第三條 酒類ヲ製造セントスル者ハ其ノ種類ヲ定メ製造場一箇所每ニ政府ノ免許ヲ受クベシ其ノ製造ヲ廢止セントスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムベシ
種類ヲ異ニスル酒類ヲ混和シ又ハ酒類ニ酒類以外ノ物品ヲ混和スルハ之ヲ酒類ノ製造ト看做ス但シ酒類ニ水ノミヲ混和スルハ此ノ限ニ在ラズ
第四條 酒稅ノ稅率ハ左ノ區分ニ依ル
二 燒酒
甲 酒精分五十以上ノモノ 百リットルニ付 八圓五十錢
乙 酒精分五十未滿ノモノ 百リットルニ付 六圓五十錢
九 前各號以外ノ酒類
甲 酒精分十五以上ノモノ 百リットルニ付 酒精分一每ニ 九十錢
本令ニ於テ酒精トハ酒精分七十以上ノ蒸餾酒ヲ謂ヒ燒酒トハ酒精分七十未滿ノ蒸餾酒ヲ謂フ
本令ニ於テ黃酒、紹興酒、麥酒、淸酒、朝鮮藥酒及濁酒トハ各在來ノ方法ニ依リ製成シタル釀造酒ヲ謂フ
酒精ト燒酒トノ混和ニ依リテ得タル酒類ニシテ酒精分七十以上ノモノハ之ヲ酒精ト看做シ酒精分七十未滿ノモノハ之ヲ燒酒ト看做ス
本令ニ於テ酒精分トハアルコール含有容量ノ百分率ヲ謂フ
酒類ノ製成リットル數ハ製成ノ時ニ於ケル實量ニ依リ之ヲ査定ス但シ實量ニ依リ査定スルコト困難ナル場合ニ於テハ滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムル所ニ依リ製成リットル數ヲ査定ス
犯則其ノ他ノ事故ニ依リ前項ノ規定ニ依リ難キ場合ニ於テハ現在ノ酒類又ハ證憑物件ニ就キ製成リットル數ヲ査定ス
第六條 酒稅ハ每月中ニ於テ製成シタル酒類ニ對スル分ヲ翌月末日限徵收ス但シ淸酒及紹興酒ニ付テハ每月中ニ於テ製成シタル酒類ニ對スル稅額ヲ十二分シ其ノ翌月ヨリ十二月間ニ各月末日限徵收ス
第七條 第三條第一項又ハ第十五條ノ規定ニ依リ酒類製造ノ免許ヲ取消シタルトキハ前條ノ規定ニ拘ラズ酒稅ノ全部又ハ一部ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ又ハ國稅徵收法第四條ノ一ノ規定ニ準ジ酒稅ヲ徵收スル場合ニ於テハ納稅ノ擔保トシテ酒類ヲ差押フルコトヲ得
第八條 同一製造場內ニ於テ酒類ヲ製造スル爲原料トシテ製造スル酒類ニハ酒稅ヲ課セズ
前項ノ原料用酒類ハ製成ノ時其ノリットル數ノ檢定ヲ受クルコトヲ要ス
第九條 前條ノ檢定ヲ受ケタル酒類左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ檢定リットル數ヲ以テ査定リットル數ト看做シ酒稅ヲ課ス
第十條 酒稅ヲ課セラレタル酒精ヲ原料トシテ製造スル酒類ニ對スル酒稅ハ之ニ課セラルベキ酒稅額中其ノ原料トシテ使用シタル酒精ニ對スル酒稅額ヲ控除シテ之ヲ徵收ス
第十一條 左ニ揭グル酒類ニ付テハ酒稅ヲ免除シ又ハ酒稅ニ相當スル金額ヲ交付スルコトヲ得但シ製造場外ニ搬出シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
二 腐敗其ノ他ノ事由ニ因リ飮用スルコト能ハザルニ至リタルモノ
第十二條 輸出スル酒類ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ酒稅ヲ免除シ又ハ酒稅ニ相當スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第十三條 政府ハ徵稅保全上必要アリト認ムルトキハ酒類製造者ニ對シ擔保ノ提供ヲ命ジ又ハ其ノ製造リットル數ヲ制限スルコトヲ得
第十四條 酒類製造者ハ大使ノ定ムル場合ヲ除クノ外製成リットル數査定前ニ於テ酒類ヲ他人ニ讓渡シ、質入シ、酒類製造用外ニ消費シ又ハ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ズ
第十五條 酒類製造者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ政府ハ其ノ酒類製造ノ免許ヲ取消スコトヲ得
二 本令又ハ本令ニ基ク命令若ハ處分ニ違反シタルトキ
前項ノ規定ニ依リ酒類製造ノ免許ヲ取消シタル場合ニ於テ半製品現存スルトキハ製造者ノ申請ニ依リ一定ノ期間內其ノ製成其ノ他必要ナル行爲ヲ繼續セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ仍本令ヲ適用ス
第十六條 第三條第一項又ハ前條ノ規定ニ依リ酒類製造ノ免許ヲ取消サレタル者及其ノ相續人ニハ酒稅ヲ完納スルニ至ル迄ノ間仍本令ヲ適用ス
第十七條 酒類ヲ販賣セントスル者ハ販賣場一箇所每ニ政府ニ申吿スベシ但シ酒類製造者ガ其ノ製造場ニ於テ爲ス販賣ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
酒類販賣者其ノ販賣ヲ廢止シタルトキハ其ノ旨ヲ政府ニ申吿スベシ
第十八條 酒類ノ製造者又ハ販賣者ハ帳簿ヲ備ヘ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造出入ニ關スル事項ヲ記載スベシ
第十九條 稅務官吏ハ酒類ノ製造場又ハ販賣場ニ臨ミ酒類、其ノ原料品若ハ半製品、其ノ製造出入ニ關スル一切ノ帳簿書類、其ノ製造若ハ販賣上必要ナル建築物、容器、器具、機械其ノ他ノ物件ヲ檢査シ又ハ監督上必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第二十條 稅務官吏ハ運搬中ニ在ル酒類ヲ檢査シ監督上必要ト認ムルトキハ其ノ運搬ヲ停止シ其ノ他必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第二十一條 輸入スル酒類ニハ第四條ノ割合ニ依リ酒稅ヲ課ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付テハ各其ノ定ムル所ニ依ル
一 滿洲國輸入稅ヲ課セラレタル酒類ニハ酒稅ヲ課セズ
二 滿洲國轉口稅ヲ課セラレタル酒類ニハ第四條ノ割合ニ依リ算出シタル酒稅額ト轉口稅額トノ差額ニ相當スル酒稅ヲ課ス
三 飮用以外ノ用途ニ供スル酒精ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ酒稅ヲ免除ス
前項ノ酒稅ハ大使ノ定ムル所ニ依リ酒類ノ輸入リットル數ニ應ジ輸入ノ際其ノ輸入者ヨリ之ヲ徵收ス但シ淸酒及紹興酒ニ限リ其ノ酒稅ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ三月以內其ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ酒稅ノ徵收ヲ猶豫セラレタル酒類ヲ其ノ猶豫期間內ニ輸出スルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ酒稅ヲ免除スルコトヲ得
第二十二條 左ニ揭グル場合ニ於テハ直ニ酒稅ヲ徵收ス
二 詐僞其ノ他不正ノ行爲ヲ以テ酒稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタルトキ
三 第十三條ノ規定ニ依リ擔保ノ提供ヲ命ゼラレ又ハ製造リットル數ヲ制限セラレタル場合ニ於テ擔保ヲ提供セザルトキ又ハ制限リットル數ヲ超過シテ酒類ヲ製造シタルトキ
第二十三條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ヲ以テ酒稅ノ免除又ハ酒稅ニ相當スル金額ノ交付ヲ受ケタルトキハ免除シタル酒稅ハ直ニ之ヲ徵收シ交付シタル金額ハ之ヲ追徵ス
前項ノ規定ニ依ル交付金額ノ追徵ニ付テハ國稅徵收ノ例ニ依ル
第二十四條 本令ニ於テ輸出又ハ輸入トハ南滿洲鐵道附屬地ト其ノ他ノ地域トノ間ニ於ケル搬出又ハ搬入ヲ謂フ
第二十五條 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外酒稅ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得