南満洲鉄道附属地営業税令
法令番号: 勅令第百八號
公布年月日: 昭和11年6月12日
法令の形式: 勅令
朕南滿洲鐵道附屬地營業稅令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年六月十一日
內閣總理大臣 廣田弘毅
勅令第百八號
南滿洲鐵道附屬地營業稅令
第一條 南滿洲鐵道附屬地ニ營業場ヲ有シ左ニ揭グル營業ヲ爲ス者ニハ本令ニ依リ營業稅ヲ課ス
一 物品販賣業(動植物其ノ他普通ニ物品ト稱セザルモノノ販賣業ヲ含ム)
二 製造業(物品ノ加工業又ハ修理業ヲ含ム)
三 金錢貸付業
四 物品貸付業(動植物其ノ他普通ニ物品ト稱セザルモノノ貸付業ヲ含ム)
五 電氣供給業
六 瓦斯供給業
七 運送業
八 運送取扱業
九 倉庫業
十 印刷業
十一 出版業
十二 興行場業
十三 料理飮食店業
十四 旅館業
十五 湯屋業
十六 理髮業
十七 娛樂場業
十八 寫眞業
十九 席貸業
二十 藝妓置屋業
二十一 請負業
二十二 兩替業
二十三 問屋業
二十四 代理業
二十五 仲立業
二十六 周旋業
第二條 法人及法人營業稅ヲ課スベキ法人ニ非ザル社團ノ營業ニハ本令ヲ適用セズ
第三條 左ニ揭グル營業ニ付テハ營業稅ヲ課セズ
一 政府ノ發行スル印紙、切手類ノ賣捌
二 新聞紙ノ出版
三 自己ノ採掘シ又ハ採取シタル鑛物ノ精鍊又ハ販賣
四 南滿洲鐵道附屬地外ニ在ル營業場ニ於テ爲ス營業
第四條 左ニ揭グル營業ニシテ其ノ課稅標準額ガ左ノ金額ニ滿タザルモノニ付テハ營業稅ヲ免除ス
一 物品販賣業 一年ノ賣上金額 八百圓
二 製造業 一年ノ收入金額 八百圓
三 金錢貸付業、物品貸付業 一年ノ收入金額 二百圓
四 運送業、印刷業、出版業 一年ノ收入金額 六百圓
五 興行場業、料理飮食店業、旅館業、湯屋業、理髮業、娛樂場業、寫眞業、席貸業、藝妓置屋業 一年ノ收入金額 五百圓
六 請負業 一年ノ請負金額 五百圓
七 運送取扱業 一年ノ收入金額 三百圓
八 兩替業、問屋業、代理業、仲立業、周旋業 一年ノ報償金額 二百圓
第五條 營業稅ハ左ノ課稅標準及稅率ニ依リ每年之ヲ賦課ス
【表】
物品販賣業中穀菽類、石油、麥粉、白綿絲、白綿布、木材、麻袋、豆油又ハ豆粕ノ卸賣ニ對シテハ甲ノ稅率ヲ、其ノ他ノ物品ノ卸賣ニ對シテハ乙ノ稅率ヲ適用シ穀菽類、石油又ハ麥粉ノ小賣ニ對シテハ甲ノ稅率ヲ、其ノ他ノ物品ノ小賣ニ對シテハ乙ノ稅率ヲ適用ス
製造業中豆油、豆粕、麥粉、綿布又ハ柞蠶絲ニ對シテハ甲ノ稅率ヲ、其ノ他ノ物品ニ對シテハ乙ノ稅率ヲ適用ス
第六條 納稅義務アル營業者ハ滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムル所ニ依リ課稅標準ヲ政府ニ申吿スベシ
前項ノ規定ハ第四條ノ規定ニ依リ營業稅ノ免除ヲ受クル營業者ニ之ヲ準用ス
第七條 納稅義務アル營業者營業ヲ廢止シタルトキハ其ノ際政府ニ申吿スベシ
第八條 營業稅ハ營業ノ種類及營業場每ニ之ヲ課ス
第九條 課稅標準ハ前年中ニ於ケル賣上金、收入金、請負金又ハ報償金ノ總額ニ依ル但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル營業ニ付テハ各其ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
一 前年一月二日以降十二月三十一日迄ノ間ニ於テ開始シタル營業ニ付テハ其ノ年中ニ於ケル賣上金、收入金、請負金又ハ報償金ノ豫算金額ニ依ル
二 其ノ年開始シタル營業ニ付テハ開業ノ月ヨリ其ノ年十二月迄ニ於ケル賣上金、收入金、請負金又ハ報償金ノ豫算金額ニ依ル
第十條 營業稅ハ年額ヲ四分シ左ノ四期ニ於テ之ヲ徵收ス但シ廢業ノ場合ニ於テ未納ノ稅金アルトキハ其ノ際之ヲ徵收ス
第一期 其ノ年六月一日ヨリ三十日限
第二期 其ノ年八月一日ヨリ三十一日限
第三期 其ノ年十月一日ヨリ三十一日限
第四期 其ノ年十二月一日ヨリ二十八日限
第十一條 政府ハ納稅義務者ガ納期ニ於テ稅金ヲ完納スルコト能ハザルモノト認ムルトキハ納稅義務者ヲシテ納稅保證人ヲ立テシムルコトヲ得
納稅保證人ニ關スル規定ハ大使之ヲ定ム
第十二條 新ニ開始シタル營業ニ付テハ開業ノ月ヨリ營業稅ヲ課ス但シ製造業ニ付テハ開業ノ年ヨリ起算シ五年目ノ一月ヨリ營業稅ヲ課ス
前項但書ノ規定ノ適用ニ付テハ製造業ヲ承繼シタル營業者ハ之ヲ前營業者(法人及法人營業稅ヲ課スベキ法人ニ非ザル社團ヲ含ム)ノ開業ノ時ヨリ引續キ當該製造業ヲ營ミタル者ト看做ス
第十三條 營業ヲ廢止シタル場合ニ於ケル營業稅ハ其ノ廢止ノ月迄月割ヲ以テ之ヲ徵收ス
第十四條 營業ノ承繼アリタルトキ又ハ營業ノ承繼ト認ムベキ事實アリタルトキハ納期ニ於テ現ニ營業ヲ爲ス者ヨリ營業稅ヲ徵收ス
前項ノ場合ニ於テ前營業者ノ其ノ年分營業稅ニシテ未納ノモノアルトキハ承繼人ハ前營業者ト連帶シテ之ヲ納付スル義務アルモノトス
第十五條 前條ノ場合ニ於テ其ノ年分營業稅ニ付前營業者ガ本令ニ依リ爲シタル手續ハ之ヲ承繼人ノ爲シタル手續ト看做シ前營業者ガ受ケタル課稅標準ノ決定ハ之ヲ承繼人ノ受ケタル課稅標準ノ決定ト看做ス
第十六條 相續人ハ其ノ相續開始前ノ營業ニ付被相續人ニ對シ課セラルベキ營業稅ヲ納付スル義務アルモノトス
前項ノ規定ハ相續人アルコト分明ナラザル場合ニ於ケル相續財產ニ付之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テ本令ニ依リ相續人ノ爲スベキ手續及相續人ニ對シ爲スベキ政府ノ手續ニ付テハ相續財產ノ管理人ハ之ヲ相續人ト看做ス
第十七條 課稅標準ハ第六條ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第十八條 前條ノ規定ニ依リ政府ニ於テ課稅標準ヲ決定シタルトキハ之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第十九條 納稅義務者前條ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル課稅標準ニ對シ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日內ニ其ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第二十條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ政府ニ於テ之ヲ審査シ課稅標準ヲ決定ス
第二十一條 其ノ年分ノ賣上金、收入金、請負金又ハ報償金ノ實蹟金額ガ政府ノ決定シタル金額ノ二分ノ一ニ達セザルトキハ政府ハ納稅義務者ノ請求ニ依リ其ノ課稅標準ヲ更訂ス
第二十二條 其ノ年ニ於ケル營業ノ利益ガ其ノ年分營業稅額ノ二十割ニ達セザルトキハ政府ハ納稅義務者ノ請求ニ依リ其ノ營業稅額ヨリ當該利益ノ二分ノ一ニ相當スル金額ヲ控除シテ得タル金額ニ相當スル營業稅ヲ免除ス
前項ノ利益ノ計算ニ關スル規定ハ大使之ヲ定ム
第二十三條 前二條ノ規定ニ依リ課稅標準ノ更訂又ハ營業稅ノ免除ヲ受ケントスル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ翌年一月三十一日迄ニ政府ニ之ヲ請求スベシ
前項ノ請求アリタルトキハ政府ハ其ノ處分ノ確定スルニ至ル迄稅金ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第二十四條 第十九條第一項及第二十條ノ規定ハ第二十一條ノ更訂ニ關スル處分又ハ第二十二條ノ免除ニ關スル處分ニ對シ異議アル場合ニ之ヲ準用ス
第二十五條 南滿洲鐵道附屬地ニ住所ヲ有セザル外國人ニハ外國ノ船籍ヲ有スル船舶ニ依ル營業ニ付營業稅ヲ免除ス但シ其ノ船籍國ガ日本船舶ニ依ル營業ニ付同樣ノ免稅ヲ爲サザル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十六條 第一條ノ營業ヲ爲ス者ハ仕入、賣上、受入、貸付、𢌞送其ノ他營業ニ關スル收支ヲ明ニスル爲帳簿ヲ備ヘ營業上一切ノ事實ヲ記載スベシ但シ第三條ニ揭グル營業ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十七條 稅務官吏ハ調査上必要アルトキハ營業者ニ質問シ又ハ營業ニ關スル帳簿物件ヲ檢査スルコトヲ得
第二十八條 政府ハ必要ト認ムルトキハ營業ニ關スル事情ニ精通スル者又ハ同業組合其ノ他ノ營業者ノ團體ニ對シ營業稅ニ關スル事項ヲ諮問スルコトヲ得
前項ノ諮問ヲ受ケタル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ答申スベシ
第二十九條 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外營業稅ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
第三十條 本令ハ昭和十一年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三十一條 昭和十一年分營業稅ノ課稅標準ハ第九條ノ規定ニ拘ラズ左ノ區分ニ從ヒ計算シタル金額ニ依ル
一 昭和十年一月一日ヨリ引續キ爲シタル營業ニ付テハ同年一月ヨリ十二月迄ノ期間ニ於ケル其ノ賣上金、收入金、請負金又ハ報償金ヲ二分シテ得タル金額
二 昭和十年一月二日ヨリ昭和十一年六月三十日迄ノ間ニ於テ開始シタル營業ニ付テハ昭和十一年七月ヨリ十二月迄ノ期間ニ於ケル其ノ賣上金、收入金、請負金又ハ報償金ノ豫算金額
三 昭和十一年七月一日以後ニ開始シタル營業ニ付テハ開業ノ月ヨリ同年十二月迄ノ期間ニ於ケル其ノ賣上金、收入金、請負金又ハ報償金ノ豫算金額
第三十二條 昭和十一年分營業稅ニ限リ第十條ノ規定ニ拘ラズ其ノ稅額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徵收ス
第一期 昭和十一年十二月一日ヨリ二十八日限
第二期 昭和十二年二月一日ヨリ二十八日限
第三十三條 昭和八年以後ニ開業シタル製造業ニ付テハ其ノ開業ノ年ヨリ第十二條第一項但書ノ規定ヲ適用ス
朕南満洲鉄道附属地営業税令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年六月十一日
内閣総理大臣 広田弘毅
勅令第百八号
南満洲鉄道附属地営業税令
第一条 南満洲鉄道附属地ニ営業場ヲ有シ左ニ掲グル営業ヲ為ス者ニハ本令ニ依リ営業税ヲ課ス
一 物品販売業(動植物其ノ他普通ニ物品ト称セザルモノノ販売業ヲ含ム)
二 製造業(物品ノ加工業又ハ修理業ヲ含ム)
三 金銭貸付業
四 物品貸付業(動植物其ノ他普通ニ物品ト称セザルモノノ貸付業ヲ含ム)
五 電気供給業
六 瓦斯供給業
七 運送業
八 運送取扱業
九 倉庫業
十 印刷業
十一 出版業
十二 興行場業
十三 料理飲食店業
十四 旅館業
十五 湯屋業
十六 理髪業
十七 娯楽場業
十八 写真業
十九 席貸業
二十 芸妓置屋業
二十一 請負業
二十二 両替業
二十三 問屋業
二十四 代理業
二十五 仲立業
二十六 周旋業
第二条 法人及法人営業税ヲ課スベキ法人ニ非ザル社団ノ営業ニハ本令ヲ適用セズ
第三条 左ニ掲グル営業ニ付テハ営業税ヲ課セズ
一 政府ノ発行スル印紙、切手類ノ売捌
二 新聞紙ノ出版
三 自己ノ採掘シ又ハ採取シタル鉱物ノ精錬又ハ販売
四 南満洲鉄道附属地外ニ在ル営業場ニ於テ為ス営業
第四条 左ニ掲グル営業ニシテ其ノ課税標準額ガ左ノ金額ニ満タザルモノニ付テハ営業税ヲ免除ス
一 物品販売業 一年ノ売上金額 八百円
二 製造業 一年ノ収入金額 八百円
三 金銭貸付業、物品貸付業 一年ノ収入金額 二百円
四 運送業、印刷業、出版業 一年ノ収入金額 六百円
五 興行場業、料理飲食店業、旅館業、湯屋業、理髪業、娯楽場業、写真業、席貸業、芸妓置屋業 一年ノ収入金額 五百円
六 請負業 一年ノ請負金額 五百円
七 運送取扱業 一年ノ収入金額 三百円
八 両替業、問屋業、代理業、仲立業、周旋業 一年ノ報償金額 二百円
第五条 営業税ハ左ノ課税標準及税率ニ依リ毎年之ヲ賦課ス
【表】
物品販売業中穀菽類、石油、麦粉、白綿糸、白綿布、木材、麻袋、豆油又ハ豆粕ノ卸売ニ対シテハ甲ノ税率ヲ、其ノ他ノ物品ノ卸売ニ対シテハ乙ノ税率ヲ適用シ穀菽類、石油又ハ麦粉ノ小売ニ対シテハ甲ノ税率ヲ、其ノ他ノ物品ノ小売ニ対シテハ乙ノ税率ヲ適用ス
製造業中豆油、豆粕、麦粉、綿布又ハ柞蚕糸ニ対シテハ甲ノ税率ヲ、其ノ他ノ物品ニ対シテハ乙ノ税率ヲ適用ス
第六条 納税義務アル営業者ハ満洲国駐箚特命全権大使ノ定ムル所ニ依リ課税標準ヲ政府ニ申告スベシ
前項ノ規定ハ第四条ノ規定ニ依リ営業税ノ免除ヲ受クル営業者ニ之ヲ準用ス
第七条 納税義務アル営業者営業ヲ廃止シタルトキハ其ノ際政府ニ申告スベシ
第八条 営業税ハ営業ノ種類及営業場毎ニ之ヲ課ス
第九条 課税標準ハ前年中ニ於ケル売上金、収入金、請負金又ハ報償金ノ総額ニ依ル但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル営業ニ付テハ各其ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
一 前年一月二日以降十二月三十一日迄ノ間ニ於テ開始シタル営業ニ付テハ其ノ年中ニ於ケル売上金、収入金、請負金又ハ報償金ノ予算金額ニ依ル
二 其ノ年開始シタル営業ニ付テハ開業ノ月ヨリ其ノ年十二月迄ニ於ケル売上金、収入金、請負金又ハ報償金ノ予算金額ニ依ル
第十条 営業税ハ年額ヲ四分シ左ノ四期ニ於テ之ヲ徴収ス但シ廃業ノ場合ニ於テ未納ノ税金アルトキハ其ノ際之ヲ徴収ス
第一期 其ノ年六月一日ヨリ三十日限
第二期 其ノ年八月一日ヨリ三十一日限
第三期 其ノ年十月一日ヨリ三十一日限
第四期 其ノ年十二月一日ヨリ二十八日限
第十一条 政府ハ納税義務者ガ納期ニ於テ税金ヲ完納スルコト能ハザルモノト認ムルトキハ納税義務者ヲシテ納税保証人ヲ立テシムルコトヲ得
納税保証人ニ関スル規定ハ大使之ヲ定ム
第十二条 新ニ開始シタル営業ニ付テハ開業ノ月ヨリ営業税ヲ課ス但シ製造業ニ付テハ開業ノ年ヨリ起算シ五年目ノ一月ヨリ営業税ヲ課ス
前項但書ノ規定ノ適用ニ付テハ製造業ヲ承継シタル営業者ハ之ヲ前営業者(法人及法人営業税ヲ課スベキ法人ニ非ザル社団ヲ含ム)ノ開業ノ時ヨリ引続キ当該製造業ヲ営ミタル者ト看做ス
第十三条 営業ヲ廃止シタル場合ニ於ケル営業税ハ其ノ廃止ノ月迄月割ヲ以テ之ヲ徴収ス
第十四条 営業ノ承継アリタルトキ又ハ営業ノ承継ト認ムベキ事実アリタルトキハ納期ニ於テ現ニ営業ヲ為ス者ヨリ営業税ヲ徴収ス
前項ノ場合ニ於テ前営業者ノ其ノ年分営業税ニシテ未納ノモノアルトキハ承継人ハ前営業者ト連帯シテ之ヲ納付スル義務アルモノトス
第十五条 前条ノ場合ニ於テ其ノ年分営業税ニ付前営業者ガ本令ニ依リ為シタル手続ハ之ヲ承継人ノ為シタル手続ト看做シ前営業者ガ受ケタル課税標準ノ決定ハ之ヲ承継人ノ受ケタル課税標準ノ決定ト看做ス
第十六条 相続人ハ其ノ相続開始前ノ営業ニ付被相続人ニ対シ課セラルベキ営業税ヲ納付スル義務アルモノトス
前項ノ規定ハ相続人アルコト分明ナラザル場合ニ於ケル相続財産ニ付之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テ本令ニ依リ相続人ノ為スベキ手続及相続人ニ対シ為スベキ政府ノ手続ニ付テハ相続財産ノ管理人ハ之ヲ相続人ト看做ス
第十七条 課税標準ハ第六条ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第十八条 前条ノ規定ニ依リ政府ニ於テ課税標準ヲ決定シタルトキハ之ヲ納税義務者ニ通知スベシ
第十九条 納税義務者前条ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル課税標準ニ対シ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日内ニ其ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ為スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ税金ノ徴収ヲ猶予セズ
第二十条 前条第一項ノ請求アリタルトキハ政府ニ於テ之ヲ審査シ課税標準ヲ決定ス
第二十一条 其ノ年分ノ売上金、収入金、請負金又ハ報償金ノ実蹟金額ガ政府ノ決定シタル金額ノ二分ノ一ニ達セザルトキハ政府ハ納税義務者ノ請求ニ依リ其ノ課税標準ヲ更訂ス
第二十二条 其ノ年ニ於ケル営業ノ利益ガ其ノ年分営業税額ノ二十割ニ達セザルトキハ政府ハ納税義務者ノ請求ニ依リ其ノ営業税額ヨリ当該利益ノ二分ノ一ニ相当スル金額ヲ控除シテ得タル金額ニ相当スル営業税ヲ免除ス
前項ノ利益ノ計算ニ関スル規定ハ大使之ヲ定ム
第二十三条 前二条ノ規定ニ依リ課税標準ノ更訂又ハ営業税ノ免除ヲ受ケントスル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ翌年一月三十一日迄ニ政府ニ之ヲ請求スベシ
前項ノ請求アリタルトキハ政府ハ其ノ処分ノ確定スルニ至ル迄税金ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第二十四条 第十九条第一項及第二十条ノ規定ハ第二十一条ノ更訂ニ関スル処分又ハ第二十二条ノ免除ニ関スル処分ニ対シ異議アル場合ニ之ヲ準用ス
第二十五条 南満洲鉄道附属地ニ住所ヲ有セザル外国人ニハ外国ノ船籍ヲ有スル船舶ニ依ル営業ニ付営業税ヲ免除ス但シ其ノ船籍国ガ日本船舶ニ依ル営業ニ付同様ノ免税ヲ為サザル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十六条 第一条ノ営業ヲ為ス者ハ仕入、売上、受入、貸付、廻送其ノ他営業ニ関スル収支ヲ明ニスル為帳簿ヲ備ヘ営業上一切ノ事実ヲ記載スベシ但シ第三条ニ掲グル営業ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十七条 税務官吏ハ調査上必要アルトキハ営業者ニ質問シ又ハ営業ニ関スル帳簿物件ヲ検査スルコトヲ得
第二十八条 政府ハ必要ト認ムルトキハ営業ニ関スル事情ニ精通スル者又ハ同業組合其ノ他ノ営業者ノ団体ニ対シ営業税ニ関スル事項ヲ諮問スルコトヲ得
前項ノ諮問ヲ受ケタル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ答申スベシ
第二十九条 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外営業税ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
第三十条 本令ハ昭和十一年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三十一条 昭和十一年分営業税ノ課税標準ハ第九条ノ規定ニ拘ラズ左ノ区分ニ従ヒ計算シタル金額ニ依ル
一 昭和十年一月一日ヨリ引続キ為シタル営業ニ付テハ同年一月ヨリ十二月迄ノ期間ニ於ケル其ノ売上金、収入金、請負金又ハ報償金ヲ二分シテ得タル金額
二 昭和十年一月二日ヨリ昭和十一年六月三十日迄ノ間ニ於テ開始シタル営業ニ付テハ昭和十一年七月ヨリ十二月迄ノ期間ニ於ケル其ノ売上金、収入金、請負金又ハ報償金ノ予算金額
三 昭和十一年七月一日以後ニ開始シタル営業ニ付テハ開業ノ月ヨリ同年十二月迄ノ期間ニ於ケル其ノ売上金、収入金、請負金又ハ報償金ノ予算金額
第三十二条 昭和十一年分営業税ニ限リ第十条ノ規定ニ拘ラズ其ノ税額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徴収ス
第一期 昭和十一年十二月一日ヨリ二十八日限
第二期 昭和十二年二月一日ヨリ二十八日限
第三十三条 昭和八年以後ニ開業シタル製造業ニ付テハ其ノ開業ノ年ヨリ第十二条第一項但書ノ規定ヲ適用ス