(宇品港域軍事取締法中改正法律)
法令番号: 法律第九十一號
公布年月日: 昭和15年4月4日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル宇品港域軍事取締法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年四月二日
內閣總理大臣 米內光政
陸軍大臣 畑俊六
法律第九十一號
宇品港域軍事取締法中左ノ通改正ス
「宇品港域軍事取締法」ヲ「陸軍輸送港域軍事取締法」ニ改ム
第一條 本法ニ於テ陸軍輸送港域トハ左ニ揭グル區域ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノヲ謂フ
一 廣島縣廣島市、同縣安藝郡海田市町、矢野町、船越町、府中町、奧海田村、溫品村、戶坂村、畑賀村、中野村、坂村及中山村、同縣安佐郡祇園町、福木村、山本村及長束村、同縣佐伯郡廿日市町、嚴島町、五日市町、地御前村、原村、宮內村、井口村、石內村、河內村、八幡村、觀音村、平良村、大野村、玖嶋村及砂谷村竝ニ其ノ附近ノ水面
二 佐賀縣東松浦郡切木村及入野村、同縣西松浦郡伊萬里町、山代町、黑川村、波多津村、大坪村、大川內村、二里村及東山代村、長崎縣北松浦郡志佐町、今福町、星鹿村、調川村、福島村、鷹嶋村、上志佐村及御厨村竝ニ其ノ附近ノ水面
第二條及第九條中「宇品港域」ヲ「陸軍輸送港域」ニ改ム
第三條中「宇品港域」ヲ「陸軍輸送港域」ニ、同條第一號中「棧橋、」ヲ「堤塘、棧橋、」ニ、「新設、增設又ハ改修」ヲ「新設又ハ變更」ニ改メ同條第三號及第四號ヲ削ル
第四條 陸軍輸送港域第一區內ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スル行爲ヲ爲サントスル者ハ陸軍運輸部長(陸軍大臣ノ特ニ定ムル場合ニ於テハ其ノ指定スル陸軍運輸部ノ職員トス以下之ニ同ジ)ノ許可ヲ受クベシ但シ命令ヲ以テ許可ヲ要セズト規定シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 家屋、工場、倉庫其ノ他ノ工作物ノ新築、改築又ハ增築
二 前號ニ揭グル工作物以外ノ工作物ニシテ不燃質物ヲ材料トスルモノノ新築、改築又ハ增築
三 用水路、惡水路、溜池、貯水池又ハ養魚池ノ新設又ハ變更
四 公園、廣場、運動場、競馬場又ハ飛行場ノ新設又ハ變更
五 土地ノ形質ヲ變更スル土石ノ採掘又ハ堆積
六 水深ノ變更ヲ生ズベキ物件ノ委棄又ハ水底ニ於ケル土石ノ採取
七 爆發物ノ使用又ハ爆發物若ハ容易ニ燃燒スベキ物件ノ運搬、積卸若ハ貯藏
八 水面ニ於ケル貯木
九 浮標、立標其ノ他航路標識ノ新設又ハ變更
十 船舟ノ航行若ハ繫泊又ハ筏ノ運航若ハ繫留
十一 漁獵又ハ採藻
前項ノ不燃質物、爆發物及容易ニ燃燒スベキ物件ノ種類ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條中「宇品港域」ヲ「陸軍輸送港域」ニ改メ「測量、」ヲ削リ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ軍機保護法ニ特別ノ規定アルモノニ付テハ其ノ規定ニ依ル
第七條中「字品港域內ニ立入リ」ヲ「陸軍輸送港域內ニ於テ」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
陸軍輸送部長ハ特ニ必要アルトキハ前項ノ規定ニ依リ退去ヲ命ゼラレタル者ニ對シ陸軍輸送港域內ニ入ルコトヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
第八條第一項中「宇品港域」ヲ「陸軍輸送港域」ニ改メ同條第二項ヲ削ル
第十二條中「宇品港域各區及第八條第二項」ヲ「陸軍輸送港域各區」ニ改ム
第十六條 第九條ノ規定ニ依ル命令ニ從ハザル船舟ノ長又ハ其ノ職務ヲ執ル者ハ二年以下ノ懲役又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第三條ノ規定ニ違反シタル者
二 第四條第一項第一號乃至第九號ノ規定ニ違反シタル者
三 第四條第一項第十號又ハ第十一號ノ規定ニ違反シタル者
四 第五條ノ規定ニ違反シタル者
五 第七條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ從ハザル者又ハ同條第二項ノ規定ニ依ル禁止若ハ制限ニ違反シタル者
第十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第三條ノ規定ニ依ル許可ニ附シタル條件ニ違反シタル者
二 第四條第一項第一號乃至第九號ノ規定ニ依ル許可ニ附シタル條件ニ違反シタル者
三 第四條第一項第十號又ハ第十一號ノ規定ニ依ル許可ニ附シタル條件ニ違反シタル者
四 第五條ノ規定ニ依ル許可ニ附シタル條件ニ違反シタル者
第十九條中「宇品港域各區又ハ第八條第二項」ヲ「陸軍輸送港域各區」ニ改ム
第二十條 法人又ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十七條第一號若ハ第二號又ハ第十八條第一號若ハ第二號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第二十一條 第十七條第一號及第二號竝ニ第十八條第一號及第二號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十二條 前二條ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ處スルコトヲ得ズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ依リ新ニ許可ヲ受クルコトヲ要スルコトト爲リタル事項ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノニ關シ本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル宇品港域軍事取締法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年四月二日
内閣総理大臣 米内光政
陸軍大臣 畑俊六
法律第九十一号
宇品港域軍事取締法中左ノ通改正ス
「宇品港域軍事取締法」ヲ「陸軍輸送港域軍事取締法」ニ改ム
第一条 本法ニ於テ陸軍輸送港域トハ左ニ掲グル区域ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノヲ謂フ
一 広島県広島市、同県安芸郡海田市町、矢野町、船越町、府中町、奥海田村、温品村、戸坂村、畑賀村、中野村、坂村及中山村、同県安佐郡祇園町、福木村、山本村及長束村、同県佐伯郡廿日市町、厳島町、五日市町、地御前村、原村、宮内村、井口村、石内村、河内村、八幡村、観音村、平良村、大野村、玖嶋村及砂谷村並ニ其ノ附近ノ水面
二 佐賀県東松浦郡切木村及入野村、同県西松浦郡伊万里町、山代町、黒川村、波多津村、大坪村、大川内村、二里村及東山代村、長崎県北松浦郡志佐町、今福町、星鹿村、調川村、福島村、鷹嶋村、上志佐村及御厨村並ニ其ノ附近ノ水面
第二条及第九条中「宇品港域」ヲ「陸軍輸送港域」ニ改ム
第三条中「宇品港域」ヲ「陸軍輸送港域」ニ、同条第一号中「桟橋、」ヲ「堤塘、桟橋、」ニ、「新設、増設又ハ改修」ヲ「新設又ハ変更」ニ改メ同条第三号及第四号ヲ削ル
第四条 陸軍輸送港域第一区内ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為サントスル者ハ陸軍運輸部長(陸軍大臣ノ特ニ定ムル場合ニ於テハ其ノ指定スル陸軍運輸部ノ職員トス以下之ニ同ジ)ノ許可ヲ受クベシ但シ命令ヲ以テ許可ヲ要セズト規定シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 家屋、工場、倉庫其ノ他ノ工作物ノ新築、改築又ハ増築
二 前号ニ掲グル工作物以外ノ工作物ニシテ不燃質物ヲ材料トスルモノノ新築、改築又ハ増築
三 用水路、悪水路、溜池、貯水池又ハ養魚池ノ新設又ハ変更
四 公園、広場、運動場、競馬場又ハ飛行場ノ新設又ハ変更
五 土地ノ形質ヲ変更スル土石ノ採掘又ハ堆積
六 水深ノ変更ヲ生ズベキ物件ノ委棄又ハ水底ニ於ケル土石ノ採取
七 爆発物ノ使用又ハ爆発物若ハ容易ニ燃焼スベキ物件ノ運搬、積卸若ハ貯蔵
八 水面ニ於ケル貯木
九 浮標、立標其ノ他航路標識ノ新設又ハ変更
十 船舟ノ航行若ハ繋泊又ハ筏ノ運航若ハ繋留
十一 漁猟又ハ採藻
前項ノ不燃質物、爆発物及容易ニ燃焼スベキ物件ノ種類ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条中「宇品港域」ヲ「陸軍輸送港域」ニ改メ「測量、」ヲ削リ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ軍機保護法ニ特別ノ規定アルモノニ付テハ其ノ規定ニ依ル
第七条中「字品港域内ニ立入リ」ヲ「陸軍輸送港域内ニ於テ」ニ改メ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
陸軍輸送部長ハ特ニ必要アルトキハ前項ノ規定ニ依リ退去ヲ命ゼラレタル者ニ対シ陸軍輸送港域内ニ入ルコトヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
第八条第一項中「宇品港域」ヲ「陸軍輸送港域」ニ改メ同条第二項ヲ削ル
第十二条中「宇品港域各区及第八条第二項」ヲ「陸軍輸送港域各区」ニ改ム
第十六条 第九条ノ規定ニ依ル命令ニ従ハザル船舟ノ長又ハ其ノ職務ヲ執ル者ハ二年以下ノ懲役又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
第十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第三条ノ規定ニ違反シタル者
二 第四条第一項第一号乃至第九号ノ規定ニ違反シタル者
三 第四条第一項第十号又ハ第十一号ノ規定ニ違反シタル者
四 第五条ノ規定ニ違反シタル者
五 第七条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ従ハザル者又ハ同条第二項ノ規定ニ依ル禁止若ハ制限ニ違反シタル者
第十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第三条ノ規定ニ依ル許可ニ附シタル条件ニ違反シタル者
二 第四条第一項第一号乃至第九号ノ規定ニ依ル許可ニ附シタル条件ニ違反シタル者
三 第四条第一項第十号又ハ第十一号ノ規定ニ依ル許可ニ附シタル条件ニ違反シタル者
四 第五条ノ規定ニ依ル許可ニ附シタル条件ニ違反シタル者
第十九条中「宇品港域各区又ハ第八条第二項」ヲ「陸軍輸送港域各区」ニ改ム
第二十条 法人又ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ第十七条第一号若ハ第二号又ハ第十八条第一号若ハ第二号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第二十一条 第十七条第一号及第二号並ニ第十八条第一号及第二号ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十二条 前二条ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ処スルコトヲ得ズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ依リ新ニ許可ヲ受クルコトヲ要スルコトト為リタル事項ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノニ関シ本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム