第一條 辯護士ハ當事者其ノ他ノ關係人ノ委囑又ハ官廳ノ選任ニ因リ訴訟ニ關スル行爲其ノ他一般ノ法律事務ヲ行フコトヲ職務トス
第二條 辯護士タルニハ辯護士法ニ依ル辯護士タル資格ヲ有スル者ニシテ滿洲國駐箚特命全權大使ノ認可ヲ受ケ且辯護士名簿ニ登錄セラルルコトヲ要ス
第四條 外國ノ辯護士タル資格ヲ有スル外國人ハ相互ノ保證アルトキニ限リ大使ノ認可ヲ受ケ外國人又ハ外國法ニ關シ第一條ニ規定スル事項ヲ行フコトヲ得但シ前條ニ揭グル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條第二項、第十四條及第十七條乃至第二十條ノ規定ハ前項ノ認可ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用ス
大使必要ト認ムルトキハ第一項ノ認可ヲ取消スコトヲ得
第五條 第二條又ハ前條ノ認可ヲ受ケントスル者ハ關東地方法院檢察官長ヲ經由シテ大使ニ申請書ヲ提出スベシ
前項ノ認可申請書ニハ資格ニ關スル證明書及履歷書ヲ添附スベシ
第六條 地方法院檢察官長前條ノ認可申請書ヲ受理シタルトキハ申請者ノ資格、履歷其ノ他必要ナル事項ヲ調査シ意見ヲ附シテ之ヲ大使ニ進達スベシ
第七條 第二條ノ認可ヲ受ケタル者認可ノ日ヨリ六月內ニ辯護士名簿ノ登錄ノ申請ヲ爲サザルトキハ認可ハ其ノ效力ヲ失フ第十條第三號又ハ第五號ノ規定ニ依リ登錄ヲ取消サレタル後六月ヲ經過シタルトキ亦同ジ
第九條 辯護士名簿ノ登錄ヲ受ケントスル者ハ地方法院檢察官長ニ第二條ノ認可書ノ寫ヲ添附シテ登錄請求書ヲ提出スベシ
第十條 左ノ場合ニ於テハ地方法院檢察官長ハ辯護士名簿ノ登錄ヲ取消スベシ
二 辯護士第三條ノ各號ノ一ニ該當スルニ至リタルトキ
三 第二十八條第二項ノ規定ニ依リ登錄取消ノ請求アリタルトキ
第十一條 辯護士名簿ノ登錄ヲ爲シ又ハ其ノ取消ヲ爲シタルトキハ地方法院檢察官長ハ之ヲ辯護士會及本人ニ通知スベシ
第十三條 辯護士ノ事務所ハ辯護士會ノ地域內ニ之ヲ設クベシ
辯護士ハ大使ノ定ムル所ニ依ルノ外如何ナル名義ヲ以テスルモ二個以上ノ事務所ヲ設クルコトヲ得ズ但シ他ノ辯護士事務所ニ於テ執務スルコトヲ妨ゲズ
辯護士事務所ヲ設ケタルトキ又ハ事務所ヲ移轉シタルトキハ直ニ之ヲ地方法院檢察官長及辯護士會ニ屆出ヅベシ
第十四條 辯護士ハ誠實ニ其ノ職務ヲ行ヒ職務ノ內外ヲ問ハズ其ノ品位ヲ保持スベシ
第十五條 辯護士又ハ辯護士タリシ者ハ其ノ職務上知得タル祕密ヲ保持スル權利ヲ有シ義務ヲ負フ但シ他ノ法令ニ別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條 辯護士ハ正當ノ理由アルニ非ザレバ法令ニ依リ官廳ノ命ジタル事項及會則ノ定ムル所ニ依リ辯護士會ノ指定シタル事項ヲ行フコトヲ辭スルコトヲ得ズ
第十八條 辯護士ハ左ニ揭グル事件ニ付其ノ職務ヲ行フコトヲ得ズ
一 相手方ノ協議ヲ受ケテ贊助ヲ爲シ又ハ其ノ委囑ヲ承諾シタル事件
二 相手方ノ協議ヲ受ケタル事件ニシテ其ノ協議ノ程度及方法ガ信賴關係ニ基クモノト認メラルルモノ
第二十條 辯護士ハ事件ノ委囑ヲ承諾セザルトキハ速ニ其ノ旨ヲ委囑者ニ通吿スベシ若シ通吿ヲ怠リタルトキハ之ガ爲生ジタル損害ヲ賠償スル責ニ任ズ
第二十一條 辯護士ハ報酬アル公務ヲ兼ヌルコトヲ得ズ但シ帝國議會若ハ地方議會ノ議員ト爲リ又ハ官署若ハ公署ヨリ特ニ命ゼラレ若ハ囑託セラレタル職務ヲ行フハ此ノ限ニ在ラズ
辯護士ハ地方法院檢察官長ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ商業其ノ他營利ヲ目的トスル業務ヲ營ミ若ハ之ヲ營ム者ノ使用人ト爲リ又ハ營利ヲ目的トスル法人ノ業務執行社員、取締役若ハ使用人ト爲ルコトヲ得ズ
辯護士會ハ辯護士ノ品位ノ保持及辯護士事務ノ改善進步ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第二十三條 關東州ニ於テハ辯護士會ニ限リ之ヲ設立スベシ
第二十四條 辯護士會ヲ設立セントスルトキハ會員ト爲ルベキ辯護士ハ會則ヲ定メ地方法院檢察官長ヲ經由シ大使ノ認可ヲ受クベシ
辯護士會會則ヲ變更セントスルトキハ地方法院檢察官長ヲ經由シ大使ノ認可ヲ受クベシ
第二十五條 大使辯護士會ノ設立ヲ認可シタルトキハ辯護士會ノ名稱、事務所ノ所在地及設立ノ年月日ヲ吿示スベシ
大使辯護士會ノ名稱又ハ事務所ノ所在地ノ變更ヲ認可シタルトキハ變更ノ吿示ヲ爲スベシ
第二十六條 辯護士會ノ代表者ハ一人トス但シ代表者差支アル場合ニ於テ之ニ代リテ辯護士會ヲ代表スベキ者ヲ置クコトヲ妨ゲズ
第二十七條 辯護士會ハ地方法院檢察官長ノ監督ヲ受ク
第二十八條 辯護士名簿ニ登錄ヲ受ケタル者ハ當然辯護士會ノ會員ト爲ルモノトス
辯護士辯護士會ヲ退會セントスルトキハ地方法院檢察官長ニ登錄取消ノ請求ヲ爲スベシ
辯護士前項ノ規定ニ依ル請求ニ因リ登錄ヲ取消サレタルトキハ當然辯護士會ヲ退會シタルモノトス
第二十九條 辯護士會ハ官廳ヨリ諮問ヲ受ケタル事項ニ付答申ヲ爲スベシ
辯護士會ハ司法事務ニ關シ官廳ニ建議ヲ爲スコトヲ得辯護士ノ利害ニ關スル事項ニ付亦同ジ
辯護士會ハ必要アル場合ニ於テ臨時總會ヲ開クコトヲ得
第三十二條 辯護士會ハ總會ノ日時、場所及議題竝ニ役員選擧ノ日時及場所ヲ豫メ地方法院檢察官長ニ申吿スベシ
第三十三條 地方法院檢察官長ハ辯護士會ノ總會又ハ役員選擧ノ場所ニ臨席シ又ハ所部ノ官吏ヲシテ臨席セシムルコトヲ得
第三十四條 辯護士會ハ遲滯ナク總會ノ決議竝ニ役員ノ就任及退任ヲ地方法院檢察官長ニ申吿スベシ
第三十六條 辯護士會ノ會議ガ法令若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害スルトキハ地方法院檢察官長ハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ其ノ議事ヲ停止スルコトヲ得
辯護士會ノ役員ノ行爲ガ法令若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害スルトキハ地方法院檢察官長ハ其ノ役員ヲ解任スルコトヲ得
第三十七條 辯護士會ハ辯護士ト委囑者トノ間ニ紛議ヲ生ジタルトキハ當事者ノ請求ニ因リ其ノ調停ヲ爲スコトヲ得
民法第七十三條乃至第七十六條、第七十八條乃至第八十條、第八十二條及第八十三條竝ニ民法施行法第二十六條及第二十七條ノ規定ハ辯護士會ノ淸算ニ關シ之ヲ準用ス
大使ハ辯護士會ノ解散ノ決議ヲ認可シタルトキハ解散ノ吿示ヲ爲スベシ