刑事訴訟法における上告審の事実審理に関する規定を改正するものである。現行法では、事実誤認や刑の量定不当を理由とする上告の場合、上告裁判所が自ら事実審理を行わねばならないが、裁判所所在地と被告人の住所地が遠く離れているため、証人や鑑定人の出頭、現場検証などに支障が生じている。また、上告趣意書が詳細かつ膨大となり、判決書への記載義務により裁判所の負担が過重となっている。そこで、上告裁判所が適当でないと判断した場合は原審に差戻しまたは移送できるようにし、事実問題に関する上告趣意の一部記載を省略可能とすることで、裁判所と訴訟関係人の便益を図るものである。
参照した発言:
第71回帝国議会 貴族院 本会議 第3号