台湾拓殖株式会社法
法令番号: 法律第四十三號
公布年月日: 昭和11年6月3日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル臺灣拓殖株式會社法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年六月二日
內閣總理大臣 廣田弘毅
大藏大臣 馬場鍈一
拓務大臣 永田秀次郞
法律第四十三號
臺灣拓殖株式會社法
第一條 臺灣拓殖株式會社ハ拓殖事業ノ經營及拓殖資金ノ供給ヲ目的トスル株式會社トシ其ノ本店ヲ臺北ニ置ク
臺灣拓殖株式會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ定期預リ金ヲ爲スコトヲ得
第二條 臺灣拓殖株式會社ノ資本ハ三千萬圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第三條 臺灣拓殖株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上、資本ノ半額以上若ハ議决權ノ過半數ガ外國人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第四條 政府ハ臺灣總督ノ管理ニ屬スル金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ臺灣拓殖株式會社ガ政府ノ出資スル不動產ノ取得ニ付登記ヲ受クルトキハ其ノ登錄稅ノ額ハ不動產ノ價格ノ千分ノ三トス
第五條 臺灣拓殖株式會社ハ株金全額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得
第六條 臺灣拓殖株式會社ニ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置キ其ノ職務、權限及任期ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
社長副社長及理事ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ經テ臺灣總督之ヲ命ズ
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任ス
第七條 臺灣拓殖株式會社ハ拂込ミタル株金額ノ三倍ヲ限リ臺灣拓殖債券ヲ發行スルコトヲ得
臺灣拓殖債券ヲ發行スル場合ニ於テハ商法第二百九條ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要セズ
第八條 臺灣拓殖債券ノ所有者ハ臺灣拓殖株式會社ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
第九條 臺灣拓殖株式會社ハ每營業年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補フ爲利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立テ且利益配當ノ平均ヲ得シムル爲利益金額ノ百分ノ二以上ヲ積立ツベシ
第十條 政府ハ臺灣拓殖株式會社ノ業務ヲ監督ス
第十一條 利益金ノ處分、臺灣拓殖債券ノ發行竝ニ合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ定款ノ變更其ノ他政府ノ認可ヲ受ケタル事項ノ變更ニ付亦同ジ
第十二條 政府ハ臺灣拓殖株式會社ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第十三條 臺灣拓殖株式會社ハ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年六分ノ割合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
第十四條 臺灣拓殖株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年六分ノ割合ヲ超過スル場合ニ於テハ其ノ超過額ハ總株式ニ對スル利益配當ガ拂込ミタル株金額ニ對シ均一ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額及政府ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ一ト四トノ割合ヲ以テ之ヲ配當スベシ
第十五條 臺灣拓殖株式會社ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル者ヲ百圓以上二千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
第十六條 本法ニ定ムルモノノ外臺灣拓殖株式會社ノ業務ノ監督ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
政府ハ設立委員ヲ命ジ臺灣拓殖株式會社ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
設立委員ハ定款ヲ作成シ政府ノ認可ヲ受クベシ
前二項ニ定ムルモノノ外臺灣拓殖株式會社ノ設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第六條第一項第十一號中「勸業債券」ノ下ニ「、臺灣拓殖債券」ヲ加フ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル台湾拓殖株式会社法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年六月二日
内閣総理大臣 広田弘毅
大蔵大臣 馬場鍈一
拓務大臣 永田秀次郎
法律第四十三号
台湾拓殖株式会社法
第一条 台湾拓殖株式会社ハ拓殖事業ノ経営及拓殖資金ノ供給ヲ目的トスル株式会社トシ其ノ本店ヲ台北ニ置ク
台湾拓殖株式会社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ定期預リ金ヲ為スコトヲ得
第二条 台湾拓殖株式会社ノ資本ハ三千万円トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ増加スルコトヲ得
第三条 台湾拓殖株式会社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共団体、帝国臣民又ハ帝国法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上、資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人若ハ外国法人ニ属セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第四条 政府ハ台湾総督ノ管理ニ属スル金銭以外ノ財産ヲ以テ出資ノ目的ト為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ台湾拓殖株式会社ガ政府ノ出資スル不動産ノ取得ニ付登記ヲ受クルトキハ其ノ登録税ノ額ハ不動産ノ価格ノ千分ノ三トス
第五条 台湾拓殖株式会社ハ株金全額払込前ト雖モ其ノ資本ヲ増加スルコトヲ得
第六条 台湾拓殖株式会社ニ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置キ其ノ職務、権限及任期ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
社長副社長及理事ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ経テ台湾総督之ヲ命ズ
監事ハ株主総会ニ於テ之ヲ選任ス
第七条 台湾拓殖株式会社ハ払込ミタル株金額ノ三倍ヲ限リ台湾拓殖債券ヲ発行スルコトヲ得
台湾拓殖債券ヲ発行スル場合ニ於テハ商法第二百九条ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要セズ
第八条 台湾拓殖債券ノ所有者ハ台湾拓殖株式会社ノ財産ニ付他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス
第九条 台湾拓殖株式会社ハ毎営業年度ニ準備金トシテ資本ノ欠損ヲ補フ為利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立テ且利益配当ノ平均ヲ得シムル為利益金額ノ百分ノ二以上ヲ積立ツベシ
第十条 政府ハ台湾拓殖株式会社ノ業務ヲ監督ス
第十一条 利益金ノ処分、台湾拓殖債券ノ発行並ニ合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ定款ノ変更其ノ他政府ノ認可ヲ受ケタル事項ノ変更ニ付亦同ジ
第十二条 政府ハ台湾拓殖株式会社ノ決議又ハ役員ノ行為ガ法令、法令ニ基キテ為ス処分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第十三条 台湾拓殖株式会社ハ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年六分ノ割合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ対シ利益ノ配当ヲ為スコトヲ要セズ
第十四条 台湾拓殖株式会社ノ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年六分ノ割合ヲ超過スル場合ニ於テハ其ノ超過額ハ総株式ニ対スル利益配当ガ払込ミタル株金額ニ対シ均一ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額及政府ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ一ト四トノ割合ヲ以テ之ヲ配当スベシ
第十五条 台湾拓殖株式会社ガ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル者ヲ百円以上二千円以下ノ過料ニ処ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同ジ
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
第十六条 本法ニ定ムルモノノ外台湾拓殖株式会社ノ業務ノ監督ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
政府ハ設立委員ヲ命ジ台湾拓殖株式会社ノ設立ニ関スル一切ノ事務ヲ処理セシム
設立委員ハ定款ヲ作成シ政府ノ認可ヲ受クベシ
前二項ニ定ムルモノノ外台湾拓殖株式会社ノ設立ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登録税法第六条第一項第十一号中「勧業債券」ノ下ニ「、台湾拓殖債券」ヲ加フ