南満洲鉄道附属地煙草税令
法令番号: 勅令第百十八號
公布年月日: 昭和11年6月22日
法令の形式: 勅令
朕南滿洲鐵道附屬地煙草稅令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年六月二十日
內閣總理大臣 廣田弘毅
勅令第百十八號
南滿洲鐵道附屬地煙草稅令
第一條 煙草ニハ本令ニ依リ煙草稅ヲ課ス
第二條 煙草ヲ耕作セントスル者ハ政府ノ免許ヲ受クベシ
煙草ヲ製造セントスル者ハ製造場一箇所每ニ政府ノ免許ヲ受クベシ
前二項ノ規定ニ依リ煙草ノ耕作又ハ製造ノ免許ヲ受ケタル者其ノ耕作又ハ製造ヲ廢止セントスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムベシ
第三條 煙草稅ノ稅率ハ左ノ區分ニ依ル
【表】
葉屑、刻屑其ノ他ノ屑煙草ハ之ヲ葉煙草ト看做ス
第一項ノ煙草ノ價格ハ滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムル所ニ依リ課稅地ニ於ケル煙草ノ時價ヲ基準トシテ政府ニ於テ之ヲ定ム
第四條 煙草稅ハ製造場ヨリ煙草ヲ搬出スルトキ其ノ製造者ヨリ之ヲ徵收ス
煙草ハ煙草稅納付前ニ於テハ之ヲ消費シ又ハ政府ノ承認ヲ受ケズシテ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ズ
第五條 煙草ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ製造場外ニ搬出セラレタルモノト看做ス
一 製造場內ニ現存スルモノ公賣セラレタルトキ
二 製造免許取消ノ場合ニ於テ製造場內ニ現存スルトキ
第六條 製造煙草ノ原料ニ使用スル葉煙草ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ煙草稅ヲ免除シ又ハ煙草稅ニ相當スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第七條 煙草稅ヲ納付シタル煙草ガ腐敗其ノ他ノ事由ニ因リ喫用ニ適セザルニ至リタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ煙草稅ニ相當スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第八條 輸出スル煙草ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ煙草稅ヲ免除スルコトヲ得
第九條 政府ハ徵稅保全上必要アリト認ムルトキハ煙草製造者ニ對シ擔保ノ提供ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ擔保ニ關スル規定ハ大使之ヲ定ム
第十條 煙草稅ヲ納付シタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ製造煙草ノ容器又ハ包裏ニ納稅濟證ノ貼附ヲ受クベシ
第十一條 煙草販賣者ハ容器又ハ包裏ニ納稅濟證ノ貼附ナキ製造煙草ヲ讓受ケ又ハ讓渡スコトヲ得ズ但シ第八條及第十七條第一號ニ揭グル煙草ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條 煙草ノ耕作者又ハ製造者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ政府ハ其ノ耕作又ハ製造ノ免許ヲ取消スコトヲ得
一 本令又ハ本令ニ基ク命令若ハ處分ニ違反シタルトキ
二 一年以上引續キ煙草ノ耕作又ハ製造ヲ休止シタルトキ
第十三條 煙草ヲ販賣セントスル者ハ販賣場一箇所每ニ政府ニ申吿スベシ但シ煙草製造者ガ其ノ製造場ニ於テ爲ス販賣ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
煙草販賣者其ノ販賣ヲ廢止シタルトキハ其ノ旨ヲ政府ニ申吿スベシ
第十四條 煙草ノ製造者又ハ販賣者ハ帳簿ヲ備ヘ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造出入ニ關スル事項ヲ記載スベシ
第十五條 稅務官吏ハ煙草ノ製造場又ハ販賣場ニ臨ミ製品、其ノ原料品、其ノ製造出入ニ關スル一切ノ帳簿書類、其ノ製造若ハ販賣上必要ナル建築物、容器、器具、機械其ノ他ノ物件ヲ檢査シ又ハ監督上必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十六條 稅務官吏ハ運搬中ニ在ル煙草ヲ檢査シ監督上必要ト認ムルトキハ其ノ運搬ヲ停止シ其ノ他必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十七條 輸入スル煙草ニ付テハ輸入ノ際其ノ輸入者ニ煙草稅ヲ課ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付テハ各其ノ定ムル所ニ依ル
一 滿洲國輸入稅ヲ課セラレタルモノニハ煙草稅ヲ課セズ
二 滿洲國轉口稅ヲ課セラレタルモノニハ第三條ノ割合ニ依リ算出シタル煙草稅額ト轉口稅額トノ差額ニ相當スル煙草稅ヲ課ス
第十八條 左ニ揭グル場合ニ於テハ直ニ煙草稅ヲ徵收ス
一 免許ヲ受ケズシテ煙草ヲ製造シタルトキ
二 詐僞其ノ他不正ノ行爲ヲ以テ煙草稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタルトキ
三 製造煙草ノ原料ニ使用スル爲煙草稅ヲ免除セラレタル葉煙草ヲ其ノ以外ノ用ニ供シタルトキ
第十九條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ヲ以テ煙草稅ノ免除又ハ煙草稅ニ相當スル金額ノ交付ヲ受ケタルトキハ免除シタル煙草稅ハ之ヲ徵收シ交付シタル金額ハ之ヲ追徵ス
前項ノ規定ニ依ル交付金額ノ追徵ニ付テハ國稅徵收ノ例ニ依ル
第二十條 本令ニ於テ輸出又ハ輸入トハ南滿洲鐵道附屬地ト其ノ他ノ地域トノ間ニ於ケル搬出又ハ搬入ヲ謂フ
第二十一條 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外煙草稅ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十一年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ煙草ヲ耕作シ又ハ製造スル者ニシテ本令施行後引續キ之ヲ耕作シ又ハ製造セントスルモノハ昭和十一年七月三十一日迄ニ政府ニ免許ヲ申請スベシ其ノ申請ニ對シ許否ノ處分ヲ受クル迄ハ本令ニ依リ免許ヲ受ケタルモノト看做ス
本令施行ノ際現ニ煙草ヲ販賣スル者ニシテ本令施行後引續キ之ヲ販賣セントスルモノハ昭和十一年八月三十一日迄ニ政府ニ申吿スベシ
第十一條ノ規定ハ本令施行前製造場外ニ搬出シ又ハ輸入シタル煙草ニ付テハ之ヲ適用セズ
朕南満洲鉄道附属地煙草税令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年六月二十日
内閣総理大臣 広田弘毅
勅令第百十八号
南満洲鉄道附属地煙草税令
第一条 煙草ニハ本令ニ依リ煙草税ヲ課ス
第二条 煙草ヲ耕作セントスル者ハ政府ノ免許ヲ受クベシ
煙草ヲ製造セントスル者ハ製造場一箇所毎ニ政府ノ免許ヲ受クベシ
前二項ノ規定ニ依リ煙草ノ耕作又ハ製造ノ免許ヲ受ケタル者其ノ耕作又ハ製造ヲ廃止セントスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムベシ
第三条 煙草税ノ税率ハ左ノ区分ニ依ル
【表】
葉屑、刻屑其ノ他ノ屑煙草ハ之ヲ葉煙草ト看做ス
第一項ノ煙草ノ価格ハ満洲国駐箚特命全権大使ノ定ムル所ニ依リ課税地ニ於ケル煙草ノ時価ヲ基準トシテ政府ニ於テ之ヲ定ム
第四条 煙草税ハ製造場ヨリ煙草ヲ搬出スルトキ其ノ製造者ヨリ之ヲ徴収ス
煙草ハ煙草税納付前ニ於テハ之ヲ消費シ又ハ政府ノ承認ヲ受ケズシテ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ズ
第五条 煙草ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ製造場外ニ搬出セラレタルモノト看做ス
一 製造場内ニ現存スルモノ公売セラレタルトキ
二 製造免許取消ノ場合ニ於テ製造場内ニ現存スルトキ
第六条 製造煙草ノ原料ニ使用スル葉煙草ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ煙草税ヲ免除シ又ハ煙草税ニ相当スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第七条 煙草税ヲ納付シタル煙草ガ腐敗其ノ他ノ事由ニ因リ喫用ニ適セザルニ至リタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ煙草税ニ相当スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第八条 輸出スル煙草ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ煙草税ヲ免除スルコトヲ得
第九条 政府ハ徴税保全上必要アリト認ムルトキハ煙草製造者ニ対シ担保ノ提供ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ担保ニ関スル規定ハ大使之ヲ定ム
第十条 煙草税ヲ納付シタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ製造煙草ノ容器又ハ包裏ニ納税済証ノ貼附ヲ受クベシ
第十一条 煙草販売者ハ容器又ハ包裏ニ納税済証ノ貼附ナキ製造煙草ヲ譲受ケ又ハ譲渡スコトヲ得ズ但シ第八条及第十七条第一号ニ掲グル煙草ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十二条 煙草ノ耕作者又ハ製造者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ政府ハ其ノ耕作又ハ製造ノ免許ヲ取消スコトヲ得
一 本令又ハ本令ニ基ク命令若ハ処分ニ違反シタルトキ
二 一年以上引続キ煙草ノ耕作又ハ製造ヲ休止シタルトキ
第十三条 煙草ヲ販売セントスル者ハ販売場一箇所毎ニ政府ニ申告スベシ但シ煙草製造者ガ其ノ製造場ニ於テ為ス販売ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
煙草販売者其ノ販売ヲ廃止シタルトキハ其ノ旨ヲ政府ニ申告スベシ
第十四条 煙草ノ製造者又ハ販売者ハ帳簿ヲ備ヘ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造出入ニ関スル事項ヲ記載スベシ
第十五条 税務官吏ハ煙草ノ製造場又ハ販売場ニ臨ミ製品、其ノ原料品、其ノ製造出入ニ関スル一切ノ帳簿書類、其ノ製造若ハ販売上必要ナル建築物、容器、器具、機械其ノ他ノ物件ヲ検査シ又ハ監督上必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第十六条 税務官吏ハ運搬中ニ在ル煙草ヲ検査シ監督上必要ト認ムルトキハ其ノ運搬ヲ停止シ其ノ他必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第十七条 輸入スル煙草ニ付テハ輸入ノ際其ノ輸入者ニ煙草税ヲ課ス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ付テハ各其ノ定ムル所ニ依ル
一 満洲国輸入税ヲ課セラレタルモノニハ煙草税ヲ課セズ
二 満洲国転口税ヲ課セラレタルモノニハ第三条ノ割合ニ依リ算出シタル煙草税額ト転口税額トノ差額ニ相当スル煙草税ヲ課ス
第十八条 左ニ掲グル場合ニ於テハ直ニ煙草税ヲ徴収ス
一 免許ヲ受ケズシテ煙草ヲ製造シタルトキ
二 詐偽其ノ他不正ノ行為ヲ以テ煙草税ヲ逋脱シ又ハ逋脱セントシタルトキ
三 製造煙草ノ原料ニ使用スル為煙草税ヲ免除セラレタル葉煙草ヲ其ノ以外ノ用ニ供シタルトキ
第十九条 詐偽其ノ他不正ノ行為ヲ以テ煙草税ノ免除又ハ煙草税ニ相当スル金額ノ交付ヲ受ケタルトキハ免除シタル煙草税ハ之ヲ徴収シ交付シタル金額ハ之ヲ追徴ス
前項ノ規定ニ依ル交付金額ノ追徴ニ付テハ国税徴収ノ例ニ依ル
第二十条 本令ニ於テ輸出又ハ輸入トハ南満洲鉄道附属地ト其ノ他ノ地域トノ間ニ於ケル搬出又ハ搬入ヲ謂フ
第二十一条 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外煙草税ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十一年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ煙草ヲ耕作シ又ハ製造スル者ニシテ本令施行後引続キ之ヲ耕作シ又ハ製造セントスルモノハ昭和十一年七月三十一日迄ニ政府ニ免許ヲ申請スベシ其ノ申請ニ対シ許否ノ処分ヲ受クル迄ハ本令ニ依リ免許ヲ受ケタルモノト看做ス
本令施行ノ際現ニ煙草ヲ販売スル者ニシテ本令施行後引続キ之ヲ販売セントスルモノハ昭和十一年八月三十一日迄ニ政府ニ申告スベシ
第十一条ノ規定ハ本令施行前製造場外ニ搬出シ又ハ輸入シタル煙草ニ付テハ之ヲ適用セズ