(関東州臨時利得税令中改正ノ件)
法令番号: 勅令第百七十三號
公布年月日: 昭和15年3月31日
法令の形式: 勅令
朕關東州臨時利得稅令中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月三十一日
內閣總理大臣 米內光政
勅令第百七十三號
關東州臨時利得稅令中左ノ通改正ス
第三條第二項ヲ削ル
第四條 法人ノ現事業年度ノ利益ガ現事業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ以テ法人ノ利得トス
第四條ノ二乃至第四條ノ四ヲ削ル
第五條 法人ノ現事業年度ノ利益ハ現事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ相互保險會社及會員組織ノ取引所ニ在リテハ現事業年度ノ剩餘金ニ依ル
法人ガ現事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベキ第一種所得稅及臨時利得稅竝ニ當該事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得稅ニシテ關東州所得稅令第二十五條ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ第一種ノ所得ニ對スル所得稅額ヨリ控除スベキモノハ前項ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
法人ノ現事業年度開始ノ日前三年內ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル損金ニシテ滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムルモノハ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
前二項ノ規定ハ相互保險會社又ハ會員組織ノ取引所ノ剩餘金ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二條ノ規定ニ依リ納稅義務アル法人ノ利益ハ關東州ニ於ケル資產又ハ營業ニ付前四項ノ規定ニ準ジ之ヲ計算ス
第五條ノ二 法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第六條第一項ヲ左ノ如ク改ム
法人ノ現事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル拂込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
同條第三項中「滿洲國駐箚特命全權大使」ヲ「大使」ニ改メ同條第二項及第四項ヲ削ル
第七條 本令ニ於テ積立金額トハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ各事業年度ノ利益中其ノ留保シタル金額ヲ謂フ
第一種所得稅及臨時利得稅トシテ納付スベキ金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ算入セズ
第十一條 臨時利得稅ハ法人ノ利得ヲ左ノ部分ニ區分シ各部分ニ付左ノ稅率ヲ適用シテ之ヲ賦課ス
一 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ旣往事業年度ノ平均利益率ヲ乘ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ十六
二 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ旣往事業年度ノ平均利益率ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ三十
三 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超ユル金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ四十五
現事業年度ノ資本金額十萬圓以下ナル法人ニ限リ前項ニ規定スル稅率百分ノ十六ハ之ヲ百分ノ六トシ同百分ノ三十ハ之ヲ百分ノ二十トシ同百分ノ四十五ハ之ヲ百分ノ三十五トス
第十一條ノ二 前條ノ規定ニ依リ現事業年度ノ資本金額ニ乘ズベキ旣往事業年度ノ平均利益率ハ昭和十一年十二月三十一日以前三年內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益ノ平均資本金額ニ對スル割合トス但シ其ノ割合ガ年百分ノ十未滿ナルトキ又ハ法人ノ第一次事業年度ガ昭和十二年一月一日以後ニ終了シタルトキハ其ノ割合ヲ年百分ノ十トシ其ノ割合ガ年百分ノ二十ヲ超ユルトキハ之ヲ年百分ノ二十トス
第五條(第三項ヲ除ク)乃至第六條及第七條第一項ノ規定ハ前項ノ平均利益及平均資本金額算出ノ基礎タル昭和十一年十二月三十一日以前三年內ニ終了シタル各事業年度ノ利益及資本金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第十一條ノ三 前條第一項ノ規定ニ依ル旣往事業年度ノ平均利益率ガ年百分ノ十ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ現事業年度ノ資本金額中ニ增加資本金額アルトキハ同項ノ規定ニ拘ラズ現事業年度ノ資本金額中增加資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ト增加資本金額以外ノ部分ニ同項ノ規定ニ依ル旣往事業年度ノ平均利益率ニ相當スル割合ヲ乘ジテ算出シタル金額トノ合計額ノ現事業年度ノ資本金額ニ對スル割合ヲ以テ旣往事業年度ノ平均利益率トス
前項ノ增加資本金額トハ現事業年度ノ資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額又ハ同日以前三年內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過額ヲ謂フ
昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ同日ニ於ケル拂込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ニ依リ之ヲ計算ス
第六條第二項ノ規定ハ前項ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第十一條ノ四 法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ昭和十一年十二月三十一日以前三年內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益及平均資本金額竝ニ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第十五條中「及第五十六條」ヲ「乃至第五十七條」ニ改ム
附 則
本令ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
法人ノ本令施行前ニ終了シタル各事業年度ノ利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
昭和十五年四月一日ヲ含ム事業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年度分ノ第一種所得稅及臨時利得稅ハ關東州臨時利得稅令第五條第二項ノ改正規定ニ拘ラズ法人ノ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
法人ニ非ザル社團ノ利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ當分ノ內關東州臨時利得稅令第十一條ニ規定スル稅率ヲ以テ算出シタル稅額ノ百分ノ十ニ相當スル稅額ヲ輕減ス
朕関東州臨時利得税令中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月三十一日
内閣総理大臣 米内光政
勅令第百七十三号
関東州臨時利得税令中左ノ通改正ス
第三条第二項ヲ削ル
第四条 法人ノ現事業年度ノ利益ガ現事業年度ノ資本金額ニ対シ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ以テ法人ノ利得トス
第四条ノ二乃至第四条ノ四ヲ削ル
第五条 法人ノ現事業年度ノ利益ハ現事業年度ノ総益金ヨリ総損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ相互保険会社及会員組織ノ取引所ニ在リテハ現事業年度ノ剰余金ニ依ル
法人ガ現事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベキ第一種所得税及臨時利得税並ニ当該事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得税ニシテ関東州所得税令第二十五条ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ第一種ノ所得ニ対スル所得税額ヨリ控除スベキモノハ前項ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
法人ノ現事業年度開始ノ日前三年内ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル損金ニシテ満洲国駐箚特命全権大使ノ定ムルモノハ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
前二項ノ規定ハ相互保険会社又ハ会員組織ノ取引所ノ剰余金ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二条ノ規定ニ依リ納税義務アル法人ノ利益ハ関東州ニ於ケル資産又ハ営業ニ付前四項ノ規定ニ準ジ之ヲ計算ス
第五条ノ二 法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第六条第一項ヲ左ノ如ク改ム
法人ノ現事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル払込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
同条第三項中「満洲国駐箚特命全権大使」ヲ「大使」ニ改メ同条第二項及第四項ヲ削ル
第七条 本令ニ於テ積立金額トハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ各事業年度ノ利益中其ノ留保シタル金額ヲ謂フ
第一種所得税及臨時利得税トシテ納付スベキ金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ算入セズ
第十一条 臨時利得税ハ法人ノ利得ヲ左ノ部分ニ区分シ各部分ニ付左ノ税率ヲ適用シテ之ヲ賦課ス
一 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乗ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ十六
二 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ三十
三 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ対シ年百分ノ三十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超ユル金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ四十五
現事業年度ノ資本金額十万円以下ナル法人ニ限リ前項ニ規定スル税率百分ノ十六ハ之ヲ百分ノ六トシ同百分ノ三十ハ之ヲ百分ノ二十トシ同百分ノ四十五ハ之ヲ百分ノ三十五トス
第十一条ノ二 前条ノ規定ニ依リ現事業年度ノ資本金額ニ乗ズベキ既往事業年度ノ平均利益率ハ昭和十一年十二月三十一日以前三年内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益ノ平均資本金額ニ対スル割合トス但シ其ノ割合ガ年百分ノ十未満ナルトキ又ハ法人ノ第一次事業年度ガ昭和十二年一月一日以後ニ終了シタルトキハ其ノ割合ヲ年百分ノ十トシ其ノ割合ガ年百分ノ二十ヲ超ユルトキハ之ヲ年百分ノ二十トス
第五条(第三項ヲ除ク)乃至第六条及第七条第一項ノ規定ハ前項ノ平均利益及平均資本金額算出ノ基礎タル昭和十一年十二月三十一日以前三年内ニ終了シタル各事業年度ノ利益及資本金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第十一条ノ三 前条第一項ノ規定ニ依ル既往事業年度ノ平均利益率ガ年百分ノ十ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ現事業年度ノ資本金額中ニ増加資本金額アルトキハ同項ノ規定ニ拘ラズ現事業年度ノ資本金額中増加資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ト増加資本金額以外ノ部分ニ同項ノ規定ニ依ル既往事業年度ノ平均利益率ニ相当スル割合ヲ乗ジテ算出シタル金額トノ合計額ノ現事業年度ノ資本金額ニ対スル割合ヲ以テ既往事業年度ノ平均利益率トス
前項ノ増加資本金額トハ現事業年度ノ資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額又ハ同日以前三年内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過額ヲ謂フ
昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ同日ニ於ケル払込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ニ依リ之ヲ計算ス
第六条第二項ノ規定ハ前項ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第十一条ノ四 法人合併ヲ為シタル場合ニ於テ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ昭和十一年十二月三十一日以前三年内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益及平均資本金額並ニ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第十五条中「及第五十六条」ヲ「乃至第五十七条」ニ改ム
附 則
本令ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
法人ノ本令施行前ニ終了シタル各事業年度ノ利得ニ対スル臨時利得税ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
昭和十五年四月一日ヲ含ム事業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年度分ノ第一種所得税及臨時利得税ハ関東州臨時利得税令第五条第二項ノ改正規定ニ拘ラズ法人ノ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
法人ニ非ザル社団ノ利得ニ対スル臨時利得税ニ付テハ当分ノ内関東州臨時利得税令第十一条ニ規定スル税率ヲ以テ算出シタル税額ノ百分ノ十ニ相当スル税額ヲ軽減ス