(刑事訴訟法中改正法律)
法令番号: 法律第71号
公布年月日: 昭和12年8月14日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

刑事訴訟法における上告審の事実審理に関する規定を改正するものである。現行法では、事実誤認や刑の量定不当を理由とする上告の場合、上告裁判所が自ら事実審理を行わねばならないが、裁判所所在地と被告人の住所地が遠く離れているため、証人や鑑定人の出頭、現場検証などに支障が生じている。また、上告趣意書が詳細かつ膨大となり、判決書への記載義務により裁判所の負担が過重となっている。そこで、上告裁判所が適当でないと判断した場合は原審に差戻しまたは移送できるようにし、事実問題に関する上告趣意の一部記載を省略可能とすることで、裁判所と訴訟関係人の便益を図るものである。

参照した発言:
第71回帝国議会 貴族院 本会議 第3号

審議経過

第71回帝国議会

貴族院
(昭和12年7月28日)
(昭和12年7月30日)
衆議院
(昭和12年7月31日)
(昭和12年8月6日)
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル刑事訴訟法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年八月十三日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
司法大臣 鹽野季彥
法律第七十一號
刑事訴訟法中左ノ通改正ス
第四百四十條中「原判決ヲ破毀スヘキモノト認ムルトキハ」ノ下ニ「第四百四十八條ノ二ノ場合ヲ除クノ外」ヲ加フ
第四百四十三條中「上吿裁判所第四百十二條乃至第四百十四條ニ規定スル事由アリト認ムルトキハ」ノ下ニ「第四百四十八條ノ二ノ場合ヲ除クノ外」ヲ加フ
第四百四十八條中「第四百四十九條及第四百五十條」ヲ「第四百四十八條ノ二乃至第四百五十條」ニ改ム
第四百四十八條ノ二 上吿裁判所事實ノ確定ニ影響ヲ及ホスヘキ法令ノ違反アリト認メ又ハ第四百十二條乃至第四百十四條ニ規定スル事由アリト認ムル場合ニ於テ自ラ事實ノ審理ヲ爲スヲ適當ナラストスルトキハ判決ヲ以テ原判決ヲ破毀シ事件ヲ原裁判所ニ差戾シ又ハ原裁判所ト同等ナル他ノ裁判所ニ移送スヘシ
前項ノ差戾又ハ移送アリタル事件ニ付裁判ヲ爲ス場合ニ於テハ原判決又ハ其ノ基礎ト爲リタル取調ニ關與シタル判事ハ其ノ裁判ニ關與スルコトヲ得ス
第四百五十三條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第四百十二條乃至第四百十四條ニ規定スル事由アリト爲ス上吿ノ趣意ハ其ノ一部ヲ省略スルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル刑事訴訟法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年八月十三日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
司法大臣 塩野季彦
法律第七十一号
刑事訴訟法中左ノ通改正ス
第四百四十条中「原判決ヲ破毀スヘキモノト認ムルトキハ」ノ下ニ「第四百四十八条ノ二ノ場合ヲ除クノ外」ヲ加フ
第四百四十三条中「上告裁判所第四百十二条乃至第四百十四条ニ規定スル事由アリト認ムルトキハ」ノ下ニ「第四百四十八条ノ二ノ場合ヲ除クノ外」ヲ加フ
第四百四十八条中「第四百四十九条及第四百五十条」ヲ「第四百四十八条ノ二乃至第四百五十条」ニ改ム
第四百四十八条ノ二 上告裁判所事実ノ確定ニ影響ヲ及ホスヘキ法令ノ違反アリト認メ又ハ第四百十二条乃至第四百十四条ニ規定スル事由アリト認ムル場合ニ於テ自ラ事実ノ審理ヲ為スヲ適当ナラストスルトキハ判決ヲ以テ原判決ヲ破毀シ事件ヲ原裁判所ニ差戻シ又ハ原裁判所ト同等ナル他ノ裁判所ニ移送スヘシ
前項ノ差戻又ハ移送アリタル事件ニ付裁判ヲ為ス場合ニ於テハ原判決又ハ其ノ基礎ト為リタル取調ニ関与シタル判事ハ其ノ裁判ニ関与スルコトヲ得ス
第四百五十三条ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第四百十二条乃至第四百十四条ニ規定スル事由アリト為ス上告ノ趣意ハ其ノ一部ヲ省略スルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム