第一條 本法ハ國民文化ノ進展ニ資スル爲映畫ノ質的向上ヲ促シ映畫事業ノ健全ナル發達ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條 映畫ノ製作又ハ映畫ノ配給ノ業ヲ爲サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
前項ニ規定スル映畫製作業及映畫配給業ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 前條第一項ノ許可ヲ受ケタル者死亡シタル場合ニ於テ其ノ業ヲ相續ニ因リテ承繼シタル者ハ之ヲ同項ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
第四條 主務大臣ハ第二條第一項ノ許可ヲ受ケ映畫ノ製作ノ業ヲ爲ス者(映畫製作業者)又ハ同項ノ許可ヲ受ケ映畫ノ配給ノ業ヲ爲ス者(映畫配給業者)本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ又ハ其ノ業務ニ關シ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ業務ノ停止若ハ制限又ハ其ノ許可ノ取消ヲ爲スコトヲ得
第五條 映畫製作業者ノ映畫ノ製作ニ關シ業トシテ主務大臣ノ指定スル種類ノ業務ニ從事セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登錄ヲ受クベシ但シ十四歲未滿ノ者ハ此ノ限ニ在ラズ
第六條 主務大臣ハ前條ノ登錄ヲ受ケタル者其ノ品位ヲ失墜スベキ行爲ヲ爲シタルトキ其ノ他同條ノ規定ニ依ル當該種類ノ業務ニ從事スルヲ適當ナラズト認メタルトキハ其ノ業務ノ停止又ハ其ノ登錄ノ取消ヲ爲スコトヲ得
第七條 映畫製作業者ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外第五條ノ規定ニ依ル登錄ヲ受ケザル者ヲ同條ノ規定ニ依ル當該種類ノ業務ニ從事セシムルコトヲ得ズ前條ノ規定ニ依ル業務停止中ノ者ニ付亦同ジ
第八條 行政官廳ハ危害豫防、衞生其ノ他公益保護上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ映畫製作業者ニ對シ映畫ノ製作ノ現業ニ從事スル者ノ就業其ノ他映畫ノ製作ニ關シ制限ヲ爲スコトヲ得
第九條 映畫製作業者主務大臣ノ指定スル種類ノ映畫ヲ製作セントスルトキハ撮影開始前命令ノ定ムル事項ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ屆出ヲ爲シタル事項ノ主タル部分ヲ變更シタルトキ亦同ジ
主務大臣ハ公安又ハ風俗上必要アリト認ムルトキハ前項ノ規定ニ依リ屆出ヲ爲シタル事項ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十條 主務大臣ハ特ニ國民文化ノ向上ニ資スルモノアリト認ムル映畫ニ付選奬ヲ爲スコトヲ得
第十一條 主務大臣ハ公益上特ニ保存ノ必要アリト認ムルトキハ映畫ヲ指定シ其ノ所有者ニ對シ複寫ノ爲一時其ノ提出ヲ命ズルコトヲ得
第十二條 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ映畫配給業者ニ對シ外國映畫ノ配給ニ關シ其ノ種類又ハ數量ノ制限ヲ爲スコトヲ得
第十三條 映畫ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ檢閱ヲ受ケ合格シタルモノニ非ザレバ之ヲ輸出スルコトヲ得ズ
主務大臣ハ特別ノ事情アル場合ニ於テハ前項ノ檢閱ニ合格シタル映畫ノ輸出ノ制限又ハ禁止ヲ爲スコトヲ得
第十四條 映畫ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ檢閱ヲ受ケ合格シタルモノニ非ザレバ公衆ノ觀覽ニ供スル爲之ヲ上映スルコトヲ得ズ
第十五條 主務大臣ハ命令ヲ以テ映畫興行者ニ對シ國民敎育上有益ナル特定種類ノ映畫ノ上映ヲ爲サシムルコトヲ得
行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特定ノ映畫興行者ニ對シ啓發宣傳上必要ナル映畫ヲ交付シ期間ヲ指定シテ其ノ上映ヲ爲サシムルコトヲ得
第十六條 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ映畫興行者ニ對シ外國映畫ノ上映ニ關シ其ノ種類又ハ數量ノ制限ヲ爲スコトヲ得
第十七條 行政官廳ハ危害豫防、衞生、敎育其ノ他公益保護上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ映畫興行者其ノ他映畫ノ上映ヲ爲ス者ニ對シ興行時間、映寫方法、入場者ノ範圍其ノ他映畫ノ上映ニ關シ制限ヲ爲スコトヲ得
第十八條 主務大臣ハ公益上特ニ必要アリト認ムルトキハ映畫製作業者、映畫配給業者又ハ映畫興行者ニ對シ製作スベキ映畫ノ種類若ハ數量ノ制限、映畫ノ配給ノ調整、設備ノ改良又ハ不正競爭ノ防止ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第十九條 本法施行ニ關スル重要事項ニ付主務大臣ノ諮問ニ應ズル爲映畫委員會ヲ置ク
第二十條 行政官廳ハ當該官吏ヲシテ映畫ヲ製作シ又ハ上映スル場所ニ臨檢セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
行政官廳ハ映畫製作業者、映畫配給業者又ハ映畫興業者ニ對シ其ノ業務ニ關スル事項ニ付報吿ヲ命ズルコトヲ得
第二十一條 第二條第一項ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズシテ映畫ノ製作又ハ映畫ノ配給ノ業ヲ爲シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十二條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
二 第八條、第十二條、第十六條又ハ第十七條ノ規定ニ依ル制限ニ違反シタル者
三 第十三條第一項ノ規定ニ違反シ又ハ同條第二項ノ規定ニ依ル制限若ハ禁止ニ違反シテ映畫ヲ輸出シ又ハ輸出セントシタル者
四 第十四條第一項ノ規定ニ違反シ又ハ同條第二項ノ規定ニ依ル制限若ハ禁止ニ違反シタル者
五 第十五條又ハ第十八條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
六 第二十條第一項ノ規定ニ依ル臨檢ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ同條第二項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
第二十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第五條ノ規定ニ依ル登錄ヲ受ケズシテ業トシテ同條ノ規定ニ依ル當該種類ノ業務ニ從事シタル者
四 第九條第一項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サズシテ映畫ノ撮影ヲ開始シタル者
第二十四條 映畫ノ製作若ハ映畫ノ配給ノ業ヲ爲ス者又ハ映畫興行者其ノ他映畫ノ上映ヲ爲ス者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ第二十一條、第二十二條第一號乃至第五號若ハ第六號後段又ハ前條第三號乃至第五號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第二十五條 第二十一條、第二十二條第一號乃至第五號及第六號後段竝ニ第二十三條第三號乃至第五號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十六條 前二條ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ處スルコトヲ得ズ