(健康保険法中改正法律)
法令番号: 法律第七十四號
公布年月日: 昭和14年4月6日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル健康保險法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月五日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
厚生大臣 廣瀨久忠
法律第七十四號
健康保險法中左ノ通改正ス
第一條ニ左ノ一項ヲ加フ
保險者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ被保險者ト同一ノ世帶ニ屬シ被保險者ニ依リ生計ヲ維持スル者(以下世帶員ト稱ス)ノ疾病又ハ負傷ノ療養ニ要シタル費用ニ付補給金ヲ支給スルコトヲ得
第七條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ第一條第二項ノ補給金ヲ支給スル場合ニ於テハ世帶員又ハ世帶員タリシ者ノ戶籍ニ關シ之ヲ準用ス
第九條 行政官廳ハ必要アリト認ムルトキハ被保險者ノ異動及報酬竝ニ保險給付ノ決定ニ關シ當該官吏ヲシテ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ勤務場所ニ就キ關係者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ帳簿書類其ノ他ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第十條中「保險官署」ヲ「行政官廳」ニ改ム
第十一條ノ二 前條ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者其ノ指定ノ期限迄ニ保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ヲ納付セザルトキハ保險者ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分シ又ハ滯納者若ハ其ノ者ノ財產ノ在ル市町村ニ對シ之ガ處分ヲ請求スルコトヲ得但シ健康保險組合ガ保險者ナル場合ニ於テ國稅滯納處分ノ例ニ依リ處分スルコトヲ得ルハ市町村ニ對シ處分ヲ請求スルモ市町村ガ其ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ其ノ處分ニ著手セズ又ハ九十日以內ニ之ヲ結了セザル場合ニ限ル
前項但書ノ規定ニ依リ健康保險組合ガ國稅滯納處分ノ例ニ依リ處分ヲ爲ス場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
保險者ガ第一項ノ規定ニ依リ市町村ニ對シ處分ヲ請求シタルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テハ保險者ハ徵收金額ノ百分ノ四ヲ當該市町村ニ交付スベシ
第一項及前項ノ規定ニ於テ町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第十三條但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ臨時ニ使用セラルル者ニシテ勅令ヲ以テ指定スルモノ、一年ノ報酬千二百圓ヲ超ユル職員及職員健康保險法第二十條ノ規定ニ依ル被保險者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
職員健康保險法第二十條ノ規定ニ依ル被保險者ハ同法第二十六條第一項ノ認可アリタル場合ニ於テハ其ノ認可アリタル日ノ翌日ヨリ健康保險ノ被保險者ノ資格ヲ取得ス
第十八條但書中「前條」ヲ「前條第一項」ニ改ム
第二十條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ職員健康保險又ハ船員保險ノ被保險者タル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
前條ノ規定ニ依ル被保險者ハ前條ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタル日ヨリ百八十日ヲ經過シタルトキ、保險料ヲ納付セズシテ命令ヲ以テ定ムル猶豫期間ヲ經過シタルトキ、第十三條若ハ第十五條ノ規定ニ依ル被保險者ト爲リタルトキ又ハ職員健康保險若ハ船員保險ノ被保險者ト爲リタルトキハ其ノ資格ヲ喪失ス
第二十三條ノ二 保險者ハ事業ニ支障ナキ場合ニ限リ被保險者ニ非ザル者ヲシテ保險者ノ施設ヲ利用セシムルコトヲ得
保險者ハ其ノ施設ヲ利用スル者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ利用料ヲ請求スルコトヲ得
第四十七條ニ左ノ二項ヲ加フ
主務大臣ノ指定スル疾病ニ關シテハ保險者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期間ヲ超エ通ジテ一年ニ至ル迄繼續シテ療養ノ給付及傷病手當金ノ支給ヲ爲スコトヲ得但シ其ノ保險給付ヲ始メタル日前勅令ノ定ムル期間引續キ被保險者タリシ者ニ限ル
傷病手當金ハ其ノ支給期間ヲ經過セザルトキト雖モ療養ノ給付ヲ爲シ得ル期間ヲ經過スルニ至リタルトキハ之ヲ支給セズ
第五十三條 削除
第五十七條ノ二 前三條ノ規定ニ拘ラズ被保險者タリシ者職員健康保險又ハ船員保險ノ被保險者ト爲リタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ保險給付ヲ爲サズ
第六十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
被保險者又ハ被保險者タリシ者左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ疾病、負傷又ハ分娩ニ關シ其ノ期間ニ係ル保險給付ハ之ヲ爲サズ
一 陸海軍ニ徵集又ハ召集セラレタルトキ
二 本法施行區域外ニ在ルトキ
三 矯正院其ノ他之ニ準ズベキモノニ入院セシメラレタルトキ
四 監獄、留置場又ハ勞役場ニ拘禁又ハ留置セラレタルトキ
同條第三項中「第四十六條」ノ下ニ「及第五十一條第二項」ヲ加フ
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
保險者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者第一項各號ノ一ニ該當スル場合ト雖モ第一條第二項ノ補給金ヲ支給スルコトヲ妨ゲズ
第六十九條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第六十九條ノ二 第六十條、第六十二條第一項及第二項、第六十五條竝ニ第六十七條ノ規定ハ世帶員ニ之ヲ準用ス
第五十五條ノ規定ハ第一條第二項ノ補給金ニ之ヲ準用ス
第七十六條 被保險者第六十二條第一項各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ期間保險料ヲ徵收セズ
第八十條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シテハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
第八十五條 第三項但書中「罰金ノ言渡ヲ爲シ」ヲ「過料ニ處シ」ニ改ム
第八十七條 正當ノ理由ナクシテ第九條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ其ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十一條 削除
附 則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
分娩ニ關スル保險給付ニシテ第五十三條ノ改正規定施行ノ日前ニ爲シタルモノ及同規定施行ノ日ノ前後ニ跨ルモノニ關スル費用ノ分擔ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル健康保険法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月五日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
厚生大臣 広瀬久忠
法律第七十四号
健康保険法中左ノ通改正ス
第一条ニ左ノ一項ヲ加フ
保険者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ被保険者ト同一ノ世帯ニ属シ被保険者ニ依リ生計ヲ維持スル者(以下世帯員ト称ス)ノ疾病又ハ負傷ノ療養ニ要シタル費用ニ付補給金ヲ支給スルコトヲ得
第七条ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ第一条第二項ノ補給金ヲ支給スル場合ニ於テハ世帯員又ハ世帯員タリシ者ノ戸籍ニ関シ之ヲ準用ス
第九条 行政官庁ハ必要アリト認ムルトキハ被保険者ノ異動及報酬並ニ保険給付ノ決定ニ関シ当該官吏ヲシテ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ勤務場所ニ就キ関係者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ帳簿書類其ノ他ノ検査ヲ為サシムルコトヲ得
第十条中「保険官署」ヲ「行政官庁」ニ改ム
第十一条ノ二 前条ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者其ノ指定ノ期限迄ニ保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ヲ納付セザルトキハ保険者ハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ処分シ又ハ滞納者若ハ其ノ者ノ財産ノ在ル市町村ニ対シ之ガ処分ヲ請求スルコトヲ得但シ健康保険組合ガ保険者ナル場合ニ於テ国税滞納処分ノ例ニ依リ処分スルコトヲ得ルハ市町村ニ対シ処分ヲ請求スルモ市町村ガ其ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ其ノ処分ニ著手セズ又ハ九十日以内ニ之ヲ結了セザル場合ニ限ル
前項但書ノ規定ニ依リ健康保険組合ガ国税滞納処分ノ例ニ依リ処分ヲ為ス場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
保険者ガ第一項ノ規定ニ依リ市町村ニ対シ処分ヲ請求シタルトキハ市町村ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テハ保険者ハ徴収金額ノ百分ノ四ヲ当該市町村ニ交付スベシ
第一項及前項ノ規定ニ於テ町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第十三条但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ臨時ニ使用セラルル者ニシテ勅令ヲ以テ指定スルモノ、一年ノ報酬千二百円ヲ超ユル職員及職員健康保険法第二十条ノ規定ニ依ル被保険者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十七条ニ左ノ一項ヲ加フ
職員健康保険法第二十条ノ規定ニ依ル被保険者ハ同法第二十六条第一項ノ認可アリタル場合ニ於テハ其ノ認可アリタル日ノ翌日ヨリ健康保険ノ被保険者ノ資格ヲ取得ス
第十八条但書中「前条」ヲ「前条第一項」ニ改ム
第二十条ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ職員健康保険又ハ船員保険ノ被保険者タル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一条第一項ヲ左ノ如ク改ム
前条ノ規定ニ依ル被保険者ハ前条ノ規定ニ依リ被保険者ト為リタル日ヨリ百八十日ヲ経過シタルトキ、保険料ヲ納付セズシテ命令ヲ以テ定ムル猶予期間ヲ経過シタルトキ、第十三条若ハ第十五条ノ規定ニ依ル被保険者ト為リタルトキ又ハ職員健康保険若ハ船員保険ノ被保険者ト為リタルトキハ其ノ資格ヲ喪失ス
第二十三条ノ二 保険者ハ事業ニ支障ナキ場合ニ限リ被保険者ニ非ザル者ヲシテ保険者ノ施設ヲ利用セシムルコトヲ得
保険者ハ其ノ施設ヲ利用スル者ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ利用料ヲ請求スルコトヲ得
第四十七条ニ左ノ二項ヲ加フ
主務大臣ノ指定スル疾病ニ関シテハ保険者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期間ヲ超エ通ジテ一年ニ至ル迄継続シテ療養ノ給付及傷病手当金ノ支給ヲ為スコトヲ得但シ其ノ保険給付ヲ始メタル日前勅令ノ定ムル期間引続キ被保険者タリシ者ニ限ル
傷病手当金ハ其ノ支給期間ヲ経過セザルトキト雖モ療養ノ給付ヲ為シ得ル期間ヲ経過スルニ至リタルトキハ之ヲ支給セズ
第五十三条 削除
第五十七条ノ二 前三条ノ規定ニ拘ラズ被保険者タリシ者職員健康保険又ハ船員保険ノ被保険者ト為リタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ保険給付ヲ為サズ
第六十二条第一項ヲ左ノ如ク改ム
被保険者又ハ被保険者タリシ者左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ疾病、負傷又ハ分娩ニ関シ其ノ期間ニ係ル保険給付ハ之ヲ為サズ
一 陸海軍ニ徴集又ハ召集セラレタルトキ
二 本法施行区域外ニ在ルトキ
三 矯正院其ノ他之ニ準ズベキモノニ入院セシメラレタルトキ
四 監獄、留置場又ハ労役場ニ拘禁又ハ留置セラレタルトキ
同条第三項中「第四十六条」ノ下ニ「及第五十一条第二項」ヲ加フ
同条ニ左ノ一項ヲ加フ
保険者ハ被保険者又ハ被保険者タリシ者第一項各号ノ一ニ該当スル場合ト雖モ第一条第二項ノ補給金ヲ支給スルコトヲ妨ゲズ
第六十九条ノ次ニ左ノ一条ヲ加フ
第六十九条ノ二 第六十条、第六十二条第一項及第二項、第六十五条並ニ第六十七条ノ規定ハ世帯員ニ之ヲ準用ス
第五十五条ノ規定ハ第一条第二項ノ補給金ニ之ヲ準用ス
第七十六条 被保険者第六十二条第一項各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ其ノ期間保険料ヲ徴収セズ
第八十条ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ審査ノ請求ハ時効ノ中断ニ関シテハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
第八十五条 第三項但書中「罰金ノ言渡ヲ為シ」ヲ「過料ニ処シ」ニ改ム
第八十七条 正当ノ理由ナクシテ第九条ノ規定ニ依ル当該官吏ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ答弁ヲ為シ又ハ其ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第九十一条 削除
附 則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
分娩ニ関スル保険給付ニシテ第五十三条ノ改正規定施行ノ日前ニ為シタルモノ及同規定施行ノ日ノ前後ニ跨ルモノニ関スル費用ノ分担ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル