第一條 裁判所又ハ檢事局ハ滿洲國ノ法院又ハ檢察廳ノ囑託ニ因リ民事及刑事ニ關シ左ノ事項ニ付司法事務ノ共助ヲ爲ス
共助ハ所要ノ事務ヲ取扱フベキ地ヲ管轄スル區裁判所又ハ區裁判所檢事局ニ於テ之ヲ爲ス
第二條 受託事項ノ實施ガ法律上許スベカラザルモノナルトキ又ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ之ヲ爲サザルコトヲ得
受託事項ノ實施ガ搜査、裁判又ハ刑ノ執行ノ障礙ト爲ルベキ場合ニ於テハ障礙ナキニ至ル迄之ヲ爲サザルコトヲ得
第三條 囑託ニ因ル勾引狀ノ發付又ハ執行ノ實施ガ不相當ナルトキハ之ヲ爲サザルコトヲ得
第四條 囑託ニ因ル自由刑ノ執行ノ實施ガ著シク不相當又ハ不便ナルトキハ之ヲ爲サザルコトヲ得
第五條 前三條ノ規定ニ依リ受託事項ノ實施ヲ爲サザル場合ニ於テハ速ニ其ノ旨ヲ囑託官廳ニ通知スベシ
第六條 檢事犯罪ノ搜査ノ共助ヲ爲スニ付强制ノ處分ヲ必要トスルトキハ押收、搜索、檢證、被疑者若ハ證人ノ訊問又ハ鑑定ノ處分ヲ其ノ所屬區裁判所ノ判事ニ請求スルコトヲ得
檢事被疑者ニ對スル勾引狀ノ發付ノ共助ヲ爲スニ付必要アルトキハ其ノ處分ヲ其ノ所屬區裁判所ノ判事ニ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル請求ヲ受ケタル判事ハ其ノ處分ニ關シ豫審判事ト同一ノ權ヲ有ス
判事本條ノ處分ヲ爲シタルトキハ速ニ之ニ關スル書類及證據物ヲ檢事ニ送付スベシ
第七條 刑事判決ノ執行ハ司法大臣ヲ經由シ判決書ノ謄本ヲ送付シテ囑託アリタルトキハ死刑及法律ノ認メザル刑ヲ除キ之ガ共助ヲ爲スベシ
前項ノ囑託ニ因ル執行ニ付テハ刑名同ジキモノハ之ヲ同一ノ刑ト看做シ滿洲國刑法ノ徒刑ハ之ヲ懲役ト看做ス
第八條 囑託ニ因ル受刑者ノ假出獄ニ關シテハ帝國ノ法令ニ依ル
第九條 囑託ニ因リ罰金、科料若ハ沒收ノ刑ヲ執行シ又ハ追徵金ヲ徵收シタルトキハ其ノ金額又ハ物品ヲ滿洲國ニ引渡スベシ但シ沒收物中價値ナキ物ハ之ヲ廢棄シ引渡ニ不便ナル物ハ之ヲ公賣シテ其ノ代價ヲ引渡スコトヲ得
第十條 受託官廳受託事項ニ付權限ヲ有セザルトキハ受託ノ權限アル官廳ニ囑託ヲ移送シタル上速ニ其ノ旨ヲ囑託官廳ニ通知スベシ
第十二條 民事ニ關スル受託事項ノ實施ニ要スル費用ニシテ當事者ノ負擔ト爲ラザルモノハ之ヲ國庫ノ負擔トス
刑事ニ關スル受託事項ノ實施ニ要スル費用ハ之ヲ國庫ノ負擔トス但シ他ノ法令ニ於テ別ニ負擔者ヲ定ムルモノハ之ヲ其ノ者ノ負擔トス
第十三條 裁判所又ハ檢事局ハ滿洲國ノ法院又ハ檢察廳ニ對シ第一條第一項ノ事項ノ囑託ヲ爲スコトヲ得
第十四條 第一條第一項ノ事項ノ囑託ハ裁判所又ハ檢事局ヨリ滿洲國ノ地方法院又ハ地方檢察廳ニ對シ直接之ヲ爲スコトヲ得但シ刑事判決ノ執行ノ囑託ハ司法大臣ヲ經テ之ヲ爲スベシ
第十五條 滿洲國ノ法院又ハ檢察廳ガ囑託ニ因リ爲シタル行爲ハ帝國ノ法令ノ適用ニ關シテハ帝國ノ法令ニ依リ爲シタルモノト同一ノ效力ヲ有ス
第十六條 滿洲國ノ執行名義ニ依リテ强制執行ヲ爲スニハ裁判所ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
第十七條 前條ノ認可ノ申立ハ債務者ノ普通裁判籍又ハ執行ノ目的タル財產ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第十八條 前條ノ申立ニ對スル裁判ハ非訟事件手續法ニ依リ之ヲ爲ス
民事訴訟法第五百十五條ノ規定ハ前項ノ裁判ニ之ヲ準用ス
第十九條 執行認可ノ裁判ハ執行力アル債務名義ト同一ノ效力ヲ有ス
第二十條 第十八條ノ裁判ニ對シテハ卽時抗吿ヲ爲スコトヲ得其ノ期間ハ之ヲ二週間トス
執行認可ノ裁判ニ對スル卽時抗吿ハ執行停止ノ效力ヲ有ス
第二十一條 前五條ノ規定ハ滿洲國法院ノ爲シタル强制執行ノ停止ヲ命ズル裁判ニ依リテ强制執行ノ停止ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
民事訴訟法第五百二十二條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス