政府は現在の財政経済状況に対応する税制確立のため、中央地方を通じる税制の一般的改正を行うこととし、税制調査会で慎重審議を重ねて改正案の大綱を決定した。地方税制改正の目標は、地方税負担の均衡を図ること、地方団体財政の基礎確立を期すること、税制の簡易化を図ることの三点に置いた。この目的達成のため、地方の独立財源を物税本位とし、地方税制に分与税制度を創設することを中心として諸法案を提案した。改正による地方税制体系は直接課徴と間接課徴に区分される。直接課徴では地租、家屋税、営業税の三収益税を道府県及び市町村の独立財源とし、戸数割を廃止して市町村民税を新設し、雑種税等の整理を行う。間接課徴では地方分与税制度を創設し、還付税と配付税の二種とする。これらの改正により地方団体は財政需要に即応した財源を得て自治行政の発展を期し、地方住民の負担が合理化されて地方更生の実を挙げることができると考える。
参照した発言:
第75回帝国議会 衆議院 本会議 第14号