第一條 國家總動員法第六條ノ規定ニ基ク勞働者ノ賃金ノ統制ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業ニ之ヲ適用ス
一 工場法ノ適用ヲ受クル工場ニシテ厚生大臣ノ指定スル事業ヲ營ムモノ
第三條 本令ニ於テ賃金ト稱スルハ勞働者ガ勞務ノ對償トシテ事業主ヨリ受クル給與其ノ他ノ利益ヲ謂フ
第四條 常時五十人以上ノ勞働者ヲ使用スル工場又ハ事業場ノ事業主ハ賃金規則ヲ作成シ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監以下之ニ同ジ)ニ屆出ヅベシ之ヲ變更シタルトキ亦同ジ
地方長官不適當ト認ムルトキハ賃金規則ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第五條 厚生大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ未經驗勞働者ノ初給賃金ヲ定ムルコトヲ得
事業主未經驗勞働者ヲ雇入レタルトキハ命令ヲ以テ定ムル期間前項ノ規定ニ依ル初給賃金ニ準據シ賃金ヲ支拂フベシ但シ命令ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第六條 前條ノ場合ノ外地方長官勞働者ニ支拂ハレタル賃金ノ額又ハ其ノ支給方法著シク不適當ト認ムルトキハ事業主ニ對シ將來ニ向ツテ之ヲ變更スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第七條 第二條第三號ノ規定ニ依ル事業ノ指定、第五條第一項ノ規定ニ依ル初給賃金ノ決定竝ニ第四條第三項及前條ノ規定ニ依ル命令ハ賃金委員會ニ諮問シテ之ヲ爲ス
第八條 厚生大臣又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ賃金ノ統制ニ關シ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ事業主ヨリ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ工場、事業場、事務所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ帳簿書類ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十條 本令中地方長官トアルハ內地ニ於ケル鑛業法ノ適用ヲ受クル事業ニ付テハ鑛山監督局長トス
第十一條 本令中工場法ノ適用ヲ受クル工場トアルハ朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ在リテハ常時十人以上ノ勞働者ヲ使用スル工場、樺太ニ在リテハ工場取締規則ノ適用ヲ受クル工場トシ鑛業法トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮鑛業令、臺灣ニ在リテハ臺灣鑛業規則、南洋群島ニ在リテハ南洋群島鑛業令トス
本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ臺灣鑛業規則ノ適用ヲ受クル事業ニ付テハ臺灣總督、其ノ他ノ事業ニ付テハ州知事又ハ廳長、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ道府縣トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、臺灣ニ在リテハ州又ハ廳、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トス