(樺太所得税令及樺太臨時租税増徴令中改正ノ件)
法令番号: 勅令第百七十九號
公布年月日: 昭和15年3月31日
法令の形式: 勅令
朕樺太所得稅令中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月三十一日
內閣總理大臣 米內光政
拓務大臣 小磯國昭
勅令第百七十九號
樺太所得稅令中左ノ通改正ス
第三條中
乙 法人ノ超過所得
丙 法人ノ淸算所得
ヲ「乙 法人ノ淸算所得」ニ改ム
第四條 法人ノ普通所得ハ各事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ保險會社ニ在リテハ各事業年度ノ利益金又ハ剩餘金ニ依ル
法人カ各事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スヘキ第一種所得稅、第一種所得稅附加稅、法人資本稅及臨時利得稅ハ前項ノ所得ノ計算上之ヲ損金ニ算入セス臺灣又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル又ハ納付スヘキ第一種所得稅附加稅ニ相當スル租稅ニシテ樺太廳長官ノ指定スルモノニ付亦同シ
法人ノ各事業年度開始ノ日前三年內ニ開始シタル事業年度ニ於テ生シタル損金ニシテ樺太廳長官ノ定ムルモノハ第一項ノ所得ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第二條ノ規定ニ依リ納稅義務アル法人ノ普通所得ハ樺太ニ於ケル資產又ハ營業ニ付前三項ノ規定ニ準シ之ヲ計算ス
第五條 法人カ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第六條及第七條 削除
第八條ニ左ノ一項ヲ加フ
第一種所得稅、第一種所得稅附加稅、法人資本稅及臨時利得稅トシテ納付スヘキ金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ算入セス臺灣又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付スヘキ第一種所得稅附加稅ニ相當スル租稅ニシテ樺太廳長官ノ指定スルモノニ付亦同シ
第十一條中「拂込株式金額又ハ出資金額」ノ下ニ「及積立金額ノ合計金額」ヲ加フ
第十三條中「所得稅法施行地」ヲ「內地」ニ、「主タル事務所ヲ有スルトキハ」ヲ「主タル事務所ヲ有スルトキハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ最後ノ事業年度分ノ普通所得及淸算所得ニ對スル所得稅ニ付」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅シタル法人中內地、朝鮮、臺灣、關東州又ハ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有シタル法人ノ所得ニ付テハ第二十五條、樺太臨時租稅增徵令第二條及樺太支那事變特別稅令第二條ノ規定ニ拘ラス各當該地ニ於ケル法令ニ依リ算出シタル所得ニ對スル法人稅額又ハ第一種所得稅額ニ相當スル金額ヲ以テ所得稅ノ稅額トス
第十三條ノ二 法人ノ各事業年度分ノ臨時利得稅額ハ當該事業年度ノ所得金額ヨリ之ヲ控除ス
第一種所得稅ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ所得金額ヨリ控除スヘキ臨時利得稅額ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第十三條ノ三 法人ノ淸算期間中ニ於テ生シ又ハ合併ニ因リ生シタル所得ニシテ本令其ノ他ノ法令ニ依リ所得稅ヲ課セラレサルモノノ金額ハ法人ノ淸算所得金額ヨリ之ヲ控除ス
第十四條中「五千圓」ヲ「一萬圓」ニ改ム
第十五條 第三種ノ所得ハ左ノ各號ノ規定ニ依リ之ヲ算出ス
一 營業ニ非サル貸金ノ利子ハ前年中ノ收入金額ヨリ其ノ元本ヲ得ルニ要シタル負債ノ利子ヲ控除シタル金額
一ノ二 第二種ノ所得ニ屬セサル一時恩給及之ニ類スル退職給與ハ前年中ノ收入金額ヨリ支拂者ヲ異ニスル每ニ一萬圓ヲ控除シタル金額
二 山林ノ所得ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額
三 第二種ノ所得ニ屬セサル公債、社債及預金ノ利子ハ前年中ノ收入金額(無記名ノ公債及社債ノ利子ニ付テハ支拂ヲ受ケタル金額)
四 法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ハ前年三月一日ヨリ其ノ年二月末日迄ノ收入金額(無記名株式ノ配當ニ付テハ支拂ヲ受ケタル金額)ヨリ其ノ十分ノ一ヲ控除シタル金額
五 俸給、給料、歲費、年金(郵便年金ヲ除ク)、恩給(一時恩給ヲ除ク)、賞與及此等ノ性質ヲ有スル給與ハ前年中ノ收入金額
五ノ二 水產業ノ所得ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ前三年間每年ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ノ平均ニ依リ算出シタル金額
六 前各號以外ノ所得ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額
所得稅及臨時利得稅ハ前項第二號、第五號ノ二及第六號ノ必要經費ニ之ヲ算入セス
營業利得ニ對スル臨時利得稅額ハ當該臨時利得稅ヲ課セラルヘキ年分ノ所得金額ヨリ之ヲ控除ス
所得稅ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ依リ控除スヘキ臨時利得稅額ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第一項第一號、第二號、第三號及第四號ノ所得ニ付テハ被相續人ノ所得ハ之ヲ相續人ノ所得ト看做シ第五號ノ二及第六號ノ所得ニ付テハ相續シタル資產又ハ營業ハ相續人カ引續キ之ヲ有シタルモノト看做シテ其ノ所得ヲ計算ス
第十五條ノ二 左ノ金額ハ之ヲ法人ヨリ受クル利益ノ配當ト看做ス
一 株式ノ消却ニ因リ支拂ヲ受クル金額又ハ退社若ハ出資ノ減少ニ因リ持分ノ拂戾トシテ受クル金額カ其ノ株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過金額
二 法人解散シタル場合ニ於テ殘餘財產ノ分配トシテ株主又ハ社員ノ受クル金額カ其ノ株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過金額
三 法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ株主又ハ社員カ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ヨリ合併ニ因リテ取得スル株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額及金錢ノ總額カ其ノ株主又ハ社員ノ有シタル株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過金額
第十五條ノ三 公債又ハ社債ニ付元本ノ所有者ニ非サル者カ利子ノ支拂ヲ受クルトキハ元本ノ所有者カ支拂ヲ受クルモノト看做ス但シ利子ノ生スル期間中ニ元本ノ所有者ニ異動アリタルトキハ最後ノ所有者ヲ以テ利子ノ支拂ヲ受クル者ト看做ス
第十五條ノ四 第一條ノ規定ニ依リ納稅義務アル者カ樺太、內地、朝鮮、臺灣、關東州又ハ南洋群島ニ於テ支拂ヲ受クル公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニ付テハ其ノ十分ノ六ニ相當スル金額ヲ其ノ者ノ第十五條ノ規定ニ依リ算出シタル所得金額ト合算シタル金額一萬八千圓ヲ超ユル場合ハ第三條及第二十一條第五號ノ規定ニ拘ラス當該利子金額及利益金額ノ十分ノ六ニ相當スル金額ニ付テハ之ヲ第三種ノ所得トシ所得稅ヲ賦課ス
第十五條第一項第三號ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル利子及利益ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第一項ノ規定ハ戶主及其ノ同居家族カ支拂ヲ受クル利子金額及利益金額ノ十分ノ六ニ相當スル金額竝ニ此等ノ者ノ第十五條ノ規定ニ依リ算出シタル所得金額ヲ合算シ其ノ總額ニ付之ヲ適用ス戶主ト別居スル二人以上ノ同居家族カ支拂ヲ受クル利子金額及利益金額ノ十分ノ六ニ相當スル金額竝ニ此等ノ者ノ第十五條ノ規定ニ依リ算出シタル所得金額ニ付亦同シ
第十六條第一項中「前條」ヲ「第十五條」ニ、「前條第一項第三號及第五號」ヲ「第十五條第一項第五號」ニ改ム
第十七條第一項中「前二條」ヲ「第十五條及前條」ニ改メ同條第四項ヲ左ノ如ク改ム
同一人ノ所得ニ付前三項ノ規定ニ依ル控除ヲ爲ス場合ニ於テハ先ツ第十五條第一項第一號ノ二及第二號ノ所得竝ニ第十五條ノ二ニ規定スル利益ノ配當以外ノ所得ニ付之ヲ爲シ不足アルトキハ順次第十五條ノ二ニ規定スル利益ノ配當、第十五條第一項第二號及第一號ノ二ノ所得ニ及フ
第二十條中「所得稅法施行地」ヲ「內地」ニ改ム
第二十一條第一號、第二號及第五號ヲ夫々左ノ如ク改メ同條第七號中「所得稅法施行地」ヲ「內地」ニ改ム
一 軍人及軍屬ノ從軍中ノ俸給、手當及賞與
二 傷痍疾病者ノ恩給竝ニ遺族ノ恩給及年金
五 朝鮮、臺灣、關東州又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ所得稅ヲ課スル第二種ノ所得竝ニ所得稅法ニ依リ分類所得稅ヲ課スル配當利子所得(銀行以外ノ法人ニ對スル預金ノ利子及法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ヲ除ク)及退職所得
第二十二條第一項中「製造業」ヲ「製造、採掘又ハ採取ノ業」ニ、同條第二項中「重要物產ノ製造業」ヲ「重要物產ノ製造、採掘若ハ採取ノ業」ニ、「其ノ製造業」ヲ「其ノ營業」ニ改ム
第二十二條ノ二 人造石油製造事業法第二條ノ許可ヲ受ケタル人造石油製造會社ニハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ昭和二十三年一月二十四日迄其ノ事業ヨリ生スル所得ニ付所得稅ヲ免除ス
前項ノ事業ヨリ生スル所得カ各事業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額ニ相當スル所得ニ付テハ前項ノ規定ヲ適用セス但シ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間ハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ資本金額ノ計算方法ハ樺太廳長官之ヲ定ム
前條第二項ノ規定ハ第二項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十二條ノ三 第四條ノ規定ニ依リ法人ノ普通所得ヲ計算スル場合ニ於テ法人カ國債ヲ所有スルトキハ國債ノ利子額中其ノ國債ヲ所有シタル期間ノ利子額ノ百分ノ七十ニ相當スル金額ヲ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ普通所得ヨリ控除ス但シ國債ノ利子カ樺太、內地、朝鮮、臺灣又ハ關東州ニ於ケル法令ニ依リ外貨債特別稅、公債及社債利子稅又ハ配當利子特別稅ヲ課セラルルモノナルトキハ其ノ控除額ハ其ノ國債ヲ所有シタル期間ノ利子額ヨリ其ノ利子額ニ對スル外貨債特別稅相當額、公債及社債利子稅相當額又ハ配當利子特別稅相當額ヲ控除シタル殘額ノ百分ノ七十ニ相當スル金額トス
前項ノ規定ハ法人ノ淸算所得ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十三條 內地、朝鮮、臺灣、關東州又ハ南洋群島ニ於テ所得稅又ハ法人稅ヲ免除スル各當該地ノ製造、採掘又ハ採取ノ業ヨリ生スル所得ニ付テハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ所得稅ヲ免除ス
第二十五條第一項ヲ左ノ如ク改ム
第一種ノ所得ニ對スル所得稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
甲 普通所得
樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人 百分ノ五
樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セサル法人 百分ノ十
乙 淸算所得 百分ノ五
同條第五項ヲ左ノ如ク改ム
前三項ノ規定ハ內地、朝鮮、臺灣、關東州若ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル配當利子所得ニ對スル分類所得稅額若ハ第二種所得稅額又ハ臺灣ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル配當稅額ニ付之ヲ準用ス但シ控除金額ハ當該所得金額ニ左ノ率ヲ乘シテ算出シタル金額ヲ此等ノ稅額ヨリ控除シタル殘額ヲ超ユルコトヲ得ス
一 國債利子所得 百分ノ三
二 其ノ他ノ所得 百分ノ四
第二十五條ノ二第一項第二號中「事業年度末ニ於ケル積立金及其ノ事業年度ノ普通所得中留保シタル金額」ヲ「事業年度ノ普通所得中留保シタル金額ヨリ其ノ事業年度ニ於ケル普通所得ノ十分ノ一ニ相當スル金額ヲ控除シタル殘額及其ノ事業年度末ニ於ケル積立金」ニ改メ同條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ普通所得及普通所得中留保シタル金額ハ其ノ事業年度分ノ第一種所得稅額(前項ノ規定ニ依リ加算スル稅額ヲ含マス)、第一種所得稅附加稅額、法人資本稅額及第十三條ノ二ノ規定ニ依リ控除スヘキ臨時利得稅額ヲ其ノ事業年度ノ普通所得及其ノ普通所得中留保シタル金額ノ双方ヨリ控除シタル殘額ニ依ル臺灣又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付スヘキ第一種所得稅附加稅ニ相當スル租稅ニシテ樺太廳長官ノ指定スルモノニ付亦同シ
同條第二項中「使用人」ノ下ニ「、樺太廳長官ノ定ムル出資關係アル法人」ヲ加フ
第二十七條第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ第十五條第一項第一號ノ二及第二號ノ所得竝ニ第十五條ノ二ニ規定スル利益ノ配當ハ各其ノ他ノ所得ト之ヲ區分シ第十五條第一項第一號ノ二ノ所得ニ付テハ支拂者ヲ異ニスル金額每ニ樺太支那事變特別稅令第四條第一項丙ノ稅率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ以テ其ノ稅額トシ第十五條第一項第二號ノ所得及第十五條ノ二ニ規定スル利益ノ配當ニ付テハ各其ノ所得ヲ五分シタル金額ニ對シ本項ノ稅率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ五倍シタルモノヲ以テ各其ノ稅額トス
第二十七條ノ二 第十五條ノ四ノ規定ニ依リ第三種ノ所得トシテ所得稅ヲ課スヘキ所得アルトキハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ所得ヲ有スル者ノ第三種所得稅額ヨリ其ノ所得ノ基本タル第二種ノ所得ニ付納付シタル所得稅額ヲ控除ス內地、朝鮮、臺灣、關東州又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ノ所得ニ付納付シタル分類所得稅額又ハ第二種所得稅額ニ付亦同シ但シ控除金額ハ當該所得金額ニ對シ樺太支那事變特別稅令第四條第一項ノ規定ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ超ユルコトヲ得ス
第二十七條ノ三 第三種ノ所得中ニ所得稅法ニ依リ分類所得稅ヲ課セラレタル銀行預金以外ノ預金ノ利子アルトキハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ利子ニ對スル分類所得稅額ノ十分ノ六相當額ヲ當該利子ヲ含ム所得金額ニ對シ樺太臨時租稅增徵令第六條及樺太支那事變特別稅令第五條ノ規定ヲ適用シテ算出シタル稅額ヨリ控除ス但シ其ノ利子金額カ當該所得中上位ノ稅率ヲ適用セラルル部分ヲ構成スルモノトシテ樺太臨時租稅增徵令第六條及樺太支那事變特別稅令第五條ノ規定ヲ適用シテ算出シタル金額カ分類所得稅額ノ十分ノ六相當額ニ滿タサルトキハ其ノ算出シタル金額ヲ控除ス
第二十七條ノ四 第三種ノ所得中ニ所得稅法ニ依リ分類所得稅ヲ課セラレ又ハ臺灣ニ於ケル法令ニ依リ配當稅ヲ課セラレタル利益又ハ利息ノ配當アルトキハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ配當ニ對スル分類所得稅額ノ十分ノ六相當額又ハ配當稅額ノ九分ノ五相當額ヲ當該配當ヲ含ム所得金額ニ對シ樺太臨時租稅增徵令第六條及樺太支那事變特別稅令第五條ノ規定ヲ適用シテ算出シタル稅額ヨリ控除ス但シ其ノ利益又ハ利息金額カ當該所得中上位ノ稅率ヲ適用セラルル部分ヲ構成スルモノトシテ樺太臨時租稅增徵令第六條及樺太支那事變特別稅令第五條ノ規定ヲ適用シテ算出シタル金額カ分類所得稅額ノ十分ノ六相當額又ハ配當稅額ノ九分ノ五相當額ニ滿タサルトキハ其ノ算出シタル金額ヲ控除ス
第二十七條ノ五 所得稅法ニ依リ納付シタル勤勞所得ニ對スル分類所得稅額ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ當該年分ノ第三種ノ所得ニ對スル所得稅額ヨリ之ヲ控除ス
第三十條ニ左ノ二項ヲ加フ
第三種ノ所得ニ付納稅義務アル者第一項ノ規定ニ依ル所得ノ決定前ニ納稅管理人ノ申吿ヲ爲サスシテ樺太ニ住所及居所ヲ有セサルニ至ルトキハ第一項ノ規定ニ拘ラス政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ所得金額ヲ決定スルコトヲ得
前四項ノ規定ハ第十六條乃至第十七條ノ二ノ規定ニ依ル控除ニ因リ徵收稅額ナシト認ムル者ニ付テハ之ヲ適用セス
第三十八條ノ二 樺太ニ於テ無記名ノ公債、社債又ハ株式ニ付利子又ハ配當ノ支拂ヲ受クル者ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ氏名又ハ名稱、住所其ノ他必要ナル事項ヲ利子又ハ配當ノ支拂ノ取扱者ニ吿知スヘシ
利子又ハ配當ノ支拂ノ取扱者ハ前項ノ吿知ヲ爲サシメタル後其ノ支拂ヲ爲スヘシ
第三十九條第一項ヲ左ノ如ク改ム
左ニ揭クル者ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ支拂調書ヲ政府ニ提出スヘシ
一 俸給、給料、歲費、年金、恩給若ハ賞與又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支拂ヲ爲ス者
二 公債、社債又ハ預金ノ利子ノ支拂ヲ爲ス者
三 利益又ハ利息ノ配當ヲ爲ス法人
第四十三條 第三種ノ所得ニ付納稅義務アル者災害、失業其ノ他ノ事由ニ因リ著シク資力ヲ喪失シ納稅困難ト認メラルルトキハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ所得稅ヲ輕減又ハ免除スルコトヲ得
第四十四條 政府ハ前條ノ規定ニ依リ輕減又ハ免除セラルル所得稅ニ付輕減又ハ免除ニ關スル處分ノ確定スルニ至ル迄稅金ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第四十七條中「淸算所得」ヲ「第一種所得」ニ改ム
第四十八條 削除
第五十二條ノ二中「使用人」ノ下ニ「、樺太廳長官ノ定ムル出資關係アル法人」ヲ加フ
附 則
第一條 本令ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二條 法人ノ本令施行前ニ終了シタル各事業年度分ノ所得及本令施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル淸算所得ニ對スル所得稅竝ニ本令施行前徵收シ又ハ徵收スベカリシ第二種ノ所得ニ對スル所得稅ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
第三種ノ所得稅ニ付テハ昭和十五年分ヨリ本令ヲ適用ス
第三條 昭和十五年四月一日ヲ含ム事業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年度分ノ第一種所得稅、第一種所得稅附加稅、法人資本稅、臨時利得稅及樺太廳長官ノ指定スル第一種所得附加稅ニ相當スル租稅ハ第四條第二項ノ改正規定ニ拘ラズ法人ノ各事業年度ノ普通所得ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第四條 第十五條ノ二ノ規定ハ同條第二號及第三號ニ揭グル金額ニシテ本令施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ルモノニハ之ヲ適用セズ
第五條 第十五條ノ四ノ規定ハ公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニシテ其ノ支拂期ガ本令施行前ニ屬スルモノニ付テハ之ヲ適用セズ
第六條 樺太ニ於テ支拂ヲ受クル公債、社債及銀行預金ノ利子ニシテ第十五條ノ四ノ規定ニ依リ第三種ノ所得トシテ所得稅ヲ課セラルベキモノニ付テハ當分ノ內納稅義務者ノ申請ニ依リ他ノ所得ト之ヲ區分シ利子支拂ノ際其ノ利子金額ヲ課稅標準トシ百分ノ十五ノ稅率ニ依リ第三種所得稅ヲ賦課スルコトヲ得
前項ニ規定スル第三種所得稅ハ其ノ利子支拂ノ際支拂者ニ於テ之ヲ徵收シ翌月十日迄ニ政府ニ納付スベシ
第四十六條及第四十七條ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第七條 前條ノ規定ハ第二十條第二項ノ規定ニ拘ラズ內地、朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ樺太ニ於テ支拂ヲ受クル公債、社債又ハ銀行預金ノ利子ニ付之ヲ準用ス
第八條 樺太ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ガ內地、朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ於テ支拂ヲ受クル公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニシテ各當該地ノ法令ニ依リ利子又ハ利益ノ支拂ノ際綜合所得稅又ハ第三種所得稅ヲ課セラレタルモノニ付テハ當分ノ內第三種所得稅ヲ課セズ
第八條 第二十九條ノ規定中三月十五日トアルハ昭和十五年ニ限リ四月二十日トス
第九條 左ニ揭グル第三種ノ所得ニ付テハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ昭和十五年分又ハ昭和十六年分ニ限リ第三種所得稅ヲ輕減若ハ免除シ又ハ所得金額ノ計算ニ關シ特例ヲ設クルコトヲ得
一 昭和十四年一月一日ヨリ昭和十六年一月一日ニ至ル期間引續キ有シタルニ非ザル資產、營業又ハ職業ノ所得
二 昭和十四年一月一日ヨリ昭和十六年一月一日ニ至ル期間引續キ支給ヲ受ケタルニ非ザル俸給、給料、歲費、年金及恩給竝ニ此等ノ性質ヲ有スル給與
第十條 第三種ノ所得ニ屬スル賞與又ハ賞與ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ昭和十四年三月一日以後同年十二月三十一日迄ノ收入金額ニ限リ昭和十五年分ノ所得トシテ之ヲ計算ス
第十一條 第二十九條第一項中三月十五日トアルハ昭和十五年ニ限リ四月二十日トス
第十二條 樺太臨時租稅增徵令中左ノ通改正ス
第三條 削除
第六條但書中「同令第十五條第一項第二號ノ所得」ノ下ニ「及同令第十五條ノ二ニ規定スル利益ノ配當」ヲ加フ
第七條 削除
朕樺太所得税令中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月三十一日
内閣総理大臣 米内光政
拓務大臣 小磯国昭
勅令第百七十九号
樺太所得税令中左ノ通改正ス
第三条中
乙 法人ノ超過所得
丙 法人ノ清算所得
ヲ「乙 法人ノ清算所得」ニ改ム
第四条 法人ノ普通所得ハ各事業年度ノ総益金ヨリ総損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ保険会社ニ在リテハ各事業年度ノ利益金又ハ剰余金ニ依ル
法人カ各事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スヘキ第一種所得税、第一種所得税附加税、法人資本税及臨時利得税ハ前項ノ所得ノ計算上之ヲ損金ニ算入セス台湾又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル又ハ納付スヘキ第一種所得税附加税ニ相当スル租税ニシテ樺太庁長官ノ指定スルモノニ付亦同シ
法人ノ各事業年度開始ノ日前三年内ニ開始シタル事業年度ニ於テ生シタル損金ニシテ樺太庁長官ノ定ムルモノハ第一項ノ所得ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第二条ノ規定ニ依リ納税義務アル法人ノ普通所得ハ樺太ニ於ケル資産又ハ営業ニ付前三項ノ規定ニ準シ之ヲ計算ス
第五条 法人カ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第六条及第七条 削除
第八条ニ左ノ一項ヲ加フ
第一種所得税、第一種所得税附加税、法人資本税及臨時利得税トシテ納付スヘキ金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ算入セス台湾又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付スヘキ第一種所得税附加税ニ相当スル租税ニシテ樺太庁長官ノ指定スルモノニ付亦同シ
第十一条中「払込株式金額又ハ出資金額」ノ下ニ「及積立金額ノ合計金額」ヲ加フ
第十三条中「所得税法施行地」ヲ「内地」ニ、「主タル事務所ヲ有スルトキハ」ヲ「主タル事務所ヲ有スルトキハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ最後ノ事業年度分ノ普通所得及清算所得ニ対スル所得税ニ付」ニ改メ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅シタル法人中内地、朝鮮、台湾、関東州又ハ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有シタル法人ノ所得ニ付テハ第二十五条、樺太臨時租税増徴令第二条及樺太支那事変特別税令第二条ノ規定ニ拘ラス各当該地ニ於ケル法令ニ依リ算出シタル所得ニ対スル法人税額又ハ第一種所得税額ニ相当スル金額ヲ以テ所得税ノ税額トス
第十三条ノ二 法人ノ各事業年度分ノ臨時利得税額ハ当該事業年度ノ所得金額ヨリ之ヲ控除ス
第一種所得税ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ所得金額ヨリ控除スヘキ臨時利得税額ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第十三条ノ三 法人ノ清算期間中ニ於テ生シ又ハ合併ニ因リ生シタル所得ニシテ本令其ノ他ノ法令ニ依リ所得税ヲ課セラレサルモノノ金額ハ法人ノ清算所得金額ヨリ之ヲ控除ス
第十四条中「五千円」ヲ「一万円」ニ改ム
第十五条 第三種ノ所得ハ左ノ各号ノ規定ニ依リ之ヲ算出ス
一 営業ニ非サル貸金ノ利子ハ前年中ノ収入金額ヨリ其ノ元本ヲ得ルニ要シタル負債ノ利子ヲ控除シタル金額
一ノ二 第二種ノ所得ニ属セサル一時恩給及之ニ類スル退職給与ハ前年中ノ収入金額ヨリ支払者ヲ異ニスル毎ニ一万円ヲ控除シタル金額
二 山林ノ所得ハ前年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額
三 第二種ノ所得ニ属セサル公債、社債及預金ノ利子ハ前年中ノ収入金額(無記名ノ公債及社債ノ利子ニ付テハ支払ヲ受ケタル金額)
四 法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ハ前年三月一日ヨリ其ノ年二月末日迄ノ収入金額(無記名株式ノ配当ニ付テハ支払ヲ受ケタル金額)ヨリ其ノ十分ノ一ヲ控除シタル金額
五 俸給、給料、歳費、年金(郵便年金ヲ除ク)、恩給(一時恩給ヲ除ク)、賞与及此等ノ性質ヲ有スル給与ハ前年中ノ収入金額
五ノ二 水産業ノ所得ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ前三年間毎年ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額ノ平均ニ依リ算出シタル金額
六 前各号以外ノ所得ハ前年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額
所得税及臨時利得税ハ前項第二号、第五号ノ二及第六号ノ必要経費ニ之ヲ算入セス
営業利得ニ対スル臨時利得税額ハ当該臨時利得税ヲ課セラルヘキ年分ノ所得金額ヨリ之ヲ控除ス
所得税ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ依リ控除スヘキ臨時利得税額ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第一項第一号、第二号、第三号及第四号ノ所得ニ付テハ被相続人ノ所得ハ之ヲ相続人ノ所得ト看做シ第五号ノ二及第六号ノ所得ニ付テハ相続シタル資産又ハ営業ハ相続人カ引続キ之ヲ有シタルモノト看做シテ其ノ所得ヲ計算ス
第十五条ノ二 左ノ金額ハ之ヲ法人ヨリ受クル利益ノ配当ト看做ス
一 株式ノ消却ニ因リ支払ヲ受クル金額又ハ退社若ハ出資ノ減少ニ因リ持分ノ払戻トシテ受クル金額カ其ノ株式ノ払込済金額又ハ出資金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過金額
二 法人解散シタル場合ニ於テ残余財産ノ分配トシテ株主又ハ社員ノ受クル金額カ其ノ株式ノ払込済金額又ハ出資金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過金額
三 法人合併ヲ為シタル場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ株主又ハ社員カ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ヨリ合併ニ因リテ取得スル株式ノ払込済金額又ハ出資金額及金銭ノ総額カ其ノ株主又ハ社員ノ有シタル株式ノ払込済金額又ハ出資金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過金額
第十五条ノ三 公債又ハ社債ニ付元本ノ所有者ニ非サル者カ利子ノ支払ヲ受クルトキハ元本ノ所有者カ支払ヲ受クルモノト看做ス但シ利子ノ生スル期間中ニ元本ノ所有者ニ異動アリタルトキハ最後ノ所有者ヲ以テ利子ノ支払ヲ受クル者ト看做ス
第十五条ノ四 第一条ノ規定ニ依リ納税義務アル者カ樺太、内地、朝鮮、台湾、関東州又ハ南洋群島ニ於テ支払ヲ受クル公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニ付テハ其ノ十分ノ六ニ相当スル金額ヲ其ノ者ノ第十五条ノ規定ニ依リ算出シタル所得金額ト合算シタル金額一万八千円ヲ超ユル場合ハ第三条及第二十一条第五号ノ規定ニ拘ラス当該利子金額及利益金額ノ十分ノ六ニ相当スル金額ニ付テハ之ヲ第三種ノ所得トシ所得税ヲ賦課ス
第十五条第一項第三号ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル利子及利益ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第一項ノ規定ハ戸主及其ノ同居家族カ支払ヲ受クル利子金額及利益金額ノ十分ノ六ニ相当スル金額並ニ此等ノ者ノ第十五条ノ規定ニ依リ算出シタル所得金額ヲ合算シ其ノ総額ニ付之ヲ適用ス戸主ト別居スル二人以上ノ同居家族カ支払ヲ受クル利子金額及利益金額ノ十分ノ六ニ相当スル金額並ニ此等ノ者ノ第十五条ノ規定ニ依リ算出シタル所得金額ニ付亦同シ
第十六条第一項中「前条」ヲ「第十五条」ニ、「前条第一項第三号及第五号」ヲ「第十五条第一項第五号」ニ改ム
第十七条第一項中「前二条」ヲ「第十五条及前条」ニ改メ同条第四項ヲ左ノ如ク改ム
同一人ノ所得ニ付前三項ノ規定ニ依ル控除ヲ為ス場合ニ於テハ先ツ第十五条第一項第一号ノ二及第二号ノ所得並ニ第十五条ノ二ニ規定スル利益ノ配当以外ノ所得ニ付之ヲ為シ不足アルトキハ順次第十五条ノ二ニ規定スル利益ノ配当、第十五条第一項第二号及第一号ノ二ノ所得ニ及フ
第二十条中「所得税法施行地」ヲ「内地」ニ改ム
第二十一条第一号、第二号及第五号ヲ夫々左ノ如ク改メ同条第七号中「所得税法施行地」ヲ「内地」ニ改ム
一 軍人及軍属ノ従軍中ノ俸給、手当及賞与
二 傷痍疾病者ノ恩給並ニ遺族ノ恩給及年金
五 朝鮮、台湾、関東州又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ所得税ヲ課スル第二種ノ所得並ニ所得税法ニ依リ分類所得税ヲ課スル配当利子所得(銀行以外ノ法人ニ対スル預金ノ利子及法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ヲ除ク)及退職所得
第二十二条第一項中「製造業」ヲ「製造、採掘又ハ採取ノ業」ニ、同条第二項中「重要物産ノ製造業」ヲ「重要物産ノ製造、採掘若ハ採取ノ業」ニ、「其ノ製造業」ヲ「其ノ営業」ニ改ム
第二十二条ノ二 人造石油製造事業法第二条ノ許可ヲ受ケタル人造石油製造会社ニハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ昭和二十三年一月二十四日迄其ノ事業ヨリ生スル所得ニ付所得税ヲ免除ス
前項ノ事業ヨリ生スル所得カ各事業年度ノ資本金額ニ対シ年百分ノ十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額ニ相当スル所得ニ付テハ前項ノ規定ヲ適用セス但シ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間ハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ資本金額ノ計算方法ハ樺太庁長官之ヲ定ム
前条第二項ノ規定ハ第二項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十二条ノ三 第四条ノ規定ニ依リ法人ノ普通所得ヲ計算スル場合ニ於テ法人カ国債ヲ所有スルトキハ国債ノ利子額中其ノ国債ヲ所有シタル期間ノ利子額ノ百分ノ七十ニ相当スル金額ヲ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ普通所得ヨリ控除ス但シ国債ノ利子カ樺太、内地、朝鮮、台湾又ハ関東州ニ於ケル法令ニ依リ外貨債特別税、公債及社債利子税又ハ配当利子特別税ヲ課セラルルモノナルトキハ其ノ控除額ハ其ノ国債ヲ所有シタル期間ノ利子額ヨリ其ノ利子額ニ対スル外貨債特別税相当額、公債及社債利子税相当額又ハ配当利子特別税相当額ヲ控除シタル残額ノ百分ノ七十ニ相当スル金額トス
前項ノ規定ハ法人ノ清算所得ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十三条 内地、朝鮮、台湾、関東州又ハ南洋群島ニ於テ所得税又ハ法人税ヲ免除スル各当該地ノ製造、採掘又ハ採取ノ業ヨリ生スル所得ニ付テハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ所得税ヲ免除ス
第二十五条第一項ヲ左ノ如ク改ム
第一種ノ所得ニ対スル所得税ハ左ノ税率ニ依リ之ヲ賦課ス
甲 普通所得
樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人 百分ノ五
樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セサル法人 百分ノ十
乙 清算所得 百分ノ五
同条第五項ヲ左ノ如ク改ム
前三項ノ規定ハ内地、朝鮮、台湾、関東州若ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル配当利子所得ニ対スル分類所得税額若ハ第二種所得税額又ハ台湾ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル配当税額ニ付之ヲ準用ス但シ控除金額ハ当該所得金額ニ左ノ率ヲ乗シテ算出シタル金額ヲ此等ノ税額ヨリ控除シタル残額ヲ超ユルコトヲ得ス
一 国債利子所得 百分ノ三
二 其ノ他ノ所得 百分ノ四
第二十五条ノ二第一項第二号中「事業年度末ニ於ケル積立金及其ノ事業年度ノ普通所得中留保シタル金額」ヲ「事業年度ノ普通所得中留保シタル金額ヨリ其ノ事業年度ニ於ケル普通所得ノ十分ノ一ニ相当スル金額ヲ控除シタル残額及其ノ事業年度末ニ於ケル積立金」ニ改メ同条第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ普通所得及普通所得中留保シタル金額ハ其ノ事業年度分ノ第一種所得税額(前項ノ規定ニ依リ加算スル税額ヲ含マス)、第一種所得税附加税額、法人資本税額及第十三条ノ二ノ規定ニ依リ控除スヘキ臨時利得税額ヲ其ノ事業年度ノ普通所得及其ノ普通所得中留保シタル金額ノ双方ヨリ控除シタル残額ニ依ル台湾又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付スヘキ第一種所得税附加税ニ相当スル租税ニシテ樺太庁長官ノ指定スルモノニ付亦同シ
同条第二項中「使用人」ノ下ニ「、樺太庁長官ノ定ムル出資関係アル法人」ヲ加フ
第二十七条第一項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ第十五条第一項第一号ノ二及第二号ノ所得並ニ第十五条ノ二ニ規定スル利益ノ配当ハ各其ノ他ノ所得ト之ヲ区分シ第十五条第一項第一号ノ二ノ所得ニ付テハ支払者ヲ異ニスル金額毎ニ樺太支那事変特別税令第四条第一項丙ノ税率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ以テ其ノ税額トシ第十五条第一項第二号ノ所得及第十五条ノ二ニ規定スル利益ノ配当ニ付テハ各其ノ所得ヲ五分シタル金額ニ対シ本項ノ税率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ五倍シタルモノヲ以テ各其ノ税額トス
第二十七条ノ二 第十五条ノ四ノ規定ニ依リ第三種ノ所得トシテ所得税ヲ課スヘキ所得アルトキハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ所得ヲ有スル者ノ第三種所得税額ヨリ其ノ所得ノ基本タル第二種ノ所得ニ付納付シタル所得税額ヲ控除ス内地、朝鮮、台湾、関東州又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ノ所得ニ付納付シタル分類所得税額又ハ第二種所得税額ニ付亦同シ但シ控除金額ハ当該所得金額ニ対シ樺太支那事変特別税令第四条第一項ノ規定ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ超ユルコトヲ得ス
第二十七条ノ三 第三種ノ所得中ニ所得税法ニ依リ分類所得税ヲ課セラレタル銀行預金以外ノ預金ノ利子アルトキハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ利子ニ対スル分類所得税額ノ十分ノ六相当額ヲ当該利子ヲ含ム所得金額ニ対シ樺太臨時租税増徴令第六条及樺太支那事変特別税令第五条ノ規定ヲ適用シテ算出シタル税額ヨリ控除ス但シ其ノ利子金額カ当該所得中上位ノ税率ヲ適用セラルル部分ヲ構成スルモノトシテ樺太臨時租税増徴令第六条及樺太支那事変特別税令第五条ノ規定ヲ適用シテ算出シタル金額カ分類所得税額ノ十分ノ六相当額ニ満タサルトキハ其ノ算出シタル金額ヲ控除ス
第二十七条ノ四 第三種ノ所得中ニ所得税法ニ依リ分類所得税ヲ課セラレ又ハ台湾ニ於ケル法令ニ依リ配当税ヲ課セラレタル利益又ハ利息ノ配当アルトキハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ配当ニ対スル分類所得税額ノ十分ノ六相当額又ハ配当税額ノ九分ノ五相当額ヲ当該配当ヲ含ム所得金額ニ対シ樺太臨時租税増徴令第六条及樺太支那事変特別税令第五条ノ規定ヲ適用シテ算出シタル税額ヨリ控除ス但シ其ノ利益又ハ利息金額カ当該所得中上位ノ税率ヲ適用セラルル部分ヲ構成スルモノトシテ樺太臨時租税増徴令第六条及樺太支那事変特別税令第五条ノ規定ヲ適用シテ算出シタル金額カ分類所得税額ノ十分ノ六相当額又ハ配当税額ノ九分ノ五相当額ニ満タサルトキハ其ノ算出シタル金額ヲ控除ス
第二十七条ノ五 所得税法ニ依リ納付シタル勤労所得ニ対スル分類所得税額ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ当該年分ノ第三種ノ所得ニ対スル所得税額ヨリ之ヲ控除ス
第三十条ニ左ノ二項ヲ加フ
第三種ノ所得ニ付納税義務アル者第一項ノ規定ニ依ル所得ノ決定前ニ納税管理人ノ申告ヲ為サスシテ樺太ニ住所及居所ヲ有セサルニ至ルトキハ第一項ノ規定ニ拘ラス政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ所得金額ヲ決定スルコトヲ得
前四項ノ規定ハ第十六条乃至第十七条ノ二ノ規定ニ依ル控除ニ因リ徴収税額ナシト認ムル者ニ付テハ之ヲ適用セス
第三十八条ノ二 樺太ニ於テ無記名ノ公債、社債又ハ株式ニ付利子又ハ配当ノ支払ヲ受クル者ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ氏名又ハ名称、住所其ノ他必要ナル事項ヲ利子又ハ配当ノ支払ノ取扱者ニ告知スヘシ
利子又ハ配当ノ支払ノ取扱者ハ前項ノ告知ヲ為サシメタル後其ノ支払ヲ為スヘシ
第三十九条第一項ヲ左ノ如ク改ム
左ニ掲クル者ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ支払調書ヲ政府ニ提出スヘシ
一 俸給、給料、歳費、年金、恩給若ハ賞与又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支払ヲ為ス者
二 公債、社債又ハ預金ノ利子ノ支払ヲ為ス者
三 利益又ハ利息ノ配当ヲ為ス法人
第四十三条 第三種ノ所得ニ付納税義務アル者災害、失業其ノ他ノ事由ニ因リ著シク資力ヲ喪失シ納税困難ト認メラルルトキハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ所得税ヲ軽減又ハ免除スルコトヲ得
第四十四条 政府ハ前条ノ規定ニ依リ軽減又ハ免除セラルル所得税ニ付軽減又ハ免除ニ関スル処分ノ確定スルニ至ル迄税金ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第四十七条中「清算所得」ヲ「第一種所得」ニ改ム
第四十八条 削除
第五十二条ノ二中「使用人」ノ下ニ「、樺太庁長官ノ定ムル出資関係アル法人」ヲ加フ
附 則
第一条 本令ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二条 法人ノ本令施行前ニ終了シタル各事業年度分ノ所得及本令施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル清算所得ニ対スル所得税並ニ本令施行前徴収シ又ハ徴収スベカリシ第二種ノ所得ニ対スル所得税ニ関シテハ仍従前ノ例ニ依ル
第三種ノ所得税ニ付テハ昭和十五年分ヨリ本令ヲ適用ス
第三条 昭和十五年四月一日ヲ含ム事業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年度分ノ第一種所得税、第一種所得税附加税、法人資本税、臨時利得税及樺太庁長官ノ指定スル第一種所得附加税ニ相当スル租税ハ第四条第二項ノ改正規定ニ拘ラズ法人ノ各事業年度ノ普通所得ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第四条 第十五条ノ二ノ規定ハ同条第二号及第三号ニ掲グル金額ニシテ本令施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ルモノニハ之ヲ適用セズ
第五条 第十五条ノ四ノ規定ハ公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニシテ其ノ支払期ガ本令施行前ニ属スルモノニ付テハ之ヲ適用セズ
第六条 樺太ニ於テ支払ヲ受クル公債、社債及銀行預金ノ利子ニシテ第十五条ノ四ノ規定ニ依リ第三種ノ所得トシテ所得税ヲ課セラルベキモノニ付テハ当分ノ内納税義務者ノ申請ニ依リ他ノ所得ト之ヲ区分シ利子支払ノ際其ノ利子金額ヲ課税標準トシ百分ノ十五ノ税率ニ依リ第三種所得税ヲ賦課スルコトヲ得
前項ニ規定スル第三種所得税ハ其ノ利子支払ノ際支払者ニ於テ之ヲ徴収シ翌月十日迄ニ政府ニ納付スベシ
第四十六条及第四十七条ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第七条 前条ノ規定ハ第二十条第二項ノ規定ニ拘ラズ内地、朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ樺太ニ於テ支払ヲ受クル公債、社債又ハ銀行預金ノ利子ニ付之ヲ準用ス
第八条 樺太ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ガ内地、朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ於テ支払ヲ受クル公債、社債若ハ銀行預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニシテ各当該地ノ法令ニ依リ利子又ハ利益ノ支払ノ際綜合所得税又ハ第三種所得税ヲ課セラレタルモノニ付テハ当分ノ内第三種所得税ヲ課セズ
第八条 第二十九条ノ規定中三月十五日トアルハ昭和十五年ニ限リ四月二十日トス
第九条 左ニ掲グル第三種ノ所得ニ付テハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ昭和十五年分又ハ昭和十六年分ニ限リ第三種所得税ヲ軽減若ハ免除シ又ハ所得金額ノ計算ニ関シ特例ヲ設クルコトヲ得
一 昭和十四年一月一日ヨリ昭和十六年一月一日ニ至ル期間引続キ有シタルニ非ザル資産、営業又ハ職業ノ所得
二 昭和十四年一月一日ヨリ昭和十六年一月一日ニ至ル期間引続キ支給ヲ受ケタルニ非ザル俸給、給料、歳費、年金及恩給並ニ此等ノ性質ヲ有スル給与
第十条 第三種ノ所得ニ属スル賞与又ハ賞与ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ昭和十四年三月一日以後同年十二月三十一日迄ノ収入金額ニ限リ昭和十五年分ノ所得トシテ之ヲ計算ス
第十一条 第二十九条第一項中三月十五日トアルハ昭和十五年ニ限リ四月二十日トス
第十二条 樺太臨時租税増徴令中左ノ通改正ス
第三条 削除
第六条但書中「同令第十五条第一項第二号ノ所得」ノ下ニ「及同令第十五条ノ二ニ規定スル利益ノ配当」ヲ加フ
第七条 削除