臨時農村負債処理法施行令
法令番号: 勅令第四百二十二號
公布年月日: 昭和13年6月18日
法令の形式: 勅令
朕臨時農村負債處理法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年六月十七日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
司法大臣 鹽野季彥
農林大臣 伯爵 有馬賴寧
內務大臣 末次信正
大藏大臣 池田成彬
勅令第四百二十二號
臨時農村負債處理法施行令
第一條 臨時農村負債處理法第一條第一項ノ傷痍又ハ疾病トハ恩給法施行令第二十四條第一項及第二十四條ノ二第一項ニ規定スル傷痍又ハ疾病ニ相當スルモノ其ノ他之ニ準ズルモノヲ謂フ
臨時農村負債處理法第一條第一項ノ遺族トハ同條同項ノ死歿シタル者(以下戰死者ト稱ス)ノ親族(屆出ヲ爲サザルモ事實上婚姻關係ト同樣ノ事情ニ在ル者ヲ含ム以下之ニ同ジ)ニシテ戰死者ガ同條同項ノ公務ニ從事スルニ至リタル當時若ハ其ノ死歿ノ當時其ノ收入若ハ勤勞ニ依リ生計ヲ維持シタル者又ハ戰死者ノ相續人ヲ謂フ
臨時農村負債處理法第一條第一項ノ家族トハ同條同項ノ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者(以下戰傷病者ト稱ス)ノ親族ニシテ戰傷病者ガ同條同項ノ公務ニ從事スルニ至リタル當時又ハ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リタル當時其ノ收入又ハ勤勞ニ依リ生計ヲ維持シタル者ヲ謂フ
第二條 臨時農村負債處理法第二條第一項ノ債務ハ戰死者ノ死歿ノ時又ハ戰傷病者ノ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リタル時以前ニ同法第一條ニ規定スル戰死傷者遺家族(以下戰死傷者遺家族ト稱ス)ノ負擔シタルモノニ限ル但シ特別ノ事由ニ因リ地方長官ノ認可ヲ受ケタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第三條 道府縣臨時負債處理委員會(以下委員會ト稱ス)ハ地方長官ノ監督ニ屬シ臨時農村負債處理法第三條第二項ノ規定ニ依ル斡旋及負債處理計畫ノ樹立ヲ爲ス
委員會ハ前項ノ事項ノ外戰死傷者遺家族ノ負債處理ニ關シ地方長官ノ命ズル事務ヲ處理ス
第四條 委員會ノ設置及廢止ハ地方長官之ヲ定ム
第五條 委員會ハ會長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第六條 會長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ
第七條 委員ハ市町村長及學識經驗アル者ノ中ヨリ地方長官之ヲ選任ス
委員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ三年トス但シ特別ノ事由アルトキハ任期中ト雖モ地方長官之ヲ解任スルコトヲ得
第八條 會長ハ會務ヲ總理ス
會長事故アルトキハ地方長官ニ代リ其ノ職務ヲ行フ者會長ノ職務ヲ代理ス
第九條 委員會ニ幹事ヲ置ク地方長官之ヲ命ズ
幹事ハ會長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第十條 委員會ニ書記ヲ置ク地方長官之ヲ命ズ
書記ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第十一條 臨時農村負債處理法第三條第一項ノ規定ニ依ル申出ハ委員ヲ經由シテ之ヲ爲スベシ
委員前項ノ申出ヲ受ケタルトキハ戰死傷者遺家族ノ經濟更生ヲ圖ル爲負債ノ處理ヲ爲スコトヲ必要トスルヤ否ヤノ意見ヲ具シ會長ニ之ヲ進達スベシ
第十二條 會長前條ノ進達ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク其ノ申出ヲ受理スルヤ否ヤヲ決定シ申出ヲ爲シタル者及進達ヲ爲シタル委員ニ其ノ旨ヲ通知スベシ
第十三條 負債處理ノ申出アリタル戰死傷者遺家族ニ付負債整理組合、農村負債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債整理事業ヲ行フ法人又ハ市町村負債整理委員會ニ於テ負債償還計畫及經濟更生計畫ヲ樹立シタル場合ニ於テハ其ノ計畫ノ變更ヲ必要ト認メタル場合ニ限リ其ノ申出ヲ受理スベシ
第十四條 委員會ノ爲ス斡旋及負債處理計畫ノ樹立ハ其ノ定ムル所ニ依リ會長ノ指定スル擔當委員ヲシテ之ヲ擔任セシム
臨時農村負債處理法第四條第一項ノ承認ハ前項ノ擔當委員之ヲ行フ
第十五條 會長負債處理ノ申出ヲ受理スル旨ノ決定ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク擔當委員ヲ指定シ申出ノ要旨及擔當委員ノ氏名ヲ當事者ニ通知スルコトヲ要ス擔當委員ノ變更アリタルトキ亦同ジ
第十六條 斡旋ノ手續ハ之ヲ公開セズ
第十七條 擔當委員ハ斡旋ノ爲必要ト認ムル措置ヲ爲スコトヲ得
第十八條 擔當委員負債處理ノ申出ヲ受理シタル負債ニ付金錢債務臨時調停法ニ依ル調停ヲ必要ト認ムルトキハ其ノ旨ヲ會長ニ申出ヅベシ
會長前項ノ申出ヲ受ケタルトキハ裁判所ニ對シ臨時農村負債處理法第五條ノ規定ニ依ル請求ヲ爲スコトヲ得
第十九條 擔當委員ハ當事者又ハ利害關係人ノ意見ヲ聽キ適當ト認ムル者ヲシテ斡旋ニ付補助ヲ爲サシムルコトヲ得
第二十條 斡旋ニ付テハ擔當委員其ノ調書ヲ作リ之ニ署名又ハ記名捺印スルコトヲ要ス
第二十一條 擔當委員斡旋ヲ終了セントスルトキハ前條ノ調書及負債處理計畫ノ要領ヲ記載シタル書類ヲ具シ會長ニ其ノ旨ヲ報吿シ其ノ指揮ヲ受クルコトヲ要ス
第二十二條 斡旋終了シタルトキハ會長ハ遲滯ナク其ノ旨ヲ當事者及利害關係人ニ通知スルコトヲ要ス
第二十三條 會長、委員、幹事、書記若ハ第十九條ニ規定スル補助者又ハ會長、委員、幹事、書記若ハ同條ニ規定スル補助者タリシ者ハ斡旋ニ關シ知得タル事項ニ付祕密ヲ守ルコトヲ要ス
第二十四條 擔當委員、幹事、書記及第十九條ニ規定スル補助者ニ對シテハ地方長官ノ定ムル所ニ依リ特別ノ必要アル場合ニ限リ旅費、日當及止宿料ヲ給スルコトヲ得
第二十五條 委員會ニ關スル費用ハ北海道府縣ノ負擔トス
第二十六條 斡旋ニ關シ當事者ノ申出ニ因リ特別ノ行爲ヲ爲シタル爲要シタル費用ニ付テハ地方長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ實費ヲ徵スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ地方長官ハ其ノ費用ヲ豫納セシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ徵收シタル費用ハ北海道府縣ノ收入トス
第二十七條 委員會ハ裁判所ノ請求アルトキハ斡旋ニ關スル記錄ヲ送付スルコトヲ要ス
第二十八條 本令中町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ之ニ準ズベキモノトス
附 則
本令ハ臨時農村負債處理法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕臨時農村負債処理法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年六月十七日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
司法大臣 塩野季彦
農林大臣 伯爵 有馬頼寧
内務大臣 末次信正
大蔵大臣 池田成彬
勅令第四百二十二号
臨時農村負債処理法施行令
第一条 臨時農村負債処理法第一条第一項ノ傷痍又ハ疾病トハ恩給法施行令第二十四条第一項及第二十四条ノ二第一項ニ規定スル傷痍又ハ疾病ニ相当スルモノ其ノ他之ニ準ズルモノヲ謂フ
臨時農村負債処理法第一条第一項ノ遺族トハ同条同項ノ死歿シタル者(以下戦死者ト称ス)ノ親族(届出ヲ為サザルモ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ在ル者ヲ含ム以下之ニ同ジ)ニシテ戦死者ガ同条同項ノ公務ニ従事スルニ至リタル当時若ハ其ノ死歿ノ当時其ノ収入若ハ勤労ニ依リ生計ヲ維持シタル者又ハ戦死者ノ相続人ヲ謂フ
臨時農村負債処理法第一条第一項ノ家族トハ同条同項ノ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者(以下戦傷病者ト称ス)ノ親族ニシテ戦傷病者ガ同条同項ノ公務ニ従事スルニ至リタル当時又ハ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リタル当時其ノ収入又ハ勤労ニ依リ生計ヲ維持シタル者ヲ謂フ
第二条 臨時農村負債処理法第二条第一項ノ債務ハ戦死者ノ死歿ノ時又ハ戦傷病者ノ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リタル時以前ニ同法第一条ニ規定スル戦死傷者遺家族(以下戦死傷者遺家族ト称ス)ノ負担シタルモノニ限ル但シ特別ノ事由ニ因リ地方長官ノ認可ヲ受ケタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第三条 道府県臨時負債処理委員会(以下委員会ト称ス)ハ地方長官ノ監督ニ属シ臨時農村負債処理法第三条第二項ノ規定ニ依ル斡旋及負債処理計画ノ樹立ヲ為ス
委員会ハ前項ノ事項ノ外戦死傷者遺家族ノ負債処理ニ関シ地方長官ノ命ズル事務ヲ処理ス
第四条 委員会ノ設置及廃止ハ地方長官之ヲ定ム
第五条 委員会ハ会長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第六条 会長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ
第七条 委員ハ市町村長及学識経験アル者ノ中ヨリ地方長官之ヲ選任ス
委員ハ名誉職トシ其ノ任期ハ三年トス但シ特別ノ事由アルトキハ任期中ト雖モ地方長官之ヲ解任スルコトヲ得
第八条 会長ハ会務ヲ総理ス
会長事故アルトキハ地方長官ニ代リ其ノ職務ヲ行フ者会長ノ職務ヲ代理ス
第九条 委員会ニ幹事ヲ置ク地方長官之ヲ命ズ
幹事ハ会長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第十条 委員会ニ書記ヲ置ク地方長官之ヲ命ズ
書記ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第十一条 臨時農村負債処理法第三条第一項ノ規定ニ依ル申出ハ委員ヲ経由シテ之ヲ為スベシ
委員前項ノ申出ヲ受ケタルトキハ戦死傷者遺家族ノ経済更生ヲ図ル為負債ノ処理ヲ為スコトヲ必要トスルヤ否ヤノ意見ヲ具シ会長ニ之ヲ進達スベシ
第十二条 会長前条ノ進達ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク其ノ申出ヲ受理スルヤ否ヤヲ決定シ申出ヲ為シタル者及進達ヲ為シタル委員ニ其ノ旨ヲ通知スベシ
第十三条 負債処理ノ申出アリタル戦死傷者遺家族ニ付負債整理組合、農村負債整理組合法第八条ノ規定ニ依リ負債整理事業ヲ行フ法人又ハ市町村負債整理委員会ニ於テ負債償還計画及経済更生計画ヲ樹立シタル場合ニ於テハ其ノ計画ノ変更ヲ必要ト認メタル場合ニ限リ其ノ申出ヲ受理スベシ
第十四条 委員会ノ為ス斡旋及負債処理計画ノ樹立ハ其ノ定ムル所ニ依リ会長ノ指定スル担当委員ヲシテ之ヲ担任セシム
臨時農村負債処理法第四条第一項ノ承認ハ前項ノ担当委員之ヲ行フ
第十五条 会長負債処理ノ申出ヲ受理スル旨ノ決定ヲ為シタルトキハ遅滞ナク担当委員ヲ指定シ申出ノ要旨及担当委員ノ氏名ヲ当事者ニ通知スルコトヲ要ス担当委員ノ変更アリタルトキ亦同ジ
第十六条 斡旋ノ手続ハ之ヲ公開セズ
第十七条 担当委員ハ斡旋ノ為必要ト認ムル措置ヲ為スコトヲ得
第十八条 担当委員負債処理ノ申出ヲ受理シタル負債ニ付金銭債務臨時調停法ニ依ル調停ヲ必要ト認ムルトキハ其ノ旨ヲ会長ニ申出ヅベシ
会長前項ノ申出ヲ受ケタルトキハ裁判所ニ対シ臨時農村負債処理法第五条ノ規定ニ依ル請求ヲ為スコトヲ得
第十九条 担当委員ハ当事者又ハ利害関係人ノ意見ヲ聴キ適当ト認ムル者ヲシテ斡旋ニ付補助ヲ為サシムルコトヲ得
第二十条 斡旋ニ付テハ担当委員其ノ調書ヲ作リ之ニ署名又ハ記名捺印スルコトヲ要ス
第二十一条 担当委員斡旋ヲ終了セントスルトキハ前条ノ調書及負債処理計画ノ要領ヲ記載シタル書類ヲ具シ会長ニ其ノ旨ヲ報告シ其ノ指揮ヲ受クルコトヲ要ス
第二十二条 斡旋終了シタルトキハ会長ハ遅滞ナク其ノ旨ヲ当事者及利害関係人ニ通知スルコトヲ要ス
第二十三条 会長、委員、幹事、書記若ハ第十九条ニ規定スル補助者又ハ会長、委員、幹事、書記若ハ同条ニ規定スル補助者タリシ者ハ斡旋ニ関シ知得タル事項ニ付秘密ヲ守ルコトヲ要ス
第二十四条 担当委員、幹事、書記及第十九条ニ規定スル補助者ニ対シテハ地方長官ノ定ムル所ニ依リ特別ノ必要アル場合ニ限リ旅費、日当及止宿料ヲ給スルコトヲ得
第二十五条 委員会ニ関スル費用ハ北海道府県ノ負担トス
第二十六条 斡旋ニ関シ当事者ノ申出ニ因リ特別ノ行為ヲ為シタル為要シタル費用ニ付テハ地方長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ実費ヲ徴スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ地方長官ハ其ノ費用ヲ予納セシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ徴収シタル費用ハ北海道府県ノ収入トス
第二十七条 委員会ハ裁判所ノ請求アルトキハ斡旋ニ関スル記録ヲ送付スルコトヲ要ス
第二十八条 本令中町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ之ニ準ズベキモノトス
附 則
本令ハ臨時農村負債処理法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス