関東州麦粉税令
法令番号: 勅令第二百九十三號
公布年月日: 昭和12年6月29日
法令の形式: 勅令
朕關東州麥粉稅令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年六月二十八日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
勅令第二百九十三號
關東州麥粉稅令
第一條 麥粉ニハ本令ニ依リ麥粉稅ヲ課ス
第二條 麥粉ヲ製造セントスル者ハ製造場一個所每ニ政府ノ免許ヲ受クベシ其ノ製造ヲ廢止セントスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムベシ
第三條 麥粉稅ノ稅率ハ麥粉一包裝ニ付十錢トス一包裝ニシテ二十四キログラムヲ超ユルモノアルトキハ二十四キログラム又ハ其ノ端數每ニ十錢トス
第四條 麥粉稅ハ保稅地域ヨリ麥粉ヲ引取ルトキ其ノ引取人ヨリ之ヲ徵收ス
保稅地域トハ麥粉製造場、保稅倉庫其ノ他政府ニ於テ課稅物件ヲ藏置シ得ベキ場所トシテ指定シ又ハ特許シタル場所ヲ謂フ
第五條 麥粉稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ三月內麥粉稅ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ擔保ヲ提供シタル者期間內ニ稅金ヲ納付セザルトキハ擔保ヲ以テ之ニ充ツ但シ金錢以外ノ擔保ハ之ヲ公賣ニ付シ其ノ費用及稅金ニ充テ不足アルトキハ之ヲ追徵シ殘金アルトキハ之ヲ還付ス
第一項ノ擔保ニ關スル規定ハ滿洲國駐箚特命全權大使之ヲ定ム
第六條 麥粉ハ大使ノ定ムル所ニ依リ麥粉稅ヲ納付セズシテ保稅地域ヨリ他ノ保稅地域ニ運送スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該麥粉ガ政府ノ指定シタル期間內ニ運送先ニ到著セザルトキハ保稅地域ヨリ搬出シタルトキ引取リタルモノト看做シ運送申吿者ヨリ麥粉稅ヲ徵收ス但シ災害ニ因リ滅失シ又ハ當該官吏ノ承認ヲ得テ廢棄シタル麥粉ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第七條 麥粉ハ第五條第一項ノ場合ヲ除クノ外麥粉稅納付前ニ於テハ政府ノ承認ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ保稅地域ヨリ引取ルコトヲ得ズ
第八條 麥粉ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ保稅地域ヨリ引取ラレタルモノト看做ス
一 保稅地域內ニ於テ消費セラレタルトキ
二 保稅地域內ニ現存スルモノ公賣セラレタルトキ
三 製造免許取消ノ場合ニ於テ保稅地域內ニ現存スルトキ
第九條 關東州外ニ輸出スル麥粉ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ麥粉稅ヲ免除ス
第十條 麥粉ノ製造者又ハ販賣者ハ帳簿ヲ備ヘ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造出入ニ關スル事項ヲ記載スベシ
第十一條 麥粉製造者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ政府ハ麥粉製造ノ免許ヲ取消スコトヲ得
一 本令又ハ本令ニ基ク命令若ハ處分ニ違反シタルトキ
二 三年以上引續キ麥粉ノ製造ヲ休止シタルトキ
第十二條 稅務官吏ハ麥粉ノ製造場、販賣場其ノ他必要ト認ムル場所ニ臨ミ麥粉、其ノ原料品、其ノ製造出入ニ關スル一切ノ帳簿書類、其ノ製造又ハ販賣上必要ナル建築物、機械、器具、容器其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認ムルトキハ稅務官吏ハ前項ノ物件ニ證印ヲ押捺シ、封印シ其ノ他相當ノ措置ヲ爲シ又ハ爲サシムルコトヲ得
第十三條 稅務官吏ハ運搬中ニ在ル麥粉ヲ檢査シ其ノ出所及到著先ヲ尋問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認ムルトキハ稅務官吏ハ其ノ運搬ヲ停止シ、貨物又ハ船車ニ封印シ其ノ他相當ノ措置ヲ爲スコトヲ得
第十四條 左ニ揭グル場合ニ於テハ直ニ麥粉稅ヲ徵收ス
一 免許ヲ受ケズシテ麥粉ヲ製造シタルトキ
二 詐僞其ノ他不正ノ行爲ヲ以テ麥粉稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタルトキ
三 第七條ノ規定ニ違反シタルトキ
四 輸出スル爲麥粉稅ヲ免除セラレタル麥粉ヲ關東州內ニ於テ消費シ又ハ關東州內ニ於テ消費スル目的ヲ以テ他人ニ讓渡シタルトキ
第十五條 自己又ハ其ノ同居家族ノ用ニノミ供スル爲自ラ製造スル麥粉ニハ本令ヲ適用セズ
第十六條 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外麥粉稅ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十二年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ麥粉ヲ製造スル者ニシテ本令施行後引續キ之ヲ製造セントスルモノハ昭和十二年七月三十一日迄ニ政府ニ免許ヲ申請スベシ其ノ申請ニ對シ許否ノ處分ヲ受クル迄ハ本令ニ依リ免許ヲ受ケタルモノト看做ス
朕関東州麦粉税令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年六月二十八日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
勅令第二百九十三号
関東州麦粉税令
第一条 麦粉ニハ本令ニ依リ麦粉税ヲ課ス
第二条 麦粉ヲ製造セントスル者ハ製造場一個所毎ニ政府ノ免許ヲ受クベシ其ノ製造ヲ廃止セントスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムベシ
第三条 麦粉税ノ税率ハ麦粉一包装ニ付十銭トス一包装ニシテ二十四キログラムヲ超ユルモノアルトキハ二十四キログラム又ハ其ノ端数毎ニ十銭トス
第四条 麦粉税ハ保税地域ヨリ麦粉ヲ引取ルトキ其ノ引取人ヨリ之ヲ徴収ス
保税地域トハ麦粉製造場、保税倉庫其ノ他政府ニ於テ課税物件ヲ蔵置シ得ベキ場所トシテ指定シ又ハ特許シタル場所ヲ謂フ
第五条 麦粉税額ニ相当スル担保ヲ提供シタルトキハ三月内麦粉税ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ担保ヲ提供シタル者期間内ニ税金ヲ納付セザルトキハ担保ヲ以テ之ニ充ツ但シ金銭以外ノ担保ハ之ヲ公売ニ付シ其ノ費用及税金ニ充テ不足アルトキハ之ヲ追徴シ残金アルトキハ之ヲ還付ス
第一項ノ担保ニ関スル規定ハ満洲国駐箚特命全権大使之ヲ定ム
第六条 麦粉ハ大使ノ定ムル所ニ依リ麦粉税ヲ納付セズシテ保税地域ヨリ他ノ保税地域ニ運送スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ当該麦粉ガ政府ノ指定シタル期間内ニ運送先ニ到著セザルトキハ保税地域ヨリ搬出シタルトキ引取リタルモノト看做シ運送申告者ヨリ麦粉税ヲ徴収ス但シ災害ニ因リ滅失シ又ハ当該官吏ノ承認ヲ得テ廃棄シタル麦粉ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第七条 麦粉ハ第五条第一項ノ場合ヲ除クノ外麦粉税納付前ニ於テハ政府ノ承認ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ保税地域ヨリ引取ルコトヲ得ズ
第八条 麦粉ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ保税地域ヨリ引取ラレタルモノト看做ス
一 保税地域内ニ於テ消費セラレタルトキ
二 保税地域内ニ現存スルモノ公売セラレタルトキ
三 製造免許取消ノ場合ニ於テ保税地域内ニ現存スルトキ
第九条 関東州外ニ輸出スル麦粉ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ麦粉税ヲ免除ス
第十条 麦粉ノ製造者又ハ販売者ハ帳簿ヲ備ヘ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造出入ニ関スル事項ヲ記載スベシ
第十一条 麦粉製造者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ政府ハ麦粉製造ノ免許ヲ取消スコトヲ得
一 本令又ハ本令ニ基ク命令若ハ処分ニ違反シタルトキ
二 三年以上引続キ麦粉ノ製造ヲ休止シタルトキ
第十二条 税務官吏ハ麦粉ノ製造場、販売場其ノ他必要ト認ムル場所ニ臨ミ麦粉、其ノ原料品、其ノ製造出入ニ関スル一切ノ帳簿書類、其ノ製造又ハ販売上必要ナル建築物、機械、器具、容器其ノ他ノ物件ヲ検査スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認ムルトキハ税務官吏ハ前項ノ物件ニ証印ヲ押捺シ、封印シ其ノ他相当ノ措置ヲ為シ又ハ為サシムルコトヲ得
第十三条 税務官吏ハ運搬中ニ在ル麦粉ヲ検査シ其ノ出所及到著先ヲ尋問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認ムルトキハ税務官吏ハ其ノ運搬ヲ停止シ、貨物又ハ船車ニ封印シ其ノ他相当ノ措置ヲ為スコトヲ得
第十四条 左ニ掲グル場合ニ於テハ直ニ麦粉税ヲ徴収ス
一 免許ヲ受ケズシテ麦粉ヲ製造シタルトキ
二 詐偽其ノ他不正ノ行為ヲ以テ麦粉税ヲ逋脱シ又ハ逋脱セントシタルトキ
三 第七条ノ規定ニ違反シタルトキ
四 輸出スル為麦粉税ヲ免除セラレタル麦粉ヲ関東州内ニ於テ消費シ又ハ関東州内ニ於テ消費スル目的ヲ以テ他人ニ譲渡シタルトキ
第十五条 自己又ハ其ノ同居家族ノ用ニノミ供スル為自ラ製造スル麦粉ニハ本令ヲ適用セズ
第十六条 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外麦粉税ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十二年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ麦粉ヲ製造スル者ニシテ本令施行後引続キ之ヲ製造セントスルモノハ昭和十二年七月三十一日迄ニ政府ニ免許ヲ申請スベシ其ノ申請ニ対シ許否ノ処分ヲ受クル迄ハ本令ニ依リ免許ヲ受ケタルモノト看做ス