営外居住者タル学生ハ校外ニ、営内居住者タル学生、生徒、幹部候補生及下士官候補者ハ校内ニ居住セシム
学生、少年飛行兵、生徒、幹部候補生及下士官候補者ノ修学ニ要スル兵器、被服、図書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第三十二条 学生、幹部候補生及下士官候補者ノ願届其ノ他業務ニ関スル諸件ハ校長ノ管理ニ属ス
生徒ハ総テ校長ノ管理ニ属ス
第三十三条 学生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ学術修得ノ目途ナキ者ハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ之ヲ退校セシム
第三十四条 学生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修学期間内ニ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アリト認ムルモノハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ之ヲ所要ノ期間滞学セシムルコトヲ得
第三十五条 生徒、幹部候補生及下士官候補者ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第三十六条 生徒、幹部候補生及下士官候補者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屡法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 学術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修学ニ堪ヘザル者
五 前各号ノ外生徒ニ在リテハ少年飛行兵、幹部候補生ニ在リテハ予備役ノ幹部、下士官候補者ニ在リテハ現役下士官タルニ適セズト認ムル者
第三十七条 生徒及下士官候補者中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修学期間内ニ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アリト認ムルモノハ生徒ニ在リテハ之ヲ所要ノ期間滞学セシメ又ハ次期ノ生徒ト為シ、下士官候補者ニ在リテハ之ヲ所要ノ期間滞学セシムルコトヲ得
第三十八条 前二条ノ規定ニ該当スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ生徒ニ在リテハ陸軍航空総監ヲ経テ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ、其ノ他ノ者ニ在リテハ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ之ヲ処理ス
退校セシメラレタル幹部候補生及下士官候補者ハ之ヲ帰隊セシム
第三十九条 校長ハ学生ノ修学期末ニ於テ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空総監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ下士官タル学生ニハ修業証書ヲ付与シ学生ヲ帰隊セシム
前項ノ場合ニ於テ陸軍航空総監ハ学生(下士官タル学生ヲ除ク)ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ各学生ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ経テ所属部隊長ニ送付スルモノトス
滞学セシメラレタル学生修学ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第四十条 校長ハ生徒、幹部候補生又ハ下士官候補者卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空総監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業証書ヲ付与シ幹部候補生及下士官候補者ニ在リテハ之ヲ帰隊セシム
前項ノ場合ニ於テ陸軍航空総監ハ幹部候補生ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ各幹部候補生又ハ下士官候補者ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ経テ所属部隊長ニ送付スルモノトス
滞学セシメラレタル生徒又ハ下士官候補者修学ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第四十一条 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ職員ニ隊附勤務ヲ為サシムルコトヲ得
第四十二条 校長ハ毎年乙種学生ニ二十日以内、生徒ニ三週間以内ノ休暇ヲ与フルコトヲ得
第四十三条 校長ハ研究又ハ教育上必要アルトキハ教育総監、軍司令官、師団長又ハ飛行集団長ニ稟議シ其ノ学校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ水戸陸軍飛行学校ニ在学スル少年飛行兵タル者(戦技其ノ他ニ従事スル少年飛行兵タル者ヲ除ク)又ハ生徒タル者ハ各本令ニ依ル少年飛行兵又ハ生徒ト為リタルモノトス