土地賃貸価格改訂法
法令番号: 法律第三十六號
公布年月日: 昭和11年6月1日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル土地賃貸價格改訂法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年五月三十日
內閣總理大臣 廣田弘毅
大藏大臣 馬場鍈一
法律第三十六號
土地賃貸價格改訂法
第一條 政府ハ地租法第九條第一項ノ規定ニ依リ昭和十三年一月一日ニ於テ土地ノ賃貸價格ヲ改訂シ昭和十三年分ヨリ改訂賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス
第二條 改訂賃貸價格ハ各地目每ニ昭和十一年四月一日ニ於テ土地ノ情況類似スル區域內ニ於ケル標準ト爲ルベキ土地ノ賃貸價格(標準賃貸價格)ニ依ル
前項ニ定ムルモノノ外賃貸價格ノ算定ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 昭和十一年四月一日後昭和十二年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ賃貸價格ヲ設定シ又ハ修正シタル土地ノ改訂賃貸價格ハ地租法第九條第三項ノ例ニ準ジ之ヲ定ム
昭和十一年四月一日後昭和十二年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ分筆又ハ合筆ヲ爲シタル土地ノ改訂賃貸價格ハ其ノ分筆又ハ合筆前ノ土地ニ付前條ノ規定ニ依リ定メラルベキ賃貸價格ヲ地租法第三十三條ノ例ニ準ジ配分又ハ合算シテ之ヲ定ム
第四條 改訂賃貸價格ニ依ル各土地ノ地租額ガ從前ノ賃貸價格ニ依ル地租額ノ四倍ヲ超ユルトキハ其ノ四倍ヲ超ユル金額ニ相當スル地租ハ昭和十五年分迄之ヲ免除ス
第五條 第二條第一項ノ區域及標準賃貸價格ハ賃貸價格調査委員會ノ議ニ付シ政府ニ於テ之ヲ定ム
第六條 稅務署長ハ第二條第一項ノ區域及標準賃貸價格ノ調査書ヲ作成シ之ヲ賃貸價格調査委員會ニ提出スベシ
第七條 各稅務署所轄內ニ賃貸價格調査委員會ヲ置ク但シ稅務署所轄內ニ在ル市ニ付テハ命令ヲ以テ特ニ賃貸價格調査委員會ヲ置クコトヲ得
第八條 賃貸價格調査委員會ハ之ヲ置クベキ區域內ノ各市町村ニ於テ地租納稅義務者ノ選擧シタル調査委員ヲ以テ之ヲ組織ス
各市町村ニ於テ選擧スベキ調査委員ノ數ハ市ニ在リテハ十人、町村ニ在リテハ一人トス但シ市町村ノ情況ニ依リ命令ヲ以テ之ヲ增減スルコトヲ得
第九條 選擧期日前十五日ノ現在ニ於テ地租名寄帳ニ納稅義務者トシテ記載セラレタル個人(地租法第七十條又ハ第七十三條第一項但書ノ規定ニ依リ地租ヲ免除セラルル者又ハ地租ヲ徵收セラレザル者ヲ含ム)ハ當該市町村內ニ於テ調査委員ヲ選擧シ又ハ調査委員ニ選擧セラルルコトヲ得但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 無能力者
二 破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三 國稅滯納處分ヲ受ケタル後一年ヲ經ザル者
四 六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ又ハ舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者
五 六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ニシテ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノモノ
六 地租法第八十三條又ハ第八十六條第二項ノ規定ニ依リ處罰セラレタル後五年ヲ經ザル者
法人ニシテ地租ノ納稅義務ヲ有スル者ハ前項ノ規定ニ準ジ調査委員ヲ選擧スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ選擧ニ關スル代表者ヲ定メ當該市町村長ニ申吿スベシ
第一項各號ノ一ニ該當スル者ハ前項ノ規定ニ依ル法人ノ代表者タルコトヲ得ズ
第十條 投票及開票ニ關スル事務ハ市町村長之ヲ擔任シ其ノ他ノ選擧ニ關スル事務ハ稅務署長之ヲ擔任ス
第十一條 稅務署長ハ調査委員ノ選擧期日ヲ定メ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ少クトモ選擧期日七日前ニ之ヲ公示スベシ
前項ノ公示ニハ投票及開票ノ日時及場所ヲ記載スベシ
第十二條 調査委員ノ選擧ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ投票所ニ到リ被選擧人一人ノ氏名ヲ投票用紙ニ記載シテ投票スベシ
投票用紙ハ選擧ノ當日投票所ニ於テ之ヲ選擧人ニ交付スベシ
第十三條 市町村長ハ當該市町村內ニ於テ選擧資格ヲ有スル者ノ內ヨリ二人ノ立會人ヲ選任シ投票及開票ニ立會ハシムベシ
立會人ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ手當ヲ支給ス
第十四條 投票ノ效力ハ立會人ノ意見ヲ聽キ市町村長之ヲ決定スベシ
第十五條 市町村長ハ投票ヲ調査シ直ニ左ノ事項ヲ稅務署長ニ通知スベシ
一 投票人及投票ノ數竝ニ有效投票及無效投票ノ數
二 投票ヲ無效ト決定シタル事由
三 被選擧人ノ住所、氏名、生年月日及其ノ得票數
第十六條 稅務署長前條ノ通知ヲ受ケタルトキハ之ヲ調査シ當選人ヲ決定スベシ
第十七條 投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選人トス得票數同ジキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡モ亦同ジキトキハ稅務署長抽籤シテ之ヲ定ム
第十八條 稅務署長當選人ヲ決定シタルトキハ其ノ氏名ヲ公示シ且之ヲ當選人及市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ當選人ノ氏名ヲ公示スベシ
第十九條 調査委員ニ當選シタル者ハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得ズ
第二十條 調査委員第九條第一項各號ノ一ニ該當スルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第二十一條 調査委員ニ缺員ヲ生ジタルトキハ當選人ト爲ラザリシ者ノ中得票數多キ者ヨリ順次之ヲ補充ス其ノ得票數同ジキトキハ第十七條ノ規定ヲ準用ス
第十八條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十二條 調査委員ノ選擧ニ於テ當選人ノ數ガ定數ニ達セザルトキ又ハ調査委員ニ缺員ヲ生ジ前條ノ規定ニ依リ補充スベキ者ナキトキハ補缺選擧ヲ行フ但シ賃貸價格調査委員會開會後缺員ヲ生ジタル場合ニ於テハ之ヲ行ハザルコトヲ得
第二十三條 賃貸價格調査委員會ハ稅務署長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク其ノ開會日數ハ三十日以內トス
第二十四條 賃貸價格調査委員會ハ開會ノ始ニ於テ調査委員中ヨリ會長ヲ選擧スベシ
會長事故アルトキハ出席シタル調査委員中ノ年齡多キ者會長ノ職務ヲ代理ス
第二十五條 賃貸價格調査委員會ハ定員ノ過半數ニ當ル委員出席スルニ非ザレバ決議スルコトヲ得ズ
議事ハ出席員ノ多數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ會長ノ決スル所ニ依ル
第二十六條 賃貸價格調査委員會ノ決議ハ會長之ヲ稅務署長ニ通知スベシ
第二十七條 昭和十二年九月三十日迄ニ賃貸價格調査委員會成立セザルトキハ稅務署長ニ於テ第二條第一項ノ區域及標準賃貸價格ヲ定ム
賃貸價格調査委員會開會ノ日ヨリ第二十三條ノ期間內又ハ昭和十二年九月三十日迄ニ決議終了セザルトキハ稅務署長ニ於テ第二條第一項ノ區域及標準賃貸價格ヲ定ム
第二十八條 稅務署長ハ賃貸價格調査委員會ノ決議ヲ不當ト認ムルトキハ十日以內ノ期間ヲ定メ再議ニ付ス仍其ノ決議ヲ不當ト認ムルトキ又ハ再議期間內ニ決議終了セザルトキハ稅務署長ニ於テ第二條第一項ノ區域及標準賃貸價格ヲ定ム
第二十九條 稅務署長又ハ其ノ代理官ハ賃貸價格調査委員會ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十條 調査委員ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ手當及旅費ヲ支給ス
第三十一條 第二條第一項ノ區域及標準賃貸價格ヲ定メタルトキハ稅務署長ハ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ二十日間關係者ノ縱覽ニ供スベシ縱覽期間ハ豫メ之ヲ公示スベシ
第三十二條 自己ノ納稅義務ヲ有スル土地ニ適用セラルベキ標準賃貸價格ニ關シテ異議アル者ハ前條ノ縱覽期間滿了ノ日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ稅務署長ヲ經由シテ稅務監督局長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ申立アリタル場合ト雖モ政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第三十三條 前條第二項ノ申立アリタルトキハ稅務監督局長ハ之ヲ審査決定シ異議申立人ニ通知スベシ
第三十四條 前條ノ決定ニ對シ不服アルトキハ訴願ヲ爲シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三十五條 稅務署長又ハ其ノ代理官ハ土地ノ所有者、質權者、地上權者其ノ他利害關係人ニ對シ賃貸價格ノ調査上必要ナル事項ヲ質問スルコトヲ得
第三十六條 賃貸價格ノ調査又ハ決議ニ從事シタル者ハ其ノ調査又ハ決議ニ關シ知リタル祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ他ニ漏洩スルコトヲ得ズ
第三十七條 町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同處理スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長ト看做ス
市制第六條又ハ第八十二條第三項ノ市ニ於テハ本法中市ニ關スル規定ハ區ニ、市長ニ關スル規定ハ區長ニ之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ關スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ關スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
地租法第七十一條第一項ニ規定スル申請期間ハ昭和十三年分地租ニ限リ命令ヲ以テ之ヲ變更スルコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル土地賃貸価格改訂法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年五月三十日
内閣総理大臣 広田弘毅
大蔵大臣 馬場鍈一
法律第三十六号
土地賃貸価格改訂法
第一条 政府ハ地租法第九条第一項ノ規定ニ依リ昭和十三年一月一日ニ於テ土地ノ賃貸価格ヲ改訂シ昭和十三年分ヨリ改訂賃貸価格ニ依リ地租ヲ徴収ス
第二条 改訂賃貸価格ハ各地目毎ニ昭和十一年四月一日ニ於テ土地ノ情況類似スル区域内ニ於ケル標準ト為ルベキ土地ノ賃貸価格(標準賃貸価格)ニ依ル
前項ニ定ムルモノノ外賃貸価格ノ算定ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三条 昭和十一年四月一日後昭和十二年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ賃貸価格ヲ設定シ又ハ修正シタル土地ノ改訂賃貸価格ハ地租法第九条第三項ノ例ニ準ジ之ヲ定ム
昭和十一年四月一日後昭和十二年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ分筆又ハ合筆ヲ為シタル土地ノ改訂賃貸価格ハ其ノ分筆又ハ合筆前ノ土地ニ付前条ノ規定ニ依リ定メラルベキ賃貸価格ヲ地租法第三十三条ノ例ニ準ジ配分又ハ合算シテ之ヲ定ム
第四条 改訂賃貸価格ニ依ル各土地ノ地租額ガ従前ノ賃貸価格ニ依ル地租額ノ四倍ヲ超ユルトキハ其ノ四倍ヲ超ユル金額ニ相当スル地租ハ昭和十五年分迄之ヲ免除ス
第五条 第二条第一項ノ区域及標準賃貸価格ハ賃貸価格調査委員会ノ議ニ付シ政府ニ於テ之ヲ定ム
第六条 税務署長ハ第二条第一項ノ区域及標準賃貸価格ノ調査書ヲ作成シ之ヲ賃貸価格調査委員会ニ提出スベシ
第七条 各税務署所轄内ニ賃貸価格調査委員会ヲ置ク但シ税務署所轄内ニ在ル市ニ付テハ命令ヲ以テ特ニ賃貸価格調査委員会ヲ置クコトヲ得
第八条 賃貸価格調査委員会ハ之ヲ置クベキ区域内ノ各市町村ニ於テ地租納税義務者ノ選挙シタル調査委員ヲ以テ之ヲ組織ス
各市町村ニ於テ選挙スベキ調査委員ノ数ハ市ニ在リテハ十人、町村ニ在リテハ一人トス但シ市町村ノ情況ニ依リ命令ヲ以テ之ヲ増減スルコトヲ得
第九条 選挙期日前十五日ノ現在ニ於テ地租名寄帳ニ納税義務者トシテ記載セラレタル個人(地租法第七十条又ハ第七十三条第一項但書ノ規定ニ依リ地租ヲ免除セラルル者又ハ地租ヲ徴収セラレザル者ヲ含ム)ハ当該市町村内ニ於テ調査委員ヲ選挙シ又ハ調査委員ニ選挙セラルルコトヲ得但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 無能力者
二 破産者ニシテ復権ヲ得ザルモノ
三 国税滞納処分ヲ受ケタル後一年ヲ経ザル者
四 六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ又ハ旧刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者
五 六年未満ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレタル者ニシテ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノモノ
六 地租法第八十三条又ハ第八十六条第二項ノ規定ニ依リ処罰セラレタル後五年ヲ経ザル者
法人ニシテ地租ノ納税義務ヲ有スル者ハ前項ノ規定ニ準ジ調査委員ヲ選挙スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ選挙ニ関スル代表者ヲ定メ当該市町村長ニ申告スベシ
第一項各号ノ一ニ該当スル者ハ前項ノ規定ニ依ル法人ノ代表者タルコトヲ得ズ
第十条 投票及開票ニ関スル事務ハ市町村長之ヲ担任シ其ノ他ノ選挙ニ関スル事務ハ税務署長之ヲ担任ス
第十一条 税務署長ハ調査委員ノ選挙期日ヲ定メ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ少クトモ選挙期日七日前ニ之ヲ公示スベシ
前項ノ公示ニハ投票及開票ノ日時及場所ヲ記載スベシ
第十二条 調査委員ノ選挙ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選挙人ハ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ投票所ニ到リ被選挙人一人ノ氏名ヲ投票用紙ニ記載シテ投票スベシ
投票用紙ハ選挙ノ当日投票所ニ於テ之ヲ選挙人ニ交付スベシ
第十三条 市町村長ハ当該市町村内ニ於テ選挙資格ヲ有スル者ノ内ヨリ二人ノ立会人ヲ選任シ投票及開票ニ立会ハシムベシ
立会人ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ手当ヲ支給ス
第十四条 投票ノ効力ハ立会人ノ意見ヲ聴キ市町村長之ヲ決定スベシ
第十五条 市町村長ハ投票ヲ調査シ直ニ左ノ事項ヲ税務署長ニ通知スベシ
一 投票人及投票ノ数並ニ有効投票及無効投票ノ数
二 投票ヲ無効ト決定シタル事由
三 被選挙人ノ住所、氏名、生年月日及其ノ得票数
第十六条 税務署長前条ノ通知ヲ受ケタルトキハ之ヲ調査シ当選人ヲ決定スベシ
第十七条 投票ノ多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス得票数同ジキトキハ年齢多キ者ヲ取リ年齢モ亦同ジキトキハ税務署長抽籤シテ之ヲ定ム
第十八条 税務署長当選人ヲ決定シタルトキハ其ノ氏名ヲ公示シ且之ヲ当選人及市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ当選人ノ氏名ヲ公示スベシ
第十九条 調査委員ニ当選シタル者ハ正当ノ事由ナクシテ之ヲ辞スルコトヲ得ズ
第二十条 調査委員第九条第一項各号ノ一ニ該当スルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第二十一条 調査委員ニ欠員ヲ生ジタルトキハ当選人ト為ラザリシ者ノ中得票数多キ者ヨリ順次之ヲ補充ス其ノ得票数同ジキトキハ第十七条ノ規定ヲ準用ス
第十八条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十二条 調査委員ノ選挙ニ於テ当選人ノ数ガ定数ニ達セザルトキ又ハ調査委員ニ欠員ヲ生ジ前条ノ規定ニ依リ補充スベキ者ナキトキハ補欠選挙ヲ行フ但シ賃貸価格調査委員会開会後欠員ヲ生ジタル場合ニ於テハ之ヲ行ハザルコトヲ得
第二十三条 賃貸価格調査委員会ハ税務署長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク其ノ開会日数ハ三十日以内トス
第二十四条 賃貸価格調査委員会ハ開会ノ始ニ於テ調査委員中ヨリ会長ヲ選挙スベシ
会長事故アルトキハ出席シタル調査委員中ノ年齢多キ者会長ノ職務ヲ代理ス
第二十五条 賃貸価格調査委員会ハ定員ノ過半数ニ当ル委員出席スルニ非ザレバ決議スルコトヲ得ズ
議事ハ出席員ノ多数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ会長ノ決スル所ニ依ル
第二十六条 賃貸価格調査委員会ノ決議ハ会長之ヲ税務署長ニ通知スベシ
第二十七条 昭和十二年九月三十日迄ニ賃貸価格調査委員会成立セザルトキハ税務署長ニ於テ第二条第一項ノ区域及標準賃貸価格ヲ定ム
賃貸価格調査委員会開会ノ日ヨリ第二十三条ノ期間内又ハ昭和十二年九月三十日迄ニ決議終了セザルトキハ税務署長ニ於テ第二条第一項ノ区域及標準賃貸価格ヲ定ム
第二十八条 税務署長ハ賃貸価格調査委員会ノ決議ヲ不当ト認ムルトキハ十日以内ノ期間ヲ定メ再議ニ付ス仍其ノ決議ヲ不当ト認ムルトキ又ハ再議期間内ニ決議終了セザルトキハ税務署長ニ於テ第二条第一項ノ区域及標準賃貸価格ヲ定ム
第二十九条 税務署長又ハ其ノ代理官ハ賃貸価格調査委員会ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十条 調査委員ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ手当及旅費ヲ支給ス
第三十一条 第二条第一項ノ区域及標準賃貸価格ヲ定メタルトキハ税務署長ハ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ二十日間関係者ノ縦覧ニ供スベシ縦覧期間ハ予メ之ヲ公示スベシ
第三十二条 自己ノ納税義務ヲ有スル土地ニ適用セラルベキ標準賃貸価格ニ関シテ異議アル者ハ前条ノ縦覧期間満了ノ日ヨリ二十日以内ニ不服ノ事由ヲ具シ税務署長ヲ経由シテ税務監督局長ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
前項ノ申立アリタル場合ト雖モ政府ハ税金ノ徴収ヲ猶予セズ
第三十三条 前条第二項ノ申立アリタルトキハ税務監督局長ハ之ヲ審査決定シ異議申立人ニ通知スベシ
第三十四条 前条ノ決定ニ対シ不服アルトキハ訴願ヲ為シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三十五条 税務署長又ハ其ノ代理官ハ土地ノ所有者、質権者、地上権者其ノ他利害関係人ニ対シ賃貸価格ノ調査上必要ナル事項ヲ質問スルコトヲ得
第三十六条 賃貸価格ノ調査又ハ決議ニ従事シタル者ハ其ノ調査又ハ決議ニ関シ知リタル秘密ヲ正当ノ事由ナクシテ他ニ漏洩スルコトヲ得ズ
第三十七条 町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同処理スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長ト看做ス
市制第六条又ハ第八十二条第三項ノ市ニ於テハ本法中市ニ関スル規定ハ区ニ、市長ニ関スル規定ハ区長ニ之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ関スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
地租法第七十一条第一項ニ規定スル申請期間ハ昭和十三年分地租ニ限リ命令ヲ以テ之ヲ変更スルコトヲ得