(樺太臨時利得税令中改正ノ件)
法令番号: 勅令第百七十三號
公布年月日: 昭和14年4月1日
法令の形式: 勅令
朕樺太臨時利得稅令中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年三月三十一日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
拓務大臣 八田嘉明
勅令第百七十三號
樺太臨時利得稅令中左ノ通改正ス
第三條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
三 船舶(製造中ノ船舶ヲ含ム)又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ノ讓渡ニ因ル個人ノ利得(讓渡利得ト稱ス以下同ジ)
第四條ノ二第三號ヲ左ノ如ク改ム
三 現事業年度ノ資本金額ガ甲旣往事業年度又ハ乙旣往事業年度ノ平均資本金額ニ比較シ增減アルトキハ比較セラレタル旣往事業年度ノ平均利益ノ平均資本金額ニ對スル割合ヲ現事業年度ノ資本金額ニ乘ジテ算出シタル金額ヲ以テ其ノ旣往事業年度ノ平均利益トス但シ法人ノ現事業年度ノ資本金額ガ甲旣往事業年度又ハ乙旣往事業年度ノ平均資本金額ニ比較シ增加シタル場合ニ於テ現事業年度ノ資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ヲ超過スルトキハ其ノ法人ニ付テハ現事業年度ノ資本金額中甲旣往事業年度ノ平均資本金額又ハ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル部分ニ對シ年百分ノ七ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ト其ノ他ノ部分ニ對シ甲旣往事業年度ノ平均利益ノ平均資本金額ニ對スル割合ヲ乘ジテ算出シタル金額トノ合計額ヲ以テ甲旣往事業年度ノ平均利益トシ現事業年度ノ資本金額中乙旣往事業年度ノ平均資本金額又ハ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル部分ニ對シ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ト其ノ他ノ部分ニ對シ乙旣往事業年度ノ平均利益ノ平均資本金額ニ對スル割合ヲ乘ジテ算出シタル金額トノ合計額ヲ以テ乙旣往事業年度ノ平均利益トス
前項ノ場合ニ於テ第一號ノ規定ヲ適用スルニ當リテハ現事業年度ノ資本金額ヲ以テ甲旣往事業年度又ハ乙旣往事業年度ノ平均資本金額ト看做ス
第六條第一項ヲ左ノ如ク改メ同條第三項中「各事業年度ノ」ヲ削ル
法人ノ各事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル拂込株式金額、出資金額又ハ基金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算シ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ同日ニ於ケル拂込株式金額、出資金額又ハ基金及積立金額ニ依リ之ヲ計算ス
第七條中「平均利益」ノ下ニ「竝ニ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額」ヲ加フ
第十一條ノ二 讓渡利得ハ船舶又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ノ讓渡ニ因ル收入金額ヨリ取得價額、設備費、改良費及讓渡ニ關スル必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依ル
船舶又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ニシテ昭和十一年十二月三十一日以前ニ取得シタルモノニ付テハ同日ニ於ケル價額ヲ以テ前項ノ取得價額トシ同日後ニ爲シタル設備又ハ改良ニ要シタル費用ノミヲ以テ前項ノ設備費又ハ改良費トス
前二項ノ計算ニ關シテハ相續、贈與又ハ遺贈ニ因リ取得シタルモノハ相續人、受贈者又ハ受遺者ガ引續キ之ヲ有シタルモノト看做シ讓渡後相續ノ開始アリタル場合ニ於テハ被相續人ノ爲シタル讓渡ハ之ヲ相續人ノ爲シタル讓渡ト看做ス
前三項ニ定ムルモノノ外讓渡利得ノ計算ニ關シ必要ナル事項ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第十一條ノ三 讓渡利得ニ付テハ其ノ利得ノ金額ヨリ二千圓ヲ控除ス
第十三條ノ二 船舶ノ讓渡ニ因ル利益ニシテ第九條ノ個人ノ利益ニ屬スルモノ及昭和十四年一月一日以後ニ於テ設定セラレタル鑛業又ハ砂鑛業ニ關スル權利ニシテ樺太廳長官ノ定ムルモノノ讓渡ニ付テハ本令中讓渡利得ニ關スル規定ヲ適用セズ
第十四條中「百分ノ十七・二五」ヲ「百分ノ二十」ニ、「百分ノ三十」ヲ「百分ノ四十」ニ、「百分ノ二十五」ヲ「百分ノ三十」ニ改ム
第十四條ノ二第一項ヲ左ノ如ク改ム
個人ノ臨時利得稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
甲種利得 利得金額ノ百分ノ十二
乙種利得 利得金額ノ百分ノ二十五
讓渡利得 利得金額ノ百分ノ二十五
第十六條中「納稅義務」ノ上ニ「甲種利得又ハ乙種利得ニ付」ヲ加ヘ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
讓渡利得ニ付納稅義務アル個人ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ利得金額ヲ政府ニ申吿スベシ
第十七條中「個人ノ利得金額」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ノ金額」ニ、「個人ノ利得ニ付」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ニ付」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
讓渡利得金額ハ前條第二項ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第十八條中「個人ノ利得」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ニ改ム
第二十三條第一項中「利得ニ付」ヲ「甲種利得又ハ乙種利得ニ付」ニ、「利得金額」ヲ「甲種利得又ハ乙種利得ノ金額」ニ改ム
第二十四條ノ二中「個人ノ利得」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ニ改ム
第二十五條第二項中「個人ノ利得」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
讓渡利得ニ付テハ船舶又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ノ讓渡ノ際臨時利得稅ヲ徵收ス
第二十六條第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ朝鮮ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ甲種利得ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附則第二項ヲ左ノ如ク改ム
本令ニ依ル臨時利得稅ノ賦課ハ法人ニ付テハ支那事變終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ニ終了スル事業年度分限リ、個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ニ付テハ支那事變終了ノ年ノ翌年分限リ、讓渡利得ニ付テハ支那事變終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ノ讓渡ニ因ル利得ニ對スル分限リトス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
法人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十四年一月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ昭和十四年分ヨリ、讓渡利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ昭和十四年一月一日以後ノ讓渡ニ因ル利得ニ對スル分ヨリ本令ヲ適用ス
朕樺太臨時利得税令中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年三月三十一日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
拓務大臣 八田嘉明
勅令第百七十三号
樺太臨時利得税令中左ノ通改正ス
第三条第一項ニ左ノ一号ヲ加フ
三 船舶(製造中ノ船舶ヲ含ム)又ハ鉱業若ハ砂鉱業ニ関スル権利若ハ設備ノ譲渡ニ因ル個人ノ利得(譲渡利得ト称ス以下同ジ)
第四条ノ二第三号ヲ左ノ如ク改ム
三 現事業年度ノ資本金額ガ甲既往事業年度又ハ乙既往事業年度ノ平均資本金額ニ比較シ増減アルトキハ比較セラレタル既往事業年度ノ平均利益ノ平均資本金額ニ対スル割合ヲ現事業年度ノ資本金額ニ乗ジテ算出シタル金額ヲ以テ其ノ既往事業年度ノ平均利益トス但シ法人ノ現事業年度ノ資本金額ガ甲既往事業年度又ハ乙既往事業年度ノ平均資本金額ニ比較シ増加シタル場合ニ於テ現事業年度ノ資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ヲ超過スルトキハ其ノ法人ニ付テハ現事業年度ノ資本金額中甲既往事業年度ノ平均資本金額又ハ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル部分ニ対シ年百分ノ七ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ト其ノ他ノ部分ニ対シ甲既往事業年度ノ平均利益ノ平均資本金額ニ対スル割合ヲ乗ジテ算出シタル金額トノ合計額ヲ以テ甲既往事業年度ノ平均利益トシ現事業年度ノ資本金額中乙既往事業年度ノ平均資本金額又ハ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル部分ニ対シ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ト其ノ他ノ部分ニ対シ乙既往事業年度ノ平均利益ノ平均資本金額ニ対スル割合ヲ乗ジテ算出シタル金額トノ合計額ヲ以テ乙既往事業年度ノ平均利益トス
前項ノ場合ニ於テ第一号ノ規定ヲ適用スルニ当リテハ現事業年度ノ資本金額ヲ以テ甲既往事業年度又ハ乙既往事業年度ノ平均資本金額ト看做ス
第六条第一項ヲ左ノ如ク改メ同条第三項中「各事業年度ノ」ヲ削ル
法人ノ各事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル払込株式金額、出資金額又ハ基金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算シ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ同日ニ於ケル払込株式金額、出資金額又ハ基金及積立金額ニ依リ之ヲ計算ス
第七条中「平均利益」ノ下ニ「並ニ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額」ヲ加フ
第十一条ノ二 譲渡利得ハ船舶又ハ鉱業若ハ砂鉱業ニ関スル権利若ハ設備ノ譲渡ニ因ル収入金額ヨリ取得価額、設備費、改良費及譲渡ニ関スル必要ノ経費ヲ控除シタル金額ニ依ル
船舶又ハ鉱業若ハ砂鉱業ニ関スル権利若ハ設備ニシテ昭和十一年十二月三十一日以前ニ取得シタルモノニ付テハ同日ニ於ケル価額ヲ以テ前項ノ取得価額トシ同日後ニ為シタル設備又ハ改良ニ要シタル費用ノミヲ以テ前項ノ設備費又ハ改良費トス
前二項ノ計算ニ関シテハ相続、贈与又ハ遺贈ニ因リ取得シタルモノハ相続人、受贈者又ハ受遺者ガ引続キ之ヲ有シタルモノト看做シ譲渡後相続ノ開始アリタル場合ニ於テハ被相続人ノ為シタル譲渡ハ之ヲ相続人ノ為シタル譲渡ト看做ス
前三項ニ定ムルモノノ外譲渡利得ノ計算ニ関シ必要ナル事項ハ樺太庁長官之ヲ定ム
第十一条ノ三 譲渡利得ニ付テハ其ノ利得ノ金額ヨリ二千円ヲ控除ス
第十三条ノ二 船舶ノ譲渡ニ因ル利益ニシテ第九条ノ個人ノ利益ニ属スルモノ及昭和十四年一月一日以後ニ於テ設定セラレタル鉱業又ハ砂鉱業ニ関スル権利ニシテ樺太庁長官ノ定ムルモノノ譲渡ニ付テハ本令中譲渡利得ニ関スル規定ヲ適用セズ
第十四条中「百分ノ十七・二五」ヲ「百分ノ二十」ニ、「百分ノ三十」ヲ「百分ノ四十」ニ、「百分ノ二十五」ヲ「百分ノ三十」ニ改ム
第十四条ノ二第一項ヲ左ノ如ク改ム
個人ノ臨時利得税ハ左ノ税率ニ依リ之ヲ賦課ス
甲種利得 利得金額ノ百分ノ十二
乙種利得 利得金額ノ百分ノ二十五
譲渡利得 利得金額ノ百分ノ二十五
第十六条中「納税義務」ノ上ニ「甲種利得又ハ乙種利得ニ付」ヲ加ヘ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
譲渡利得ニ付納税義務アル個人ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ利得金額ヲ政府ニ申告スベシ
第十七条中「個人ノ利得金額」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ノ金額」ニ、「個人ノ利得ニ付」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ニ付」ニ改メ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
譲渡利得金額ハ前条第二項ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第十八条中「個人ノ利得」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ニ改ム
第二十三条第一項中「利得ニ付」ヲ「甲種利得又ハ乙種利得ニ付」ニ、「利得金額」ヲ「甲種利得又ハ乙種利得ノ金額」ニ改ム
第二十四条ノ二中「個人ノ利得」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ニ改ム
第二十五条第二項中「個人ノ利得」ヲ「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ニ改メ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
譲渡利得ニ付テハ船舶又ハ鉱業若ハ砂鉱業ニ関スル権利若ハ設備ノ譲渡ノ際臨時利得税ヲ徴収ス
第二十六条第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ朝鮮ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ甲種利得ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附則第二項ヲ左ノ如ク改ム
本令ニ依ル臨時利得税ノ賦課ハ法人ニ付テハ支那事変終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ニ終了スル事業年度分限リ、個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ニ付テハ支那事変終了ノ年ノ翌年分限リ、譲渡利得ニ付テハ支那事変終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ノ譲渡ニ因ル利得ニ対スル分限リトス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
法人ノ臨時利得税ニ付テハ昭和十四年一月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ニ対スル臨時利得税ニ付テハ昭和十四年分ヨリ、譲渡利得ニ対スル臨時利得税ニ付テハ昭和十四年一月一日以後ノ譲渡ニ因ル利得ニ対スル分ヨリ本令ヲ適用ス