船舶建造融資補給及損失補償法
法令番号: 法律第七十一號
公布年月日: 昭和14年4月5日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル船舶建造融資補給及損失補償法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月四日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
遞信大臣 鹽野季彥
大藏大臣 石渡莊太郞
法律第七十一號
船舶建造融資補給及損失補償法
第一條 政府ハ海運業ノ振興ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ船舶建造資金ノ融通ヲ爲ス金融機關ニ對シ補給金ヲ支給シ且融通ニ因リテ受ケタル損失ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ支給スベキ補給金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二條 前條ノ契約ヲ爲スコトヲ得ル期間ハ昭和十四年度以降十年度間トス
第三條 第一條ノ船舶建造資金及金融機關ノ範圍、補給金支給ノ限度竝ニ船舶建造資金ノ融通ヲ受クルコトヲ得ベキ者ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 政府ハ第一條ノ契約ヲ爲サントスルトキハ金融機關ヲシテ船舶建造資金ノ融通ニ付左ノ各號ニ依ラシムルコトヲ要ス
一 融通資金ノ償還方法ハ十五年以內ノ年賦償還ニ依ルコト但シ其ノ期間內ニ於テ二年以內ノ据置期間ヲ定メ得ルコト
二 融通資金ニ依リテ建造セラルル船舶ニ第一順位ノ抵當權ヲ設定スルコト但シ船舶建造中ニ在リテハ之ニ代ヘテ一時他ノ船舶其ノ他ノ物件ヲ擔保ト爲シ得ルコト
三 資金融通ノ限度ハ建造セラルル船舶ノ擔保價格ヲ超エザルコト但シ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ擔保不足分ニ付他ノ船舶其ノ他ノ物件ヲ擔保ト爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラザルコト
四 船舶ノ擔保價格ハ當該船舶ノ價格ノ三分ノ二又ハ保險金額ノ五分ノ四ノ中其ノ低キモノニ依ルコト
五 貸付利率ハ勅令ノ定ムル率ニ依ルコト
第五條 第一條ノ契約ニ基ク政府ノ損失補償ハ金融機關ガ融通ニ因リテ受ケタル損失ノ百分ノ七十トス
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ政府之ヲ定ム
第一項ノ損失及其ノ額ハ船舶融資損失審査會之ヲ決定ス
船舶融資損失審査會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條 金融機關ハ損失補償ヲ受ケタル後ト雖モ其ノ債權ヲ保有シ且之ヲ取立ツルコトヲ要ス
金融機關ハ前項ノ取立ニ依リテ得タル金額ヨリ債權行使ノ爲要シタル費用ヲ控除シ其ノ殘額ノ百分ノ七十ニ相當スル金額ヲ政府ニ納付スベシ
第七條 第一條ノ契約ニ基キ政府ガ金融機關ニ對シテ支拂フベキ損失補償金ハ國債證券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
第八條 政府ハ前條ノ規定ニ依リ交付スル爲必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發行スルコトヲ得
第九條 本法ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
第十條 金融機關ガ本法又ハ第一條ノ契約ニ違反シタルトキハ政府ハ融通資金ノ全部若ハ一部ニ付補給ヲ爲サズ、損失ノ全部若ハ一部ニ付補償ヲ爲サズ又ハ補給金若ハ補償金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ズルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル船舶建造融資補給及損失補償法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月四日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
逓信大臣 塩野季彦
大蔵大臣 石渡荘太郎
法律第七十一号
船舶建造融資補給及損失補償法
第一条 政府ハ海運業ノ振興ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ船舶建造資金ノ融通ヲ為ス金融機関ニ対シ補給金ヲ支給シ且融通ニ因リテ受ケタル損失ヲ補償スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ支給スベキ補給金ノ総額ガ帝国議会ノ協賛ヲ経タル金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第二条 前条ノ契約ヲ為スコトヲ得ル期間ハ昭和十四年度以降十年度間トス
第三条 第一条ノ船舶建造資金及金融機関ノ範囲、補給金支給ノ限度並ニ船舶建造資金ノ融通ヲ受クルコトヲ得ベキ者ノ範囲ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 政府ハ第一条ノ契約ヲ為サントスルトキハ金融機関ヲシテ船舶建造資金ノ融通ニ付左ノ各号ニ依ラシムルコトヲ要ス
一 融通資金ノ償還方法ハ十五年以内ノ年賦償還ニ依ルコト但シ其ノ期間内ニ於テ二年以内ノ据置期間ヲ定メ得ルコト
二 融通資金ニ依リテ建造セラルル船舶ニ第一順位ノ抵当権ヲ設定スルコト但シ船舶建造中ニ在リテハ之ニ代ヘテ一時他ノ船舶其ノ他ノ物件ヲ担保ト為シ得ルコト
三 資金融通ノ限度ハ建造セラルル船舶ノ担保価格ヲ超エザルコト但シ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ担保不足分ニ付他ノ船舶其ノ他ノ物件ヲ担保ト為シタルトキハ此ノ限ニ在ラザルコト
四 船舶ノ担保価格ハ当該船舶ノ価格ノ三分ノ二又ハ保険金額ノ五分ノ四ノ中其ノ低キモノニ依ルコト
五 貸付利率ハ勅令ノ定ムル率ニ依ルコト
第五条 第一条ノ契約ニ基ク政府ノ損失補償ハ金融機関ガ融通ニ因リテ受ケタル損失ノ百分ノ七十トス
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ政府之ヲ定ム
第一項ノ損失及其ノ額ハ船舶融資損失審査会之ヲ決定ス
船舶融資損失審査会ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六条 金融機関ハ損失補償ヲ受ケタル後ト雖モ其ノ債権ヲ保有シ且之ヲ取立ツルコトヲ要ス
金融機関ハ前項ノ取立ニ依リテ得タル金額ヨリ債権行使ノ為要シタル費用ヲ控除シ其ノ残額ノ百分ノ七十ニ相当スル金額ヲ政府ニ納付スベシ
第七条 第一条ノ契約ニ基キ政府ガ金融機関ニ対シテ支払フベキ損失補償金ハ国債証券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
第八条 政府ハ前条ノ規定ニ依リ交付スル為必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ発行スルコトヲ得
第九条 本法ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ大蔵大臣之ヲ定ム
第十条 金融機関ガ本法又ハ第一条ノ契約ニ違反シタルトキハ政府ハ融通資金ノ全部若ハ一部ニ付補給ヲ為サズ、損失ノ全部若ハ一部ニ付補償ヲ為サズ又ハ補給金若ハ補償金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ズルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム