(樺太相続税令中改正ノ件)
法令番号: 勅令第二百十七號
公布年月日: 昭和13年4月1日
法令の形式: 勅令
朕樺太相續稅令中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十一日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
拓務大臣 大谷尊由
勅令第二百十七號
樺太相續稅令中左ノ通改正ス
第一條 相續開始シタル場合ニ於テ被相續人ガ樺太ニ住所ヲ有スルトキ又ハ樺太ニ相續財產アルトキハ本令ニ依リ相續稅ヲ課ス
第二條 被相續人ガ樺太ニ住所ヲ有スルトキハ相續財產ノ全部ニ對シ相續稅ヲ課ス
被相續人ガ樺太ニ住所ヲ有セザルトキハ樺太ニ在ル相續財產ニ付テノミ相續稅ヲ課ス
第二條ノ二 財產ノ所在ハ動產、不動產及不動產ノ上ニ存スル權利ニ付テハ當該動產又ハ不動產ノ所在ニ依ル但シ船舶ノ所在ハ船籍ノ所在ニ依ル
前項ニ揭グルモノ以外ノ財產ノ所在ハ權利者ノ住所地ニ依ル
第三條 被相續人ガ樺太ニ住所ヲ有スルトキハ相續稅ヲ課スベキ相續財產ノ價額ニ相續開始前一年內ニ被相續人ガ爲シタル贈與ノ價額ヲ加ヘ其ノ中ヨリ左ノ金額ヲ控除シタルモノヲ以テ課稅價格トス
一 公課
二 被相續人ノ葬式費用
三 債務
第三條ノ二 被相續人ガ樺太ニ住所ヲ有セザルトキハ相續稅ヲ課スベキ相續財產ノ價額ニ相續開始前一年內ニ被相續人ガ樺太ニ在ル財產ニ付爲シタル贈與ノ價額ヲ加ヘ其ノ中ヨリ左ノ金額ヲ控除シタルモノヲ以テ課稅價格トス
一 其ノ財產ニ係ル公課
二 其ノ財產ヲ目的トスル留置權、特別ノ先取特權、質權又ハ抵當權ヲ以テ擔保セラルル債務
三 其ノ財產ニ關スル贈與ノ義務
第三條ノ三 被相續人ノ死亡ニ因リ相續人ノ受取ル生命保險ノ保險金ニシテ被相續人ガ保險契約者タル保險契約ニ基クモノハ之ヲ相續財產ト看做ス但シ相續人ノ受取ル保險金ノ合計額中五千圓迄ノ金額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
保險契約者ガ被相續人以外ノ者ナル場合ト雖モ被相續人ガ現實ニ保險料ノ支拂ヲ爲スモノナルトキハ被相續人ヲ保險契約者ト看做シ前項ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
第三條ノ四 退職手當、功勞金及此等ノ性質ヲ有スル給與ニシテ被相續人ニ支給セラルベキモノガ被相續人死亡シタル爲其ノ相續人其ノ他ノ者ニ支給セラルルトキハ之ヲ相續財產ト看做ス但シ給與ノ合計額中五千圓迄ノ金額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ給與ガ相續人以外ノ者ニ支給セラルルトキハ遺贈アリタルモノト看做ス
第三條ノ五 國、公共團體又ハ慈善其ノ他ノ公益事業ニ對シ爲シタル贈與及遺贈ハ相續稅ノ課稅價格ニ算入セズ
第六條第二項中「第三條第一項又ハ第二項」ヲ「第三條又ハ第三條ノ二」ニ改ム
第十一條第一項及第二項中「相續開始シタルトキハ」ノ下ニ「樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ」ヲ加ヘ同條第三項ヲ削ル
第十一條ノ二 第二條第一項ノ場合ニ於テ外國ニ在ル相續財產ニ付其ノ國ノ法令ニ依リ相續稅ヲ課セラレタルトキハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ財產ノ價額ニ對スル相續稅ヲ免除ス
第十二條中「相續人、受遺者」ヲ「相續人(相續人二人以上ナルトキハ各相續人)、受遺者」ニ、「第三條第一項又ハ第二項」ヲ「第三條又ハ第三條ノ二」ニ改ム
第十六條ノ二 樺太ニ於テ生命保險(徵兵保險ヲ含ム以下同ジ)ノ保險金ヲ支拂ヒタル者ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ支拂調書ヲ政府ニ提出スベシ
前項ノ支拂調書ヲ提出シタル者ニ對シテハ樺太廳長官ノ定ムル金額ヲ交付スルコトヲ得
第二十四條 左ニ揭グル場合ニ於テ贈與ノ價額ガ千圓以上ナルトキハ遺產相續開始シタルモノト看做シ其ノ財產ノ價額ヲ課稅價格トシテ本令ニ依リ相續稅ヲ課ス但シ樺太ニ住所ヲ有セザル者ノ爲シタル贈與ニ在リテハ樺太ニ在ル財產ニ付爲シタルモノニ限ル
一 親族ニ贈與ヲ爲シタルトキ
二 分家ヲ爲スニ際シ若ハ分家ヲ爲シタル後本家ノ戶主又ハ家族ガ分家ノ戶主又ハ家族ニ贈與ヲ爲シタルトキ
不動產又ハ船舶ノ贈與ニ付登錄稅ヲ納付シタルトキハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ登錄稅額ガ相續ニ因ル所有權ノ取得ニ付テノ登錄稅額ヲ超過スル金額ヲ前項ノ相續稅額ヨリ控除ス
第一項ノ規定ニ依リ相續稅ヲ課スル場合ニ於テハ第十一條ノ規定ヲ適用セズ
第二十四條ノ二 生命保險契約ニシテ保險金受取人ガ保險契約者以外ノ者ナルトキハ保險事故ノ生ジタル時ニ於テ保險契約者ガ保險金額ニ相當スル金額ヲ保險金受取人ニ贈與シタルモノト看做ス但シ保險契約者ノ同一ナル保險契約ニ基キ同一事故ニ因リ同一人ノ受取ル保險金ノ合計額ガ五千圓ヲ超ユル場合ニ於ケル其ノ超過額ニ相當スル金額ニ限ル
前項ノ規定ハ第三條ノ三ノ規定ニ依リ保險金ヲ相續財產ト看做ス場合ニ付テハ之ヲ適用セズ
保險契約者以外ノ者ガ現實ニ保險料ノ支拂ヲ爲スモノナルトキハ其ノ者ヲ保險契約者ト看做シ第一項ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
保險事故ノ生ジタル時ノ保險契約者ト保險金受取人トノ身分關係ガ保險契約ノ時ノ身分關係ト異ルトキハ其ノ身分關係ハ第一項ノ規定ヲ適用スル場合ニ於テハ保險事故ノ生ジタル時迄存續スルモノト看做ス
第二十四條ノ三 郵便年金契約ニシテ年金受取人ガ年金契約者以外ノ者ナルトキハ年金支拂ノ事由發生シタル時ニ於テ年金契約者ガ當該郵便年金ノ價額ニ相當スル金額ヲ年金受取人ニ贈與シタルモノト看做ス但シ年金契約者ノ同一ナル年金契約ニ基キ同一事由ニ因リ同一人ノ受取ル年金ノ價額ノ合計額ガ五千圓ヲ超ユル場合ニ於ケル其ノ超過額ニ相當スル金額ニ限ル
前條第三項及第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十五條中「前條」ヲ「第二十四條」ニ改ム
第二十六條中「又ハ納稅義務アリト認ムル者」ヲ「、納稅義務アリト認ムル者又ハ第十六條ノ二第一項ノ支拂調書ヲ提出スル義務アル者」ニ改ム
第二十八條ノ二 被相續人ガ相續稅法施行地、朝鮮又ハ臺灣ニ住所ヲ有シ其ノ地ニ於ケル法令ニ依リ相續稅ヲ課セラルルトキハ樺太ニ相續財產アルモ相續稅ヲ課セズ
第二十八條ノ三 相續稅法施行地、朝鮮又ハ臺灣ニ於ケル法令ニ依リ相續稅ヲ課セラルベキ相續ガ其ノ地ニ於テ開始シタル後五年又ハ七年內ニ於テ更ニ樺太ニ於テ相續開始シタルトキハ第十一條ノ規定ヲ準用ス
第二十八條ノ四 相續稅法施行地、朝鮮又ハ臺灣ニ住所ヲ有スル者ガ樺太ニ在ル財產ニ付爲シタル贈與ニハ第二十四條ノ規定ヲ適用セズ
第二十八條ノ五 相續稅法施行地、朝鮮又ハ臺灣ニ於テ死亡ニ因リ相續開始シタル後一年內ニ樺太ニ住所ヲ有スル相續人ガ相續財產ニ付爲シタル贈與ニ付テハ第二十五條ノ規定ヲ準用ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ本令施行前開始シタル相續ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
朕樺太相続税令中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十一日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
拓務大臣 大谷尊由
勅令第二百十七号
樺太相続税令中左ノ通改正ス
第一条 相続開始シタル場合ニ於テ被相続人ガ樺太ニ住所ヲ有スルトキ又ハ樺太ニ相続財産アルトキハ本令ニ依リ相続税ヲ課ス
第二条 被相続人ガ樺太ニ住所ヲ有スルトキハ相続財産ノ全部ニ対シ相続税ヲ課ス
被相続人ガ樺太ニ住所ヲ有セザルトキハ樺太ニ在ル相続財産ニ付テノミ相続税ヲ課ス
第二条ノ二 財産ノ所在ハ動産、不動産及不動産ノ上ニ存スル権利ニ付テハ当該動産又ハ不動産ノ所在ニ依ル但シ船舶ノ所在ハ船籍ノ所在ニ依ル
前項ニ掲グルモノ以外ノ財産ノ所在ハ権利者ノ住所地ニ依ル
第三条 被相続人ガ樺太ニ住所ヲ有スルトキハ相続税ヲ課スベキ相続財産ノ価額ニ相続開始前一年内ニ被相続人ガ為シタル贈与ノ価額ヲ加ヘ其ノ中ヨリ左ノ金額ヲ控除シタルモノヲ以テ課税価格トス
一 公課
二 被相続人ノ葬式費用
三 債務
第三条ノ二 被相続人ガ樺太ニ住所ヲ有セザルトキハ相続税ヲ課スベキ相続財産ノ価額ニ相続開始前一年内ニ被相続人ガ樺太ニ在ル財産ニ付為シタル贈与ノ価額ヲ加ヘ其ノ中ヨリ左ノ金額ヲ控除シタルモノヲ以テ課税価格トス
一 其ノ財産ニ係ル公課
二 其ノ財産ヲ目的トスル留置権、特別ノ先取特権、質権又ハ抵当権ヲ以テ担保セラルル債務
三 其ノ財産ニ関スル贈与ノ義務
第三条ノ三 被相続人ノ死亡ニ因リ相続人ノ受取ル生命保険ノ保険金ニシテ被相続人ガ保険契約者タル保険契約ニ基クモノハ之ヲ相続財産ト看做ス但シ相続人ノ受取ル保険金ノ合計額中五千円迄ノ金額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
保険契約者ガ被相続人以外ノ者ナル場合ト雖モ被相続人ガ現実ニ保険料ノ支払ヲ為スモノナルトキハ被相続人ヲ保険契約者ト看做シ前項ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
第三条ノ四 退職手当、功労金及此等ノ性質ヲ有スル給与ニシテ被相続人ニ支給セラルベキモノガ被相続人死亡シタル為其ノ相続人其ノ他ノ者ニ支給セラルルトキハ之ヲ相続財産ト看做ス但シ給与ノ合計額中五千円迄ノ金額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ給与ガ相続人以外ノ者ニ支給セラルルトキハ遺贈アリタルモノト看做ス
第三条ノ五 国、公共団体又ハ慈善其ノ他ノ公益事業ニ対シ為シタル贈与及遺贈ハ相続税ノ課税価格ニ算入セズ
第六条第二項中「第三条第一項又ハ第二項」ヲ「第三条又ハ第三条ノ二」ニ改ム
第十一条第一項及第二項中「相続開始シタルトキハ」ノ下ニ「樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ」ヲ加ヘ同条第三項ヲ削ル
第十一条ノ二 第二条第一項ノ場合ニ於テ外国ニ在ル相続財産ニ付其ノ国ノ法令ニ依リ相続税ヲ課セラレタルトキハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ財産ノ価額ニ対スル相続税ヲ免除ス
第十二条中「相続人、受遺者」ヲ「相続人(相続人二人以上ナルトキハ各相続人)、受遺者」ニ、「第三条第一項又ハ第二項」ヲ「第三条又ハ第三条ノ二」ニ改ム
第十六条ノ二 樺太ニ於テ生命保険(徴兵保険ヲ含ム以下同ジ)ノ保険金ヲ支払ヒタル者ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ支払調書ヲ政府ニ提出スベシ
前項ノ支払調書ヲ提出シタル者ニ対シテハ樺太庁長官ノ定ムル金額ヲ交付スルコトヲ得
第二十四条 左ニ掲グル場合ニ於テ贈与ノ価額ガ千円以上ナルトキハ遺産相続開始シタルモノト看做シ其ノ財産ノ価額ヲ課税価格トシテ本令ニ依リ相続税ヲ課ス但シ樺太ニ住所ヲ有セザル者ノ為シタル贈与ニ在リテハ樺太ニ在ル財産ニ付為シタルモノニ限ル
一 親族ニ贈与ヲ為シタルトキ
二 分家ヲ為スニ際シ若ハ分家ヲ為シタル後本家ノ戸主又ハ家族ガ分家ノ戸主又ハ家族ニ贈与ヲ為シタルトキ
不動産又ハ船舶ノ贈与ニ付登録税ヲ納付シタルトキハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ登録税額ガ相続ニ因ル所有権ノ取得ニ付テノ登録税額ヲ超過スル金額ヲ前項ノ相続税額ヨリ控除ス
第一項ノ規定ニ依リ相続税ヲ課スル場合ニ於テハ第十一条ノ規定ヲ適用セズ
第二十四条ノ二 生命保険契約ニシテ保険金受取人ガ保険契約者以外ノ者ナルトキハ保険事故ノ生ジタル時ニ於テ保険契約者ガ保険金額ニ相当スル金額ヲ保険金受取人ニ贈与シタルモノト看做ス但シ保険契約者ノ同一ナル保険契約ニ基キ同一事故ニ因リ同一人ノ受取ル保険金ノ合計額ガ五千円ヲ超ユル場合ニ於ケル其ノ超過額ニ相当スル金額ニ限ル
前項ノ規定ハ第三条ノ三ノ規定ニ依リ保険金ヲ相続財産ト看做ス場合ニ付テハ之ヲ適用セズ
保険契約者以外ノ者ガ現実ニ保険料ノ支払ヲ為スモノナルトキハ其ノ者ヲ保険契約者ト看做シ第一項ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
保険事故ノ生ジタル時ノ保険契約者ト保険金受取人トノ身分関係ガ保険契約ノ時ノ身分関係ト異ルトキハ其ノ身分関係ハ第一項ノ規定ヲ適用スル場合ニ於テハ保険事故ノ生ジタル時迄存続スルモノト看做ス
第二十四条ノ三 郵便年金契約ニシテ年金受取人ガ年金契約者以外ノ者ナルトキハ年金支払ノ事由発生シタル時ニ於テ年金契約者ガ当該郵便年金ノ価額ニ相当スル金額ヲ年金受取人ニ贈与シタルモノト看做ス但シ年金契約者ノ同一ナル年金契約ニ基キ同一事由ニ因リ同一人ノ受取ル年金ノ価額ノ合計額ガ五千円ヲ超ユル場合ニ於ケル其ノ超過額ニ相当スル金額ニ限ル
前条第三項及第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十五条中「前条」ヲ「第二十四条」ニ改ム
第二十六条中「又ハ納税義務アリト認ムル者」ヲ「、納税義務アリト認ムル者又ハ第十六条ノ二第一項ノ支払調書ヲ提出スル義務アル者」ニ改ム
第二十八条ノ二 被相続人ガ相続税法施行地、朝鮮又ハ台湾ニ住所ヲ有シ其ノ地ニ於ケル法令ニ依リ相続税ヲ課セラルルトキハ樺太ニ相続財産アルモ相続税ヲ課セズ
第二十八条ノ三 相続税法施行地、朝鮮又ハ台湾ニ於ケル法令ニ依リ相続税ヲ課セラルベキ相続ガ其ノ地ニ於テ開始シタル後五年又ハ七年内ニ於テ更ニ樺太ニ於テ相続開始シタルトキハ第十一条ノ規定ヲ準用ス
第二十八条ノ四 相続税法施行地、朝鮮又ハ台湾ニ住所ヲ有スル者ガ樺太ニ在ル財産ニ付為シタル贈与ニハ第二十四条ノ規定ヲ適用セズ
第二十八条ノ五 相続税法施行地、朝鮮又ハ台湾ニ於テ死亡ニ因リ相続開始シタル後一年内ニ樺太ニ住所ヲ有スル相続人ガ相続財産ニ付為シタル贈与ニ付テハ第二十五条ノ規定ヲ準用ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ本令施行前開始シタル相続ニ関シテハ仍従前ノ例ニ依ル